- 更新日 : 2025年2月20日
日本のお財布、一般会計と特別会計ってなに?
ニュースで耳にしたことがあっても、実は詳しくわからない言葉って多くありませんか? ここでは、そんな言葉の一つである「一般会計」と「特別会計」についてわかりやすく解説します。
目次
一般会計とは?
まずは一般会計から見ていきましょう。
国や地方公共団体の会計は、大きく分けて一般会計と特別会計に分類することができます。法律上の定義では、一般会計は「特別会計に属さないすべての会計」ということになります。しかし、これだけの説明では少々わかりづらいところです。
そこでもう少しわかりやすく表現すると、「一般的な行政にかかる経費を扱うもの」だということができます。つまり、公共事業や社会保障など、通常の行政事業の範囲で毎年必要となるような経理のことです。
歳入としては、所得税や消費税などの税金等がこれに当たります。これらの予算は、議会で用途が決定されることになります。
特別会計とは?
では、もう一方の特別会計とはどういうものなのでしょうか。
こちらも法律上の定義から見ていくと、「特定の事業を行う場合」に「一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある」経理のことだと説明されています。ただ、やはりこれも少々わかりづらい部分があるかもしれません。
ここでのポイントは、一般会計から切り離して独立して行われる経理だという点です。
本来、国や地方公共団体の会計は、単一の会計で処理することが原則となっています。ところが、一般の家庭や企業の経理とは違って、国や地方公共団体では扱う事業の規模も金額も「莫大」で「複雑」です。
そこで、お金の流れを明確にして管理しやすくするために、特定事業については個別の会計が認められているというわけです。
特別会計にあたるのは?
2015年度現在、国の特別会計には次の14種類があり、その総額は約400兆円にのぼります。
総務省・内閣府管轄
・交付税及び譲与税配布特別会計
財務省管轄
・地震再保険特別会計
・外国為替資金特別会計
・財政投融資特別会計
・国債整理基金特別会計
厚生労働省管轄
・労働保険特別会計
・年金特別会計
農林水産省管轄
・国有林野事業債務管理特別会計
・食料安定供給特別会計
経済産業省管轄
・貿易再保険特別会計
・特許特別会計
国土交通省管轄
・自動車安全特別会計
経済産業省・環境省・文部科学省管轄
・エネルギー対策特別会計
復興庁管轄
・東日本大震災復興特別会計
これらの予算の財布のひもは、それぞれの所轄省庁が握っています。
特別会計は何に使われているの?
特別会計はもともと特定事業のための予算ですので、原則的にはその事業に関連してのみ使われることになります。
たとえば自動車安全特別会計であれば道路整備に利用されますし、エネルギー対策特別会計であれば産油国への協力費や天然ガスの開発などに充てられています。最も新しいところでは東日本大震災復興特別会計があり、こちらは文字どおり復興を進めるための予算となっています。
反対にいうと、特別会計は決まった用途にしか使えないということでもあります。一般会計ではその年の状況によって予算を柔軟に配分することができますが、特別会計の場合は「あっちの予算が足りないから回してあげよう」という使い方はできません。
まとめ
日本の歳入の約3割~4割が国債発行による収入でまかなわれています。そして2017年現在において、借金は実に1,080兆円にまで達しています。
税金は国民が納めているものです。「難しくてよくわからない」と避けるのではなく、何に対してどのように使われているのか、しっかりと目を光らせておくことが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
地域未来投資促進税制とは?メリットや適用要件、申請手順をわかりやすく解説
地域未来投資促進税制とは、地域未来投資促進法に基づいて導入された税の優遇制度です。地域の強み・特性を活かした事業への投資を促進し、地域経済を活性化させる目的で創設されました。「地域経済牽引事業計画」を作成し、要件に該当することで適用されます…
詳しくみる変動対価とは?具体例や算定方法をわかりやすく解説
値引きやリベート、ペナルティなどが絡む取引では、最終的な取引価格が変動する可能性があるため、どのような会計処理をすればよいのか頭を悩ませる方もいるでしょう。こうした状況で重要になるのが「変動対価」という概念です。 この記事では、新収益認識基…
詳しくみる請求代行サービスとは?業務範囲やメリット・デメリット、選び方を解説
自社の業務効率化のために、請求代行サービスの利用を検討することもあるでしょう。請求代行サービスは、請求書の発行だけでなく、与信管理や督促業務まで幅広いサービスを代行するサービスです。 この記事では、請求代行サービスで利用できる業務や、利用す…
詳しくみるIT導入補助金とは?補助対象や申請方法を解説
IT導入補助金とは、中小企業等を対象として、業務効率化、DX化のために必要となるソフトウェアやITサービスなどの導入費用の一部を補助する制度です。経済産業省などによる国の制度であるため安心して利用できます。2024年においても引き続き申請が…
詳しくみる軽減税率に向けた「業種別の影響と対応」 飲食や小売はどうなる?
2019年10月1日の消費税増税とあわせて始まる軽減税率。高齢社会の中で消費税の引き上げがやむを得ない一方、引き上げによって生活が著しく困窮することないよう一部は消費税8%に据え置かれます。 生活の影響についてはある程度は想像しやすいですが…
詳しくみる「e-Gov」って何?その全容と活用法を知っておこう!
e-Gov(イーガブ「電子政府の総合窓口」)とは、政府が運営する行政情報のポータルサイトをいいます。 このe-Govを使えば、オンライン上で行政手続きを行うことができたり、政府の試みなどの情報を簡単に共有・活用することができます。私たちの政…
詳しくみる