• 作成日 : 2023年4月28日

FXで会社設立する方法とは?節税対策など法人化のメリットも解説!

FXで会社を設立するためには、株式会社設立合同会社設立などの方法があります。法人化することで、経費による節税対策ができる点や損益通算できる点などがメリットです。

ただし、法人化すると口座のお金を自由に使えない点に気をつけなければなりません。本記事で、FXで会社を設立する方法やメリットを解説します。

FXで会社設立をする方法とは?

FX(外国為替証拠金取引)とは、取引額の一部に相当する証拠金を預け、ある国の通貨を別の国の通貨に交換(外国為替取引)することです。FXで一定の利益をあげている場合、会社設立をすることがあります。

会社設立をする方法は、株式会社を設立する、合同会社を設立するなどです。それぞれの方法を解説します。

株式会社を設立する方法

株式会社とは、株式発行を通じて資金を集める会社のことです。FXで株式会社を設立する際の方法を以下に簡単にまとめました。

  1. 設立する会社の名前や事業目的、資本金額などを決める
  2. 代表者印や個人の実印、印鑑証明書などを用意する
  3. 定款を作成する
  4. 出資金を払い込む
  5. 設立登記を申請する

定款とは、会社の組織や運営について定めた規則のことです。絶対的記載事項と呼ばれる以下の内容は、必ず定款で定めなければなりません(会社法第27条)。

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額・その最低額
  • 発起人の氏名または名称と住所

定款を作成して公証役場で認証を受けたら、資本金を払い込みます。資本金の払い込みとは、あらかじめ定めた資本金の額を、発起人(資本金を出す人)個人の銀行口座に振り込むことです。

各手続きを終えたら、最後に法務局へ設立登記を申請します。設立登記の申請は、オンラインでも可能です。

なお、法人設立ワンストップサービスを利用すれば、定款認証や設立登記、雇用に関する届出などさまざまな手続きをオンラインで一度にできます。

参考:e-Gov 会社法第二十七条e-Gov 会社法第三十四条
参考:国税庁 法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました

合同会社を設立する方法

合同会社とは、出資した人が経営者になる「所有」と「経営」が一致した会社形態です。FXの合同会社は、以下の方法で設立します。

  1. 設立する会社の名前や事業目的、資本金額などを決める
  2. 代表者印や個人の実印、印鑑証明書などを用意する
  3. 定款を作成する
  4. 出資金を払い込む
  5. 設立登記を申請する

おおまかな流れは、株式会社の設立方法と変わりませんが、定款認証が不要な点は大きな違いです。合同会社を設立する際は、公証役場で定款の記載内容を確認してもらうためにかかる手間や、費用を省けます。

FXで法人化するメリットは?

個人事業主としてFXで稼ぐ方法もありますが、法人化することで以下のメリットを期待できます。

  • 経費による節税対策ができる
  • 損益通算ができる
  • 10年間損失を繰り越せる

各メリットを確認していきましょう。

経費による節税対策ができる

FXで法人化すると、経費を計上して節税対策ができる点はメリットです。個人事業主の場合もFXに関する経費を計上できますが、法人化したほうが対象は広がります。

FXを事業としている個人事業主の場合、経費として計上できるのは、基本的にFXに関するものに使ったものだけです。また、プライベートにも使うのであれば、支出のうち業務遂行上必要と判断される金額分しか経費に計上できません。

それに対して、会社の場合はFX以外でも事業継続のために必要であれば原則として経費に計上できるため、対象範囲が広いのはメリットです。ただし、法人化しても合理性がなければ経費として認められません。

参考:国税庁 No.2210 やさしい必要経費の知識

損益通算ができる

法人化すれば、他の事業の所得と損益通算ができる点はメリットです。損益通算とは、赤字の所得分を別の黒字所得から差し引くことをいいます。FXで赤字になった際、マイナス部分を別の黒字事業の所得と相殺できるため、節税につながるでしょう。

個人の場合、FXの所得は雑所得に該当し、事業所得給与所得などと合算できません。ただし、同じく雑所得に該当する一部の金融商品取引とは、合算できる場合があります。

参考:国税庁 No.1500 雑所得

10年間損失を繰り越せる

青色申告書で確定申告をするなど要件を満たしていれば、損失(欠損金)を10年間繰り越せる点も法人化のメリットです。一方、個人は青色申告書を提出しても、損失を繰り越せるのは最大3年間のため注意しましょう。

1年目で50万円の赤字で2〜5年目が毎年15万円の黒字の場合、個人だと5年目から15万円に対して税金がかかるのに対し、法人がかかるのは10万円(15万円-(50万円-15万円×3年))に対してです。

なお、上記はFXのみを事業とする法人で、個人も法人も経費を全く計上していないケースを想定しています。実際は他の所得(法人の場合)や経費も考慮して計算する点に注意が必要です。

参考:国税庁 No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
参考:国税庁 No.2070 青色申告制度

FXで法人化するデメリットは?

FXで個人事業主から法人化することで、デメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。

  • 法人化にコストがかかる
  • FXの含み益にも税金がかかる

それぞれのデメリットを解説します。

法人化にコストがかかる

FXで法人化するにあたって、コストがかかる点はデメリットです。法人化するには、合同会社で10万円以上、株式会社で20万円以上の設立費用がかかります。

株式会社設立の場合、主なコストは以下のとおりです。

  • 定款の収入印紙
  • 認証手数料
  • 謄本手数料
  • 登録免許税
  • 実印作成代
  • 印鑑証明書取得費

このように、さまざまなコストがかかるため、FXからの儲けが少なければ個人事業主のままのほうがよいでしょう。

FXの含み益にも税金がかかる

FXで法人化すると、未決済ポジションの評価益も課税対象となりうるため、含み益にも税金がかかる点はデメリットです。個人の場合は、決済しない限り課税はされません。

法人化してから、決算時点で含み益が大きく膨らんでいれば、多額な税金が課されることがあります。まだ売却予定がなくても、税金資金確保のためやむをえず手放さなければならないこともあるでしょう。

課される税金を考慮し、法人化したら計画的な取引が大切です。

FXの会社設立をするときの注意点は?

FXで会社設立をすることにしたら、以下の点に注意しましょう。

  • 法人口座に入金したお金は自由に使えない
  • 税金の申告に手間がかかる

各注意点を解説します。

法人口座に入金したお金は自由に使えない

個人がFX用で口座に入金する場合と異なり、法人口座に入金したお金は、代表者であっても自由に使えない点に注意しましょう。たとえ全額自分で出資した会社であっても、法人口座のお金は基本的に会社の資産とみなされます。

急にプライベートで資金が必要になったからといって、勝手に法人口座から個人口座に移すと、業務上横領の罪に問われる可能性もあるでしょう。

税金の申告に手間がかかる

会社設立をすると、経理処理や税金の申告に手間がかかることもあらかじめ理解しておきましょう。個人事業主の場合と比べて、法人は税金の申告に必要な書類が多いです。

専門的知識を問われる部分も多いため、自分だけで経理処理や確定申告が難しければ、税理士に依頼することも検討した方がよいでしょう。ただし、その分コストがかかります。

FXの収入が一定額を超えたら会社設立を検討

FXで会社設立をすることによって、経費による節税対策ができる、10年間損失を繰り越せる、などのメリットを期待できます。一方で、法人化にコストがかかる点や、FXの含み益に対して税金がかかる点は法人化のデメリットです。

また、法人口座に入金したお金は自由に使えない点や、税金申告に手間がかかる点に注意しなければなりません。コストや手間を考慮し、会社設立はFXの収入がある程度期待できるようになってから検討するとよいでしょう。

よくある質問

FXで会社設立をする方法とは?

定款、登記申請書などを作成し、株式会社や合同会社を設立します。詳しくはこちらをご覧ください。

FXで法人化するメリットは?

経費による節税対策ができる点、損益通算ができる点、10年間損失を繰り越せる点がメリットです。詳しくはこちらをご覧ください。


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