“良い税理士”を見極めるたった一つのポイント 「近所」「紹介」の落とし穴も

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この記事の読者の中に、税理士を探している方がいるかもしれません。中には知人の紹介やネット検索を頼りに検討している方もいるかもしれないですね。

一昔前と変わり、今はターゲットや専門分野を絞った税理士事務所が増え、差別化されたことで税理士探しが楽になったように感じます。一方で、「良い税理士・悪い税理士」を見極めるポイントが分からないという声も後を絶ちません。

今回は、税理士紹介を10年以上続ける私が、「その税理士が、あなたにとって“良い税理士”かどうか」を見極めるたった一つのポイントをお伝えします。(執筆:タックスコム代表取締役 山下健一)

税理士は3タイプに分けられる


まず、世の中にはどんなタイプの税理士がいるのかざっくりとご紹介しましょう。大きく「低価格型」「付加価値型」「特化型」の3つに分けることができます。

「低価格型」

必要最低限のことにサービスを絞ることで低価格を実現している事務所です。必要最低限のサービスとは、会計ソフトへの入力とメール・電話での税務相談、そして申告業務になります。

あなたが取り組んでいる事業が一つで、年商規模が5,000万円以下の場合や、大きな変化のない事業の場合は、税理士からのアドバイスも大きく変わることはありませんので低価格型の税理士で事足りると思います。

ただし、注意してもらいことがあります。まれに、月額1万円以下などの破格の顧問料を売りにしている税理士事務所と契約した企業が、「税理士から折り返しがない」とか「まったく相談に乗ってもらえない」などを理由に税理士をコロコロ変えているケースがあります。税理士はそう頻繁に乗り換えるものではありませんし、探すのは大きな手間となりますから、破格だからという理由だけで契約するのはとてもリスキーです。

「付加価値型」

定期的に面談を行い、社長が今後やりたいことを踏まえ想定されるリスクや資金繰りの相談、節税対策の提案など外部CFO的な立場から顧問として相談に乗ってもらえます(※CFO=chief financial officer、最高財務責任者)。財務・税務の目線から見た投資のタイミングや資金調達のタイミングはとても重要な検討事項になります。

また、事業規模が大きくなってくると節税対策の実行タイミングが違うだけで、納税額が大きく変わることがあります。そして時には資金がショートして倒産するリスクを回避できたりする場合もあるのです。

年商が億を超える場合や、今後新たに始めたい事業がある、事業を拡大したいという会社には、様々なリスクも出てきます。そのようなリスクを財務・税務面からサポートしてもらえるにはやはり付加価値型の事務所が良いでしょう。

「特化型」

全体の割合からすれば数は多くありませんが、業務内容や業種に特化することで、限られた事務所のリソースを一定のターゲットに集中させ深い知識と経験を保持した税理士もいます。最近増えてきた「相続専門」の税理士もその一つです。それ以外にも「医療専門」「不動産専門」「飲食専門」などがあげられます。

ただし、ここでも注意点があります。専門と謳っているにも関わらず、集客目的で実はそこまで詳しくない……というケースがあります。一般の方が税理士の専門性を詳しく把握するのは難しいと思いますが、実際にこのようなことがあることは知っておいた方が良いでしょう。

税理士探しで失敗しないポイント


少し話がそれますが、税務署出身の税理士いわゆる「税務署OB税理士」にお願いすると、税務調査の際に有利に話を進めてもらえるという都市伝説をいまだに信じている方もいます。確かに一昔前はOBとしての力が働くこともありましたが、昨今はほとんどなくなってきています。

話を戻し、税理士には3つのタイプがあるということを理解した上で、「自社がどの税理士にお願いしたいのか」を決めます。失敗しない探し方とは、実はこの「どんな税理士にお願いするのか」を決めることがポイントになります。失敗する方のほとんどが、このポイントを明確化できていないことが多いのです。

「紹介」もそう安心できない

では、具体的な探し方ですが、知人・商工会・銀行など、声をかければ税理士をすぐに紹介してくれると思いますし、ネットで検索してもたくさん出てきます。その中から数名に絞り面談をして、最後は一人に絞ります。

ただし、紹介の場合は「間違いない!」と高を括りがちですが、注意が必要です。なぜならその紹介者にとって良い税理士だからといって、あなたにも良いとは限らないからです。会社ごとに業種や規模は違うわけで、状況によって良しとする条件は違います。「紹介された税理士が合わないが、紹介者の手前、解約したくてもできない……どうしたらいいでしょうか?」という相談を受けることも多々あります。

「近所の税理士」の落とし穴も

ネットで検索する際も注意が必要です。何かあったときにすぐ行けるようにと、とにかく近所の税理士を希望される方がいます。もちろん、全ての税理士が同じ能力なら近いに越したことはありませんが、距離よりも「自社の要望に応えてもらえるか?」の方が、はるかに優先順位が高いことは忘れないでください。徒歩3分の税理士と契約したのにいつも事務所におらず会社にもまったく来てくれない……という方は意外と多いです。

まとめますと、良い税理士の探し方とは、まずどんな税理士にお願いしたいのかを明確にし、紹介やネットで探す際の注意点を踏まえ数名と会い、その中の一人に決める方法が良いでしょう。

いずれにしても、税理士は会社の中身を全て見せる、唯一の外部の人間です。一度付き合い始めたら長くなりますので、慎重にじっくり選んでいただきたいと思います。

<“良い税理士”の探し方>
◆どのようなタイプの税理士がいるのかを把握する
◆自社に必要な税理士の条件を洗い出す
◆「どのような税理士に依頼したいか」を明確化する
◆数名の中から一人に絞る

<税理士探しの注意点>
◆会社によって業種や規模は違う。他者から紹介を受けても、自社の要望に一致していないことは少なくない
◆近所の税理士に依頼しても、いつでもすぐに相談できるとは限らない。距離の近さよりも、自社の要望に応えられるかが重要

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山下 健一(やました けんいち)

株式会社タックスコム 代表取締役 / 社団法人 日本税理士紹介協議会 理事長

会計の実務経験を活かし、税理士紹介サービスを提供中。10年で1万件以上の相談実績がある。執筆した書籍『税理士に顧問料を払う本当の理由』は、発売から1年以上経過した今でもAmazonカテゴリ「税理士」で上位をキープ。

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