- 作成日 : 2022年8月10日
会社経営を成功させるために大事なこととは?おすすめの資格や本も紹介!
会社経営とは、事業を成長させて売上と利益を創出し、企業という組織運営を行うことです。経営は必ずしも成功するとは限りません。赤字や倒産などの失敗のリスクを防ぐためには、販売管理や財務会計管理・労務管理が必要であり、適度な節税対策も重要です。
本記事では、会社経営を成功させるために大事なことについて、詳しく解説しています。また、会社経営の知識を学ぶうえでおすすめの本や資格、無料の相談窓口について解説します。
目次
会社経営とは?
そもそも会社経営とは、会社を存続させ発展させることです。会社経営では、「ヒト(社員)」「モノ(商品や設備)」「カネ(資金)」「情報」という経営資源をマネジメントすることで、事業を成長させます。
経営者には、事業を拡大して成長させ、売上・利益のアップを目指して黒字経営を維持することが求められます。そのためには、常に新規顧客の獲得と適切な組織運営が必要です。
会社経営が失敗するリスクは?
会社経営には、もちろん失敗するリスクもあります。赤字経営から業績が回復せず、自己資金が枯渇して融資が受けられなくなると、資金が底を尽き、いわゆる経営破綻に陥るのです。
中小企業庁が発表しているデータによると、経営破綻に陥る主な理由には、以下の5つが挙げられます。
- 販売不振
- 既往のしわよせ
- 放漫経営
- 連鎖倒産
- 過少資本
参考:倒産の状況|中小企業庁
「販売不振」は、商品やサービスの売上が上がらないことです。
「既往のしわよせ」は、経営状態の悪化に気づけず、しわよせで倒産してしまうことを指します。
「放漫経営」は、検討が不十分なまま事業展開や投資を行って失敗してしまうことです。
「連鎖倒産」は取引先の経営状況悪化の影響を受けて、自社も連鎖的に倒産してしまうことです。
そして、「過少資本」は会社の資本が枯渇し、債務超過になることを指します。
赤字経営でも会社が倒産しない理由は?
企業は、赤字だからといって倒産するわけではありません。本業は黒字でも、営業外費用や特別損失の影響で一時的に赤字になっている場合もあります。こうしたケースでは、来期以降黒字になる可能性が高いため倒産には至りません。
また、営業損益が赤字であっても十分な現預金を保有している場合も、すぐには倒産に至りません。特に、前期以前に固定資産を購入し、後の事業年度で経費計上している場合は、赤字であっても現預金に余裕があるケースが多いです。
さらに、金融機関から融資を受けたり、以前まで安定的に黒字を出していたりした場合も、その事業年度が赤字だからといってすぐに倒産するわけではありません。ただし、融資には返済義務があります。また、経営状態が改善せず赤字が続いてしまうと、いずれ倒産する可能性が高いです。
会社経営を成功させるために大事なことは?
会社経営を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- 販売管理
- 財務会計管理
- 労務管理
- 節税対策
これらは、起業する際に理解しておくべき必須の知識です。以下では、会社経営を成功させるための重要なポイントについて詳しく解説します。
売上・利益を向上させる販売管理
売上・利益を上げるためには、仕入れから販売までの工程を管理する販売管理が必要です。会社の収益の柱であり、適切な販売管理を通して販売の効率化や売上アップが見込まれます。
仕入れから販売までの一連の工程には、複数の部門が関わっています。そのため、販売管理においては各工程に注目するだけでなく、部門間の連携強化を図って全体を最適化する必要があります。
経営状況を把握する財務会計管理
財務会計管理は、資金の管理や売上・利益の把握など、経営状況を把握するうえで非常に重要です。特に、資金繰りを把握して適切な策を講じられるか否かが、会社の経営状況を左右します。
経営者は、資金繰りを把握して支払いと回収のサイクルを正常化させ、資金調達や投資など的確な判断を下すことが求められます。そのためには、財務会計に関する基礎を理解する必要があるのです。
従業員を活かす労務管理
会社は、経営者1人で成り立つわけではありません。経営を成功させるためには、従業員の労働環境を整備する労務管理が必要になります。労務管理は、勤怠管理や福利厚生の充実のように、従業員にとって働きやすい労働環境を整備することです。
適切な労務管理によって従業員のモチベーションアップやスキルアップが実現し、ひいては会社の成長につながります。
適切な節税対策
経営者には、税金や節税対策に対する知識も求められます。利益が出るとその分法人税が多く課税されるため、適切な節税対策を行うことが有効です。節税対策には、使用していない固定資産の削減や在庫の処分、共済への掛金、定額同額給与で役員報酬を支給して損金に計上する、などさまざまな方法があります。
しかし、節税対策では、単に多くの経費を計上すればいい、というわけではありません。また、過度な節税対策や決算直前にいきなり節税対策を行うことは不適切であり、税務署の調査対象になる可能性が高いです。節税対策は、計画的に、適度に行う必要があります。
会社経営の知識を学ぶのにおすすめの本は?
前述のとおり、会社経営にはさまざまな知識が必要です。財務会計や労務管理、税金に関する知識だけでなく、経営者としてのマインドセットの勉強も欠かせません。会社経営に関する知識は、セミナーや本などから学ぶことができます。ここでは、知識を学ぶうえでおすすめの本を2冊紹介します。
起業の科学 スタートアップサイエンス
こちらは、多くのスタートアップが直面する課題と解決策を、時系列で整理した1冊です。
失敗のリスクを減らし、会社経営を成功に導くための科学的な起業について解説しており、起業の入門書と言えます。
著者の田所雅之氏は、日本とシリコンバレーで合計5社を起業してきた実績を持つ経営者です。スタートアップを経営するうえで必要な考え方が網羅されているため、起業のはじめの1歩としておすすめです。
著書 | 田所雅之 |
出版社 | 日経BP社 |
ページ数 | 280ページ |
価格 | 2,530円(税込) |
改訂2版 最新 いちばんわかりやすい 会社のつくり方がよくわかる本
こちらは、起業の基礎がわかりやすく書かれた書籍です。会社をつくるメリット・デメリットや、税金の計算方法、起業前にやるべきことや会社の作り方など、会社を起業し経営するうえで理解しておきたい知識が丁寧にまとまっています。
「いちばんわかりやすい」と謳われているとおり、会社設立に必要な知識から税金シミュレーション・決算公告といった経営に役立つ知識まで、非常にわかりやすく解説しています。会社設立・経営のハードルがぐっと下がる、おすすめの1冊です。
著者 | 原尚美 |
出版社 | ソーテック社 |
ページ数 | 284ページ |
価格 | 1,628円(税込) |
参考:改訂2版 最新 いちばんわかりやすい 会社のつくり方がよくわかる本|株式会社ソーテック社
会社経営に役立つ資格は?
会社経営において資格の取得は必須ではありません。しかし、取得することで有利になる資格もあります。ここでは、会社経営に役立つ資格として、以下の4つを紹介します。
- 公認会計士
- 中小企業診断士
- ビジネス実務法務検定
- 社会保険労務士
資格を取得するメリットは、取得により対応できる業務の幅が広がるだけでなく、取得に向けて知識を習得できることです。資格試験に時間を取られすぎるのは本末転倒ですが、ほかのやるべきこととバランスをとりながら、ぜひ挑戦してみてください。
公認会計士
公認会計士は、監査・会計の専門家として財務情報の正しさを監査する士業です。監査業務だけでなく、会計・税務に関するコンサルティングを行う公認会計士も存在します。取得にあたって、会計や会社法など、会社経営に役立つ幅広い知識を習得できるのが魅力です。
会社経営において財務会計に関する知識は非常に重要であり、最近では、公認会計士が一事業会社を起業・経営する場合も増えています。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営状態を診断し、分析に基づいてアドバイスできるようになる国家資格です。資格を取るにあたって、経済学やマーケティングなど、経営する上で必須の基礎知識を幅広く学べます。経営コンサルタントとして起業しようとしている方には特におすすめの資格です。
また、取得することで、経営者自ら自社の経営状態を分析できるようになる、というメリットもあります。
参考:中小企業診断士試験|J-SMECA
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、民法・会社法・労働法など、ビジネスに関わる法律についての資格です。取得にあたって、経営者として最低限の法律の知識を学ぶことができ、経営において重要な事業の法的リスクを理解できるようになります。
実際の法的な業務は弁護士に依頼することがほとんどですが、その際に経営者自らが法律の基礎を押さえていれば、適切に依頼・説明することができるというメリットもあります。
社会保険労務士
社会保険労務士は、労務や社会保険に関する国家資格です。取得にあたって、労働基準法のように雇用主として最低限知っておくべき法律や、適切な労働環境を整備するための労務管理について学べます。
経営者自らが、適切な雇用条件の設定や従業員からの疑問への対応ができるようになるため、特に複数の従業員を雇用する場合は、取っておくと役立つ資格です。
会社経営について無料で相談できる窓口は?
会社経営を考えている場合は、相談しながら進めることが大切です。中小企業庁や各自治体が、会社経営について無料で相談できる窓口を設けています。ここでは、無料で相談できる相談窓口を紹介します。
また、以下の中小企業庁のサイトには、相談内容ごとに細かく窓口情報が記載されています。こちらも併せてご参照ください。
参考:各種相談窓口|中小企業庁
都道府県等中小企業支援センター
都道府県等中小企業支援センターは、中小企業や小規模事業者が抱える課題や、資金調達などの相談に対応してくれる窓口です。47都道府県と13政令指定都市に設置されており、経営全般の課題に対応しています。
窓口相談だけでなく、必要に応じて専門家の派遣や情報提供、事業可能性の評価などを行います。中小企業のあらゆる経営課題に対応し、きめ細かく支援してくれる窓口です。
参考:都道府県等中小企業支援センター(平成31年4月現在)|中小企業庁
よろず支援拠点
よろず支援拠点は、中小企業や小規模事業者が抱える課題にワンストップで対応してくれる窓口です。47都道府県に設置されています。都道府県等中小企業支援センターと同様に、経営全般の課題に対応しているのが特徴です。何度も無料で相談でき、相談に応じて適切な提案も行います。以下のサイトからお近くの拠点を見つけ、ぜひ利用してみてください。
中小企業金融相談
中小企業金融相談とは、資金繰り全般についての相談に対応している窓口です。電話でも気軽に相談できます。新型コロナウイルスの影響で資金繰りに苦労している企業の支援を目的に開設されましたが、資金繰り全般の相談を幅広く受け付けています。資金繰りは黒字経営のために重要なポイントです。不明点や心配事項がある方は、ぜひ一度相談してみてください。
会社を経営するにはリスクマネジメントが大切!
本記事では、会社経営とは何か、経営を成功させるポイントやおすすめの本、資格などを解説しました。また、会社経営について無料で相談できる窓口も紹介しました。経営資本を活用して売上を立て、事業を成長させていく会社経営には、失敗のリスクもあります。
失敗を防ぐためには、販売管理や財務会計管理、労務管理、さらには節税対策に関する知識を理解することが大切です。また、不明な点は中小企業庁や各自治体が設ける専用の窓口に相談し、常にリスクマネジメントを徹底しましょう。
よくある質問
会社経営の成功のために大事なことは?
売上・利益を向上させるための販売管理、経営状況を把握するための財務会計管理、従業員を活かすための労務管理、そして適切な節税対策が重要です。詳しくはこちらをご覧ください。
赤字でも企業が倒産しないのはなぜ?
営業外費用や特別損失の影響で一時的に赤字の場合は、来期以降黒字になる可能性が高いです。また営業利益が赤字でも十分な現預金を保有している場合は、すぐに倒産には至りません。しかし、経営の改善が必須です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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