- 更新日 : 2025年4月23日
メガネ代は経費にできる?仕訳と勘定科目の解説
経費に計上できる支出の判断基準は、業務に必要な支出であることです。メガネがなければ仕事ができない人にとって、メガネ代を経費にできるかは気になるのではないでしょうか。
本記事では、メガネ代が経費にできるケースとできないケースについて解説します。具体的な仕訳例や勘定科目、医療費控除の対象になるかも解説するため参考にしてください。
メガネ代は経費にできる?
メガネ代は原則として経費にすることはできません。メガネは日常生活でも利用する道具であるため、ほとんどのケースにおいて業務を行うために購入したものとはいえないからです。
ただし、購入したメガネが業務上なくてはならないものであり、業務のために購入したと認められる場合は、メガネ代を経費として計上できます。
経費にできるケース
メガネの使用が業務上必要不可欠である場合は、メガネの代金を経費として計上できる可能性があります。
工事現場や工場などにおいて、作業中に発生する飛来物や粉塵などを防止する目的で保護メガネを購入した場合は、経費にできる可能性が高いといえます。
これらのメガネは日常生活で使用することがないため、業務上必要であると判断できるためです。最近ではPCモニターから発せられるブルーライトの健康被害が広く世に知られるようになったことで、ブルーライトをカットできるメガネ代の経費計上を、使用状況に応じて認める傾向がみられます。
また、職場でメガネの装用が義務付けられている場合も、制服と同様の扱いでメガネ代を経費に計上できます。メガネの販売店やメガネカフェ(コンセプトカフェ)など、視力矯正の必要がない人でもメガネの着用が義務付けられているからです。
ただし、日常生活でもメガネを装用している個人事業主は、メガネ代を全額経費計上することはできないと考えておいたほうがいいでしょう。もし経費に計上する場合は、日常生活と業務時間での使用時間を按分して、購入費用の一部を経費に計上することをおすすめします。
メガネを経費にする場合の仕訳と勘定科目
メガネを経費にする場合は「消耗品費」の勘定科目により仕訳を行います。具体的な仕訳例は以下のとおりです。
(例)危険物から目を保護する目的で、保護用メガネを購入した。購入代金10,000円は現金で支払った。
メガネ代の金額を問わず、一般的には消耗品費勘定が使用されます。ただし、前述のとおり業務に必要なメガネの代金しか経費として計上できません。必要以上に高価なフレームや装飾の代金は経費にできない点は注意しましょう。また、メガネが本当に業務に必要であるという説明を求められる場合がありますので、メガネと業務の関連性を明確にしておきましょう。
メガネの購入費用で医療費控除を受ける場合
原則としてメガネの購入費用は医療費控除の対象とはなりません。一般的にメガネは近視や遠視を矯正するために使用するものであり、治療を目的として使用するものではないからです。
しかし、医師の治療を受けるために直接必要な場合は、メガネの購入費用も医療費控除の対象となります。ここでいう治療とは、視機能が未発達な子どもの視力の発育を促す場合や、白内障の患者が視機能回復のために一定期間装用するような場合のことです。
医師による治療を必要とする症状は弱視や斜視、白内障など、一定の症状に限られています。さらには医師の治療が実際に行われていることを証明するため、所定の処方せんに疾病名と治療が必要な症状を記載することが求められています。
なお、治療のために購入するメガネのフレームについては、特別な装飾が施されているものや高価なものは認められていません。一般的に使用されているプラスチックやチタンなどの材料であることが求められているため、購入する際は注意しましょう。
メガネ代は原則として経費にできない
メガネ代を経費に計上したい場合は、購入したメガネを日常生活で使用していないことを証明する必要があります。職場でしか使わないブルーライトカットメガネや、危険物などを防止する目的で購入したメガネ代については業務に要した費用といえるため、購入費用の一部または全額を経費に計上できる可能性があります。
自身が購入したメガネ代が経費にできるかどうかや、メガネ以外に経費にできるか気になる購入品がある場合は、税理士等の専門家へ相談することをおすすめします。
よくある質問
メガネ代は経費にできる?
メガネ代は原則として経費にできません。視力の補正を目的としたメガネは、日常生活でも利用するものだからです。ただし、店舗でメガネの装用が義務付けられている場合は経費にできる場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
メガネ代を仕訳するポイントは?
メガネを経費に計上する場合は「消耗品費」の勘定科目を用いて仕訳を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
外注費と給与の判定は契約書があれば大丈夫?税務調査のポイントを解説
外注費と給与は、契約書が違うから大丈夫、と思っていませんか?契約書で「業務委託」と書かれていても、働き方の実態によっては「給与」と判断される場合があります。税務調査では外注費と給与の区別が重要なチェックポイントです。判断を誤ると追徴課税など…
詳しくみるクラウドファンディングの仕訳とは?タイプ別の消費税の扱いや会計処理を解説
新しい資金調達の方法として注目を集めているクラウドファンディングは、個人や企業がアイデアやプロジェクトを実現するために、多くの人から資金を集める仕組みです。資金を受け取った際の会計処理や仕訳(しわけ)は、どのようにすればよいのでしょうか。こ…
詳しくみる架空外注費とは?不適切なケースや税務署の視点、ペナルティ、防止策を解説
外注費は、業務の一部を社外に委託した際に発生する経費です。しかし、存在しない取引を装って外注費を計上する「架空外注費」は、税務上の重大な問題となります。うっかりミスだけでなく、意図的に処理を誤ることで、追徴課税や重加算税などの大きなペナルテ…
詳しくみるドメインの取得費、更新料、サーバーレンタル代を仕訳する際の勘定科目
多くの事業を展開する際に不可欠になるドメイン代やサーバー代ですが、その取得にかかる費用や更新料は、帳簿上で何らかの勘定科目として仕訳をしなければなりません。 自社で一度決めた勘定科目は永続的に利用することが基本となるため、業務内容や企業の特…
詳しくみる消耗品費とは?雑費との違い・使い分けや仕訳例を解説
消耗品費と雑費の違いをご存じでしょうか。 実は、それぞれの科目には明確な定義や区別がないため、使い分けようとすると感覚的な判断になりがちです。 そこでこの記事では、消耗品費と雑費の使い分け方や、迷わないコツを解説していきます。 2つの違いを…
詳しくみる事業譲渡の売り手、買い手の仕訳方法とは?のれんが発生する場合も解説
事業承継やM&Aの手法として注目される事業譲渡は、会社の事業の一部または全部を他の会社に譲渡するものです。この取引を適切に会計処理し、財務諸表に記録するためには、売り手企業と買い手企業それぞれが、事業譲渡における仕訳を正確に行う必要…
詳しくみる