原価を下げるしかないの?限界利益を理解して効果的にコストカットしよう!

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会計用語の中には一見何を意味しているのか理解しにくいものも多いのではないでしょうか。その中でも今回は、限界利益損益分岐点の2つを解説します。これらの概念を理解し、分析をすることで、利益を向上させるためにしなければならないことは何かが見えてくるようになります。

限界利益とは何か理解しよう

概要

限界利益とは、商品やサービスを販売した時に直接的に得られる利益になります。限界利益の段階で、売上に対して赤字になってしまっていては事業を継続することが難しくなります。

しかし、本当に利益を出すために必要な金額は、限界利益から固定費を引いた営業利益というものになります。この営業利益を知るために、まず限界利益を理解する必要があります。

限界利益の計算方法

限界利益の算出方法は簡単です。例えば、自動車を製造している場合、全体の売上高から、自動車の製造に必要な変動費を差し引いたものが、限界利益となります。

売上高-変動費=限界利益

変動費と固定費の違い

変動費とは、生産量や販売量に比例して変動する費用のことを指します。製造業の場合は材料費、小売業の場合は商品の仕入原価や輸送費などになります。一方、固定費とは、生産量や販売量に対して変動しない費用を指します。

限界利益率とは

限界利益と似た言葉で、限界利益率という言葉があります。この違いは下記の通りです。

限界利益:売上高から変動費を差し引いた利益金額
限界利益率:売上高に対する限界利益の比率

次に、製品Aと製品Bを比較して、限界利益率が異なると何が変わるのかを解説します。

製品A 製品B
売上高 100 200
変動費 40 120
限界利益(売上高-変動費) 60 80
限界利益率(限界利益÷売上高) 60% 40%

製品Bの売上高は製品Aの2倍ですが、変動費との関係から、限界利益率は低くなっています。これは、これだけをみれば製品Bの方が利益の絶対額は大きいですが、限界利益率が低いため、製品Aと同額の利益を出すためには製品Bの方が多くの売上高が必要となるということが言えます。

限界利益と営業利益の違い

限界利益と営業利益の違いは固定費を引いているかどうかです。限界利益の場合は変動費のみを引いているため、その計算結果から固定費を引く必要があります。

利益を高くするためには限界利益率を高くする必要がありますが、一方で発生する固定費を回収するために十分な限界利益額を把握することも重要となります。

営業利益=限界利益-固定費

同じ固定費で限界利益率が異なる場合

例えば、製品Aも製品Bも固定費が25かかるとして、営業利益と営業利益率を計算してみましょう。

限界利益が高い場合 限界利益が低い場合
売上高 100 100
変動費 30 60
限界利益(売上高-変動費) 70 40
固定費 25 25
営業利益(限界利益-固定費) 45 15
営業利益率(営業利益÷売上高) 45% 15%
限界利益率(限界利益÷売上高) 70% 40%

限界利益が高い方が、固定費が同じであれば営業利益も高くなります。営業利益を上げるためには、変動費を抑えて限界利益率を上げる、もしくは固定費を下げることが必要であることがわかります。

具体的にどの程度の金額を目指せばいいのかは損益分岐点を算出することで調べます。では、損益分岐点を算出するためにはどうすればいいのかを次に解説します。

損益分岐点とは

損益分岐点とは、限界利益と固定費が等しくなる状態、つまり損益ゼロの状態を指します。場合によっては損益分岐点売上高と呼ばれることもあります。

限界利益-固定費=ゼロ
損益分岐点

また、固定費を限界利益率で割ることで、損益分岐点売上高を計算することができます。この損益分岐点を下回った場合、赤字になってしまうことがわかります。

損益分岐点=固定費/(1-変動費/売上高)

例:
・固定費=30
・変動費=45
・売上高=75

の場合、損益分岐点は下記の様に計算します。

=30/(1-45/75)
=30/(1-0.6)
=30/(0.4)
=75(損益分岐点)

実際に損益分岐点が正しいかを下記の表で確認してみます。

売上高 変動費 限界利益 固定費 利益
0 0 0 30 ▲30
50 30 20 30 ▲10
75 45 30 30 0
100 60 40 30 10
200 120 80 30 50

売上高が75の時に、利益がゼロになるため、先ほどの計算で損益分岐点が75であったのが正しかったことがわかります。
図で表すと下記の様になります。損益分岐点の解説図

損益分岐点を計算するとできるようになること

損益分岐点を算出すると、利益を上げるために変動費か固定費のどちらを改善すればいいのかがわかるようになります。

例えば、変動費率を0.6から0.4に引き下げて、変動費を45から30とすることができれば、同じ売上高75であるにもかかわらず15の利益が生じることがわかります。

売上高 変動費 限界利益 固定費 利益
引き下げ前 75 45 30 30 0
引き下げ後 75 30 45 30 15

一方、固定費を30から15に引き下げた場合も、利益を15上げることができます。

売上高 変動費 限界利益 固定費 利益
引き下げ前 75 45 30 30 0
引き下げ後 75 45 30 15 15

変動費を引き下げるためには、仕入原価を抑えるなどの方法があります。一方固定費を下げるためには、家賃の引き下げや水道高熱費の見直しなどのコスト削減をすることが考えられます。

損益分岐点を計算することで、利益を上げるために、変動費か固定費か、どちらを改善すればいいのかという大きな方向性を発見することができます。

まとめ

限界利益を知ることで、商品やサービスを販売した時、直接的にどれくらいの利益を得ることができるかを知ることができます。

また、限界利益で固定費を回収し、営業利益を黒字にするために必要となる売上高は、損益分岐点を計算することで知ることができます。

固定費を低く抑えても、商品の販売に対する変動費が大きいと必要な利益を得るためには大きな売上高が必要となります。
一方で、変動費を抑えるために大きな投資を行い、固定費が増えてしまっては意味がありません。

利益を最大化するために、売上高、変動費、固定費のどの部分を改善すればいいのか、限界利益や損益分岐点などを分析して、経営判断をしていくことが重要となります。

この他にも会社の経営判断に大切な財務分析について、以下の記事で紹介しています。

>>財務分析によって会社の状態を知ろう

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:国見 英嗣 (公認会計士)株式会社ナレッジラボ 代表取締役

株式会社ナレッジラボ 代表取締役
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