- 更新日 : 2025年2月19日
リース料とは?リース取引のメリット・デメリットを解説!
購入とリースの違いなどからリース取引のメリット・デメリットについて、あるいは具体的なリース料の処理方法についてご紹介していきます。
目次
リース取引とは?メリット・デメリットを紹介
まずは、リース取引とは何かということから見ていきましょう。
リース取引とは、機械や設備などの物件を貸手(リース会社など)から賃貸借する取引のことを言います。
賃貸借と聞くと、レンタルと思われる方がいらっしゃいますが、基本的にリースはレンタルとは異なります。レンタルは、貸手がすでに所有している物件を不特定多数の人に賃貸借するのに対して、リースは、貸手が借手の要望した物件を代わりに購入して借手に賃貸借するというものです。
つまり、リース取引は物的な貸借というよりは、金銭的な貸借に近いという性質を有していることになります。
では、銀行から融資を受けて自ら物件を購入する(そして毎月一定の金額の返済を行う)場合と、リース会社を通じて物件を賃貸借する場合ではどのように異なるのでしょうか。
それを考えるために、リース取引のメリットとデメリットを考えていきましょう。
リース取引のメリット
1.設備導入時の初期費用が少ない
固定資産など物件の購入については、購入時にまとまった資金が必要ですが、リース取引の場合は、基本的には毎回のリース料の支払いだけであり、初期費用は抑えられます。
2.融資枠を使わず、審査期間も比較的に短い
メリット1については、リース取引だけではなく、資金を銀行から借り入れをして物件を購入する場合も同じことが言えます。
しかし、銀行からの借り入れの場合は、融資の枠を要することや、審査についての労力や時間もかかります。それに対してリース取引では、融資の枠に影響を与えず、さらに一般的には審査期間が短いケースがほとんどです。
3.管理に係る手間が抑えられる
固定資産を購入した場合には、何かあった時に備えて保険をかけたり、あるいは固定資産税の申告や納付なども行う必要があります。
しかし、リース取引については、所有権は貸手(リース会社等)にありますので、保険料や固定資産税なども貸手が支払うことになります。また、定期的なメンテナンスについても貸手で行ってもらえることもあり、物件の管理に係る手間が抑えられます。
リース取引のデメリット
1.リース料の支払い総額が高い
リース料については、物件の購入費用に加えて金利・保険料・固定資産、さらにリース会社の利益も含めて支払うことになるため、購入した場合と比較してリース料総額が高くなります。また、金利部分だけ見たとしても、銀行からの借り入れに比べても高いことが多いです。
2.リース期間終了後のリース物件の所有権の問題
銀行からの借り入れにより物件を購入した場合は、毎月の支払いは返済期間を払いきれば終了します。
しかし、リース取引の場合は、リース期間が終了した後もその物件を使用するためには、さらにリース料を支払う必要が出てきます。所有権が貸手にあるから当然のことですが、あまり陳腐化しない資産については特に注意が必要です。
契約内容によってリース料の経理方法が異なる
次は、リース取引についての処理方法、すなわち毎月発生するリース料の経理方法について確認していきましょう。
リース取引は、大きく分けてファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類されます。
ファイナンス・リース取引
上記で説明したような一般的なリース取引は、ファイナンス・リース取引にあたります。では、ファイナンス・リース取引の要件と経理処理方法を確認していきましょう。
ファイナンス・リース取引には、要件があります。まずは、中途解約が不可能なこと(中途解約した場合には、残りのリース料相当額の違約金が生じる)が挙げられます。
次に、フルペイアウトであるかどうかも要件になります。フルペイアウトとは、そのリース物件からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつリース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担する状態のことを言います。
この二つの要件を見てみると、ほとんど物件を所有しているのと変わりありません。実は、経理処理としても資産の売買取引した場合と同じように処理を行います。
具体的には、リース資産とリース債務を計上し、リース資産は減価償却を通じて費用化します。
オペレーティング・リース取引
一方、オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引のことを言います。
先ほどの二つの要件のうち、一つでも満たしていない場合は、オペレーティング・リース取引ということですね。レンタルもオペレーティング・リース取引です。
このオペレーティング・リース取引の経理処理は賃貸借処理です。すなわちリース料が支払われる際に費用化します。
このようにリース取引の契約内容によって経理処理の方法が異なり、さらに、費用化の仕方も減価償却なのか、あるいはリース料の支払いなのかという点で変わってきますので、注意が必要ですね。
まとめ
最後に、今回のポイントについてまとめておきましょう。
- リース取引のメリットは、物件の初期費用を抑えて、かつ融資の枠を使わずに使用できる。さらに、管理の手間も少ない。
- リース取引のデメリットは、リース料総額が高く、さらにリース期間を終えた後も所有権の問題がある。
- リース取引には、契約内容によりファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分けられる。
- ファイナンス・リース取引は、売買取引として経理処理を行う。(減価償却によって費用化)
- オペレーティング・リース取引は、賃貸借取引として経理処理を行う。(リース料の支払いによって費用化)
物件の購入の際には、リース取引のメリット・デメリットを踏まえてリースによる購入も検討してみて下さい。また、リースによる物件の購入を行った場合には、その契約内容を十分に確認して経理処理方法に注意しましょう。
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国税庁|リース取引
よくある質問
リース取引とは?
機械や設備などの物件を貸手(リース会社など)から賃貸借する取引のことを言います。詳しくはこちらをご覧ください。
リース取引のメリットは?
設備導入時の初期費用が少ないことや、融資枠を使わず、審査期間も比較的に短いこと、管理に係る手間が抑えられることなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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