• 作成日 : 2024年11月29日

助成金とは?支給までの流れや活用するメリット・デメリットを紹介

助成金とは、労働環境改善などの企業の取り組みに対して払われるお金です。しかし助成金にはどのような制度があって、どう申請すればよいかわからない方も多いでしょう。

助成金の支給を受けるためには、支給要件を満たす必要があります。今回の記事では助成金の内容や、申請方法などについて詳しく紹介します。

助成金とは

助成金とは、企業が国の政策に沿った取り組みをした際に支給されるお金のことです。助成金の目的などについて、紹介していきます。

目的

助成金の大きな目的は、労働環境を安定させることです。景気や経済状況の変化の影響によって雇用の確保ができていない企業や、労働環境の整備ができていない企業は少なくありません。助成金を通じてこのような企業の労働環境・問題を、改善したり整備したりすることが目的です。

また助成金には雇用の安定のほか、研究開発にかかるものもあります。雇用に関する助成金では企業の労働環境に関する問題を解決することが目的でしたが、研究開発の場合は新しい技術や製品、サービスなどの開発を支援することが目的です。このように課題の改善などに取り組んでいる企業を支援することを目的として、助成金の制度があります。

財源

助成金の財源は、ほとんどが雇用保険の保険料で賄われています。雇用保険というと失業時の給付金などのイメージが強いかもしれませんが、それだけではありません。助成金を通じて企業の雇用の安定や、新製品の開発支援などにも充てられています。

管轄

助成金の管轄は、厚生労働省です。前述のように助成金は雇用や労働環境に関する問題を解決することが目的であるため、厚生労働省の管轄となっています。実際の申請や支給の事務は、各都道府県の労働局が担っています。

給付額

助成金の給付額は、制度によって異なります。ただし目的が労働環境の改善であり、また補助金などに比べると比較的受給しやすく金額は低めの場合が多いです。制度にもよりますが数十万から、多くても100万円程度が一般的です。

公募期間

助成金の公募は通年で受付しています。申請の期限が決まっている補助金と違って、いつでも申請できます。

助成金と補助金・給付金の違い

成金とよく似た制度に、補助金や給付金があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

政策に沿った事業を支援する補助金

補助金は、国の政策目標などに沿った取り組み・事業を行っている法人や、個人事業主に対して支給されるお金のことです。補助金は特定の目的に対して提供される点が特徴で、研究開発や設備投資のほか、地域振興に対するものもあります。

助成金との一番の違いは審査があることで、申請しても必ず支給されるわけではありません。政策に沿った事業であるかどうかなどを審査されるため、申請書類も多く支給を受けることは簡単ではありません。ただし支給された資金を返済しなくてよい点は、助成金と同じです。

災害などの支援で行われる給付金

給付金は、国や自治体が特定の個人や事業主に対して支給される資金です。給付金は特定の条件や目的のために支給されることが多く、災害時の支援や育児支援などに対して支給されます。助成金や補助金と違って、個人を対象にしている場合が多いことも特徴といえるでしょう。

また給付金は災害時の支援など迅速な支給が求められるため、申請手続きが比較的簡単です。助成金・補助金と同様に返済は不要ですが、条件を満たさなかったり不正があったりした場合は返済を求められることがあります。

助成金の支給までの流れ

助成金を申請して、支給されるまでの流れは次の通りです。

  1. 申請する助成金を決める
  2. 事業計画を作成する
  3. 助成金を受けるための計画を実施する
  4. 助成金の申請を行う
  5. 助成金が支給される

助成金には多くの制度があるため、まずは申請する助成金を見つけましょう。助成金の制度を探す際には、厚生労働省などのWebサイトのほか社会保険労務士のサイト、助成金のポータルサイトなどが参考になります。

申請する助成金を決めたら、事業計画を作成します。助成金は要件を満たしていても、事業計画がなければ受けられません。事業計画書を策定し提出した後は、事業計画に沿った活動を行いましょう。助成金の中には社内の制度を変えるだけでクリアできるものもあれば、6ヶ月従業員を雇用するなどのように時間のかかるものもあります。

受給要件をクリアしたら、申請を行いましょう。助成金の制度によって、申請は要件をクリアしてから2ヶ月以内、などの制約があるものもあります。申請したのち数ヶ月程度で審査が行われ、支給されます。

助成金を活用するメリット・デメリット

助成金を利用する際には、メリット・デメリットを理解したうえで検討する必要があります。助成金を活用するメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリット

助成金を活用するメリットには、次のようなものがあります。

  • 返済不要で雑収入を計上できる
  • 労働環境を整えられる
  • 社員の満足度を向上できる
  • 優秀な人材が確保できる
  • 社会的な信用を得られる

助成金は申請をすれば必ず支給されるだけでなく、一度支給されれば資金の使い道は決まっていません。そのため運転資金として利用できるだけでなく、返済も不要です。会計上は雑収入として計上できるため、利益にも貢献できます。

助成金を受給するためには、会社の労働環境を整えなければなりません。会社からすれば一時的に費用面などで負担を伴う場合もありますが、社員にとっては働きやすくなり満足度の向上につながるでしょう。

労働環境を整え、社員の満足度が向上することで優秀な人材が流出してしまうことを防げます。また助成金を受けられるということは国の求める政策や要件をクリアしている証であるため、社会的な信用も向上するでしょう。労働環境が整い、社会的な信用が向上することで優秀な人材を採用しやすくなります。

デメリット

助成金を活用するデメリットには、次のようなものがあります。

  • 申請に手間がかかる
  • 会社の負担が増える
  • 受給するまでに時間がかかる
  • 変更や廃止される場合がある
  • 法人税の課税対象となる

助成金を利用するためには、申請するための要件を整える必要があります。事業計画の策定だけでなく、計画に沿った事業を運営しなければなりません。社内のリソースを割く必要があるため、本業に支障が出る場合もあるでしょう。

労働環境を整えるためには、タイムカードの整備や残業代の完全支給など資金面の負担も伴います。研修や人事制度の更新など本業以外に社内リソースを使わなければならず、資金面以外でも会社に負担がかかるでしょう。

一時的に費用を負担しなければならない一方で、助成金の支給までは時間がかかります。その間は自己資金で賄う必要があるため、資金繰りに影響が出てしまうこともあるでしょう。さらに国の方針などによって、制度が変更・廃止されてしまう可能性もあります。

支給された助成金は雑収入として計上するため、法人税の課税対象となってしまう点にも注意が必要です。助成金を受け取る際には、あらかじめ税金がかかることを踏まえて資金繰りを計画しましょう。

助成金を活用した企業の成功事例

助成金を活用して、安定運営を実現した成功事例を紹介します。とある飲食店のチェーンではアルバイトの定着率が低く慢性的に人手不足となっていることが課題でした。そこでキャリアアップ助成金を活用し、アルバイトの正社員転換を促しました。

アルバイトから正社員へ転換できるという道筋を示すことで、従業員のモチベーションが向上しました。結果として人手不足が解消し、店舗の安定運営を実現しています。このように助成金を活用することで、業績改善や安定運営に成功した企業も少なくありません。

キャリアアップ助成金とは、企業が非正規社員を正社員に転換したり、賃金や待遇を改善したりした場合に支給される助成金です。多くの企業が人材確保に課題を抱えている中で、大きな助けとなっている助成金です。

キャリアアップ助成金には、次のようなコースがあります。

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 資格取得・能力向上コース

それぞれ従業員の労働環境改善や、スキルアップなどを支援する内容となっています。ほかにも健康診断の実施や、多様な勤務形態の導入など多数のコースがあります。自社の課題に合った助成金を活用するようにしましょう。

助成金を活用して業績改善に繋げよう

助成金とは労働環境の改善や、新商品の開発などに取り組む企業を支援する目的で支給されるお金のことです。助成金は大きな金額を支援してもらえるわけではありませんが、銀行融資と違って返済する必要がありません。

また補助金のように利用にあたって審査があるわけではないため、気軽に利用できます。従業員の労働環境改善などに使える助成金も多く、人材不足や従業員の満足度改善が課題となっている企業におすすめです。助成金をうまく活用して、業績改善や人材確保へと繋げましょう。


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