• 作成日 : 2024年11月15日

補助金とは?事業資金に使える補助金と申請の流れを紹介

事業資金を補助金で調達することは、資金負担を軽減し、新規事業の立ち上げや既存事業の成長を後押しする有効な手段です。

本記事では、補助金の種類やメリット・デメリット、申請の流れ、注意点などを詳しく解説します。新規事業の立ち上げや既存事業の強化に役立つ補助金情報をまとめましたので、事業資金の調達にお役立てください。

補助金とは

補助金とは、国や自治体が民間企業や個人に対して、特定の事業を奨励するために交付する資金のことです。この資金は、多様な種類と仕組みがあり、目的や規模に応じて適切なものを選ぶ必要があります。

補助金を受けるためには、定められた手順に従って申請し、複数回の審査を通過しなければなりません。

補助金の大きな特徴は、融資とは異なり返済が不要である点です。しかし、予算の制約から、要件を満たしていても受給できない場合があります。また、給付内容は時期によって変更されるため、常に最新情報を確認することが重要です。

以下では、補助金と混同しやすい「助成金」と「交付金」との違いについて解説します。

補助金と助成金との違い

補助金と助成金は、いずれも返済不要の公的資金調達方法です。しかし、その性質には違いがあります。

補助金は、経済産業省が管轄し、新製品や新技術の開発を支援する制度です。予算が限られているため、書類審査や面接で選考が行われ、倍率が高くなる傾向にあります。応募期限が短く、情報収集や書類作成に時間を要することもあるでしょう。一方で、支給額が多く経費の適用範囲が広いというメリットがあります。

これに対し助成金は、厚生労働省が管轄しており、主に雇用促進を目的としています。受給要件を満たせば基本的に受給できるため、補助金よりも利用しやすい制度といえるでしょう。

補助金と交付金との違い

補助金と交付金は、どちらも国や公共団体が他の団体に金銭を交付する制度ですが、大きな違いがあります。それは、交付金の多くは国から地方自治体へ支給される点です。

地方自治体は、受け取った交付金を活用し、地域経済に貢献する事業を立ち上げます。そして、民間企業がその事業の受託者として参加するケースが多いです。

つまり、交付金は補助金と違い、自社事業に直接活用できるものは少なく、特定の目的のために活用されるという特徴があります。

事業資金の調達に補助金を活用するメリット・デメリット

事業資金の調達において、補助金を活用することは多くの企業にとって魅力的な選択肢ですが、メリットとデメリットを正しく理解し、慎重に検討することが重要です。ここでは、補助金を活用する際のメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。

メリット

事業資金の調達に補助金を活用するメリットは多岐にわたります。

まず、返済不要な資金であるため、資金繰りへの圧迫がありません。これにより、事業の成長に集中でき、新たな挑戦も容易になるでしょう。

自己資金が少ない場合でも調達しやすい点もメリットとして挙げられます。補助金の申請では担保や保証人が不要であり、事業計画の内容や将来性が評価されれば採択される可能性があります。

さらに、申請過程で事業計画をブラッシュアップできる点もメリットです。事業の目的やターゲット顧客、市場分析を明確化することで、質の高い事業計画を作成できる機会が得られます。これは、他の資金調達の成功率向上にも寄与するでしょう。

補助金獲得は信用力向上につながります。公的支援制度の審査通過は、金融機関や投資家に事業の信頼性をアピールする好材料となり、起業直後でも資金調達がしやすくなる効果も期待できます。

以上のメリットから、補助金の活用は事業資金調達の有効な選択肢といえるでしょう。

デメリット

デメリットとして、まず条件の厳格さが挙げられます。助成金・補助金は特定の政策目的を達成のための事業に限定され、使途などの要件が厳しいため、融資に比べ柔軟性に欠けるのがデメリットです。

また、申請手続きの煩雑さがあります。事業規模や設備投資などの要件を満たす資料準備が必要であり、申請時の負担が懸念されるでしょう。

さらに、受給までの期間が長く、後払いとなる点も課題です。交付まで数ヶ月から1年以上かかることもあり、資金繰りが厳しい時期には大きな負担になるかもしれません。、事前に自己資金を確保しておく必要があります。

最後に、受給後の実績報告が求められる場合もあることは念頭においておきましょう。資金の使用状況を確認するため、報告書の提出が必要です。不備や遅れがあると、返還を求められることもあるため注意しなければなりません。

これらのデメリットを十分に理解し、自社の状況に照らし合わせて補助金活用を検討するようにしましょう。

新規事業の資金調達におすすめの補助金

資金調達を検討する際は、国や地方自治体が提供する補助金・助成金の活用が有効です。ここでは、新規事業の資金調達におすすめの補助金・助成金制度を紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の業務効率化や売上アップを支援する制度です。飲食業・宿泊業・小売業などのサービス業を対象とし、ITツール導入費用の一部を補助します。

支給対象経費は主にソフトウェアやサービスといったITツールで、デジタル化基盤導入枠ではPCやタブレットなどのハードウェアも含まれます。

IT導入補助金により、事業者は生産性向上に必要なITツールを導入しやすくなり、経営課題の解決や競争力強化につながることが期待できるでしょう。申請を検討する際は、自社の業務に適したITツールを選定することが重要です。

参考:IT導入補助金 2024

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者の新事業創出を支援する経済産業省の制度です。設備投資や新しいサービスの開発を支援するこの補助金は、成長が見込まれる分野や海外事業に挑む事業者に対し、有望な資金調達の機会を提供します。

申請には、省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠などの異なるカテゴリが設定されており、内容は社会情勢に応じて変化します。常に新しい情報を確認するようにしましょう。

参考:ものづくり補助金総合サイト

地方自治体による助成金や補助金

新規事業の立ち上げには、地方自治体が提供する助成金や補助金の活用も有効です。地方自治体では、地域経済の活性化を目的としたさまざまな制度を設けています。これらの制度は、政府の補助金と比較して、採択率が高い傾向にあります。

例えば、東京都が提供する創業助成金は、都内における新規事業の創出と雇用促進を目的とした補助金制度です。

参考:東京都 令和6年度第2回 創業助成事業募集のお知らせ

自社にあった適切な補助金の選び方

自社の事業に適した補助金を選ぶ際、事業規模や目的に合ったものを見極めることが重要です。

小規模な企業向けの補助金は、比較的少額で申請も簡単なものが多く、初めての企業には理想的な選択肢となります。例えば、IT導入補助金は少額ながらITツールの導入支援に役立ち、初期投資を抑えたい企業にとって適しているといえるでしょう。

一方で、中規模・大規模企業向けの補助金は大規模プロジェクトに対応しており、申請が複雑になります。

補助金申請に際して、申請条件や対象となる経費を事前に確認することが必要です。各補助金には特定の申請資格が課されており、要件を満たしていなければ申請は受理されません。例えば、IT導入補助金は中小企業が対象で、ものづくり補助金は製造業が中心です。

また、対象となる経費範囲を確認することも重要です。IT導入補助金では、ソフトウェア購入費用や導入コンサルティング費用は対象ですが、ハードウェア購入費用は対象外の可能性があります。

適切な補助金を選ぶにはこれらの要素をしっかりと押さえておくことが必要です。どの補助金が自社にとって効果的であるかを考えたうえで、申請するようにしましょう。

補助金が交付されるまでの流れ

補助金が交付されるまでには、申請から交付まで以下のステップがあります。

  1. 補助金の申請
  2. 申請内容の審査
  3. 新規事業をスタート
  4. 補助金の交付

以下で、各ステップの詳細を見ていきましょう。

1.補助金の申請

補助金を申請する際は、各制度の支給要件を確認したうえで、事業計画書などの必要書類を細心の注意を払いながら準備しなければなりません。

提出書類に不備があると不採択となるリスクが高いため、書類の作成と提出は慎重に行いましょう。申請手続きが煩雑であるため、各ステップを丁寧に確認しながら進めることが、採択の確率を高めるポイントです。

2.申請内容の審査

補助金申請の場合には、申請が完了すると、助成金や補助金の審査が開始されます。審査は、資格審査・書類審査・面接審査によって申請者の適格性や事業内容が評価された後、すべての審査を通過した場合のみ補助金の受給権が得られる仕組みです。

採択されると、結果通知と共に交付申請書類が届きます。書類は期限内に提出し、事務局による確認が完了すると交付決定通知書が発行されます。

3.新規事業をスタート

新規事業の立ち上げに関する助成金を申請した場合、審査通過後は速やかに事業を開始する必要があります。事業計画書に記載された内容に沿って進めることが重要であり、途中で事務局によるチェックも入ります。

基本的に、計画書から逸脱した進め方は認められないため、変更点がある場合には、事務局へ申請し承認を得なければなりません。

助成金は、審査通過後すぐに交付されるわけではなく、事業開始後に所定の手続きを経て交付される点に注意が必要です。

4.補助金の交付

新規事業の立ち上げ時に実施した施策や導入した設備など、支給対象となる経費を申請します。支給要件を満たした経費であることが認められると、助成金や補助金が交付されます。

交付が確定した後、指定口座への入金までには一定の期間を要するため、申請から受給までの時間的な流れを把握しておくことが重要です。

補助事業完了後は、実績報告書を作成し事務局へ提出します。使用した経費の領収書など、証拠書類の保管も必須です。これらの関連書類には5年間の保存義務があるため、適切に管理しましょう。

実績報告に問題がなければ、補助金額確定通知書が発行されます。その後、請求書を事務局に提出することで、補助金の受け取りが可能となります。

事業資金のために補助金を申請する際の注意点

事業資金のために補助金を申請する際の注意点は、主に以下の3つです。

  • 事業計画書や書類の作成は専門家への相談を検討する
  • 公募の変更や廃止・期限に注意する
  • 補助金を受ける場合でも一定の自己資金が必要

以下で、それぞれについて解説します。

事業計画書や書類の作成は専門家への相談を検討する

補助金の申請手続きは煩雑で、厳格な要件を満たす必要があります。事業規模や業種、従業員数などの条件が設定されている場合、それらを証明する資料の準備も求められるでしょう。

本業に集中したい時期には、この作業が大きな負担になることもあります。そのため、事業計画書や申請書類の作成には、専門家のサポートを受けることも一つの選択肢です。

補助金の専門家に相談することで、高い競争率を突破するための効果的なアピールポイントを見つけられる可能性があります。

公募の変更や廃止・期限に注意する

補助金や助成金は、毎年度の予算配分や政策により変動する可能性があります。そのため、各制度のウェブサイトで最新情報を確認することが重要です。

また、期限ギリギリで準備を始めると、申請書類が急ごしらえになる可能性も高いため、見直しが困難になります。さらに、専門家のスケジュールをとることができず、サポートを受けにくくなるため、期限に余裕をもたせて準備を進めるようにしましょう。

補助金を受ける場合でも一定の自己資金が必要

補助金を活用する際、資金繰りに注意が必要です。補助金が事業資金を全額カバーすると誤解されることもありますが、実際は経費の一部を補助するものにすぎません。

補助金は原則として後払いであり、事業実施時には手元にありません。そのため、補助対象事業を実施するには、経費の全額を自社で用意する必要があります。例えば、設備導入に必要な資金などは、事前に準備しておくことが重要です。

こうした事前の資金が用意できない場合、補助金に採択されても事業を実施できない事態に陥る可能性があります。そのため、補助金活用の際は、資金調達方法も併せて検討しておかなければなりません。

特に大型の補助金では、融資を併用することが一般的となっています。事前に資金計画を立て、必要に応じて融資などを受けておくようにしましょう。

事業に必要な補助金を見極め、効果的に活用しよう

補助金とは、国や自治体が特定の事業を支援するために交付する返済不要の資金です。資金調達の負担軽減、新規事業の立ち上げ、既存事業の強化などに役立ちます。申請には、事業計画書などの提出が必要です。採択されれば、事業開始後、所定の手続きを経て補助金が交付されます。

補助金の活用を検討する際は、最新情報を確認し、専門家への相談を検討しましょう。自己資金計画も忘れずに行い、補助金を有効活用して事業を成功させましょう。


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