法人税の法定実効税率を徹底解説!

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会社がもうけた所得について支払う税金は、法人税だけではありません。地方法人税や地方税である法人住民税と法人事業税も支払う必要があります。つまり、これら4つの税金を支払った後の、税引後の利益が企業の実際のもうけとなります。そこで、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税をあわせて実際にいくら税金を払うかを知るための税率を算出する必要があります。この税率を法定実効税率といいます。

法定実効税率は、実際に支払う所得金額に対する税金の率を知ることができるほか、税効果会計の計算にも用いられる重要な税率です。また世界各国の法定実効税率を比較することにより、日本の国際競争力を知ることができ、また海外進出の際には重要な参考事項になります。

法定実効税率の算出方法

法定実効税率の計算方法は次の通りです。

法定実効税率=法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+(事業税率+事業税率×地方法人特別税率)/(1+事業税率+事業税率×地方法人特別税率)

会社の税金を支払う前の利益(税引前利益)に会計と法人税との違いにより生じる加減算を加味した後の金額に、この法定実効税率を乗じると支払うべき税金のおおよその総額を把握できます。
簡易的に税引前利益に法定実効税率を乗じて計算するだけでも、会社の資金繰りや節税を考える際に大変役に立ちます。

法定実効税率の注意点

法定実効税率の計算で注意が必要なのは、法人事業税率です。法人事業税率のうち計算に用いるのは所得割だけです。つまり外形標準課税による付加価値割と資本割は使用しません。

また、税制の改正で法人税、住民税、事業税の税率が変更になると法定実効税率もその都度変更になります。法定実効税率の変更は税効果会計に大きな影響が出ることにも注意しましょう。

税効果会計

法定実効税率は、税効果会計において大変重要な役割を果たします。会計上の利益と税法上の利益の差を合理的に配分するための繰延税金資産および繰延税金負債を計算するために使われます。

税効果会計とは

法人税の課税所得は、会社の会計上の利益とは一致しません。税効果会計はこの差額の部分を合理的に期間配分するための会計手続きです。税効果会計では、多くの場合繰延税金資産を貸借対照表に計上することになります。すなわち純資産が増加し、会社の健全性を評価する上で好ましい結果となります。

税効果会計の調整対象

会計上の利益と法人税の課税所得との差異を調整することが税効果会計の目的です。この差異には一時差異と永久差異があり、税効果会計の調整の対象となるのは一時差異です。

・一時差異とは、会計と税務の適応の差異が将来解消されるものです。一時差異の重要なものは、その他の有価証券評価差額金、繰越欠損金などです。

・永久差異とは、交際費、寄附金、受取配当金などによる差異です。

繰延税金資産または繰延税金負債を算出

「繰延税金資産」は、一時差異が解消する事業年度における税金の前払額です。一方で「繰延税金負債」は、一時差異が解消する事業年度における税金の未払額となります。

1.繰延税金資産に計上する金額:将来減算一時差異×法定実効税率
2.繰延税金負債に計上する金額:将来加算一時差異×法定実効税率

税効果会計の調整対象

法人税率が引き下げられる傾向にある現在、年度によって法定実効税率が異なることがあります。この場合2通りの考え方があります。

1.一時差異が発生した事業年度の法定実効税率を使用する
2.一時差異が解消する事業年度の法定実効税率を使用する

日本の会計基準では、2の一時差異が解消する事業年度の法定実効税率を使用することになっています。

実効税率の各国との比較

税効果会計を海外子会社に適用する場合は、子会社のある国の実効税率で算定します。また各国の実効税率を比較することにより、海外進出の際の参考にできます。財務省による各国の実効税率の比較によると、日本の実効税率を29.74%と計算し、国際的に見て実効税率が一番高いのは米国ですが、日本はそれに次いで高いことを示しています。主な国の実効税率は下記の通りです。

・米国(カリフォルニア州)の実効税率:40.75%
・日本(東京都)の実効税率:29.74%
・フランスの実効税率:33.33%
・ドイツの実効税率:29.79%
・中国の実効税率:25.00%
・イギリスの実効税率:24.00%
・シンガポールの実効税率:17.00%
(出典:財務省HP、「法人所得課税の実効税率の国際比較」、2017年1月現在)

まとめ

平成28年度税制改正による法人税減税の話題で耳にする法定実効税率ですが、日本の国際競争力を知る上でも、会社の健全運営の上で大変重要なものです。

まずは、会社のもうけに法定実効税率をかけると、支払うべき法人税、住民税、事業税の合計額がわかるということを覚えておきましょう。また現在は法人税率が引き下げられる傾向にあり、法人税率が変わると法定実効税率も変わることに注意しましょう。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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