• 作成日 : 2024年10月25日

リフォーム業の事業計画書・創業計画書の書き方は?建設業向けに記入例を解説

リフォーム会社を開業する際、最初に取り組むべきことは事業計画書の作成です。特に融資を受けて資金調達を行う場合、安定した経営を実現するためには事業計画書が欠かせません。

この記事では、リフォーム業を開業する方に向けて、テンプレートを用いた事業計画書の書き方をご紹介します。

リフォーム事業など建設業に必要な事業計画書とは

事業計画書とは、事業の目的や具体的なサービス・商品の内容、将来の見通しをまとめた書類です。リフォーム業界は競争が激しく、工務店やハウスメーカーなども競合に含まれます。また、リフォーム業では機材や資材の準備に多額の経費がかかるため、計画をしっかり立てておかないと資金不足に陥る恐れがあるでしょう。

銀行や信用金庫などの金融機関から資金を借り入れる際には、審査を通過する必要があり、事業計画書の提出が求められます。そのため、融資を利用して資金調達を行う場合、事業計画書の作成は必須となるでしょう。

リフォームの事業計画書の書き方・記入例

ここからは具体的に事業計画書の書き方や記入例をご紹介し、書き方のポイントを説明します。

創業動機・目的

まずは開業する業種と開業予定時期、創業動機や目的を明確に記載しましょう。「一般住宅のリフォームに大きな将来性を感じており、同分野に特化した建設業者となるため独立開業をする。管理業務の経験もあり、また経験豊富なスタッフも集まったため、すぐにでも活動を始められる状態にある。」というニュアンスで、これまでの経験で感じたこと、開業したいと思った経緯、現在の状況について書きましょう。

職歴・事業実績

これまでの学歴や職歴、経験について記載します。履歴書の職歴欄のように「○年○月 ○○建設に入社」というように、年次と担当した業務内容を書きましょう。また、アピールしたい経験・経歴がある場合、「管理責任者として建設現場を仕切る。また、契約・工程・原価などの管理業務にも携わる」といった内容で1行程度で簡潔に記載します。

取扱商品・サービス

リフォームの領域は非常に幅広いため、「内外装工事」や「水回り工事」といった取扱商品・サービスの内容を、簡潔かつ明確に記載しましょう。

セールスポイントや販売ターゲット・戦略については、自社がどのようなサービスを、どこで、誰に、どのように提供するのかを具体的に記載します。例えば「○○県内を中心に一般住宅のリフォームを行う」「リフォームに特化しており、特に空き家のリフォームに強みがあることをアピールして宣伝する」といったわかりやすい表現が望ましいでしょう。

また、競合や市場の状況についても触れてます。例えば、「新たな生活様式に合わせたリフォームの事例が増えている。また、空き家問題に国や地方自治体が取り組んでおり、空き家リフォーム件数も増加傾向にある」といった国や地域の事情、ライバルの動向を分析して記載します。

取引先・取引関係

販売先、仕入先、外注先の名称やシェア、掛取引の割合、回収・支払いの条件について、下表を参考に記載しましょう。

取引先名シェア掛取引の割合回収・支払の条件
株式会社○○40%100% 末 日〆 翌月末 日支払

また、従業員を雇用する場合は、給与の〆日と支払日、ボーナスの支給日についても記載します。

従業員

常勤役員、従業員(3カ月以上継続雇用している者)、家族従業員、パート従業員の人数を記載します。

借入の状況

代表者の借入状況について記載します。下表のように借入先名と借り入れの種類、残高、年間返済額を明記しましょう。なお、事業に関する借り入れだけでなく代表者のプライベートな借り入れも漏れなく記載する必要があります。

借入先名借入残高年間返済額
○○銀行

○○支店

□事業☑住宅□車□教育□カード□その他1,000万円 100万円

必要な資金と調達方法

開業・事業の運営に必要な資金の内訳と金額、そして資金調達の方法とそれぞれの金額について記載します。

必要な資金に関しては「オフィス取得費 ●●社 ●●万円」というように費用名と見積先、金額について記載します。調達の方法については「日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入 1,000万円」といった記載にし、調達先と金額を明確にしておきましょう。

最後にそれぞれの金額の合計を記載しますが、必要な資金が調達資金を上回ると赤字になる可能性があります。両者の合計が合致するようにしましょう。

事業の見通し

売上高、売上原価、経費(人件費、家賃、支払利息など)の見通しについて、開業直後と1年後もしくは事業が軌道に乗った後について、適宜記載します。また、この見通しを立てた根拠も記しておきましょう。

創業当初

1年後または軌道に乗った後( 年 月頃)見通しに関する根拠を記入する
売上高①960万円1,200万円(収支計画)

<創業当初>

① 売上高

従業員1人あたりの平均売上高120万円×8人=960万円

② 原価率 35%

③ 経費

人件費:役員報酬80万円、従業員45万円×8人

家賃:22万円

支払利息:1,000万円×年2.4%÷12カ月=2万円

その他:機材・車両維持費等 50万円

<創業1年後>

  •  売上高

従業員を2人雇用。従業員1人あたりの平均売上高120万円×10人=1,200万円

② 原価率 創業当初の割合を維持

③ 経費

人件費:従業員を2人雇用

その他:10万円増加

売上原価②
(仕入高)
336万円420万円
経費人件費440万円530万円
家賃22万円22万円
支払利息2万円2万円
その他50万円60万円
合計③514万円614万円
利益①-②-③110万円166万円

リフォームの事業計画書・創業計画書に使える無料テンプレート

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リフォーム事業を開業するときの資金調達方法

一般的に事業を立ち上げる際に、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けるケースが多い傾向です。しかし、融資を受けるとなると審査に通過する必要があり、特に新規で開業される方、他に借り入れがある方にとっては、どうしてもハードルが高くなります。

そこで、融資以外にも以下のような方法で開業資金を調達することが可能です。

日本政策金融公庫の創業融資を活用する

日本政策金融公庫とは、主に中小企業や小規模事業者、農林水産従事者などの支援を目的として設立された政府系の金融機関です。新しくリフォーム会社を開業される方は同金融公庫の創業融資の活用を検討してみましょう。

こちらの資金は、実績がまだない方でも申し込める、所定の要件を満たせば、無担保・無保証人、低金利で借り入れられるなどのメリットがあります。

補助金・助成金を活用する

国や自治体では、経済の活性化や雇用の安定化、新しい産業の創出などを目的として、さまざまな補助や助成制度を提供しています。これらを利用するには一定の要件を満たし手続きを行う必要がありますが、返済不要や無利息、資金以外の支援が受けられるなど、多くの利点があります。

特にリフォームにおいては、住宅の省エネ化や耐震工事などの費用を助成する制度もあり、これらを顧客に提案して活用することで、ビジネスを有利に進めることができるでしょう。

リフォーム事業の資金調達を成功させる事業計画書のポイント

最後に、リフォーム会社を開業する際に資金調達を成功させる事業計画のポイントについて見ていきましょう。

事業の内容を明確にし、他社との差別化を図る

リフォームには、内外装工事や電気工事、水回り工事など、さまざまな工事があります。しかし、「リフォーム業を始めたい」と考えても、具体的な事業のイメージがつかみにくいことがあります。どの工事が可能か、またはどの分野に特化するかは、会社によって異なるので、具体的な事業内容を決めておきましょう。

さらに、リフォーム業界は競合が非常に多いため、「緊急時でも迅速に対応できる」「空間を生まれ変わらせるデザイン力」「リーズナブルな工事」など、自社の強みを明確にすることが重要です。

見通しはシビアに立てる

特に融資や補助金・助成金の審査担当者は、事業の見通しを厳しくチェックする傾向があります。経費がどんぶり勘定だったり、売上予測が楽観的すぎたりすると、信用を得ることが難しくなります。

経費については漏れがないように注意し、可能であれば仕入先や外注先から見積もりを取り、正確に算出しましょう。売上予測に関しても、根拠をしっかりと示し、現実的で信頼性の高い見通しを立てることが重要です

リフォームで開業するならまずは事業計画から

リフォーム会社を開業する際、事業計画の作成は非常に重要です。ビジョンが明確でない事業計画書では、資金調達が難しくなるでしょう。また、事業の見通しが甘いと、判断ミスにより経営が思うように軌道に乗らないリスクも高まります。

何事も計画が基本です。開業準備を進める前に、まずは事業計画書をしっかりと時間をかけて作成しましょう。


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