• 更新日 : 2023年10月25日

リサイクルショップを開業するには?必要な資格や儲かる経営のコツを解説

リサイクルショップを開業するには?必要な資格や儲かる経営のコツを解説

リサイクルショップは中古品の売買が生じる事業のため、営業するには古物商許可が必須です。リサイクルショップ開業のためには、古物商許可のほか、どのような準備が必要になるのでしょうか。リサイクルショップ開業のために知っておきたい、許認可や開業方法、開業の流れなどを解説していきます。

リサイクルショップ開業に必須の許認可は?

リサイクルショップを営業する事業者は、盗品の売買防止や盗品被害があったときの早期発見の観点から、「古物商許可」の取得が義務付けられています。

リサイクルショップ開業には「古物商許可」が必要

古物商許可は、古物営業をする場合に必要です。

古物とは、度使用されたことのある物品(いわゆる中古品)、未使用品で使用のために取引されたものまたは販売のために手を加えたものをいいます。ただし、船舶・航空機・鉄道車両など、政令で定める大型機械類は除きます。

古物営業とは、古物の売買や交換、委託を受けての古物の売買や交換、古物商間の売買や交換のための市場にかかわる営業、古物競りあっせん業のことです。

リサイクルショップは、古物の買い取りや販売がメインの事業です。古物商許可が必要な範囲に含まれますので、古物商許可の取得が必要になります。

なお、古物商許可を受けた事業者は、取引相手を確認する義務、インターネット上での許可証番号などの表示義務、宝石や貴金属を扱う古物商は疑わしい取引かと疑問を持った場合の届出義務などが生じます。これらの義務を古物商が履行することによって、盗品売買防止や盗品の早期発見につなげられる仕組みです。

リサイクルショップ開業は儲かる?年収の目安

リサイクルショップ開業後の年収は、ショップの規模や取り扱う商品(ブランド物などの高単価商品を扱うのかどうか)などで異なります。

リサイクルショップの店長やマネージャー職の求人は300~600万円で募集されていることが多いため、この辺りがひとつの年収の基準になるかもしれません。

しかし、個人が開業する場合は取り扱う商品のジャンルや営業形態などを自由に決めやすいことから、やり方次第ではより高い年収をねらうこともできるでしょう。

リサイクルショップの開業方法

リサイクルショップの開業方法は、店舗型と無店舗型の大きくふたつに分けることができます。

店舗型リサイクルショップ

店舗型は、お店を構えて、実店舗で古物の買い取りや販売を行う方法です。実店舗で営業するため、店舗の用意や設備費、店舗維持費(家賃や水道光熱費など)がかかります。

出張買い取りや宅配買い取りなどと比べて顧客が買い取ってもらいたい商品を持ち込みやすく、地域密着型の経営になるのが店舗型リサイクルショップの特徴です。

無店舗型(ネット販売)リサイクルショップ

無店舗型は、実店舗を持たずに古物の買い取りや販売を行う方法です。顧客の自宅や顧客の指定した場所などに向かい査定を行う出張買い取りやインターネット上で買い取り(宅配買い取り)や販売を行うネットショップ型のリサイクルショップがあります。

店舗型ほど初期投資が必要ないためリスクを抑えて開業できるのが特徴です。ただし、店舗のようなわかりやすい目印がないため、いかに認知してもらい信頼性を高めていけるかがポイントです。

リサイクルショップの開業資金は?

リサイクルショップの開業の必要な資金は、どのような方法で開業するか、どのような古物を取り扱うか、どの程度の規模で開業するか、スタッフを雇用するか、などで異なります。リサイクルショップの開業で準備しておくことや項目別の必要資金をみていきましょう。

店舗取得や設備費用

店舗型リサイクルショップを開業する場合は、店舗取得にかかる費用や設備費用が発生します。具体的な費用については立地やお店の規模、内装費用や外装費用にどのくらいかけるかなどで異なりますので一概にはいえません。

例えば、店舗用の物件を借りる場合は、初期費用として前払いの家賃と仲介手数料のほか、敷金(一般的には家賃6カ月~12カ月)、礼金が発生します。家賃20万円の物件の場合で、仲介手数料と礼金が各家賃1カ月分、敷金が家賃6カ月分、前払いの家賃1カ月分とすると契約時に180万円の資金が必要です。

ほかに内装・外装工事や設備費用が発生しますので、目安として数百万円は考えておいた方がよいでしょう。

商品の仕入れ費用

買い取った古物を市場やネットオークションなどで販売する買い取り専門店であれば商品を事前に用意する必要はありませんが、店舗型やネットショップでは販売する商品が必要です。

商品の仕入れ費用は店舗の規模や取り扱う商品で大きく異なります。日用品やノンブランドのアパレル商品などは1点あたりの仕入単価を抑えて仕入ができますが、ハイブランドの時計やバッグなどは1点あたりの仕入単価が高額になりやすいです。

軽トラック・車両の確保

開業方法によっては必要ないケースもありますが、出張買い取りをする場合や顧客の自宅まで配送する場合は、事業用の軽トラックや車両の確保が必要です。

初期費用をできるだけ抑えて用意したいときは、新車ではなく中古車で検討するのがよいでしょう。年式や走行距離などで異なりますが、中古の軽トラックであれば数十万円~購入できます。

人材の採用

スタッフを採用する場合、人材採用にかかるコストも考えなくてはなりません。例えば、厚生労働省管轄のハローワークに求人情報を掲載する場合は費用がかかりませんが、Web媒体などに求人広告を掲載する場合などはコストがかかります。求人広告は利用するサービスなどで異なりますが、数十万円~を目安にみておくとよいでしょう。

集客・広告の費用

お店の存在を知ってもらうためには集客に力を入れる必要があります。特に、看板のないネットショップでは、広く認知してもらうための宣伝活動が必須になってくるでしょう。

集客や広告出稿にかかる費用は、利用する媒体や広告の種類で異なります。方法によっては数万円から利用できる広告もあります。

リサイクルショップの開業の流れ

リサイクルショップはどのようにして開業するのか、開業までの流れを簡単に説明します。

1.店舗のコンセプトを決める

リサイクルショップは、競合他社だけでなく、個人間の中古品売買の動向も意識する必要があります。フリマアプリの登場で個人間の物のやり取りがしやすくなり、リサイクルショップと競合するような面も出てきたためです。

しっかり差別化を図っていくためには、だれにどのような商品をどのような形で提供したいかなど、コンセプトを設定していきます。

2.資金を調達する

店舗のコンセプトから、出店方法や店舗の規模、取り扱う商品などを定め、必要資金を計算して資金調達を行います。自己資金でまかなえない部分については、親族からの借り入れのほか、日本政策金融公庫や銀行からの融資などを検討しましょう。方法によっては調達までに時間がかかるものもありますので、早め早めに準備を進めておくとよいです。

3.仕入れ先を探す

リサイクルショップの仕入れルートには、次のようなものがあります。

  • 不用品回収業者から仕入れる
  • 解体業者からパーツを仕入れる
  • ネットオークションで仕入れる
  • 古物市場(古物商が売買する市場)で仕入れる
  • 消費者から直接買い取る

リサイクルショップで取り扱う商品によって得意とするルートとそうでないルートがあります。取り扱う商品を決めて、仕入れ先の確保を進めていきましょう。

4.店舗物件の確保や設備を導入する

店舗型や出張買い取り専門で店舗を持つ場合、店舗物件の確保や設備導入も並行して進めていきます。無店舗型も販売する商品を保管する倉庫はどうするか、自宅の一部を使って開業するのかなどの検討が必要です。

5.古物商許可を取得する

リサイクルショップの開業には古物商許可の取得が必要です。古物商許可の申請は公安委員会に対して行いますが、実際の窓口は公安委員会ではなく所轄の警察署です。

申請には、許可申請書のほか、過去5年の略歴書や欠格事由に該当しない旨の誓約書などが必要です。スムーズに手続きを進めるためにも、事前に所轄の警察署に確認して必要書類を集め申請を行うようにするとよいでしょう。

6.開業届を提出する

個人事業主として開業する場合は、税務署や自治体へ開業届の提出などの手続きを行います。法人として会社を設立する場合は定款の作成や法務局での登記などが必要です。スタッフを雇用する場合は、雇用保険社会保険の加入手続きも行わなくてはなりません。

7.集客・広告に注力する

開店日が決まったら、開店に向けてお店の認知度を高めるための集客や広告宣伝活動に力を入れていきます。店舗型であれば、看板やチラシの配布などが方法として考えられるでしょう。ネットショップであればWeb広告も有用です。SNSの利用者層にアプローチするため、SNS上に公式アカウントを作成して、情報を発信する方法もあります。

リサイクルショップ開業に活用できる助成金・補助金

助成金や補助金は、国や地方自治体が政策目的を推進するために行う事業です。金融機関からの融資などと異なり基本的に返済の必要はありませんが、特定の経費の支出など要件を満たした上で支給されることから、助成金や補助金を受け取れるまでに時間がかかります。

すぐに使える資金源にはならないものの、設備投資にかかるコストを抑えてほかの部分に資金を回せる点で有効です。

代表的なものに、小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援する「小規模事業者持続化補助金」、小規模事業者や中小企業のITツールの導入を支援する「IT導入補助金」、中途採用を支援する「中途採用等支援助成金」などがあります。

リサイクルショップ開業・経営で儲けるコツ

リサイクルショップ開業を成功させるためにはどうすればよいのか、失敗しないために意識するべき3つのポイントを紹介します。

魅力的なコンセプト

インターネットの普及やECサイト作成のハードル低下などもあり、リサイクルショップに参入しやすい環境がすでにあります。さらに、フリマアプリの登場により個人との競争も激化するようになりました。

「あのお店を利用したい」「また利用してみたい」と思ってもらえるようにするには、顧客にひかれる魅力的なコンセプトづくりに力を入れることも重要です。

魅力的なコンセプトにするためにも、しっかり競合や顧客のリサーチを行い、需要や独自性、実現可能性などを意識してコンセプトを設定していくようにしましょう。

SNSを活用した集客

SNSを利用する個人は多いです。より多くの人にお店の存在を知ってもらうためには、無店舗型リサイクルショップの開業に限らず、SNSを利用した集客が重要性を増してくるでしょう。SNSによってメインの年齢層や拡散力、得意な分野などが異なりますので、お店のコンセプトに適したSNSを利用して投稿を行い、情報を発信することをおすすめします。

仕入れ・買い取りルートの確保

リサイクルショップは一般的な小売業者とは異なり、中古品をメインに売買するのが大きな特徴です。新品の商品は卸売業者やメーカーから安定的に確保しやすいですが、中古品は新品のように商品を確保しにくい面があります。

販売する商品が枯渇することを防止するためにも、安定して商品を確保できるルートをいくつか開拓しておきましょう。

しっかり準備をしてからリサイクルショップの開業を目指そう

リサイクルショップの開業でほぼ必須になるのが、古物商許可の取得です。所轄の警察署への申請が必要な許可で、中古品の売買などを事業として行う場合に必要になります。

さらに、リサイクルショップ開業のためには、古物商許可のほかにも、商品の仕入れや必要資金の調達など開業に向けた準備が必要です。準備が滞ると開業スケジュールが押してしまいますので、開業の流れを把握した上で準備を進めていきましょう。


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