ものづくりを行う中小企業が抱える課題とは?ものづくり企業への支援策を紹介

読了まで約 5

戦後の混乱期以降から現在に至るまで日本経済の基盤を支え続けてきたのが、自社の技術を突き詰めて新しい製品を開発、製造している「ものづくり企業」です。ものづくり企業には大企業も存在していますが、多くは町工場のようなところを含めた中小企業であり、そういった決して規模の大きくない製造関係の企業が、ものづくりを通して日本の経済を下支えしてきたのです。

バブル経済が崩壊し、日本の景気が継続的な低迷期を迎えている昨今、このような規模の大きくないものづくり企業も、苦境に立たされているところが増えています。製造業はもちろん日本経済全体を支え続けてきたものづくりを行う中小企業は、なぜ経営的に苦しんでいるのでしょうか。

ものづくりを行っている中小企業が持っている強みと課題、そしてそういった課題を解決していくための方策や様々な支援について解説していきます。

ものづくりを行う企業の強みと課題

長期的な低迷を続けている日本経済ですが、製造業は質の高い製品を作り続けることができれば業績を伸ばしていくことが可能になりますので、そういった低迷の影響を受けにくい業務構造を持っています。

特に、新しい製品を開発し製造するものづくり企業の場合には、良いものを開発していくことで市場における競争や国際的な競争にも勝ちながら業績を伸ばしていくことができます。つまり、ものづくり企業は業務の構造的には「不景気に強い」企業が多くなっているのです。

このような強みを持っているにもかかわらず、なぜ多くのものづくりを行う中小企業は、業績を上げることができていないのでしょうか。

製造業全体の業績の落ち込みと人材確保の難しさ

まず、本来は業務の構造的に不景気に強いはずの製造業も長期景気低迷の影響を避けられず、大元の製造業全体の業績が落ち込んでしまっているということが、中小企業にとって苦境に陥ってしまう大きな原因のひとつとなっています。

バブル経済崩壊以降、継続的に業績が落ち込み続けていた日本の製造業ですが、その傾向は2008年に起こった「リーマンショック」によってより顕著なものとなりました。特に輸出部門がリーマンショックにおいて大打撃を受けたことによって、国内で製品を作っても売ることができない状態となったために、製造業は停滞を続けることになってしまったのです。

この点に関しては、「アベノミクス」以降少しずつ輸出部門の業績が改善し始めていることで、今後製造業全体の業績も上向いていくことが期待されています。しかし、大企業に比べて経営基盤の弱い中小企業に関しては、その好影響を最大限享受することができるか不透明な部分も大きくなっています。

また、ものづくり企業においては実際に業務を遂行するための「人材の確保・教育」も大きな問題となっています。

独立行政法人 労働政策研究・研究機構が実施した、ものづくり企業の新事業展開と人材育成に関する調査結果によると、従業員規模数が少なくなるにつれ、求人に対する応募者数も少ない傾向にあり、指導する側の能力や意欲の不足をはじめとして、採用した人材を教育するうえにおいても、様々な問題を抱えているということが分かります。

「求人に対する応募が少ない」と思うか
(出典:「ものづくり企業の新事業展開と人材育成に関する調査結果」|独立行政法人 労働政策研究・研究機構)

教育訓練を実施する上での課題
(出典:「ものづくり企業の新事業展開と人材育成に関する調査結果」|独立行政法人 労働政策研究・研究機構)

さらに、海外の企業との価格競争も深刻な課題のひとつです。

近年ではメーカーなどが生産拠点を人件費や材料費の安い海外に置くことが多くなっており、そういった海外における製品との競争に負けてしまい、自社の製品を売ることができなくなっているものづくり企業も現れています。

ものづくり企業への支援策

こういったものづくり企業に対しては、主に金銭的な面において国レベルで様々な支援策が行われています。

国や地方公共団体レベルにおいて行われている支援策としては、「ものづくり・商業・サービス革新事業補助金」が挙げられます。

これは、中小企業庁が各地域にある「中小企業団体中央会」を通して行う補助金制度であり、一般的なものづくり事業においては1,000万円まで、IoTなどの最新技術を用いた設備投資を行う場合には3,000万円までの補助金が受けられるというものです。

補助金を受けるためには公募を経た審査が必要であり、毎年数多くの企業による応募が行われるため、採用されない企業もあるという点は注意しておきましょう。

中小機構が行っているものづくり企業への支援策

経営基盤のぜい弱な町工場などの中小企業は、地域において他の企業と連携を行いながら業務を行うことで、基盤を安定的なものにしていくことが可能となります。しかし、そのための資金を用意することもままならない企業が多くなっていることも、また事実です。

そのような中小企業の連携やグループ化を推進するための補助金が、「ものづくり中小企業・小規模事業者連携支援事業の助成金」です。

中小機構が行っているこの支援策は、企業同士が連携していくことを金銭的に支援するだけでなく、グループ化した企業の事業計画策定支援など、実務的な部分にまで及んでいることが大きな特徴となっています。

まとめ

ものづくりを行う中小企業は、中小企業が共通して持っている経営基盤のぜい弱さに加えて、製造業の業績悪化、人材確保の難しさ、海外との競争の苛烈さなどが原因で業績が落ち込んでしまっているところが多くなっています。

しかし近年では、ものづくりを行う中小企業への支援策が充実してきていることもあり、そういった企業が持っている「良いものを作れば生き残ることができる」という強みを組み合わせれば、中小企業であっても業績を伸ばしていくことも十分に可能となってきていると言えるでしょう。

関連記事

・ものづくり・商業・サービス革新補助金を活用しよう!
・中小企業の人数とは?法律上の定義と助成金の利用要件
・中小企業が受けられる補助金一覧

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
「顧問先さまと共に繁栄するゆびすいグループ」をモットーとして、お客さまの繁栄があってこそ、ゆびすいの繁栄があることを肝に銘じお客さまのために最善を尽くします。
お客様第一主義に徹し、グループネットワークを活用することにより、時代の変化に即応した新たなサービスを創造し、お客様にご満足をご提供します。



関連するマネーフォワード クラウドシリーズはこちら
マネーフォワード クラウド資金調達(資金調達サービス)



「マネーフォワード クラウド」シリーズのサービス資料