売上割戻

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「売上割戻(うりあげわりもどし)」とは、売り上げたものやサービスの量に応じて、あらかじめ取り決めておいた割合の金額を一部購入者に戻すことを指します。

一般的には、「リベート」や「キックバック」といった表現で表されることも多くなっています。

今回はこの売上割戻の性質を解説し、財務諸表における取扱い方などについて見ていくことにしましょう。

売上割戻とはどんなもの?

前述したように、売上割戻とは「リベート」や「キックバック」のことですので、特に小売店を経営されている方などにとっては、日常の中で知らず知らずのうちに「売上割戻」に触れているようなこともあるでしょう。

例えば、1足400円の靴下を3足まとめて買った場合に、本来1,200円のところ1,000円になるような場合には、200円分の売上割戻が発生するということになります。

まとめ買いセール、ボリュームディスカウントといった類のものは、会計的にはすべてこの売上割戻に当てはまると考えておいてよいでしょう。

「売上値引」との違いは?

売上割戻と間違いやすい勘定科目として、「売上値引」が挙げられます。売上割戻と売上値引の違いについては、「購入する量が少なくても適用されるか」という点で判断します。

売上値引は売り上げたものが1つであっても適用されます。例えばおもちゃの外箱にキズが付いているために定価より10%値引といったことは、その典型的なものです。

「売上」という言葉が付いてしまうために分かりにくくなってしまう部分もありますが、日常で行っている「キックバック」や「値引処理」のことだと考えてしまえば混乱することはないでしょう。

売上割戻の取扱い方と注意点とは?

では実際に、売上割戻は財務諸表上でどのように扱われるのでしょうか。前述したように、売上割戻と売上値引は実務上では違うものですが、財務諸表上では勘定科目が違うだけで性質自体は同じものになります。

例えば、A社とB社の間には、あらかじめ何個商品を買ったら5万円の割戻を行いますという取り決めがあったとします。A社がB社から商品を買った際に、A社があらかじめ決められた個数以上の買い物をして5万円分の割戻を受けたとすると、A社は以下のように割戻を計上します。

■仕訳例:A社がB社から商品を買い、A社が決められた個数以上の買い物をして5万円分の割戻を受けた。

借方科目金額貸方科目金額
買掛金50,000仕入50,000

これは実は、売上値引を行う際にも全く同じであり、A社がB社から買った商品が破損しており、B社が5万円の値引を行った際にも、同じ処理になることを押さえておきましょう。

税務調査ではどのような点が見られるのか

売上割戻は、前述したように単純なものであれば当然特段の問題はありませんが、実際の財務諸表上ではより複雑な処理が行われるために、税務調査においては特に注意深くみられる部分です。

売上割戻において税務署が特に注意深く見る点としては、以下の2点が挙げられます。

・交際費にあたるものがないか
・計上時期が正しいか

売上割戻は、あくまでも「会社・店舗」などに行うものであり、相手の会社の「人」に対して行っている場合には交際費として計上する必要が出てきます。たとえ悪意がなかったとしても、この部分を間違えてしまうと問題になる可能性がありますので注意しましょう。

また、計上時期に関しては以下のような基準が設けられています。

・割戻を行う基準が販売数量または販売合計金額で決まっており、かつ相手にその基準が伝わっている場合……対象商品を販売した日、もしくは相手に割戻金額を通知した日、または支払った日
・それ以外の場合……相手に割戻金額を通知した日、または支払った日

この基準に従って、計上時期を適切にすることも肝心です。

売上割戻の実際の計上方法を知ろう!

では、具体的に売上割戻はどのように計上すればよいのでしょうか。小売店が期末に財務諸表を作成するという仮定をしたうえで、考えてみることにしましょう。

まず、実務を行ううえでは、売上割戻はその性質に応じて以下の4つの種類に分けることができます。この種類を認識しておき、前述した計上時期の基準と照らし合わせることができれば、計上時期を間違えてしまうことはなくなるでしょう。

1.仕入れた金額や量に従って支払われる割戻
ある一定期間の仕入れた金額や仕入量に、あらかじめ決めてあった比率をかけて算出した金額を支払うもの。達成割戻と組み合わせて、一定の金額を超えた場合、その超えた分に比率をかけて算出する場合もあります。

2.達成割戻
あらかじめ契約で決まっている条件を満たした際に支払われる割戻を指します。一定期間に一定個数を定期的に購入した場合に支払われるものなどがあります。

3.特売期間の販促のために支払われる割戻
小売店が特売を行う際、メーカーが販売促進を狙い支払う割戻。小売店は強力な値引きを行って割戻分をお客様に還元します。

4.仕入れ先の要求が通った場合に支払われる割戻
仕入れ先が「商品の広告を出してほしい」「商品をこの場所に置いてほしい」などの要求を出し、その要求が通った場合に支払われる割戻を指します。協賛金や販促協力金の性質を持つ契約でも割戻扱いになる場合があります。

さて、売上割戻を受け取って実際に計上する際には、仕入高から控除することが多くなっています。仕入高として計上した金額から売上割戻を受けた金額を差し引くことが、一般的な計上の仕方です。

実務上では、実際に仕入れた分の商品が売り切れずに、まだ在庫として残ってしまっているようなことも出てくると思います。そのような場合には、受け取った売上割戻を「棚卸資産」と「売上原価」にそれぞれ配分する必要が出てきます。

ただ、実務上では在庫の中で売上割戻を受けた商品と、そうでない商品が一見して判別できないような場合もあるでしょう。そのような場合には、受け取った売上割戻を売上原価から全額控除するような対応が必要になることもあります。

そのほかにも、「相手から買ったどのような商品に対して売上割戻が行われたのか」という部分で、「一般管理費」「販売費」などの項目から控除を行うようなこともあります。

このあたりは実務の中でどのような処理が行われたかということによって変わってきますので、臨機応変な対応が求められるでしょう。

売上割戻の実務上における計上時期は?

売上割戻の計上時期に関しては、どのような場合においても前述した計上時期の基準に照らし合わせて行えばよいでしょう。実務上では、売上割戻を受けることが決まって、実際の金額を見積もることができてから計上することが多くなると考えられます。

取引の内容によっては、具体的にどの程度売上割戻がもらえるか分からないこともあります。その場合には、売上割戻の確定金額が相手方から通知された段階で計上することになることも、合わせて押さえておきましょう。

まとめ

売上割戻の計上方法について、大まかにご理解いただけたでしょうか。実務上では在庫状況や取引の内容などが多岐にわたるため、その都度臨機応変な対応が求められる場合が多くなっています。

臨機応変な対応になっていく中で、税務調査時に見られやすい「交際費を計上していないか」「計上時期が正しいか」といった点がおろそかになってしまうと、致命的な事態に陥ってしまう可能性もあります。

あくまでも基本を押さえたうえで、誤った計上をしないようにすることが大切です。

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