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エクセルでの会計管理 予実管理表を作る!

予実管理は、企業が経営上の課題を早めに発見・対策するために重要な仕事です。今回は、予実管理の意義、エクセルでの予実管理表作成方法を紹介し、実際にデータを活かす業務改善手法についても解説します。ぜひ本記事の内容を活用して、予実管理を始めてみましょう。

予実管理表とは?作成ポイントは?

予実管理とは、企業の予算とその予算の実行結果である実績を比較分析することにより、予算の到達度や今後の課題を明らかにする手法です。
予実管理による比較分析により、次の予算を立てる際、より実績に即した値を導くことができます。

企業の予算とは、新事業年度開始にあたっての企業の意志であり、予実管理をすることで企業が今どういう状況であるのかを把握することができます。

予実管理において必要なことは、売上とその売上の達成にかかる費用を管理することに尽きます。
予実管理において重要なことは、次の3点です。

1.定期的に実施すること
2.予算と実績の差異がどこから生じたかを徹底的に分析すること
3.軌道修正(予算修正)をすること

1ヶ月の予実差を踏まえて翌月の活動に活かすため、予実管理は可能な限り毎月行うことが望ましいと言えます。
さらに、各項目の差異の発生原因を納得いくまで分析しましょう。発生原因を特定することで、対策を導き、次の予算策定に結びつけることができます。

予実差異の発生原因が時間外労働による人件費や固定資産の償却などの場合、その情報は経理部門で把握できるため、各部に還元することが可能です。
また、四半期や半期の際、当初予算とのかい離が大きければ、修正予算を策定して予算に沿った実績を管理できるようにしましょう。予算が経営指標として理想な値になるように、予算を再設定してください。

この時、単に到達できそうな予算を再設定するのではなく、伸びや変化を予測して、現実的に達成できる可能性のある予算に修正していきましょう。

予実管理の結果はただ単に「予算達成」、「予算未達」で終わらせるのでは意味がありません。企業の課題、強みや弱みを明らかにし、それらが導く分析レポートを作成することで経営に役立つ資料となり得るのです。

エクセルでの予実管理について

予実管理の方法には、エクセルや専用ツールを利用する方法などがあります。
エクセルを利用した場合、管理が進むにつれて、シート間の参照やセルに埋め込む式が複雑になる場合も少なくありません。都度見直して、極力シンプルでかつ短時間で報告ができるように工夫する必要があります。

エクセルを利用した予実管理の主なメリットは以下の通りです。
・自社の予算や運営組織に即した管理表を作成できる
・月ごと、四半期ごとなど臨機応変に比較できる

では、エクセルで予実管理をする場合、どのような準備が必要でしょうか?準備のポイントは2点あります。

1.予算の設定が明確であること

エクセルで予実管理をする場合、予算がおおよそ損益計算書の形となっていることが必要です。
売上だけ、利益だけの予算でなく、また全社の予算だけでなく、商品単位又は部門単位の予算を立てることが求められます。

予実差異を分析調査するにあたって、どの商品や部門で差異が発生しているのかを知るためです。これらのデータを整理して表現するには、損益計算書の形が適しています。

2.予算値が適正であること

昨年度の実績値をそのまま今年の予算にしたり、高すぎる予算を立てたりしても意味がありません。

次の事業の傾向を先読みし、営業部の持っている情報や人事データ、経理の持つ固定資産のデータなどを出し合い、適切な予算を立てるべきです。

エクセルでの予実管理方法とは?

では、具体的にエクセルでの予実管理方法を見ていきましょう。

ここでは月次レポートを想定し、一般的な予実管理表を作成しましたのでご覧ください。
月次レポート_例_エクセル

予実比較したい部門単位や商品単位で1つのシートを作り、大まかな損益計算書を作成します。当月単体での予実と、当年度・当月までの累計の両方の数値を1画面に収めて、ひと目で分かるようにしておくこともポイントです。

このとき、売上を持たない管理部門については、間接費として費用を配賦(はいふ:費用を配分処理すること)するしくみを持ったり、製造業の場合は、大まかな製造原価報告書を追加したりしてもよいでしょう。
くれぐれも複雑になり過ぎないことがポイントです。

組織改正や新事業立ち上げなどだけでなく、経理担当者の交代も見据え、簡単なマニュアルは準備しましょう。マニュアルには、勘定科目や部門が変わったときどのように修正したらよいかなどを記します。

あらかじめわかっている前年度データや予算データの値は先に埋め込み、予実差額や予算比などは自動計算できるよう、セル内に数式を入れておきます。
フォーマットが完成したら、当月のデータを会計システムからダウンロードして実績部分に埋め込んでください。

この例では営業利益までですが、全社シートには、経常利益や税引前当期利益まで欄を設けておくのもよいでしょう。

エクセルでの予実管理を活かすには?

当月データが埋まったら、各部や役員に予実管理表を還元します。そのときに、この予実管理表をより活用してもらえるように簡単な評価方法を記載しておくのもよいと思います。

予算管理においては、予実管理表にまとめたデータを経営でどのように活かせるかがポイントです。
例えば、定番の業務改善手法であるPDCAサイクルを取り入れ、以下のように予実管理表のデータをサイクルの中で活用するのもよいでしょう。

1.予算の決定(Plan)
→2.予算を実行し、決算で実績反映 (Do)
→3.予実比較・差異分析(Check)
→4.対策に基づき実行(Action)

このサイクルは、通常月単位で回していきます。さらに、半期又は四半期のタイミングで修正を入れ、期初予算、修正予算など複数の予算値を持つこともありますが、当初策定した予算についても予実管理を続けてください。

見やすい予実管理表を作って業務改善に活かそう

予実管理は、ただ数字をまとめるだけで終わってはいけません。実績が出た時点で予算とのかい離が出ている部分に注目し、原因が判明するまで突き詰めて分析を進めることが重要です。

予算と実績を分析した結果をもとに、原因に対しては対応策を検討・実施します。次月の予算についても実態に即して見直し、四半期や半期のタイミングで予算値も更新しましょう。

このようにして予算の精度を上げつつ、企業としての課題にも対策することで、予実管理が経営改善に貢献するようになります。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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