- 更新日 : 2024年8月8日
固定資産評価証明書はどのようなときに必要?
固定資産税の課税のために土地や家屋などの資産につけられる価格を、固定資産税評価額といいます。
固定資産税評価額は固定資産税の納税通知書に添付されている課税明細書で確認できますが、公的機関への届け出には固定資産評価証明書が必要になる場合があります。課税明細書は固定資産税の納税通知書とともに毎年送られてくるのに対して、固定資産評価証明書は市町村役場などで取得しなければなりません。
これから、固定資産評価証明書の主な用途と取得方法についてご紹介します。
固定資産評価証明書とは
固定資産評価証明書とは、固定資産税の課税対象になっている資産について、その評価額を証明するものです。一般に固定資産税の課税対象は土地や家屋ですが、償却資産(事業用の構築物や機械装置など)も課税対象に含まれます。
固定資産税評価額は市町村長(東京23区は都知事)が3年ごとに定め、固定資産税評価額を基準に固定資産税が課税されます。
固定資産税評価額は、土地であれば公示価格の7割程度、建物であれば新築の時点で建築費の5割から7割とされています。建物や償却資産の評価額は、年数が経つにつれて評価額が下がっていきます。
固定資産評価証明書には、所在地、面積、建物の構造などの登記情報に加えて、固定資産税評価額が記載されます。土地、建物以外の償却資産は、構築物や機械装置などの種類ごとに固定資産税評価額が記載されます。
固定資産評価証明書の用途
固定資産評価証明書が必要になる場面としては、次のようなものがあげられます。
・相続税・贈与税の申告
・訴訟の手数料の算定
ここでは、不動産登記にかかる登録免許税の算定と相続税・贈与税の申告について概要をご紹介します。
登録免許税の算定
登録免許税は、不動産の登記、会社の登記や特許、免許、許認可などについて課税されるものです。不動産の登記の場合、登録免許税は不動産の価額に所定の税率を掛けた金額となります。不動産の価額とは、市町村役場で管理している固定資産税評価額であり、固定資産税評価額がない場合は登記官によって認定されます。
売買、相続、贈与などで不動産の名義を変える登記(移転登記)をする場合には、最新の固定資産評価証明書の添付が求められます。ただし、市町村によっては法務局に固定資産価格の電子通知を行っており、その場合は原則として固定資産評価証明書を添付する必要はありません。
たとえば大阪市では、登記申請時には課税明細書が利用できると案内しています。
(参考:登記申請時には課税明細書がご利用いただけます|大阪市ホームページ)
相続税・贈与税の申告
相続税や贈与税は、譲り受けた財産の時価をもとに税額を計算しますが、不動産の時価を求めることは困難です。そこで、国税庁は、相続税や贈与税を算定するときの不動産の評価方法について次のとおり定めています。
土地
国税庁が定める路線価図に記載がある宅地(市街地など)では、原則として1平方メートルあたりの路線価に面積を掛けた値が土地の評価額となります。路線価図に記載がない宅地や農地、山林などは、固定資産税評価額に所定の倍率を掛けた値が土地の評価額となります。
家屋
固定資産税評価額で評価します。相続した財産や贈与された財産に、固定資産税評価額を使って評価するものがある場合は、相続税・贈与税の申告書に固定資産評価証明書を添付します。
固定資産評価証明書の取得方法
固定資産評価証明書は、市町村役場(東京23区は都税事務所)で取得できます。ただし、誰でも取得できるわけではなく、固定資産の所有者本人のほか、本人の同居親族、本人の代理人、相続人、借地人、借家人などに限られています。
固定資産評価証明書を取得するときは、次のものを持参します。
・直近の納税通知書(必須ではありませんが、あると便利です)
・代理人が取得する場合は委任状
・相続人が取得する場合は、所有者が亡くなったことがわかる書類と、相続人であることがわかる書類(一般に所有者の出生から死亡までの戸籍謄本を持参します)
手数料は自治体によってまちまちですが、おおむね200円から400円の範囲となっています。また、1件ごとに手数料がかかる場合と5件まで同じ手数料で取得できる場合などがあるため、市町村役場に出向く前に確認することをおすすめします。
まとめ
以上、固定資産評価証明書の主な用途と取得方法についてご紹介しました。
普段の生活で固定資産評価証明書を活用する機会はほとんどありませんが、売却、相続、贈与など固定資産の所有者が変わるときに必要になることがあります。いざという時にスムーズに対応できるよう、固定資産評価証明書の主な用途と取得方法について、頭の片隅に置いておかれるとよいでしょう。
関連記事
・固定資産評価証明書を取得してマイホームの価値を推測しよう!
・相続税の申告が必要になった時に把握しておきたい6つのこと
・固定資産税はいくらかかるもの?知っておきたい課税額の計算方法
よくある質問
固定資産評価証明書とは?
固定資産税の課税対象になっている資産について、その評価額を証明するものです。詳しくはこちらをご覧ください。
固定資産評価証明書が必要になる場面とは?
「不動産登記にかかる登録免許税の算定」「相続税・贈与税の申告」「訴訟の手数料の算定」の時です。詳しくはこちらをご覧ください。
固定資産評価証明書の取得方法とは?
市町村役場(東京23区は都税事務所)で取得できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
経費は領収書なしで認められるか?領収書がない場合の対処法
事業に関係する支出であれば、確定申告をする際に税務上の費用として処理することができます。費用として処理するために必要となるのが、その支出を証明する証拠。一般的に領収書と呼ばれるものがこれにあたります。レシートと呼ばれる会計明細がプリントされ…
詳しくみる継続性の原則とは?正当な理由の具体例の解説
法律ではないものの、すべての企業が従わなければならない基準として、企業会計原則が定められています。継続性の原則は、企業会計原則の一般原則に定められている7つの原則の中のひとつです。この記事では、継続性の原則の意味と必要性、具体例を取り上げて…
詳しくみる法人税の節税対策は?社宅や保険・車など効果的な方法10選を紹介
法人税は法人が事業を行ううえで必要な費用ですが、適切な費用計上によって節税に結びつく方法があります。法人税を節税すれば、法人の利益を増やすことが可能です。この記事では、法人税の効果的な節税対策10選を紹介します。 法人税とは 最初に法人税に…
詳しくみる仕入税額控除とは?意味やインボイス制度での変更点をわかりやすく解説
仕入税額控除とは、消費税の計算において課税売上に対する消費税額から課税仕入にかかる消費税額を差し引く仕組みであり、納税額を適切に調整するための制度です。 インボイス制度が導入されてから、仕入税額控除を受けるための要件や手続きが厳格化されて…
詳しくみる事業税の計算方法を正しく理解していますか?個人事業税と法人事業税の計算方法を解説
事業主が知っておくべき税金のひとつに「事業税」があります。 所得税は国に納める税金ですが、事業税は管轄する行政に納める地方税です。そして、事業税には「個人事業税」と「法人事業税」があります。 名前のごとく、個人が営む事業に対して課せられるも…
詳しくみる最大1.4倍!?知らなかったでは済まない追徴課税と加算税
追徴課税という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。しかし、追徴課税に関して、具体的にどういう状況のときに課税されるかまでご存知の方は少ないのではないでしょうか? 追徴課税は正しい税額を納付していなかったり、税務申告書を提出しなかった…
詳しくみる