- 更新日 : 2024年9月6日
入金管理はシステムで効率化しよう!エクセルとの違いや導入方法、選び方を解説
入金管理システムは、企業の財務業務を大幅に効率化するための強力なツールです。従来のエクセル管理と比較して、自動化やミスの軽減、セキュリティ強化など数多くのメリットがあります。本記事では、入金管理の基本からエクセルとの違い、システム導入方法や選び方までを詳しく解説します。今後の業務改善にお役立てください。
■入金管理に関するテンプレート
目次
入金管理とは?
入金管理は、企業の資金繰りを健全に保つための重要な業務です。具体的には、取引先に請求した金額が入金予定日までに支払われたかを確認します。
この業務には、請求書と入金履歴の照合や、万が一入金が確認できない場合の取引先への連絡が含まれます。売上に関する請求漏れは企業の存続を脅かす重大な問題になり得るため、入金管理は正確でなければなりません。適切な入金管理を心がけ、企業の財務基盤を支えましょう。
入金の確認
入金管理の主要な業務は、請求に対する入金確認です。この作業を効率的に行うために、以下の3つのステップを踏みます。
- 請求情報の事前整理
入金予定日や取引先、予定額などを整理しておく - 入金予定日のチェック
予定日に銀行口座を確認し、予定通りの入金があったかどうかを確認
- 請求書と入金履歴の照合
管理している請求書の記録と銀行口座の入金履歴を照らし合わせる
これらのステップを確実に実行することにより、正確な入金確認が可能です。
入金の消込
入金消込とは、入金を確認した後、どの請求に対する入金かを特定し、帳簿上で売掛金と相殺させる作業のことです。
例えば、請求時に「売掛金」を借方に、「売上」を貸方に計上します。その後、入金が確認できれば、借方の「売掛金」を「現金」または「預金」に変更し、貸方を「売掛金」として処理を完了します。
ただし、取引先が増加すると、入金消込の処理は複雑化し、ミスも発生しやすくなるため注意が必要です。
さらに、この処理では、以下の点に注意が必要です。
- 複雑な入金パターンへの対応
- 業務の属人化
特に、請求先と入金元の不一致や分割入金など、複雑なケースでは慎重な判断が求められます。また、取引先ごとの「クセ」を理解することも重要です。
これらの課題に対応するため、マニュアル整備やシステム化を進めることが効果的でしょう。適切な入金消込は、正確な財務管理の基礎になります。経理担当者は、その重要性を認識し、慎重に作業を進める必要があります。
未入金の催促
未入金の催促は、入金期日を過ぎても入金が確認できない場合に行います。未入金の状態が発覚した場合には、速やかに電話やメール、郵便で相手に催促を行いましょう。
ただし、誤った催促は信用を損なうリスクがあるため、事前の確認作業を正確に行うことが重要です。また、営業担当者と連携して催促を行うことで、より効果的に未入金の対応を進められます。迅速な対応を心がけましょう。
入金予定の管理
入金予定の管理は、請求情報を整理し、各取引先からの入金がいつ、いくら予定されているかを把握することが重要です。入金予定日を正確に設定することで、キャッシュ・フローの見通しが立ち、経営の安定にも寄与します。
また、受注入金管理表を活用すると、掛け売りなどで入金までに時間がかかる場合でも予定を一目で確認できるため、効率的な管理が可能です。適切な管理で資金繰りを改善しましょう。
入金管理にかかわる課題や問題点
入金管理にかかわる主な課題や問題点は、次の5点です。
- 入金消込の煩雑さ
- 消込の自動化の難しさ
- 未入金発生時の対応
- 人材不足と属人化
- ヒューマンエラーのリスク
以下で、それぞれについて解説します。
入金消込の煩雑さ
多くの企業が頭を悩ませるのが、入金消込業務の煩雑さです。顧客や取引先が増加するにつれて、入金消込の作業量は膨大になり、担当者の大きな負担になりがちです。この作業に時間が取られることで、本来集中すべき業務の効率が低下してしまう可能性も考えられます。
手作業での消込は、ヒューマンエラーのリスクもはらんでいます。誤った消込処理をしてしまうと、後の修正作業がさらに負担を増やすことにつながりかねません。効率性と正確性の両面から、入金消込業務の負担軽減が急務といえるでしょう。
消込の自動化の難しさ
多くの企業が、入金消込業務の効率化のために自動化を検討します。しかし、実際には完全に自動化するのが難しいという側面も持ち合わせています。
例えば、請求書に記載した請求名義と、実際の振込名義が異なるケースは少なくありません。振込名義がカタカナ表記であることも、自動化を阻む要因の一つといえるでしょう。
また、複数の請求をまとめて一回で入金される場合や、請求金額と入金額が一致しないケースなどシステムでは判断が難しいケースへの対応も必要です。これらの要因が、入金消込の自動化を複雑にしているといえるでしょう。
未入金発生時の対応
顧客からの入金が期日までに確認できない場合、企業は未入金への対応を迫られます。未入金が発生すると、翌月以降に繰越請求を行う必要が生じます。
繰越請求では、前月までの未入金額と当月の請求金額を明確に区分し、請求書を作成しなければなりません。また、未入金の発生原因を突き止め顧客に連絡を取り、入金遅延の理由を確認する作業も伴い負担が増加します。
人材不足と属人化
多くの企業で、経理部門は人材不足の傾向にあります。業務の専門性が高く、経験豊富な人材が求められる一方で、他部署からの異動も容易ではありません。
限られた人員で業務を回さなければならないため、特定の担当者に業務が集中し、属人化しやすい状況に陥りがちです。担当者が不在になった場合、業務が滞ってしまうリスクも考えられます。
また、属人化は、業務のブラックボックス化にもつながり、不正リスクの増加も懸念されます。人材不足と属人化は、企業にとって早急な解決が求められる課題といえるでしょう。
ヒューマンエラーのリスク
入金管理において、ヒューマンエラーは重大なリスクです。目視や手作業での消込作業は、ミスの発生を避けられません。
例えば、未回収の売掛金を誤って消込してしまうことや、入金済みであるのに消込漏れによる二重請求が発生する可能性もあります。これらのエラーが発生した場合、取引先との信頼関係に影響を与え、修正作業にも多大な時間と労力がかかります。
入金管理をエクセル(Excel)で管理するメリット
Excelで入金管理を行うメリットは、多岐にわたります。まず、Excelはほとんどの企業で標準的に導入されており、新たなコストをかけずに使用可能です。
また、柔軟なカスタマイズができ、企業の特定ニーズに応じた管理表の作成や、関数やマクロを活用した業務の自動化も実現します。さらに、他の社員や部署とデータ共有が容易で、クラウドを活用すればリアルタイムでのデータ更新や共同編集も可能です。
帳簿・売掛金管理の無料テンプレート(エクセル)一覧
Excelを使った入金管理には、多くの無料テンプレートが利用可能です。
これにより、帳簿や売掛金管理を簡便に行えます。インターネット上で提供されている豊富なテンプレートを活用すれば、企業ごとのニーズに応じた管理が可能です。また、これらのテンプレートは即時に導入ができ、コスト削減や業務効率化に貢献します。手軽に導入できる点も、Excelを活用する大きなメリットです。
下記のサイトでは、エクセルのテンプレートをダウンロードできるため、利用してみてください。
入金管理をシステムで管理するメリット
入金管理をシステムで管理する主なメリットは、次の5つです。
- 入金消込が自動でできる
- 入金状況をリアルタイムで把握できる
- 作業時間が大幅に短縮できる
- 人的ミスが軽減できる
- セキュリティを強化できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
入金消込が自動でできる
入金消込の自動化は、業務効率を大幅に向上させます。従来の手作業では、支店や拠点ごとに多くの人的・時間的リソースを要していました。しかし、システム導入により、この負担が軽減されます。
特に経理と営業部門の情報共有が円滑になり、請求情報と売掛金管理台帳の突き合わせが不要です。また、月末に集中しがちだった作業を分散でき、リソースの有効活用につながります。
入金状況をリアルタイムで把握できる
従来の入金管理では、入金状況を把握するために、経理担当者は銀行口座や帳簿と照らし合わせる必要がありました。そのため、タイムラグが発生し、新規の入金状況をリアルタイムで把握することが困難でした。
しかし、入金管理システムを導入すれば、入金データはシステムに自動的に取り込まれ、リアルタイムに更新されます。
そのため、常に新しい入金状況を把握でき、資金繰りの精度向上に役立ちます。さらに、未入金が発生した場合でも、迅速に気づけるため素早い対応が可能になるでしょう。
作業時間が大幅に短縮できる
入金管理をシステム化すると、作業時間を大幅に短縮できます。システムが自動で請求と入金記録を照合し、消込処理を行うため、人手による作業時間の削減が可能です。
また、営業担当者は入金の確認作業から解放され、本来の営業活動に集中できます。さらに、システムは大量のデータを高速で処理できるため、人手では困難な件数も短時間で処理が可能です。
人的ミスが軽減できる
システムで入金管理を行うと、作業時間の大幅な短縮と人的ミスの軽減が期待できます。自動化により、データの見間違いや入力ミスを防止するため、業務の正確性が向上します。
また、業務が標準化され、属人化が解消されるため、担当者の異動や休暇時でもスムーズな引継ぎが可能です。これにより、業務の効率と品質が大幅に向上します。
セキュリティを強化できる
入金管理をシステムで行うと、セキュリティを強化できます。システムは、取引先の顧客情報を保護するために強固なセキュリティ体制を備えており、不正アクセスや情報漏えいリスクの低減が可能です。
また、管理画面を細かくカスタマイズすることで、必要なデータのみを閲覧・編集できるように設定できるため、特定の担当者以外が不要な情報にアクセスすることを防止できます。
入金管理システム・アプリの選び方
入金管理システムやアプリを選ぶ際には、まず導入目的と必要な機能を明確にすることが重要です。企業の規模や用途に合ったシステムを選び、不要な機能によるコスト増を避けるようにしましょう。
また、既存の会計ソフトや顧客管理ソフトとの連携が可能かどうか確認することも必要です。さらに、請求書発行や債権管理などの付帯業務の効率化や、さまざまな決済手段への対応も考慮して選定しましょう。
効率的な入金管理で業務を改善しよう
入金管理システムの導入は、企業の経理業務を大幅に効率化する有効な手段です。エクセル管理と比較して、自動消込や作業時間の短縮、人的ミスの軽減、セキュリティ強化など多くのメリットがあります。
システム選びの際は、自社の業務に合った機能や使いやすさを重視しましょう。適切なシステムを導入することで、入金管理の煩雑さや属人化の問題を解決し、生産性の向上につながります。効率的な入金管理で、企業の業務改善を実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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