固定資産税(償却資産)の減価償却を正しく理解していますか?減価償却の国税と地方税の違いとは

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10万円以上の資産を購入すると、減価償却により購入価額を期間按分します。

ただし、国税(法人税等)と地方税(固定資産税)では償却額に差が生じることをご存知でしたか?

今回は、それぞれの計算方法や償却方法について、解説していきます。

固定資産税(償却資産)の対象

固定資産税というと土地や建物をイメージする人が多いと思いますが、固定資産税の対象は、土地や建物だけでなく、償却資産も対象になります。

償却資産とは、毎年1月1日現在に所在する土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産のことで、原則、取得価額が10万円以上の車両(自動車税、軽自動車税の対象物を除く。)や機械設備、パソコンなどの備品、看板などの構築物が含まれます。

申告は償却資産の所在する自治体に対して行なわれ、期日は1月末です。

申告の内容は資産の種類や取得価額だけでなく、その資産の価値を決定するために必要な情報、例えば耐用年数などといったことも含まれています。

償却資産の評価方法

償却資産の評価額は、取得後の経過年数に応じた「減価率」を用いて計算しますが、「減価率」は耐用年数ごとに定められています。

以下の(1)、(2)がその算定式になります。

 (1)事業年度中に取得された償却資産の評価
  評価額 = 取得価額×{1-(減価率÷2)}(2)以前からある償却資産の評価
  評価額 = 前期の評価額×(1-減価率)

 (2)以前からある償却資産の評価
   評価額 = 前期の価格×(1-減価率)

減価償却とは何か

償却資産は、使っているうちに、あるいは時が経過しているだけでも価値を失っていくものです。

減価償却とは、その失った分の価値を費用として計上することをいいます。

減価償却の方法には、毎期一定の額を費用として計上する定額法と、毎期一定の率を掛けて算出した額を費用として計上する定率法とがあります。

さらに、特殊なものとして資産の利用度に比例した費用を計上する生産高比例法があります。

減価償却における会計と税法の違い

会計上の減価償却は、適正な費用配分に必要となるものなので、本来は資産の使用実態に合わせて自由に算定されるべきものです。

しかし、早期に多額の費用を計上することは、租税の先送りになってしまうため、課税に不平等が生じてしまいます。

そこで、税法では、減価償却の方法について制限を課しています。また、その取扱は国税と地方税では異なる方法となっています。

国税(法人税法等)と地方税(固定資産税)の減価償却の取扱の比較

1.償却計算の基準日

国税:事業年度(決算期)
地方税:賦課期日(1月1日)

2.減価償却の方法

国税
【平成19年3月31日以前取得】
・旧定率法、旧定額法等のいずれかを選択
・建物については旧定額法のみ

【平成19年4月1日以後取得】
・定率法、定額法等のいずれかを選択
・建物に及び付属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得分)については定額法

地方税
・原則として旧定率法

国税は、2つの方法で償却するのに対し、地方税は旧定率法で償却します。

なお、国税の「旧定率法、旧定額法」と「定率法、定額法」の違いは、残存価額の有無になります。

「旧定率法・旧定額法」は、その資産が使えると考えられる耐用年数が経過した時点でも残存価額が残っていると考えるものです。

それに対し、「定率法、定額法」は耐用年数経過時点で残存価額はないと考えるものです。

3.事業年度中の新規取得資産

事業年度中の新規取得資産に対し、国税では所有している月数を基礎として償却する「月割償却」とされていますが、地方税では、所有期間を半年とみなして償却する「半年償却」となっています。

国税:月割償却
地方税:半年償却

4.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

この特例は、中小企業が会社で使う減価償却資産を平成31年3月31日までに購入し、その購入金額が30万円未満だった場合には、300万円を限度として、その購入金額全額を損金として計上できるというものです。

この特例は、国税でのみ適用されるもので、地方税では認められていません。

国税:認められる
地方税:認められない

5、一括償却資産の特例

この特例は、10万円以上20万円未満の減価償却資産で3年間の均等償却を行い、損金計上できるというものです。

この特例は、国税でのみ適用されるもので、地方税では、国税で一括償却資産として処理した資産は、固定資産税の対象に含めません。

国税:償却資産に該当する
地方税:償却資産に該当しない

国税:認められる
地方税:認められない

6.評価額の最低限度

国税では残存簿価1円まで償却しても良いと定められているに対し、地方税では、評価額の最低限度は取得価額の5%となっています。

国税:備忘価格(1円)
地方税:取得価額の5%

7.圧縮記帳

固定資産の購入に当たって補助金を利用した場合、購入価額を購入金額から補助金の額を差し引いた金額として処理することを圧縮記帳といいます。

圧縮記帳は国税に関してのみ認められるもので、地方税については認められていません。

国税:認められる
地方税:認められない

以上のとおり、国税(法人税等)と地方税(固定資産税)とではかなり違いがあります。細かいところなので、違いをしっかり頭に入れておきましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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