- 作成日 : 2022年9月22日
個人事業主になるには?始め方や必要な登録手続きから初めての確定申告まで解説

コロナ禍で影響を受けたものの、起業したい、自分の店を持ちたいなど、個人事業主として独立開業したい人は若い世代から高齢者までどの年代にもいるものです。法人を設立することやフリーランスになることと、個人事業主はどのように違うのでしょうか?
この記事では、個人事業主について、基本的なことや個人事業主になるために必要な手続き、最初の確定申告までの流れについてコンパクトにまとめて解説します。
目次
個人事業主の定義は?
個人事業主として確たる定義があるわけではありません。そこで、まずは「個人」について少し深掘りしてみましょう。
我々生きている人間を法律用語で「自然人」と呼びます。自然人は、胎児でも未成年者でも生きている人間のことを言い、権利能力を有します。
この「自然人」の対義語は、「法人」です。法律では法人にも人格があると考え、法律によって権利や義務の主体となる権利能力を与え、これを「法人格」と言います。法人格を得ると、登記や契約、預貯金口座の利用などを「法人」の名義で行うことができます。
一般に、法人を設立せず、個人で事業を営んでいる人を個人事業主と言います。自然人でも、会社員として勤務している(雇用契約がある)のみの場合は個人事業主ではありませんが、副業であっても、開業届を提出し、継続的に事業を営んでいる場合には個人事業主にも該当します。
また、個人事業主とフリーランスの違いについては、「特定の組織に属さず、常時従業員を雇用しておらず、消費者向けの店舗等を構えておらず、事業者本人が技術や技能を提供することで成り立つ事業を営んでいる者」をフリーランスとしているところから、フリーランスの場合には個人も法人も該当する場合があります。
引用:2019年版「小規模企業白書」全文、2019年版小規模企業白書 P75 | 中小企業庁
個人事業主と、フリーランスや法人との違いについては、以下を参照願います。
初めて個人事業主になる前に注意することは?
個人事業主の場合、事業に専念するか、副業で個人事業主となるかというケースがあります。趣味が高じて、副業となり、さらに本業となった移行型の個人事業主も多いのではないかと思われます。
注意点として、副業・本業にかかわらず、事業を始める前にはプライベートの銀行口座と事業の銀行口座は極力分けておきましょう。そして、クレジットカードも分けて事業用のカード引き落としは事業用の銀行口座になるようにしておきましょう。通帳やカードの明細書は申告の根拠として必要ですので、わかりやすくシンプルにしておきましょう。
副業の場合
自分の事業をどの所得で申告するかということを明らかにしておきましょう。副業であっても本業であっても、原則として「対価を得て継続的に行う事業」は事業所得とされます。
一方、雑所得とは、所得税法において「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得」と定義されます。
所得税法においては、雑所得以外の9種類の所得はそれぞれの所得について規定されるものの、そのどれにも当てはまらない所得を雑所得と捉えることとしています。
条文にはありませんが、判例などでは事業所得とするには、社会通念に照らして客観的に事業としての実態があり、営利性や有償性、継続性・反復性などの要件が求められます。副業の場合には、事業所得となるかどうかをよく考える必要があります。
また、少し気になる所得税基本通達の改正案が出されました。この改正案は、副業の場合、その副業の収入が300万円未満のときは雑所得にするというものです。副業であっても、事業所得として青色申告特別控除を受け節税をしたいところ、この通達により雑所得となれば、この控除は受けられなくなります。
まだ立案の段階ですが、これによって副業の捉え方も少し変わってくるかもしれません。最新情報は国税庁などのサイトを参照ください。
副業について詳しくは、以下をご参照ください。
副業でない場合
副業でなく、事業に専念する場合においては、事業所得や不動産所得となるケースが多いと言えます。この場合には、青色申告制度を利用するかを検討しましょう。
所得税において、複式簿記によって会計帳簿を作成し、正しく確定申告をする人について、所得金額の計算などについて有利となる「青色申告制度」があります。特に、「青色申告特別控除」は、所得から最大65万円を控除することができるので、節税になります。
ただし、この制度を利用するためには、最初は税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。なお、雑所得では青色申告は認められません。開業届を出すまでに青色申告制度を利用するかどうかも検討しましょう。
個人事業の始め方・登録方法は?
個人で事業を始めるにあたっての大まかなフローを見ていきましょう。個人事業と言っても、業種や規模によってさまざまですが、例として一人で起業する場合のミニマルな始め方を見ていきましょう。
- 起業の内容を決める
どのように事業をして利益を出すのか、すなわちビジネスモデルを決めます。
競合他社などとの差別化や、売れるためのしくみ(マーケティング)を考えましょう。
決して難しく考える必要はありませんが、自分の事業の強みや弱みを明らかにしておきましょう。業種などによりますが、屋号なども決めるのはこのころです。
- 起業の方法を決める
事業を始めるためには何が必要か、仕入が必要であれば、どこから仕入れるのかなどを決めます。家族がいる場合には、家族の意見も受け入れるなど、周囲への影響も考慮します。
事業の規模が決まれば、事業計画書に落とし込んでみましょう。
初期投資、毎月の売上、費用、許認可など想定される問題にどのように対応するかなど、第三者に説明できるようにしておきましょう。頭の中だけでなく、紙やパソコンに実際書いてみることが重要です。
- 資金調達を行う
開業資金をすべて自己資金でまかなえる場合は問題ありませんが、借り入れが必要な場合には、資金調達をします。融資先にもよりますが、この資金調達では、事業計画書において資金回収計画が見えるようにしておきましょう。
また、細かいことですが、事業の取引において利用する銀行口座やクレジットカードなども登録しましょう。また、この時点でまだの人はマイナンバーカードも取得するとよいでしょう。
- 手続きを行い事業開始
税務署に開業届や青色申告承認申請書などを提出しましょう。また、地方税についても管轄の税事務所に開業申請書を提出しておきましょう。
実際に事業を開始して、準備もれなどに気付くことがあるかもしれませんが、焦らずに対応し、一人では難しい場合には、税理士などの専門家に頼り、人の雇用なども考えましょう。
個人事業主になるために必要な手続きは?
個人事業主になるためには、まずは開業届が必要です。さらに、青色申告承認申請や人を雇う場合に必要な書類の提出も求められます。
ここで、開業届や青色申告承認申請書の提出について、手軽に、かつ確実に提出できる方法として「マネーフォワード クラウド開業届」と「マネーフォワード クラウド確定申告」をご紹介します。
- マネーフォワード クラウド開業届
開業届の取得、提出などで悩まずに済むように、特別に知識がなくても次のような3ステップで開業届が作成できるクラウドツールです。
開業届だけでなく、青色申告承認申請など個人事業主を開始するための主な書類が作成でき、登録から書類の完成まですべて無料で利用できます。
- いくつかの質問に答えて書類作成の準備をする
- 入力フォームに沿って、住所、氏名、事業の種類などの必要事項を入力する
- 作成した書類を税務署に届出する
- マネーフォワード クラウド確定申告
初めての確定申告も安心してできるよう工夫されたクラウド対応の確定申告ソフトです。面倒な作業の自動化、確定申告書など必要な書類の自動作成、Macにも対応などと会計初心者にもやさしい設計となっています。青色申告だけでなく、白色申告にも対応しています。
1か月間の無料トライアル期間がありますので、メールアドレスがあればすぐにでも開始できます。
開業届を出して個人事業主になった後にやることは?
開業届等の手続きが済んだ後は、事業開始です。事業を開始するにあたっては、安心して事業を継続できるよう、万が一に備えて身の回りのことについて確認をしておきましょう。
社会保険についての確認
社会保険とは、医療保険、年金保険、介護保険などです。
個人事業主の医療保険は、基本的には国民健康保険に加入することが多いですが、直前まで勤務していた会社の健康保険を任意継続(2年間まで)することができます。また、収入等の制限はありますが、親や配偶者の健康保険の扶養対象者となることもできますし、個人事業主が加入できる健康保険組合もあります。
年金についても、国民年金だけになりますので、「国民年金基金」などプラスして加入できるものなどを検討してもよいでしょう。
保険の加入についての詳細は、以下をご参照下さい。
確定申告についての確認
個人事業主は、基本的には自分の所得を自分で計算して、税金を申告納付します。
よって、売上高や経費などを記帳しなければなりません。
経理が初めての場合、従業員に経理の得意な人を雇うという手もあります。まずは経理についてどのように対応するか個人事業主が早目に検討しましょう。
青色申告ならば青色申告決算書、白色申告ならば収支内訳書を作成した上、確定申告書を作成しますので、どのように帳票を作成するか検討しましょう。
確定申告についての詳細は、以下をご参照ください。
初めての確定申告で気を付けることは?
どの会計ソフトを利用しても、確定申告までの手順はほぼ同じです。ここでは青色申告を利用している個人事業主を想定して確定申告の手順を紹介します。
請求書や領収書、預金通帳などを集める
まずは、取引に関連する書類を集めておきましょう。取引の量にもよりますが、極力溜めずに取引のまとまりごとに帳簿に書き込むほうがよいでしょう。契約書や電子メールに添付された取引書類などもチェックしましょう。
特に、電子取引においてはプリントアウトして保管できるのは令和5年12月31日までです。それ以降は電子データとして保管する必要があります。
参考:パンフレット(過去の主な改正を含む)電子取引データ|国税庁
会計仕訳をして、決算書を作成する
記帳しやすいのは、日付順に並べた上、勘定科目ごとに帳簿を作成する方法でしょう。会計ソフトを利用する場合には、日付順にしなくても仕訳が正しく入力されれば、後はソフトが青色申告決算書まで作成してくれます。
特に気を付けたいのは、貸借対照表の残高です。今年の貸借対照表の期末残高は翌年の期首残高となり、一度間違うと間違い続けることになります。修正申告や更正の請求により、過去の申告書を修正することも可能ですが、手続きが複雑になりますので、貸借対照表の残高をよくチェックしましょう。
確定申告書を作成する
事業による所得を求めた後は、確定申告書では「事業以外の個人の情報」も記入していきます。確定申告書も会計ソフトを利用すると、自動的に決算書の結果を反映してくれます。
確定申告書の提出
確定申告書を作成したら、先に作成した決算書とともに提出します。医療費控除などの添付資料を付ける場合などには要注意です。確定申告書は、窓口持参・郵送などのほか、電子申告がありますが、電子申告を利用する場合には予め届けが必要となります。
参考:[手続名]電子申告・納税等開始(変更等)の届出|国税庁
最初の「請求書や預金通帳などを集める」以外をカバーする会計ソフトとして「マネーフォワードクラウド確定申告」をおすすめします。確定申告時だけでなく、事業の業績を分析する有力なツールとなります。
事業で利用する口座やクレジットカードの情報を入力しておけば、自動的に仕訳を作成する機能を利用して効率的に経理処理を済ませましょう。
始める手順やメリットを理解して個人事業主になろう!
個人事業主になるための手続きについて、予めだいたいの手順を知っておけば、開業へのハードルがそれほど高くなくなります。青色申告のメリットなどもよく調べて堅実な納税者でいたいものです。
スモールスタートであっても、事業は「継続」してその価値を高めるものなので、焦る必要はありません。スタート時は個人事業主としての基盤をしっかり固めるべく、わからないことは関係機関や専門家などによく相談しましょう。
個人事業主として開業するメリットについては、以下をご参照ください。
開業か会社設立か迷ったら、以下をご参照ください。

マネーフォワード クラウド開業届の導入事例
必要事項を入力するだけで簡単に開業届が作成できました。操作に関して悩んだところもなかったです。わかりづらい箇所でも、補足があったりしたので、いちいち調べずに必要事項を入力できたところは使いやすかったですね。
大学教員 早川 公 様
よくある質問
個人事業主の定義は?
個人事業主に確たる定義はありませんが、一般に法人を設立せず、個人で事業を営んでいる人を個人事業主と言います。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業の始め方は?
まず、起業の構想を具体化し、初期投資、売上、費用など事業の規模が決まったら、資金調達を行い、税務署等への手続きを行って事業開始となります。詳しくはこちらをご覧ください。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。