- 更新日 : 2025年4月23日
「親身な税理士」を見極めるポイント。報酬の安さで決めるのはハイリスク
確定申告を依頼したい方、税金で損したくない方、今の税理士に不満があり別の税理士に乗り換えたい方――税理士を探す理由は人それぞれですが、みなさん口を揃えて「親身に相談に乗ってくれる税理士がいい」と言います。
では、親身に相談に乗ってくれる税理士かどうかを見極めるには、何を基準に判断すればいいのでしょうか?(執筆者:タックスコム代表取締役 山下健一)
親身になってくれる税理士の条件を一つあげるなら
実は、最初の面談で、親身に相談に乗ってくれる税理士かどうか見分けるポイントがあります。それは、最初から金額の話をしないことです。正確には、最初から金額の話はできないのです。
毎日税理士と面会している私が、親身になってくれる税理士の条件を一つだけあげるとしたらこのポイントをあげます。
同じ“先生業”の医者に例えたら、症状がわからない患者に処方箋を出すようなものです。もしあなたなら、診療せずに処方箋を出す医者を信頼できるでしょうか? 同じことが税理士にも言えます。
一口に「税務相談」と言っても、必要な知識は様々
当たり前ですが、企業によって税理士への要望や、社内の状況は様々です。
例えば、「税理士に記帳代行だけやってもらいたい」という依頼でも、資料が全て揃っている企業もあれば、何度催促しても資料が揃わない企業だってあります。その企業ごとのニーズや課題に合わせて、税理士側の手間と労力は大きく変わるのです。
また、一口に「税務相談をしたい」と言っても、申告相談のケース、事業計画を元に毎月予実管理をしたいケース、事業拡大を視野に入れた財務アドバイスが必要なケース、相続対策や株価算定のアドバイスが必要なケースなど多岐に渡ります。当然、それぞれのケースで面談頻度や準備する資料が変わります。
そして、相談内容によって、税理士に求められる手間と専門知識は大きく変わります。つまり報酬も変わります。
税理士側の立場で考えると、どの案件も同じ報酬で受けているとしたら、手間がかからない企業だけ世話をして、手間がかかる企業は後回しになるのはお分かりいただけると思います。
企業のニーズや課題を把握せず先に金額を提示してくる税理士は、裏を返せばその課題に向き合い、解決へ導くつもりがないとも言えます。最初は無理をして応えたとしても、途中で続かなくなるでしょう。
報酬の安さだけで税理士を決めるとリスクも
報酬の安さだけで税理士を決めるとどうなるでしょう? 安価な顧問料が魅力的だとしても、「税理士のサポートは一時的だった」「求めていた課題解決には至らなかった」という声はよく聞きます。そして、そういった企業はまた税理士を探すことになるのです。
もし、親身になってくれる税理士と契約したいなら、まず企業が置かれている状況をじっくり聞き、的確にアドバイスしてくれる税理士を選びましょう。
専門的な業界ということもあり、税理士の報酬は相場感を掴みづらいものですよね。ぼったくられているのでは……という先入観や警戒心もあるかもしれません。「それなら安い方がいい」となる気持ちは分かります。
でも、安いものには安いなりの理由があります。金額の安さだけを売りにしている事務所はそれなりのリスクを踏まえ、ご判断いただければ幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
経理の業務内容はオートメーション化する?これからの経理が身につけるべきスキルとは
「経理の業務内容の大部分はオートメーション(自動)化していく」という話を耳にしたことがある方は少なくないでしょう。しかし、その話は本当なのでしょうか。 「経理の業務内容」と言っても、内容は多岐に亘っています。経理の業務内容が自動化していくの…
詳しくみるIFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」とは?要求事項や影響を解説
IFRS(International Financial Reporting Standards)とは、国際会計基準のことです。海外企業と取引する場合、IFRSの適用が必須となっている場合も多く、日本の会計基準からIFRSに変更する企業も増…
詳しくみる【これは軽減税率?】レストランで残った食事。パックに詰めて持ち帰ったら?
2019年10月1日からスタートする消費税の軽減税率制度。主に「飲食料品」は消費税軽減税率8%の対象になりますが、飲食のシチュエーションなどによっては適用対象になりません。 本シリーズ『これは軽減税率?』では、事業者のみなさんが軽減税率につ…
詳しくみる約定日とは?申込日・受渡日との違いや基準を解説
約定日(やくじょうび)、受渡日(うけわたしび)、申込日など日付に関する用語については、わかっているようでも案外あやふやな部分があるかもしれません。特に金融商品に関係するものは特殊な使い方をします。これらの日付の違いや基準となる考え方を整理し…
詳しくみる外貨建取引と外貨建取引等会計処理基準について解説
一般的な商取引では、取引金額は「円建て」で行うのが通常です。しかし、海外の企業との取引では「ドル建て」「ユーロ建て」といったような外国通貨で行うこともあります。今回は外貨建て取引と、国内において外貨建取引を会計処理する際のガイドラインである…
詳しくみるNPO法人会計基準とは?基本の考え方や構成の解説
NPO法人会計基準とは、非営利法人である「NPO」の会計基準のことです。NPO法人会計基準には、一般の会社の会計とは考え方や処理の仕方が異なる部分が多く、きちんと理解することが大切です。 この記事では、NPO法人会計基準について詳しく解説し…
詳しくみる