• 作成日 : 2023年6月9日

日本の若年層の起業意識は本当に低い?起業の道のりを阻むものとは

日本政策金融公庫の調査によると、日本でもっとも起業意識が高いのは60代でした。実際に日本の若者の起業意識は低いのか、なぜ起業したいという気持ちを持てないのか探っていきます。

また、起業したいが実現していない方のうち、約半数が資金がないことを理由として挙げています。起業を阻む課題を解決する方法についても見ていきましょう。

日本の起業関心層の推移

日本政策金融公庫の調査では、日本で起業を考えている年代は60代がもっとも多いことが報告されています。60代前後で定年退職を迎える方が多いことからも、退職してから起業というパターンが想定されるでしょう。ただし29歳以下に限ると、60代と同程度の起業意識が見られます。

年代起業したい起業するかわからない起業するつもりはない
10年以内に起業するいずれは起業したいが時期は未定
29歳以下55.7%35.8%8.5%
11.7%44.0%
30歳代46.8%44.7%8.5%
15.5%31.3%
40歳代53.6%37.6%8.8%
15.2%38.4%
50歳代50.5%40.9%8.6%
12.1%38.4%
60歳代56.9%39.2%3.9%
22.2%34.7%

出典:日本政策金融公庫「2022年度起業と起業意識に関する調査~アンケート結果の概要~」

起業意識は、時代によっても変わっています。起業家を年齢別に見ると、2012年の男性においては60歳以上がもっとも多かったですが、2007年までは39歳以下がもっとも多く、82年以前は男女ともに39歳以下の若者が起業家の過半数を占めていました。

調査年男性女性
39歳以下40~49歳50~59歳60歳以上39歳以下40~49歳50~59歳60歳以上
2012年30.7%17.5%16.8%35.0%43.4%21.2%15.0%20.3%
2007年34.3%16.5%19.1%30.1%46.4%20.2%13.8%19.5%
2002年32.4%16.8%22.7%28.1%50.6%19.7%14.6%15.1%
1997年35.7%20.0%18.0%26.2%53.4%20.7%13.0%12.9%
1992年43.6%19.6%17.5%19.3%59.5%21.9%11.4%7.2%
1987年42.2%18.5%20.5%18.8%55.6%24.3%13.4%6.7%
1982年50.3%18.9%20.2%10.6%61.7%20.5%11.3%6.5%
1979年57.0%19.3%15.3%8.4%63.2%21.8%10.4%4.6%

※調査年・性別ごとにもっとも多い年代を赤、二番目に多い年代を黄で表示しております。

出典:中小企業庁「第2部 小規模事業者のライフサイクル」

属性から見る起業意識

日本政策金融公庫の調査から、起業意識について次のことがわかります。

  • 起業意識は若い人の方が高い
  • パートタイム起業家は女性が4割以上
  • 1人で事業を運営する人が7割以上
  • 起業関心層の2人に1人以上が「起業したい」

起業意識は若い人の方が高い

2022年度の調査では、もっとも起業意識が高いのは60代でした。しかし、次に高いのは29歳以下です。

また、中小企業庁のデータでも、2012年の男性に限っては60歳以上の起業家がもっとも多いという結果ですが、そのほかの調査年に関しては男女ともに39歳以下の起業家がもっとも多くなっています。若者の起業意識は高いと考えられます。

パートタイム起業家は女性が4割以上

本業がありつつ起業するパートタイム起業家は、男性が57.0%、女性が43.0%でした。起業家と比べて女性の割合が多いことがわかります。

起業家の分類男性女性
起業家78.0%22.0%
パートタイム起業家57.0%43.0%

出典:日本政策金融公庫 「2022年度起業と起業意識に関する調査」

1人で事業を運営する人が7割以上

起業家のみで運営するケースは71.6%、法人化している起業家は10.1%です。7割以上が誰も雇用せずに事業を運営していることがわかります。

起業家の分類1人(本人のみ)法人
起業家71.6%10.1%
パートタイム起業家76.8%3.5%

出典:日本政策金融公庫 「2022年度起業と起業意識に関する調査」

起業関心層の2人に1人以上が「起業したい」

起業関心層の52.4%は起業を検討しています。実際に10年以内に起業を予定している方も14.4%います。

起業の時期起業関心層の割合
1年以内に起業する3.0%
1~3年以内に起業する4.9%
3~5年以内に起業する4.2%
5~10年以内に起業する2.2%
いずれは起業したいが、時期は未定38.0%
起業するかどうかまだわからない39.4%
起業するつもりはない8.2%

出典:日本政策金融公庫 「2022年度起業と起業意識に関する調査」

なぜ起業しない?起業に関する不安

起業したいのに起業していない理由として、自己資金不足を挙げる方が半数を超えていました。「ビジネスアイデアが思いつかない」「失敗したときのリスクが大きい」と答えた方も3割程度いました。

起業していない理由割合(複数回答)
自己資金が不足している51.1%
ビジネスのアイデアが思いつかない32.1%
失敗したときのリスクが大きい29.9%

出典:日本政策金融公庫 「2022年度起業と起業意識に関する調査」

資金の不足

起業していない理由として、もっとも多いのが資金不足です。起業を視野に入れている方のうち、自己資金が不足していると感じている方は半数を超えます。

アイデアがない

起業したいという気持ちがあっても、アイデアが思いつかない方も少なくありません。実際のところ、アイデアがなくても起業はできますが、オリジナルのアイデアで勝負したい方にとっては起業できない理由になるでしょう。

失敗したときのリスク

リスクの大きさにより、起業を思いとどまっている方は約3割います。アイデアがすでにあるなら、現在の仕事を続けつつ副業として起業する「パートタイム起業家」も検討できるでしょう。

起業における課題の解決方法

起業できない理由は、いずれも解決可能です。資金面が不足している場合は、自己資金が貯まるまで待たなくても、融資を受けることで資金調達できます。

どこで借りるか迷ったときは公的金融機関のひとつ、日本政策金融公庫も検討してみましょう。金利が低く、開業時向けです。次の記事では、融資を活用して自己資金ゼロで起業する方法について紹介しています。ぜひご覧ください。

また、アイデアが思い浮かばないときは、普段の生活を見直すことをおすすめします。生活がより便利になる工夫、楽しくなるアイデアなどを考えることで、起業のヒントが得られることもあります。次の記事も参考にしてください。

失敗リスクは、パートタイム起業家になることで回避できます。まずは現在の仕事を続けつつ、副業として起業してみましょう。

いつかは起業、を実現するために

いつかは起業したいと思っている方は、まずはパートタイム起業家から検討してみてはいかがでしょうか。事業が軌道に乗ってから、本業として専念するとリスクを回避しやすくなります。

また、事業のアイデアは日常生活に潜んでいます。ビジネスのヒントを思いついたときは、書き留め、実現可能性を探っていきましょう。


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