- 更新日 : 2024年8月8日
木造の耐用年数や減価償却費計算を詳しく解説
木造物件を購入した場合は、法定耐用年数に応じて減価償却が必要です。本記事では、木造の法定耐用年数や減価償却費の計算方法について詳しく解説します。減価償却の基礎知識についても紹介しているので、ぜひご確認ください。
減価償却とは
減価償却とは、建物や機械装置といった固定資産の購入費用を一定期間に渡って費用計上する会計処理のことです。減価償却できるのは時間の経過とともに価値が減少する資産(減価償却資産)のみで、基本的には一度に経費として計上することはありません。
例えば、200万円で自動車を購入した場合、一括で経費として計上するのではなく、何年かに分割して減価償却する仕組みです。
土地や美術品のように時間が経過しても価値が減少しないものは減価償却資産には当てはまらない点に注意しましょう。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
木造の減価償却では「法定耐用年数」がポイント
木造の法定耐用年数は、建物の使用目的によって以下のように分類されます。
- 事務所用:24年
- 店舗用・住宅用:22年
- 飲食店用:20年
- 旅館用・ホテル用:17年
- 工事用・倉庫用(一般用):15年
所有する木造建物の使用目的によって法定耐用年数が変わるため、減価償却する際は事前に確認しておきましょう。
なお、木造建物の償却方法は旧定額法または定額法のみで算出される点に注意が必要です。
木造の居住用建物の減価償却費の計算と仕訳例
居住用建物とは、賃貸アパートや賃貸マンションとして貸し出している建物が該当します。自分が住むための居住用建物は、通常は減価償却の対象となりません。
居住用建物は、以下の計算式を用いて減価償却費を算出します。
木造の居住用建物の法定耐用年数は22年なので、償却率は0.046です。例えば、木造アパートを1,000万円で購入した場合の減価償却費は以下のとおりです。
なお、減価償却を仕訳すると以下のようになります。
直接法(固定資産から減価償却費を直接差し引く方法)
減価償却 1年目/22年 |
間接法(減価償却累計額を計上し、これまでの減価償却費の合計を表す方法)
減価償却 1年目/22年 |
参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
減価償却資産の償却率等表|国税庁
木造の業務用建物の減価償却費の計算と仕訳例
業務用建物には、事務所用・店舗用・飲食店用などが該当します。先述したとおり、業務用建物は同じ木造建物であっても用途によって法定耐用年数が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
業務用建物は、以下の計算式で減価償却費が算出されます。
例えば、事務所用として木造建物1,000万円を購入した場合、法定耐用年数は24年になるので償却率は0.042です。
なお、減価償却を仕訳すると以下のとおりです。
直接法(固定資産から減価償却費を直接差し引く方法)
減価償却 1年目/24年 |
間接法(減価償却累計額を計上し、これまでの合計を表す方法)
減価償却 1年目/24年 |
参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
減価償却資産の償却率等表|国税庁
木造の減価償却費を計算しよう
減価償却とは、時間の経過とともに価値が減少する資産に対して行われる会計処理のことです。木造の建築物は減価償却資産に該当するため、減価償却できます。
また、木造の減価償却費を計算する場合、建物の使用目的に応じて法定耐用年数が異なる点に注意しましょう。減価償却費を計算する際に、法定耐用年数を確認しておくことでスムーズに計算できます。
よくある質問
減価償却とは?
減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する資産に対して、購入金額とその耐用年数に応じて費用計上を行う会計処理のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
木造の減価償却の計算方法は?
居住用建物・業務用建物ともに、「建物購入金額×償却率」で算出できます。なお、建物の使用目的によって法定耐用年数が異なる点に注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
コンテナの耐用年数と減価償却費計算を解説
荷物を運搬する用に使用されていたコンテナも、運搬だけでなく、さまざまな用途で使用されるようになってきました。活用事例のひとつとして近年増えているのが、レンタルルームや倉庫としての利用です。 一般的に、コンテナの取得価額は高額になることが多い…
詳しくみる固定資産回転率とは?計算式や目安・業界平均、低い場合の対応方法も解説
固定資産回転率とは、固定資産が売上高を生み出す効率性を示す指標のことです。数値が大きいほど少ない固定資産で高い売上を生み出していることを表し、数値が小さい場合は固定資産に対して売上が少なく、活用されていない遊休資産が多い可能性があります。 …
詳しくみる固定資産税(償却資産)の減価償却を正しく理解していますか?減価償却の国税と地方税の違いとは
10万円以上の資産を購入すると、減価償却により購入価額を期間按分します。 ただし、国税(法人税等)と地方税(固定資産税)では償却額に差が生じることをご存知でしたか? 今回は、それぞれの計算方法や償却方法について、解説していきます。 固定資産…
詳しくみる一括償却資産はなぜ償却資産税の対象外?固定資産台帳に載せない理由も解説
一括償却資産は、償却資産税の対象外です。この記事を読めば、「一括償却資産はなぜ償却資産税の対象外?」「一括償却資産の仕訳がわからない」という悩みを解決できます。 本記事で、一括償却資産の概要や、償却資産税の仕組み等について確認していきましょ…
詳しくみる【2025年実施】新リース会計基準の影響と企業の対応は?調査結果から見る実態と対策について
2027年に施行される新リース会計基準は、企業の財務報告に大きな影響を与えることが予想されます。マネーフォワードでは、新リース会計基準に関わる部門で働く会社員の方を対象に「新リース会計基準に関する調査」を実施しました。 本記事では、調査結果…
詳しくみる減価償却が必要なのはいくらから?10万、20万、30万の基準を解説
減価償却が必要かどうかについては、資産の取得価額によって変わります。10万円以上であれば原則として減価償却を行いますが、20万円未満の場合は一括償却資産、30万円未満は少額減価償却資産の特例が適用されることはあります。 本記事では、減価償却…
詳しくみる