• 更新日 : 2023年6月29日

アパレルを経営したい人が増加中!立ち上げ方や向いている人を分析

「個人ブランドのアパレルショップやセレクトショップを立ち上げてみたい」若い世代を中心にアパレルショップの経営を夢見る人が少なくありません。とはいえ、アパレルショップを開業するという夢はあるものの、実際の立ち上げ方がわからないという人は多いのではないでしょうか。本記事では、アパレルショップの開業希望者を対象に、アパレルショップ経営の基本をお伝えします。

アパレルショップの経営者ってどんな仕事?年収は?

アパレルショップの経営者とはどんな仕事なのでしょうか。最近は実店舗に加えて、ネットショップのアパレルショップを立ち上げる人が増えてきています。また、実店舗とネットショップのハイブリッドでアパレルショップを立ち上げる人もいます。ここでは、実店舗とネットショップのハイブリッドのアパレルショップの経営者が行っている仕事について説明します。

接客

アパレルショップの経営者の多くは、自らショップオーナーとして来店客を接客し、来店客をもてなし、ニーズや希望に合わせて適切な商品をおすすめします。単に接客するのではなく、来店客に対してファッションコーディネーターとして機能するのも重要な仕事です。アパレルショップの経営者は、アパレルショップという空間において来店客とコミュニケートしています。また、ハイブリッドでアパレルショップを展開する経営者は、来店客がいない時間などを使ってネットからの注文や問い合わせに対応しています。

ショップのディスプレイ

ショップのディスプレイを整えるのもアパレルショップの経営者の重要な仕事です。商品の陳列に加えて、ショップのエクステリアや飾りつけなども整えます。また、シーズンごとのおすすめ商品などもわかりやすく陳列します。また何よりも来店客がお店のコンセプトやテーマを瞬時に理解できるようにディスプレイを彩ります。ショップのディスプレイは、アパレルショップの経営者の思いを来店客に伝える最前線の仕事であるといえるでしょう。

仕入れ・管理

商品の仕入れと管理も重要な仕事です。POSデータなどの売り上げのデータを見ながら売れ筋の商品を確認し、売り上げ予想とともに適宜仕入れを行います。また、ショップのプライム客層の好みやトレンドなどをインターネットなどでリサーチし、集めた情報をもとに仕入れを行います。

また、仕入れた商品の管理も大切な仕事です。売れ筋商品が欠品することがないよう、在庫管理を徹底する必要があります。なお、最近は多くのアパレルショップの経営者が在庫管理システムを使って在庫管理を行っています。

全体のマネジメント

ショップ全体のマネジメントも大事な仕事です。商品を仕入れ、陳列し、接客して販売するといった一連の仕事に加えて、集客を含めたマーケティング計画の策定、アルバイトのスタッフィングなどの人事管理、経理処理、資金繰り管理、在庫管理、税務、社会保険関連手続きなど、ショップの運営に必要なあらゆるタスクをこなす必要があります。また、仕入れ先の開拓や取引条件の交渉、ネットショップやホームページの運営なども行います。

平均的な年収は?

ところで、アパレルショップの経営者の平均的な年収はいくらぐらいでしょうか。アパレルショップの経営者の平均的な年収を示す公的な数字は存在しませんが、フリマアプリ開発大手のメルカリによると、実店舗型のセレクトショップの経営者の平均年収は250万円から400万円程度としています。また、実店舗に加えてネットでの販売を行う場合、それとは別に300万円程度の年収が上乗せされる可能性があるようです。いずれにせよ、全ては経営者の努力次第といったところでしょう。

アパレルショップ経営に役立つ資格は?

アパレルショップの立ち上げや経営に必要な資格は特にありません。個人事業でアパレルショップを開業する場合、所管する税務署へ開業届を出せば立ち上げが可能です。中古の衣類などを仕入れて販売する場合は所管する警察署で古物商許可証を取得する必要がありますが、新品を仕入れて販売する場合は不要です。いずれにせよ、以下の資格を取得し、そのために学ぶことは、アパレルショップの経営に有益な知識を与えてくれるでしょう。

ファッションビジネス能力検定

ファッションビジネス能力検定は、一般財団法人日本ファッション教育振興協会が実施しているファッションビジネスについての能力検定です。1級から3級まであり、2級と3級においては「ファッションビジネス知識」と「ファッション造形知識」の2科目で試験が行われます。1級においては「マーケティング戦略」「マーチャンダイジング戦略」「流通戦略」「マネジメント知識」「ファッションビジネス知識」といった高度なカテゴリーにおいて試験が行われます。

ファッション販売能力検定

ファッション販売能力検定は、ファッションビジネス能力検定と同じく一般財団法人日本ファッション教育振興協会が実施しているファッション販売についての能力検定です。1級から3級まであり、2級と3級においては「ファッション商品知識」「販売知識」「接客技術」「マーケティング」「VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)」などについて試験が行われます。1級においては「ショップ・マネジメント知識」のカテゴリーにおいては、「リーダーシップ、マネジャーの職務」「ショップの人事管理」など、より高度な内容も含まれた試験となっています。

リテールマーケティング(販売士)検定

リテールマーケティング(販売士)検定は、日本商工会議所が実施しているリテールマーケティング(小売マーケティング)についての能力検定です。売り場で必要な商品知識や販売技術、仕入れや在庫管理、マーケティングなどの販売の現場で必要とされる知識やスキルが問われる内容になっています。1級から3級まであり、3級は売り場の販売員レベル、2級は売り場の管理者クラスのレベル、1級は店長や経営者クラスのレベルをそれぞれ想定しています。

アパレルショップの経営者に向いているのはどんな人?

アパレルショップの経営者に向いているのはどんな人でしょうか。最近はネットショップでアパレルショップを立ち上げる人が増えてきていますが、頓挫するケースが少なくありません。また、実店舗のアパレルショップを立ち上げるケースでも同様に、経営を断念することも少なくありません。どのような人がアパレルショップの企業継続性を確保し、結果的にショップを成功させているのでしょうか。

ファッションが好きな人

アパレルショップの経営者に向いている人といえば、ファッションが好きな人です。特に女性のアパレルショップの経営者に多いのが、四六時中ファッションのことを考えていたり、インターネットや雑誌などで情報を収集したりするだけでなく、休日も他店をチェックして観察することです。セレクトショップの経営者などの場合、自分で選んだ商品が得意客に気に入られると無上の喜びとなることでしょう。このような経営者であれば、多少の困難があっても成功をつかむ可能性が高いでしょう。

慎重かつ大胆な判断ができる人

慎重かつ大胆な判断ができる人もアパレルショップの経営者に向いています。アパレルショップ経営の要諦は仕入れにあります。顧客ニーズと合致し、販売のタイミングが合った仕入れを行うことで売り上げ増加につながります。そうした仕入れを行うには、POSデータなどのデータを慎重に分析し、その上で自ら大胆に判断する必要があります。慎重と大胆は、一見トレードオフの関係にあるようですが、実際には共存できる関係です。この絶妙の意思決定ができることがアパレルショップ経営成功の必要条件です。

新しいことを積極的に取り入れられる人

新しいことを積極的に取り入れられる人もアパレルショップの経営者に向いています。今、デジタルトランスフォーメーション(DX)が世界的なトレンドとなっていますが、日本のアパレル業界も例外ではありません。RFIDタグを利用した在庫管理システム、無人会計システム、インターネットショッピングと実店舗のハイブリッド化、VRを使ったデジタル試着システム、メタバースへのバーチャル出店など、新たなテクノロジーが次々と生まれています。そうしたものを積極的に取り入れ、経営に活用できる人は今後のアパレルビジネスにおいて有利なポジションを獲得できるでしょう。

アパレルショップ経営での注意点は?

アパレルショップを経営する上での注意点は何でしょうか。どのビジネスでも共通していますが、経営が失敗する原因の大半は、顧客ニーズを確認しない、あるいは最初から顧客ニーズを無視して製品やサービスを売ろうとするといったということが挙げられます。逆に顧客ニーズを満たすことで売り上げを確保し、経営に必要なリソースを得ることが可能になります。

コンセプトを明確にする

顧客ニーズを満たすという前提で必要になるプロセスがコンセプトの明確化です。コンセプトの明確化とは、どのような消費者に対してどのような商品を販売するかについてのイメージといっていいでしょう。あるいは、ブランドに託された消費者へのメッセージといっていいかもしれません。コンセプトとそのメッセージの受け手である消費者が「共感」し、「同じ価値観を共有する」ことで、アパレルショップと消費者との関係がスタートします。

最新のトレンドを知る

また、アパレル業界の最新のトレンドを知ることも重要です。特に自分のブランドやショップのコンセプトと似たブランドやショップにおける最新のトレンドを知ることが重要です。どのような商品が売れ筋なのか、どういう消費者が買っているのかといった情報を収集し、自分のショップの品ぞろえに反映させる必要があります。また、多くのアパレルショップの経営者が、日本のみならずアメリカやヨーロッパ諸国など海外のショップの最新トレンドをチェックしています。

顧客を知り、理解する

顧客を知り、理解することも非常に重要です。顧客各々のプロフィール、服や靴のサイズ、ファッションの好み、購買履歴などを、合法の範囲内で可能な限り入手し、理解する必要があります。ネットショップで得た顧客情報などもデータベース化し、アクセス可能な状態にしておく必要があります。実店舗の場合、購買履歴などの顧客情報はCRM(Customer Relationship Management,顧客管理システム)などを使って管理し、顧客との関係性構築に活用すると良いでしょう。

必要な経営知識も身につける

また、必要な経営知識を身につけることも重要です。ここでいう必要な経営知識としては、経営戦略、マーケティング、財務会計、法務、人事、サプライチェーンマネジメントなどが挙げられますが、特にマーケティングの知識を身につける必要があります。アパレルショップの中には、適切なマーケティング計画を策定せずに、成り行きで経営を行っている場合があります。中には、集客の努力もせず、お客が来るのをひたすら待っているという極端な例もあります。マーケティングの知識を身につけ、店舗とニーズにあった適切なマーケティング計画を策定して実行することが求められます。

憧れのアパレルショップ経営者を目指そう!

以上、アパレルショップの開業希望者を対象に、アパレルショップ経営の基本をお伝えしました。アパレルショップは、開業に必要な資格や許認可などが必要なく、比較的簡単に立ち上げられます。しかし、その参入ハードルの低さゆえ、競争が激しいともいわれています。これからアパレルショップの立ち上げを目指す方には、本記事でお伝えした内容を参考にしながら、知識と理論を獲得し、成功に導きましょう。


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