- 作成日 : 2023年6月2日
起業したい女性の実態は?何をすると良い?創業時の注意点なども解説
最近、起業という働き方が注目されています。やりたいことを実現できる、自由に時間を使える、収入がアップするチャンスがあるなど、自分で事業を立ち上げることでさまざまなメリットを得ることができます。
この記事では起業に興味をお持ちの女性の方のために、起業する女性の実態や起業する方法、成功するためのポイントについてご紹介します。
起業する女性の実態
女性の起業家はどれくらいいるのでしょうか?何歳くらいで起業するのでしょうか?まずは起業する女性の実態をデータで見ていきましょう。
起業家の男女比
日本政策金融公庫が実施した『2022年度新規開業実態調査』によると、2022年度の開業者の割合は男性が75.5%、女性が24.5%です。起業する人は男性が圧倒的に多いのが実情ですが、女性の割合は年々高まってきています。10年前の2012年は15.7%、さらにその10年前の2002年は14%であり、この20年間でおよそ1.7倍に増加しました。
今後も女性の社会進出が進み、起業という働き方が浸透してきているため、起業家の女性比率は高まっていくと考えられます。
起業する女性の年代構成
中小企業庁の『中小企業白書』によると、女性の起業家の年齢層で一番多いのが35~39歳、次いで30~34歳、65歳以上という結果になりました。男性においても30代で起業する人が多い傾向です。
30代ともなると社会人となって10年以上経過し、さまざまな人生経験を積んで知識やスキルが身に付いている頃です。一方で結婚や出産というライフイベントを迎える方も多く、「このままで大丈夫なのだろうか?」「今の仕事は自分に合っているのだろうか?」と将来のことを考える時期でもあります。こうしたタイミングで起業という選択をされる方が多いようです。
また、60歳以上で起業をされる方も増えてきています。定年を迎えて子どもも独立し、時間に余裕ができた方が起業する、あるいは老後の収入を確保するための手段として起業するという方が多いようです。
女性は女性向けの事やサービスで起業するべき?
よく本やセミナーなどで「女性は女性向けのサービスで開業すべき」というアドバイスを見聞きします。たとえばネイルやリラクゼーション、アクセサリーショップやカフェなどが挙げられます。
たしかに同性である女性をターゲットにすることで、質が高いサービスを提供できる、お客様に安心感や満足感を与えられる接客ができるというメリットがあります。とはいえ、必ずしも「女性だから女性向けのサービスで起業しなければならない」というわけではありません。
男性も利用するサービスやBtoBビジネスで成功されている女性の方も数多くいらっしゃいます。次の章で紹介するポイントも意識しながら、ご自身に合った業種・業態を模索してみましょう。
起業するなら女性も覚えておきたいこと
起業に成功するためには入念な準備が必要です。開業して何十年と経過した経営者にも経営に失敗するリスクは常につきまといます。初心者ならなおさらです。
ここからは起業するにあたって覚えておくべきポイントについてご紹介します。ぜひ次のことを意識して準備を進めていきましょう。
自分の強みや活かせるものに挑戦する
ご自身の得意なことや好きなことを活かせる業種での起業がおすすめです。苦手なこと、嫌いなことを仕事にしても長続きせず、サービスの質が低くなってしまい、ご自身にとってもお客様にとってもマイナスになってしまいます。
例えば、ネイルが好きならネイルサロン、料理やカフェ巡りが趣味なら飲食店、Web系の会社に勤めているならWebデザイナーやホームページ制作会社など、まずはご自身の特技や趣味、今されている仕事をベースに業種を検討してみるといいかもしれません。
好きなこと、得意なことを仕事に活かせば、自分の人生が充実して、お客様も満足し、収入がアップしてさらに日々の生活が豊かになるという好循環が得られる可能性が高いでしょう。
業種や職種の調査・研究を怠らない
業種や職種が固まってきたら、起業前に綿密な調査や研究を行いましょう。「どういった業務内容なのか?」「どのような仕組みで収益が入るのか?」「その業種は本当に儲かるのか?」「その業種で起業するためにはどれだけのリソース(資金や人材、設備など)が必要になるのか?」「どのような流れで開業するのか?」など、さまざまなことを調べましょう。
さらに、「競合(ライバル)はどれくらいいるのか?」「ターゲットは誰にするのか?」「どれくらいの商圏になるのか?」といった要素も重要です。
しっかりと業界に関して調査や研究を行えば事業計画や経営管理の判断材料が集まり、成功につながりやすくなります。
事業計画や経営管理はシビアに
何事も計画が重要です。起業をする際には事業計画をしっかりと立てましょう。特に融資を受ける場合は事業計画書の提出を求められるので必須事項です。
「どのような商品・サービスを提供するのか?」「なぜ開業するのか?」「開業資金はどれくらい必要になるのか?」「毎月どれくらいの売上や利益が見込め、どれくらいの経費が必要になるのか?」を明確にし、計画書にまとめましょう。
また、開業後は経営管理をシビアに行いましょう。収支をまったく気にしていない、あるいは「利益はこれくらい出るだろう」という、いわゆるどんぶり勘定で経営を続けた結果、資金がショートして倒産してしまうこともよくあります。毎月の売上と経費、そして利益という数字をしっかりと把握しておき、それにもとづいて判断するのが経営者の重要な仕事です。
セミナーなどにも参加しながら継続して人脈を広げる
起業するためには知識やスキルも身につけ、情報も収集しなければなりません。本を読めば空き時間で勉強することができ、ネットを使えば自分が欲しい情報を簡単に検索することもできます。
もちろん、本やネットなど独学で知識やスキルを身につけるのもいいのですが、セミナーや研修、異業種交流会にも参加してみましょう。その道のプロの話を直接聞くことで理解が深まります。それに加えて起業家同士の横のつながりができるのも大きなメリットです。情報交換をしたり、困ったときは助け合ったりできる仲間は、ビジネスを行っていく上で大きな財産となります。
女性が起業するならどの方法が良い?
起業というと会社を立ち上げるというイメージがあるかもしれませんが、実はさまざまな方法があります。ここからは起業の方法についてご紹介しますので、ご自身に合ったものを考えてみましょう。
個人事業主として起業
個人事業主とはその名の通り個人で事業を行う人のことを指します。フリーランスや自営業も個人事業主とほぼ同じ意味です。自分自身が商品、サービスをお客様に提供し、その対価として報酬を得ます。
会社を設立するとなるとさまざまな手続きが必要で、開業資金もかかりますが、個人事業主の場合は税務署に開業届を提出するだけなので手軽に起業できる、一人あるいは数人の従業員や外注先と仕事をするので自分のペースで仕事がしやすいというのがメリットです。一方で法人と比較すると社会的信用がどうしても低くなってしまい、融資や営業、人材採用の面で不利になりがちなのがデメリットといえます。
フランチャイズや代理店として起業
特に飲食店や小売店、サロンや学習塾などの、いわゆる店舗ビジネスを行う場合、フランチャイズや代理店に加盟して起業するという方法もあります。
大手企業や有名企業のブランドが使える、起業から運営まで本部のサポートを受けられる、経営ノウハウを学ぶことができるといったメリットがあります。一方で本部の方針や指示に従わなければならないため経営の自由度が低い、加盟金やロイヤリティーを支払わなければならないといった点がデメリットです。
副業や休日を利用した「ゆる起業」
今勤めている会社に居ながらにして起業するという選択肢もあります。就業後や休日のみ仕事をしたり店舗を開いたりといった副業も立派な起業です。「ゆる起業」とも呼ばれ注目が集まっています。
会社勤めをしながら起業をするので収入が途絶えるリスクが低い、自分のペースで仕事がしやすいといった点がメリットです。一方で稼働できる時間が限られるので収入が伸びにくい、終業後や休日に仕事をするので自由な時間が少なくなってしまうといったデメリットもあります。
最初から法人として設立するメリットはある?
もちろん、最初から株式会社や合同会社などの法人を設立して起業するという方法もあります。法人化することで節税効果が得られる(利益が大きい場合)、社会的信用が高くなるなどのメリットを得ることが可能です。
すでに副業で事業を行っていてある程度の利益が得られている、規模を拡大する、銀行から融資を受けたり従業員を採用したりするために社会的信用が必要ということであれば、法人を作って起業をしてもいいかもしれません。
しかし、前述の通りさまざまな手続きを行わなければならず、開業資金も必要となり、法人を設立するのは簡単なことではありません。また、今勤めている会社を退職していきなり法人を作って起業するのはリスクが大きいでしょう。
まずは終業後の時間や休日を利用した副業やゆる起業からはじめて、軌道に乗ったら個人事業主として独立し、利益や事業規模が大きくなってきたら法人化というように、ステップアップしていく起業家の方が多いようです。
女性が起業するなら押さえておきたいこと
起業をしても失敗をしてしまう、思ったように経営ができず「こんなはずじゃなかった……」と後悔してしまう方も少なくありません。最後に女性が起業するにあたって押さえておきたいポイントについてご紹介します。
仕事とプライベートのバランスに注意する
まずは仕事とご自身のプライベートが両立できるようにしましょう。個人事業主であれ、法人の経営者であれ、想像以上に多忙です。会社であれば同僚や上司、部下が助けてくれますが、起業したらそういうわけにはいきません。特に個人事業主や開業したての法人の経営者は自分で責任を負って、すべて自分の手で仕事をしていきます。繁忙期には休日が取れない、睡眠時間を削らなければならないといった状況にもなるかもしれません。
せっかく充実した人生を送るために起業したのに、思い通りの生活ができないということほど悲しいことはありません。特に子育て中の女性の方は、子どもの面倒が見られるようプライベートな時間を確保する必要があります。
業務を効率化する、従業員を雇う、外注を使うなど、仕事の進め方についてもしっかりと考えておきましょう。
公的な支援は最大限活用する
国や地方自治体では多様な働き方の推進や技術革新、経済の活性化などを目的として、起業家や経営者を対象にさまざまな補助金や助成金などの制度を用意しています。
たとえば新しい商品を開発する場合は中小企業庁の「ものづくり補助金」が活用できる可能性があります。パソコンやソフトウェア、システムなどのITツールを導入する場合は「IT導入補助金」が使えます。
さらに、東京都であれば「創業助成事業」、大阪府であれば「大阪起業家グローイングアップ補助金」、愛知県名古屋市であれば「名古屋市スタートアップ企業支援補助金」というように、都道府県や市区町村で独自の補助・助成制度が用意されています。
こうした制度を活用することで、開業資金や支出を大きく抑えることも可能です。国やお住まいの自治体に活用できる制度があるかどうか、ホームページなどを見て情報収集してみましょう。
ときには女性ならではの立場や視点も利用する
先ほど「必ずしも女性向けのサービスで開業する必要はない」ということを述べましたが、やはり女性ならではの立場や視点は大きな武器となります。
女性は男性よりも女性から接客を受けたほうが、安心感があります。特にリラクゼーションやネイルサロンなど、狭い空間で1対1になるサービスの場合は男性が接客をするよりも女性のほうが安心です。仕事のことや結婚のこと、出産や育児、人間関係、健康面など、同性だからこそ相談できることも多いでしょう。「私だったらこういうものが欲しい」「私だったらこうして欲しい」といった視点を商品やサービス、あるいは店舗の内装やデザインに反映することで、女性のお客様から支持を集めやすくなります。
また、男性向けのサービスでも女性ならではの視点を活かすことができます。たとえばアパレルであれば、「女性から見てその服が似合っているかどうか」という観点で男性客に服を薦めることができます。結婚相談所であれば、やはり女性の視点で男性会員に対して相手探しやお見合いのアドバイスが可能となります。
ぜひ、起業する際には女性ならではの強みも活かしてみましょう。
女性も積極的に起業に挑戦してみよう!
起業は簡単なことではありません。失敗するリスクがつきまとい、責任も重く、会社員の頃よりも自由な時間が取れなくなってしまう可能性もあります。一方で好きなことを仕事にできて、高収入を得られ、充実した人生を送れる可能性も十分にあるため、チャレンジする価値は大いにあります。
起業をするのに男性が有利、女性が有利ということはありません。むしろ、女性ならではの視点や立場を強みにすることもできます。起業という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
友人と一緒に仕事をしたいが法人を設立した方が良いですか?
必ずしも法人化する必要はありません。まずは個人事業主として起業し、利益や事業規模が大きくなってから法人にステップアップするという方法もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
副業レベルで小さく稼ぎたいけど起業するべきですか?
まずは終業後に仕事をする、休日のみお店を開くというような副業や「ゆる起業」がおすすめです。手応えが感じられてから本格的に起業しても十分間に合います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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