- 更新日 : 2024年8月30日
エクセルで消込作業を効率化する方法!メリット・デメリットも
入金消込とは、売掛金の入金が行われた際に対応する取引の売掛金を消して、売上に書き換えを行う作業です。手動でも実施可能ですが、取引量によっては時間と手間を要するため、効率化・自動化したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エクセルで入金消込を行う際に必要な関数の使い方や、マクロを使った自動化の方法を解説します。
目次
入金消込作業をエクセルで効率化する方法
入金消込は、エクセルの「関数」「マクロ」などを活用することで効率化や自動化が可能となります。その他に、無料配布されているエクセルのテンプレートを活用する方法もあります。
無料配布のテンプレートを活用する
エクセルを活用して入金消込作業をする場合、まず入金管理表が必要です。この入金管理表は、行っている事業内容によって必要になる項目が異なります。そのためゼロから入金管理表を作成するのは手間がかかります。その際に有用なのが、無料配布のテンプレートです。
必要な要素を揃えているテンプレートを選択すれば、入金日や金額などを入力するだけで入金管理ができます。テンプレートをそのまま活用したり、必要に応じてカスタマイズしたりすることで、入金消込作業を効率化できるでしょう。
例えば、自社の取引形態に合わせて列を追加する、計算式を調整するなどすれば、より使いやすい入金管理表に仕上げることができます。
マクロで自動化する
入金消込作業でよく使われる、「未入金のみの表示」と「全表示」の切り替えをマクロによって自動化する方法を解説します。
1.リボンの設定
エクセルのオプションで、リボンのユーザー設定の「開発」にチェックを入れます。
2.フィルターの設定
データ範囲を選択してフィルターをかけます。
3.ボタンの設置
開発タブからフォームコントロールのボタンを2つ設置し、「未入金」と「全表示」と名前を設定してください。
4.マクロの記録
マクロの記録をクリックし、名前を「未入金」と設定します。入金日のフィルターを空白のセルのみにして、マクロの記録を終了してください。続いて、同様に「全表示」のマクロの記録を開始し、入金日のフィルターをすべて選択してマクロの記録を終了します。
5.マクロの登録
最後にボタンに記録したマクロを登録します。設置したボタンを右クリックして、マクロの登録をクリックしてください。
その後、開くウィンドウでボタンに対応するマクロを選択してOKを押すことで、ボタンにマクロを登録できます。それぞれのボタンに、対応するマクロを設定してください。
以上の手順で、マクロを使った未入金表示と全表示の切り替えの自動化設定ができました。
関数を組んで自動化する
関数を組むことで入金消込作業を自動化できます。よく活用される関数は以下の3つです。
1.「SUM関数/SUMIF関数」
SUM関数は、指定した範囲の数値を合計する関数です。SUMIF関数の場合は、条件を満たす数値の合計を計算できます。
書式は「=SUM(範囲)」、または「=SUMIF(範囲,検索条件,合計範囲)」です。
画像では、合計金額が自動で入力されます。また入金済みには日付が入った金額のみ計算され、未入金は日付が入っていない金額のみが計算されます。
2.「VLOOKUP関数」
指定した範囲から縦方向に検索し、対応する列の値を取り出す関数です。
書式は「=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索方法)」です。
画像ではH3に取引先コードを入力すると、横にその行のほかのデータが自動で入力されます。
3.「IF関数/COUNTIF関数」
IF関数は、条件を満たす場合に特定の値を表示し、満たさない場合には別の値を表示する関数です。COUNTIF関数は、指定条件に一致するセルの個数を返します。
書式は「=IF(条件,真の場合の値,偽の場合の値)」または「=COUNTIF(範囲, 検索条件)」です。
画像では、E列がH列に記録された名前と連動し、入金確認のE列に自動で〇が入力されます。
エクセルで入金消込を管理するメリット
エクセルで入金消込を管理する主なメリットは、低コストで管理できる点と管理方法をカスタマイズできる点です。エクセルさえあれば、低コストで管理できるため、取引数があまり多くない場合には特におすすめの方法と言えるでしょう。
低コストで管理ができる
エクセルは多くの企業に普及しているツールで、エクセルさえあれば、コストをかけずに 管理が行える点がメリットです。
エクセルの機能を活用することによって、膨大なデータでも効率よく低コストで管理できます。
管理しやすい方法にカスタマイズすることができる
エクセルでの管理は、関数によって範囲の絞り込みや条件式の設定が行えます。ニーズに応じた管理方法を構築することで、それぞれが管理しやすい方法にカスタマイズできる点がメリットです。エクセルはデータ処理が得意なため、必要なデータのみ抽出することで、ほかの用途にデータを活用できます。
エクセルで入金消込を管理するデメリット
エクセルで入金消込を管理する主なデメリットは、エクセルの管理が属人化してしまう点と自動化に関数やマクロの知識が必要になる点です。
エクセルの管理が属人化してしまう
エクセルで入金消込を管理すると、そのエクセルの管理が属人化してしまう可能性があります。属人化とは特定の社員が担当している業務の詳細について、当人以外では分からなくなる状態のことです。属人化を防ぐには、業務のフローの作成やノウハウ・ルールの共有などを行うとよいでしょう。
自動化するために関数やマクロの知識が必要
エクセルによって入金消込を自動化する場合、関数やマクロといった知識が必要になる点がデメリットです。普段からエクセルで関数やマクロを活用している人であれば、そこまで悩まずに活用できるかもしれませんが、普段あまり関数やマクロを活用していない人には難易度が高い作業となります。
専用システムの導入で自動化を検討しよう
エクセルでの入金消込の管理は、低コストでカスタマイズしやすい一方、属人化するリスクがあるうえに、専門知識が必要です。そこで、ここではエクセルを使用する以外の方法を紹介します。
クラウド会計システムを導入する
クラウド会計システムを導入すると、入金消込を自動化できます。多くの決済手段や決済代行サービスと提携しており、様々な決済データを集約できるのもメリットです。外部ソフトやサービスと連携できるシステムもあり、顧客データを管理しやすくなるでしょう。
入金消込自動化サービスを導入する
入金消込自動化サービスは、売掛金と入金のデータを自動で照合し、入金消込を行うサービスです。既存の会計システムと連動できるものや、請求業務そのものをカバーするものなど様々なサービスがあります。そのため、それぞれの目的に合ったサービスを選びやすい点がメリットです。
決済代行サービスを導入する
決済代行サービスは、様々な決済を代わりに行うサービスです。決済代行サービスを導入するメリットは、入金の確認が不要になる点です。自動化のみならず、クレジットカードやコンビニ支払など様々な決済方法に対応できる点もメリットでしょう。
エクセルなら低コストで入金消込を効率化・自動化できる
エクセルを活用すると、低コストで入金消込作業を効率化できます。取引数が少ないうちは、関数やマクロを活用した入金消込作業がおすすめです。しかし、取引数が増えてくると、管理に手間や時間がかかってしまいます。そのような場合は、専用システムの導入を検討するとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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