会社解散における税務処理とは

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業績が悪化し事業閉鎖に追い込まれてしまったり、会社を存続するメリットがなくなったり、事業の後継者がおらず、事業そのものが継続できなくなったなどの理由から、会社の業務を終了させること、すなわち、会社の解散を選択する場合があります。

一般的に会社の解散は、株主総会の決議によって決定されますが、会社解散が決定したからといって、何も処理せず会社を終了させることはできません。解散はあくまで、業務の終了を意味しますので、その後に、法人税の申告や債務整理などの業務、いわゆる清算業務と呼ばれる残務処理を行う必要があります。

ここでは、会社解散後に行う清算業務のなかでも、期限切れ欠損金の損金算入と、子会社の清算における未処理欠損金の処理、解散・清算事業年度の確定申告についてご説明します。

期限切れ欠損金の損金算入とは?

2010年度税制改正の「清算所得課税から損益課税への変更」により認知度が高まった「期限切れ欠損金」とは、期首の利益積立金額から青色欠損金を差し引いて算出された額のことを指します。

残余財産がない法人に、資産売却益や債務免除益などに対する課税が発生しないように、清算中の法人で残余財産がないと判断される場合には、青色欠損金額を控除後の所得金額を限度として、「期限切れ欠損金の損金算入」が認められています。

期限切れ欠損金の損金算入の適用要件については、確定申告書において、期限切れ欠損金額の損金算入に関する明細書の記載があり、残余財産がないことが見込まれることを説明する書類を添付することとなっています。

子会社の清算における未処理欠損金の処理とは?

完全支配の関係にある親会社と子会社との間で、子会社の残余財産が確定した場合には、子会社の未処理欠損金を、親会社で引き継ぐことが可能となっています。

親会社で引き継ぐことのできる欠損金の詳細は、以下の通りとなっています。

完全支配関係になっている子会社の残余財産が確定した場合、確定日の翌日前9年以内に始めた子会社の各事業年度に発生した欠損金のうちで、未処理欠損金額は、親会社の各事業年度において生じた欠損金額とみなされ、引き継ぐことができます。

解散事業年度における確定申告

会社が解散した日の属する事業年度開始日から、会社の解散日までの期間を1事業年度として、その期間の解散確定申告書を、解散の日の翌日から2ヵ月以内に提出し、申告した税額を納める必要があります。この解散確定申告書は、その事業年度の所得に対して課される法人税にかかるものです。

清算中のそれぞれの事業年度における確定申告

会社が解散した日の翌日から1年ごとの期間を1事業年度として、それぞれの事業年度終了日の翌日から2ヵ月以内に、清算事業年度の確定申告書を提出し、申告した税額を納める必要があります。
この確定申告書は、それぞれの事業年度の所得に対して課される法人税にかかるものです。

残余財産確定事業年度の確定

最終的に残余財産が確定した場合には、残余財産確定事業年度の確定申告書を残余財産が確定した日の翌日から1ヶ月以内に提出し、申告した税額を納める必要があります。
なお、申告書提出の期間内に、残余財産から最後の分配が行われる場合は、それが行われる日の前日までが確定申告書の提出期限となっています。ちなみに、解散事業年度の確定申告の申告書と、清算中のそれぞれの事業年度における確定申告については、「確定申告書提出期限の1ヵ月延長の特例」が認められています。

まとめ

会社解散に伴っては、その後に行わなければならない税務上の各種手続きがありますので、業務の運営を停止するだけではなく、それらの処理についても適正に行う必要があります。それぞれの処理には手続きの期限が決められていますので、事前に細かいスケジュールを立てて取り組むことがポイントとなります。

参考:
平成22年4月1日以後に終了する事業年度分法人税申告書カラーOCR帳票一覧表|法人税|国税庁

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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