• 作成日 : 2024年12月19日

名古屋で事業承継について相談するには?支援制度・補助金も紹介

名古屋市を拠点とする中小企業や個人事業主事業承継について相談する場所としては、商工会議所や愛知県事業承継ネットワーク構成機関などがあります。適切な相談窓口や支援制度を活用することで、スムーズな事業承継が可能になるでしょう。

本記事では、名古屋で事業承継を相談できる窓口や、利用可能な補助金・支援制度について解説します。

名古屋で事業承継について相談できる窓口は?

名古屋で事業承継に関する相談は、商工会議所や愛知県事業承継ネットワーク構成機関、愛知県よろず支援拠点などが対応しています。

以下で、名古屋で事業承継について相談できる窓口を紹介します。

名古屋商工会議所

名古屋商工会議所では、中小企業向けに事業承継専用の相談窓口を設けており、中小企業診断士や税理士などの専門家による無料相談が可能です。また、経営者向けのセミナーやワークショップも定期的に開催されており、事業承継に必要な知識やノウハウを学ぶ場として活用できます。

さらに、後述する愛知県事業承継・引継ぎ支援センターと連携しており、「事業承継計画書」の作成サポートや譲渡先探しの支援も行っています。

愛知県事業承継ネットワーク構成機関

多くの支援機関が協力して構成する「愛知県事業承継ネットワーク」は、中小企業庁の方針に基づき設立されており、地域全体で中小企業の事業承継を支える仕組みです。

ネットワーク内には商工会議所や金融機関、「名古屋市中小企業振興センター」、「あいち産業振興機構」といった団体、各自治体などが含まれており、それぞれの強みを活かしたサポートが受けられます。

愛知県事業承継・引継ぎ支援センター

愛知県事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁から委託された公的機関であり、名古屋市内でも利用可能です。親族内承継から第三者への譲渡(M&A)まで幅広いサポートを行っており、専門家による「事業承継計画」の策定支援や税務・法務アドバイスが受けられるほか、後継者不在の場合にはマッチングサービスも利用できます。

また、「後継者人材バンク」を通じて創業希望者とのマッチングも実施しており、多様な選択肢から自社に適した方法を選べる仕組みになっています。

愛知県よろず支援拠点

愛知県よろず支援拠点は、国が設置した無料経営相談所であり、中小企業や小規模事業者向けに幅広い経営課題への対応を行っています。金融やマーケティング、農商工連携、ITなどさまざまな分野の専門知識を有したコーディネーターが相談に対応します。

サポートの対象となるのは名古屋を含む愛知県内で事業を行う中小企業・小規模事業者のほか、一般社団法人・NPO法人・社会福祉法人などの中小企業・小規模事業者の類する方、または創業予定の方です。

弁護士・税理士など

弁護士や税理士は、顧問契約をしている場合は自社の事情に精通しており、有力な相談先になります。税務対策や法務面での課題解決だけでなく、相続問題や契約書作成など具体的な手続きにも対応可能です。

また、公的機関とは異なる柔軟性があるため、自社独自の事情に応じたアドバイスが期待できるでしょう。

相談窓口の選び方のポイントは?

名古屋で事業承継を成功させるためには、自社の状況やニーズに合った相談窓口を選ぶことが大切です。以下では、その選び方について詳しく解説します。

事業承継の実績があるかどうか

相談先として選ぶべきポイントのひとつに、その機関や専門家がどれだけ多くの事業承継事例を扱ってきたかという実績が挙げられます。事業承継は専門知識が必要で、豊富な実績がなければ適切なアドバイスが期待できません。

相談したい内容に対応しているか

事業承継には、さまざまな形態があります。たとえば、「親族内で会社を引き継ぐ場合」と「第三者へ売却する場合」では必要となる手続きや課題が異なります。そのため、自社が抱えている課題や希望する内容に特化した窓口を選ぶことが事業承継成功の鍵となってくるでしょう。

また、一部の窓口では特定分野(例:M&A)のみ対応しているというケースもあります。特に特殊な条件の場合は相談窓口が限られる可能性もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

専門家や各種機関との連携がある

事業承継は、法務・税務・金融など多岐にわたる分野と関連します。そのため、それぞれの分野で専門家との連携体制が整っている窓口を選ぶことで、一貫したサポートを受けられる可能性が高まるでしょう。

先に照会した名古屋で事業承継について相談できる窓口の多くは、地元金融機関や各種専門家との連携によって複雑な案件にも対応できる仕組みを構築しています。

相談しやすい

アクセスの良さや対応時間も、相談窓口を選ぶ際にチェックしておくべき項目です。自宅または会社から近い場所にある窓口やオンライン対応可能なサービスであれば、利用しやすいでしょう。

また、一部の公的機関では夜間相談にも対応している場合があるため、自身のスケジュールに合わせて選ぶことをおすすめします。

愛知県事業承継・引継ぎ支援センターの支援内容は?

愛知県事業承継・引継ぎ支援センターは中小企業庁から委託された公的機関であり、多岐にわたる事業承継のサポートを行っています。支援内容について、詳しくみていきましょう。

親族・従業員の承継

事業承継の方法のひとつである親族や従業員への承継は、税金対策や法律的なアドバイスも重要であり、適切な計画と支援が不可欠です。

同センターでは「事業承継計画表」の策定支援なども無料で行っており、スムーズかつ計画的な引き渡しをサポートします。また、相続税対策についても専門家と連携して助言を行う仕組みがあります。

第三者承継(M&A)

同センターでは第三者への承継(M&A)に関する幅広い相談を受け付けており、後継者不在によるM&Aの進め方や譲渡可能性の確認、自社の評価額の見積もり、M&Aにおける課題の特定などが相談内容に含まれます。

また、提携するM&A仲介機関を紹介しており、小規模事業者向けの案件にも対応可能です。仲介機関を利用しない場合でも、全国のセンターが保有する情報を活用したマッチング支援が受けられる点も特筆すべきでしょう。

後継者人材バンク

後継者人材バンクは、登録済みの「創業希望者」と、事業引継ぎに関して相談を受けた「後継者不在企業」を結びつける事業です。

登録は創業塾受講者など創業準備中の方が対象で、事業資源や経営ノウハウを引き継ぐことで創業リスクを軽減できます。一方で、後継者の不在に悩む企業にとっては、事業存続や地域貢献のメリットがあります。

マッチング支援

同センターでは、全国の支援センターやM&A仲介機関と連携し、後継者不在の事業者に対する相手先探しを支援しています。

データベースを活用した全国規模のマッチングや、愛知県内特化の「ローカル承継マップ愛知」も提供。さらに、既に相手が決まっている場合には、契約書作成や手続きに関するアドバイスを外部専門家と連携して行っており、一部無料での利用も可能です。

名古屋の事業承継を支援する制度・補助金は?

名古屋では、中小企業庁や自治体による補助金や支援制度が充実しています。以下で、代表的な補助金・支援制度を紹介します。

中小企業庁の事業承継・引継ぎ補助金

中小企業庁による「事業承継・引き継ぎ補助金」は、後継者教育やM&A費用など幅広い用途で利用可能な補助金制度です。親族内承継や第三者への譲渡(M&A)など、多様な形態の事業承継を対象としており、「専門家への相談費用」「デューデリジェンス(財務調査)費用」「後継者育成費用」などが幅広く補助対象になります。

名古屋市の事業承継支援資金

名古屋市独自の融資制度である「事業承継支援資金」は、市内で事業を営む中小企業や個人事業主向けの補助金で、一定条件を満たせば低利率で融資が受けられます。

「親族間での株式譲渡」や「設備投資」など、特定用途に限定されますが、その分条件が明確で利用しやすい点が特徴です。また、この融資制度は地元金融機関と連携して運用されており、地域密着型のサポート体制が整っています。

名古屋市信用保証協会の事業承継支援制度

名古屋市信用保証協会は、信用保証協会法に基づいて設立された公的機関です。中小企業者が金融機関からスムーズに融資を受けられるよう、保証人の役割を担っています。

名古屋市内の中小企業の信用力を補完し、事業資金調達を支援することで地域経済の活性化に寄与しており、事業承継サポート保証「承サポ」など、さまざまな事業承継支援制度を実施しています。

名古屋市信用保証協会の事業承継支援制度は?

名古屋市信用保証協会では、中小企業向けに以下の4つの主要保証制度を提供しています。それぞれ異なるニーズに応じた資金調達サポートとして活用可能です。

事業承継特別保証制度「承継特別」

「承継特別」は、事業承継時に一定の要件を満たすと経営者保証が不要となる保証制度です。融資限度額は最大2億8,000万円で、既存の借入金の借換えにも対応可能です。

利用には、事業承継計画書や財務要件確認書などの提出が必要で、資産超過や財務健全性の条件を満たすことが求められます。また、中小企業活性化協議会等の確認を受けると保証料率が大幅に軽減されます。

経営承継借換関連保証「承継借換」

「承継借換」は、事業承継を予定している企業が抱える既存の借入金を、新たな条件で借り換えることを可能にする制度です。この制度の最大の特徴は、経営者保証の解除ができる点です。

承継置換によって、後継者となる人物が過剰な負担を負うことなく事業を引き継ぐことが可能になります。また、事業承継に伴う財務リスクを軽減することで、後継者が経営に専念できる環境を整えられるメリットがあります。

事業承継サポート保証「承サポ」

経営の承継に伴う株式等の買取を、持株会社を通じて行うための資金を支援するのが「承サポ」です。

株式や持分の買取資金として利用できるほか、持株会社を通じた資金調達にも対応しています。承サポは、親族内承継や第三者譲渡(M&A)など、多様な事業承継形態に対応している点が特徴です。また、この保証制度の利用によって後継者がスムーズに経営権を取得し、新体制での事業運営を開始することが可能になります。

経営安定資金 事業承継支援資金「マル事承」

「マル事承」は、事業承継に伴い必要となる一時的な運転資金や設備投資資金を支援するための制度です。特に中小企業や個人事業主が利用しやすい条件で設計されており、低利率での融資が可能です。

後継者による新規設備導入や既存設備の更新などにも適用されるため、事業基盤の強化にも役立つでしょう

相談窓口をうまく活用することが事業承継成功の鍵

事業承継を成功させるには、さまざまな分野の専門家の力を借りる必要があります。名古屋市内には、多様なニーズに応えるための公的機関や専門家ネットワークが多くあります。それぞれ特徴的なサービス内容と強みを持つため、自社に適した窓口選びと積極的活用が成功への鍵といえるでしょう。

豊富な相談窓口を最大限に活用して、円滑な事業承継を実現してください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事