- 更新日 : 2021年2月22日
森下千里の起業に密着!イチからわかる会社設立(2)
誰もが一度は考える起業への道。実際に会社を設立するためにはどのようなステップを踏んでいけば良いのでしょうか?
今回タレントとして活躍する森下千里さんが起業をするということで会社設立までのプロセスに密着。
ビジネスマンではない彼女の目線を通して、誰でもわかる起業のステップを明らかにしていきます。
これまで数多くの起業をサポートしてきたGSブレインズ税理士法人さんの事務所へ。
司法書士法人オネストさんの押田先生にも同席いただき、ヒアリングシートに基づき、会社設立に必要なプロセスを順番に追っていきます。前回は「事業・目的」まで進みましたので、今回はその次の項目からです。

目次
起業の方法 「資本金」は?
木村:次は「資本金」ですね。
森下:資本金はいくらがいいんですか?

木村:正直に言いますと1,000万未満ならいくらでもいいです。
森下:資本金は銀行口座にその金額をポンと入れるってことになるんですか?
木村:そうです。そのお金がありますよという証明をしないといけませんので。資本金があまりに多いと、それだけお金を動かすということになりますので大変です。言ってしまえば資本金は1円でも大丈夫です。
森下:最近は1円で起業できるっていいますよね。面白いから1円にしてみますか?
木村:(笑)ただもし銀行さんとお付き合いをするとなると少し考えたほうがよいです。例えば資本金を1万円にした場合、経費を1万円使ったらすぐに0になってしまいます。2万円使ったらもうマイナスの方が多くなり債務超過の会社になってしまいます。
森下:いきなり赤だ!
木村:そうです。資産より負債の方が多い会社になります。
森下:でもそれってダメなんですか?赤字って悪いんですか?
木村:金融機関と付き合うなら、です。外部の方からお金を借りるという時に、決算書を見てマイナスだと、貸しても返ってこないんじゃないか、と思われてしまうということです。
森下:なるほど。だから、ちゃんとした会社にしたいのなら、しっかり資本金を入れた方がいいということですね。会社に対して投資して欲しいとか、この会社と仕事をやりたいと思ってもらうんだったら、ちゃんと資本金を入れた方がいいってことですね?
木村:はい。資本金も徐々に増やしていけますので、まずはさしあたっていくらにしましょうか?
森下:そうすると300万ぐらいが妥当なのですか?
押田:昔、有限会社が300万円だったということもありまして、それぐらいにする会社さんも多いですね。
森下:あまり安すぎると恥ずかしいですよね?
木村:そうですね。ちょっと資本的にどうかなという印象になることもありますね。
森下:ちょっと無理して上げるのはよくないですか?
木村:資本金1,000万になりますと初年度から消費税の納税義務者になります。
森下:なるほど、そうなんですね。例えばですけど、自分の貯金が500万円しかないのにギリギリ資本金500万円で会社作っちゃったとするじゃないですか。そうしたら、その人どうやってその後生活するんですか?
木村:貯金をすべて会社に入れた場合、その会社で稼いで給料を取ってやっていくか、もし給料が取れないようでしたら、会社が個人に貸す形でやっていくしかないですね。
森下:じゃあ生活費くらいは取っておいた方がいいってことですか?仮に貯金が500万円あったら300万円にしておいて、200万円は自分のものにしておいたほうがいいってことですか?
木村:そうですね。でも資本金を100万にしておいてすぐ使ってしまったとしても、会社に個人が貸すということは簡単にできます。実際、中小企業はどこもそれで回っています。
森下:そうなんですか。じゃあ100万でもおかしくないんですか?
木村:全然おかしくないです。
森下:じゃあどうしよう100万にするか300万にするか…

木村:すぐに300万に増やしたいって必要性が出てこないならば100万でも問題ありません。
森下:そうなんですね。これも次回までに決めたいと思います。
起業の方法 「株式」は?
木村:次に1株をいくらにするかですね。1万とか5万とか自由に決められます。最近の流行りは1万ですね。
森下:例えば1株300万でもいいんですか?
木村:1株300万でも良いのですが、次に増資しようという時にその単位がちょっと…
森下:自分の会社を大きくする時ってことですか?
木村:そうです。資本金300万円を500万円に増資するとした場合、200万円を増やしますよね。この時に1株300万円の価値のままですと300万円単位でしか増やせないんです。なので、1株の金額を高くしないほうが使い勝手がいいようです。
森下:なるほど!だからみなさん1株1万とかにしちゃうわけですね。では1株1万にします!

起業の方法 「事業年度」は?
木村:続いて「事業年度」です。
森下:事業年度?何月何日までってことを決めるんですか?
木村:事業年度とは簡単に言えば決算書をつくる期間です。通常は1年後の月末の31日です。例えば4月1日から3月31日とかですね。中には20日を事業年度の末にしたいという人もいらっしゃいます。
森下:それはなぜなんですか?

木村:商売をしていてそのもらうお金が20日締めの会社だった場合、事業年度も20日を区切りにした方が分かりやすいということです。ですが、そのパターンは100社あっても1社ないほどです。
森下:じゃあ通常の31日締めだとして、事業年度は1月1日~12月31日というのが普通なんですか?
木村:いえ、例えば3月の頭に会社を作るなら2月末にしたりと、その時期は様々ですので自由に選んでいただければと思います。
起業の方法 銀行の法人口座はいつ作る?
森下:ところで会社の法人口座っていつ作るんですか?
押田:銀行口座は会社設立が終わってからですね。
森下:法人口座は、今自分が使っている銀行と同じにした方がいいんですか?
木村:それはどこでも問題ありません。
森下:揃えなくてもいいんですか!じゃあ銀行は何を基準に選べばいいんですか?
木村:主に手数料とかでしょうか。同じ銀行だと手数料が安く済みますね。あとはお住まいの近くに○○銀行しかないからという理由で決める方もいます。
森下:会社を作ったら銀行によく行くことになるんですか?
木村:そんなことはないですね。ATMとインターネットバンキングが使えれば、ほとんど銀行に行かなくても済みますね。
押田:ちなみにインターネットバンキングは法人口座ですと月額2,000円ほどかかる場合があります。
森下:そうなんですね!
起業の方法 役員の任期は何年?

木村:あとは役員の任期ですね。
森下:気分で!とかダメですか?
木村:そうですね(笑)任期は最大10年にまで出来ます。任期によって何が変わるかと言いますと、1年や2年など決めた年度ごとに役員を選びなおす必要があります。そうするとまた登記が必要になるわけです。
森下:短いと面倒くさいってことですね?
木村:そうです。ただ長くすると忘れてしまうというリスクがあります。
森下:確かに10年後は絶対忘れちゃうと思います。じゃあ任期はどうしようかな?
押田:外部の方を入れるのでなければ、10年でもいいと思います。
森下:もし途中で外部の方を入れることになったらどうすればいいんですか?
木村:任期を変えれば良いだけです。
押田:外部の方を入れることになったら、その時に決めてもいいかもしれないですね。
森下:そうですね!では最長の10年にします!
起業の方法 授権資本って何?
木村:授権資本はどうしますか?
森下:「授権資本」って何ですか?

木村:株を自由に発行出来る枠のことです。仮に300株を発行すると決めた場合、例えば3,000株にしておくといったことです。
森下:仮に私が300株持っていて3,000株の枠にしたとします。で、Aさんが2,700株分を出資してくれたとしたらどうなるんですか?
木村:Aさんが株を9割持つことになるので、Aさんが自分を役員に入れるという総会決議案を提出して自分で決議出来てしまうということに…。
森下:いわゆる会社を乗っ取られるってことですよね?
木村:はい、そうです。
森下:じゃあ、10倍にしたら危険ですね?
押田:いえ、それは別の誰かの出資を受け入れたら、の話なので。
森下:じゃあ枠を作っておいても出資させなければいいってことですよね?
押田:そうですね。その枠を使って自分が追加で出資することも当然あります。
森下:じゃあ5倍とか10倍で考えます!
起業の方法 ハンコが必要?
木村:ヒアリングシート、これで一通りは終わりです。
森下:スカスカだけど出来ました(笑)

木村:あとは、代表者の住所と会社名をいつまでに決める!という目標を作っていただいて、そこから登記申請までの日数を考慮して会社設立日が決まるという流れですね。
森下:なるほど。ついに自分の会社ができると思うとドキドキしますね。
木村:それと会社名が決まったら、会社の印鑑を作ってください。
森下:世田谷区の三宿にすごくいいハンコ屋さんがあるって聞いたんですけど?
木村:あ、ご存じですか?なかなか連絡が取れないという噂を聞きますけど…。
押田:連絡が取れても「あなたは今まだ作るタイミングじゃない」と言われて、作らせてもらえなかった人もいると聞きました。
森下:うわー、どうしようかな? 印鑑はいつ作ればいいんですか?
木村:会社名さえ決まれば、すぐ作って大丈夫です。
森下:どんな印鑑を作る方が多いんですか?
木村:多いのは実印、銀行印、角印の3つです。あと材質こだわる方もいます。一番多いのは、柘(つげ)ですね。
押田:あとは黒水牛ですかね。
木村:最近はたまにチタンの方とかいますよ!
森下:チタンまであるんですね!これも考えておきます!!
会社の資本金についてわかったつもりでいても、実際はいくらぐらいが妥当でいくらぐらいだと恥ずかしい…など、なかなか人には聞けないことがクリアになってきました。
そして会社印の作成は会社設立の前に行うべきことで、銀行の法人口座の設立は会社設立の後に行うものであるということ。森下さんも起業に向けてやらなければならない手続きの順番がいろいろわかってきたようです。
次回は今回まだ決まっていなかった会社名や代表者の住所などを決めたところで再びミーティングを。より具体的な起業のプロセスに迫っていきます。
■(司法書士)定款案の作成
↓
■ご依頼者様による定款案のご確認、確定
その他必要事項の決定
↓
■(司法書士)公証人と事前打ち合わせ、必要書類の作成
↓
■ご依頼者様から必要書類のお預かり(書類のご署名、ご捺印)
↓
■(司法書士)必要書類を受領し、公証役場にて定款認証手続
↓
■定款認証後にご連絡いたしますので、ご依頼者様個人の預金口座へ
出資金をご入金いただき、預金通帳の表紙及び記帳部分のコピーを
取っていただきます。
当該コピーをメール(pdf等)又はFAXにて当事務所までお送りください。
※出資の払込の証明とします。詳細は、またご説明いたします。
↓
■(司法書士)設立登記申請=会社設立の効力発生
↓
1週間~10日程度で登記完了⇒謄本・印鑑証明書が取得可能になります。
↓
税務署、都道府県税事務所等の役所関係の届出
会社名義の銀行口座の開設
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