- 更新日 : 2025年4月23日
〇億円超えは当たり前!? すごい収益力「夏の甲子園」の税事情に迫る
第100回の記念大会である夏の甲子園が、8月21日に大阪桐蔭(北大阪)の2回目の春夏連覇で感動のフィナーレを迎えました。特に今年は異常気象とも言える酷暑の中、悲願達成へ東北勢の期待を一身に集めた金足農業(秋田)をはじめ数多くの熱戦が繰り広げられましたね。時に前近代的とも揶揄される運営ですが、今回は興奮冷めやらぬ高校野球の「税事情」に迫ってみましょう。(執者:公認会計士・税理士 國井隆)
高野連は法人税を課されているの?

ご存知の方も多いと思いますが、夏の甲子園は、通称「高野連」と呼ばれる公益財団法人日本高等学校野球連盟と朝日新聞が主催しています。春の選抜大会は高野連と毎日新聞が共催しています。春の選抜大会の収支は毎日新聞が社告として掲載し、夏の選手権大会は朝日新聞が公表しています。
年間を通じては、高野連が決算報告書を公開しています。平成30年2月期の「正味財産増減計算書(一般企業でいう損益計算書に相当)」と「正味財産増減計算書内訳表」を見ると、選手権大会及び選抜大会は「公益目的事業会計」に含まれています。
甲子園は入場料を取っているので法人税上の興行業に該当しそうですが、公益財団法人及び公益社団法人は法人税法上の収益事業に該当する事業であっても、その事業が公益目的事業と認定されている場合には、法人税は課税されないことになっています(法人税法施行令5②一)。
高野連は法人税法上の収益事業(大会記念品製作・販売などで、事業収益は4,000万円程度)もありますので、この収益区分会計の部分には法人税が課税されることになります。
余談ですが、高野連の決算期は2月になっていますが、これは春の選抜大会の決勝戦が4月にずれ込んでしまうことも多く、3月決算だと選抜大会が決算日をまたいで開催されてしまうことへの配慮だと思います。
インターハイと比べても歴然! 甲子園のすごい収益力
高野連の平成30年2月期の決算報告書では、入場料収入は7億1,598万円となっており、うち平成29年春の選抜は約2億7,000万円、平成29年夏の甲子園は4億4,000万円の入場料収入(有料・無料の合計入場者数は82万7,000人)となっています。
放映権収入は計上されていませんので、収入の85%超が入場料収益となっています。これに対し野球以外のほとんどの高校スポーツの最大競技イベントであるインターハイ(全国高等学校総合体育大会)を主催する公益財団法人全国高等学校体育連盟の決算書には入場料収入はなく、事業収益も1億7,471万円に過ぎないことから、甲子園はいかに秀逸なコンテンツだとわかりますね。
それも甲子園はNHKで全試合生放送ですので、経済効果は計り知れないものです。なお、今年から夏の甲子園は外野も有料化が始まりました。この収益の一部は高野連、毎日新聞、朝日新聞で構成される「高校野球200年構想協議会」が目指している小中学生の野球離れの防止についての財源とするようですが、甲子園という最大のコンテンツをどう生かしていくか注目されるところです。
寄付金控除になるケースはあまりない?

今年の100回記念大会は、出場校は56校と最大で、初出場は6校でしたね。35年ぶりの出場の高校もあり、自分の母校が甲子園出場となれば寄付をすることもあるでしょう。
公立高校であれば各都道府県、私立学校であれば学校法人自体に寄付をすれば寄付金の税額控除等の可能性もありますが、夏の予選は出場決定から甲子園での試合までの時間が短いので、実際にはPTAや後援会などが寄付を募っているケースが多く、寄付金控除の恩典にあずかるケースもそれほど多くはないでしょう。
また、初出場のチームが1回戦で負けてしまうと、集めたお金が余ってしまい結局後輩のためにピッチングマシンが増えたなんて話も耳にしますね。
なお、インターハイは入場料収入に頼れないため、協賛金収入を受けることも多いのですが、大阪国税局の事前文書照会で、「平成27年度インターハイ(大阪開催)において協賛者が支出する費用(プログラム協賛広告)の税務上の取扱いについて」が公表されており、プログラム協賛広告については広告宣伝費として処理して差し支えないとなっています。
坊主頭、女性、サイレン、行進は?
高校野球といえば、坊主頭のイメージですが、慶應義塾高(北神奈川)や旭川大高(北北海道)、土浦日大高(茨城)は坊主頭ではない学校でしたね。
もちろん、大会要項に坊主頭の規定はありませんので各高校次第ですが、ほとんどの高校の野球部はまだ坊主頭ですね。
また白山高校(三重)の女性部長がバッターボックスに立ちスイングして高野連から注意を受けていましたね。女性だからということではなく背番号がないためと説明されていましたが、1996年から女子マネージャーがベンチ入りを許されてからも何かと女性と甲子園は話題になりますね。
この他にも、昔から変わらないサイレンの音や入場行進を含めた「甲子園」は、夏の風物詩であるとともに時代錯誤ではないかという議論にもなっています。日本大学アメフト部問題やボクシング連盟などの暗いニュースもあるスポーツ業界ですが、タイブレーク制の導入などの新しいスタイルも取り入れ始めている高校野球には、新しい風とともに来年も感動を運んできてほしいと願っています。
【参考】
■公益財団法人日本高等学校野球連盟 決算書
http://www.jhbf.or.jp/summary/ir/
■公益財団法人全国高等学校体育連盟
http://www.zen-koutairen.com/f_discrosure.html
■国税庁文書回答事例
平成27年度インターハイ(大阪開催)において協賛者が支出する費用(プログラム協賛広告)の税務上の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/bunshokaito/shohi/140811/index.htm
國井隆会計士の記事一覧
■2018年7月23日掲載:
FIFAの商業主義もハンパない? W杯試合で「レッドブル」飲み罰金
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