地方拠点強化税制の【拡充型】と【移転型】の違いを理解して最大25%の特別償却を得よう!

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地方拠点強化税制

オフィスの拠点を地方にすると得をする地方拠点強化税制という制度が創設されます。

これは、大企業のほとんどが首都圏に集中している状態を是正し、地方の雇用を促進することを目的として創設されます。企業の側としても、美しい景色や自然環境の中で仕事をすることで効率化をはかるような事例が登場しています。
また、大企業だけでなく、ベンチャー企業が四国などの地方に事務所を構えるような取り組みも行われています。

ですが、この地方拠点強化税制を利用するためにはいくつかの条件があります。今回は、最大で25%の特別償却や7%の税額控除が認められる地方拠点強化税制について解説します。

地方拠点強化税制を利用してみよう

制度の目的

地方拠点強化税制は2015年度に新設されたばかりの税制です。「地方創生」をスローガンとして掲げている現内閣にとっては、肝いりの新制度だといえるでしょう。

地方拠点強化税制の目的は、地方の雇用を創出することです。都市への人口一極集中が続くことで、今や地方には若者がほとんどいなくなってしまいました。

かつては地方が都市の労働力を支え、都市が地方の経済を支えるという好循環がありました。しかし現在は、地方の人口が高齢化し経済基盤が弱体化しており、雇用が減少しています。そこで、地方に仕事をもたらす企業を優遇する政策が作られました。

地方拠点強化税制が利用できるエリア

さて、それではどこに拠点を作れば地方拠点強化税制の恩恵を受けることができるのでしょうか?
ここでいう「地方」とは、東京圏・中部圏中心部・近畿圏中心部以外の地域のことを指します。大雑把に捉えると、三大都市圏以外にサテライトオフィスを作れば地方拠点強化税制を利用することができます。

対象外の地域の条件を具体的に見てみると、首都圏整備法などの法律で定められている「既成市街地」と「近郊整備地帯」になります。これは日本全土の3%程度の面積に過ぎません。そのため、国内のほとんどの地域が対象となることがわかります。

ですが、下記の1都2府6県に関しては対象地域と対象外地域が両方あるので、事前に役所等に問い合わせてみるとよいでしょう。

・東京
・神奈川
・埼玉
・千葉
・茨城
・愛知
・大阪
・京都
・兵庫

オフィスの「拡充型」と「移転型」の2種類の違い

拡充型と移転型の違い

地方拠点強化税制では、その目的や内容によって2種類のタイプが用意されています。ひとつは「拡充型」で、もうひとつは「移転型」です。

拡充型は、もともと地方に本社を構えている企業がその本社機能を強化した場合に適用される優遇税制です。本社所在地は、対象エリア内かつ人口10万人以上の経済圏を構成している都市が想定されています。

移転型の適用要件はもう少し限定的です。こちらは、東京23区内から、対象エリアへ本社機能を移転した場合に適用される優遇税制です。全体的にこちらのほうが手厚い優遇措置となっています。もっとも、会社が勝手にオフィスを移したり、社員を増やしたりしてもこの税制が自動的に適用されるわけではありません

まず、その自治体が受け入れ促進策を講じた上で、国から認定を受けていることが必要です。そして会社も、地方拠点強化実施計画を策定し、知事から承認を受ける必要があるので注意しましょう。

拡充型を利用した場合

拡充型を利用した場合の優遇措置は、次のようになります。

雇用促進税制

雇用者が1人増加するごとに50万円の税額控除が行われます。通常は1人あたり40万円ですから、この税制によって10万円上乗せされているというわけです。

オフィス取得減税

オフィスを新しく取得した場合は、「15%の特別償却」または「4%の税額控除」のいずれかを受けることができます。減税期間は2年間です。

地方税の減収補填

減税は企業にとっては嬉しい措置ですが、地方自治体にとっては税収の減少を意味します。そこで、固定資産税・不動産取得税の減免については、国から地方への交付税で補填される仕組みになっています。

拡充型の例

すでに地方に拠点をもっている企業が、より本社機能を強化するために新規に10億円を投じてオフィスを新設し、100人の雇用増があった場合を例に計算してみましょう。

・「10億円×4%=4,000万円」
・「100人×50万円=5,000万円」

最大合計9,000万円の法人税額控除を受けられることになります。

移転型を利用した場合

移転型を利用した場合の優遇措置は、拡充型にさらに上乗せされる形となります。

雇用促進税制

雇用者が1人増加するごとに80万円の税額控除が行われます。通常は1人あたり40万円ですから、この税制によって40万円上乗せされているというわけです。しかも、そのうち30万円分については、継続して雇用する場合に限って3年間控除が認められます。

オフィス取得減税

オフィスを新しく取得した場合には、「25%の特別償却」または「7%の税額控除」のいずれかを受けることができます。減税期間は2年間です。

地方税の減収補填

拡充型の場合は固定資産税と不動産取得税のみが補填対象でしたが、移転型の場合は事業税の減免に対しても交付税で補填がなされます。

移転型の例

東京に拠点をもっている企業が、事業を一元化するために10億円を投じて地方にオフィスを新設し、100人の雇用増があったとします。この場合、

・「10億円×7%=7,000万円」
・「100人×80万円=8,000万円」

で最大合計1億5,000万円もの法人税額控除を受けられることになります。さらに、その100人を3年間継続して雇用すれば、翌年と翌々年も3,000万円の控除を受けられます。

まとめ

ここまで見てきたように、地方拠点強化税制は企業にとって極めてメリットの大きな税制だといえます。

本社機能のすべてを移転しなくてもこの税制は適用可能です。たとえば研究開発機能のみを集約して移転させる方法や、全国に分散していた研修所を一カ所にまとめる方法など、これらの形でも要件を満たしていれば対象となる可能性があります。

地方にオフィスを構える予定がない企業でも、自社の業務を見なおしてみると地方拠点強化税制を活用できるかもしれません。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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