- 更新日 : 2025年2月19日
【タカタ リコールに学ぶ】回収・無償修理した際の会計処理方法
トヨタ、ホンダを始めとする日欧企業が、タカタ社製のエアバッグに関して「不具合を起こす可能性がある」との理由によりリコールを発表しました。
本来リコールとは自主的に製品の回収や修理を行うものですが、実際はそこに金銭的な負担が加わります。この場合、会計処理は一体どの様に行われるのでしょうか。今回は、製造業を営む企業にとって離れることができない「リコール」の問題について、会計の面から考えてみましょう。
目次
リコールとは何か
まずは「リコール」とは何かという点について明確にしていきましょう。リコールとは設計・製造上の過失により、販売された製品に重大な欠陥が見つかった場合、消費者に重大な損害を及ぼす危険があると判断された際に、行う必要がある措置のことを指します。
リコールは大きく分けて二種類に分類されます。一つ目は「製造者・販売者の独自の判断により、無償修理、交換、返金措置を行うもの (基本的に自主回収に基づくもの)」、二つ目は「法令に基づき実施が強制的に指示されるもの」に分類されます。
法令に基づくものとしては、消費生活用製品安全法、道路運送車両法、薬事法、食品衛生法等の法令に従って各省の大臣が発令します。
商品によってリコールは3種類に区別される
国が定めるリコールは法令に則ったものであり、その対象となる法令によって届け出先と措置を発令する省が異なります。
例えば、道路運送車両法に違反した自動車、原動機付自転車におけるリコールの場合、メーカーや輸入業者は国土交通省へその旨を届け出る必要があります。
一方、消費生活用製品安全法とは、消費生活用製品による一般消費者の安全を守るために制定された法律で、経済産業省が管轄しています。
この法令に触れるリコール問題が発生した場合、経済産業省に届け出る必要があります。また、食品衛生法は、日本において飲食によって発生する危害を防止するための法律であり、厚生労働省が管轄しています。この法令に触れるリコール問題が発生した場合には、厚生労働省に届け出る必要があります。
場合別リコールの会計処理

リコールが発生した際の会計処理について、具体例を交えながら考えてみましょう。
リコール対象の回収にかかる費用
自社商品にリコールが発生した場合、様々な費用が発生します。これらはリコールという臨時的な事象により発生する費用と考えられ、「営業外費用」や「特別損失」として処理することができます。この場合、かかった費用は税法上の「損金」に算入できます。
今回の件ではリコールは「製品保証引当金」を取り崩して対応するようです。「製品保証引当金」とは、製品販売後の無償保証契約などによって発生する回収・修理費用に対する引当金のことです。
将来のリコールを見越して、引当金を計上しておくことは、リスク回避の観点からみれば有効な手段といえます。ただし、製品保証引当金は、会計上で費用として計上できるが、税務上の損金として取扱うことはできない。
リコールの保証にかかる費用
リコールが発生した際に生じる費用としては、以下のものが挙げられます。
・告知費用
・通信、事務費用
・下請業者、臨時雇いの雇入れ費用
・輸送、梱包費用
・倉庫、保管費用
・廃棄費用
なお、直接的な金銭面だけでなく、業界におけるシェアの低下や社会的信用の失墜など、直接的に費用に含まれないものも大きな損失として考えられます。
フランチャイズ店舗の経営者がリコールの費用を本社から補填してもらった場合
フランチャイズ店舗は補填された金額を「雑収入」として計上します。
一方、本部がリコールに際し要した費用は営業外費用や特別損失として計上されます。
リコールの補償費の支払いが期をまたいだ場合
リコールに掛かる費用は長い期間を経て最終的な金額が算出されるケースが多く、期をまたぐことも珍しくありません。リコールの費用は基本的に「損金」として計上されますが、パターンとしては以下のいずれかに該当します。
(2) 支払金額が確定し、未払いで計上した額は当期の損金として計上する
(3) 製品保証引当金がある場合には費用として計上することができるが損金とならない。
海外でリコールが発生した場合(米国を例に)
例えば米国でリコールが発生した場合、日本の国土交通局に相当する米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)への報告義務があります。
その後は米国の管理省の指示に従って製品の回収等を行います。ここで発生する費用等は日本と同じく「営業外費用」や「特別損失」として「損金計上」の処理を行います。その場合、会計処理上の手続きは、日本での場合と大差ありません。
まとめ
米国で発生したリコール問題は、製造業を営む企業にとっては避けることのできない問題です。
基本的にリコールは自主回収で行うものと政府の指示に従って強制されるものに分かれます。
リコールの際の会計処理は、基本的に「営業外費用」や「特別損失」として「損金計上」する方法が一般的です。他国の場合であっても、基本的な処理方法に大きな違いはありません。唯一、リコールに伴う届け出先が異なるため、この点は注意が必要となります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
退職給与引当金とは?損益算入は廃止!具体例と計算方法
今回は、退職給与引当金の意味から具体的な計算方法、さらには税務的にはどのように取扱われているのかを紹介していきます。 退職給与引当金を計上する意味は? まずは、退職給与引当金の意味…
詳しくみる為替予約の仕訳や会計処理とは?振当処理・独立処理をわかりやすく解説
為替予約は、将来の外貨建て取引に関して為替レートの変動リスクを避けるために結ばれる契約です。経理処理では、この為替予約にともなう為替差損益や評価損益をどう仕訳するかで、実務が大きく…
詳しくみる繰延税金負債とは?税効果会計での仕訳例とともに解説
繰延税金負債は、税効果会計を適用している場合に使用する勘定科目で、会計上の損益と税務上の所得の差を調整するためのものです。財務諸表では、貸借対照表の負債の部に表示されます。 繰延税…
詳しくみる役務収益と役務原価の仕訳方法とは
商品売買に限らず、近年では、多種多様のサービスを提供する企業も増えてきました。「役務収益」や「役務原価」は、モノを販売するのではなく、サービスを商品として提供したときに使われる勘定…
詳しくみる会社分割の仕訳とは?新設・吸収分割の例や税務処理をわかりやすく解説
会社分割は、事業を切り出して別の会社に引き継がせる組織再編の方法で、事業承継やグループ再編などで活用されています。 ただし、税務上、会社分割の内容は「適格」か「非適格」かの判定が必…
詳しくみるセミナーやイベント参加費の仕訳と勘定科目まとめ
セミナーやイベントへの参加費は、経費として計上できます。その場合、目的によって諸会費や交際費、福利厚生費などの勘定科目で仕訳をすることが可能です。 また、セミナーなどを主催するとき…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引



