• 更新日 : 2023年10月23日

店舗経営とは?ノウハウや独立・開業する際の流れも紹介

店舗経営とは、店舗を経営して収益を上げるための仕組みをつくることを指します。それに対して、店舗運営は店舗経営で決めた仕組みの中で効率よく運営することです。

本記事では、店舗経営者向けにノウハウやマネジメントについて解説します。開業の流れも説明するため、ラーメン店経営などを検討している方もぜひ参考にしてください。

店舗経営とは?

店舗経営とは、店舗を経営して収益をあげるための仕組みづくりのことです。経営は、事業目的を達成するために計画的に事業を管理することを指します。

店舗経営の具体例は、以下のとおりです。

  • 店舗のコンセプトを考える
  • 事業計画書を作成する
  • 事業のための資金調達を図る
  • 事業計画の達成に向けて営業活動を行う

なお、店舗経営と混同しやすい言葉として、店舗運営があります。

店舗経営と店舗運営(店舗マネジメント)の違い

店舗運営(店舗マネジメント)とは、店舗全体を運営したりマネジメントしたりすることです。運営とは、組織全体を巻き込み動かすことを指します。

店舗経営では収益化に重きが置かれ、店舗運営では効率化に重きが置かれる傾向にあります。また、店舗経営は体制づくりを含めた全体構想を進めることに対し、店舗運営はすでにある仕組みを円滑かつ効率的に事業を運営していくという点で異なります。

なお、飲食店を経営することも店舗経営のひとつです。飲食店経営に関する基礎知識については、以下の記事を確認してください。

店舗経営のノウハウ

店舗経営のノウハウとして、以下の点を押さえておきましょう。

  • スタッフ教育
  • サービス・商品の品質担保
  • リピーター獲得
  • 経費削減・業務効率化
  • 経営分析

それぞれの方法を解説します。

スタッフ教育

スタッフ教育は、従業員の質やモチベーション上昇につながるため、店舗経営において大切です。

スタッフ教育で従業員の質を上げるために、先輩従業員が後輩従業員に繰り返しスキルを教えるような環境づくりを心がけるとよいでしょう。また、従業員のモチベーションを向上させるためには、何か目標を達成するたびに褒めることがポイントです。

店舗経営においてスタッフ教育をうまく実施できていれば、従業員の離職も防げるでしょう。

サービス・商品の品質担保

サービス・商品の品質も、売上に直結するため店舗経営を考える上で大切な要素です。

どの従業員が作業しても同レベルの品質のサービスや商品を提供できるように、業務の手順を統一化するようにしましょう。業務の手順を統一化するためにはマニュアルの作成が必要です。

しかし、マニュアルがあっても、解説が難しすぎて、一定の人しか理解できないものでは意味がありません。そこで、マニュアルを作成する際は、誰でも理解できるようにシンプルかつ簡単な表現を心がけましょう。

リピーター獲得

自社の売上を安定的に確保するために、店舗経営でリピーター獲得方法も考えなければなりません。リピーター獲得の方法として、特別な日をつくり再来店のきっかけにする方法や、定期的な来店を促す方法などがあります。

特別な日をつくりリピーターを獲得するには、クーポンの配布も有効です。イベント開催日や顧客の誕生日などにあわせて割引クーポンを配布するなど、来店のきっかけづくりに積極的に取り組んでいきましょう。

また、定期的な来店を促すには、メール配信やSNSによる集客が有効です。

経費削減・業務効率化

店舗経営において、経費削減や業務効率化を図ることも重要です。まず、経費削減を検討するにあたって、変動費固定費の概念を理解しておきましょう。

変動費は運送コストや仕入れ代のように売上に応じて変動する費用で、固定費は賃料のように売上高に関係なくかかる費用です。固定費は経費削減しにくいため、現状の変動費を確認し、削減できるものがないか考えましょう。

業務効率化を図るには、各種ツールを活用することがポイントです。従業員間のコミュニケーションに役立つツール、マーケティングに役立つツール、プロジェクト管理に役立つツールなどさまざまな種類が存在します。

なお、表計算ソフトのエクセルを業務効率化ツールとして活用すれば、無料で対応が可能です。経理にエクセルを使う際は、以下の記事を参考にしてください。

経営分析

店舗経営で「なぜ売上が落ち込んでいるのか」「なぜ経費がかさんでいるのか」「何を改善すればよいのか」を把握するためには、経営分析が欠かせません。

経営分析とは、店舗を客観的に見て売り上げ減少などの要因を分析することです。経営分析の具体的な手法として、ABC分析アソシエーション分析があります。

ABC分析とは、売れ高順などで商品をランク分けして管理する方法です。ABC分析で商品の優劣を明確にすることで、何に重点を置くべきか判断しやすくなります。

アソシエーション分析とは、顧客の購買履歴などのデータを通じて関連する項目を探し、売上向上に役立てる方法です。たとえば、Aを買う顧客はBも買う傾向にあることがわかれば、何を仕入れるべきかが見えてきます。

 独立・開業して店舗経営を始める際の流れ

独立・開業して店舗経営を始める際の主な流れは、以下のとおりです。

  • コンセプト・事業計画の作成
  • 資金調達
  • 物件探し・契約
  • 店舗の内装・外装・備品の準備
  • マニュアルの整備
  • 各種届け出
  • スタッフの採用
  • 宣伝

それぞれの概要を解説します。

コンセプト・事業計画の作成

独立して店舗を開業することを決めたら、コンセプトを考えます。店舗のコンセプトとは、どのような店にしたいのかを決めることです。

たとえば、飲食店であれば料理のスタイル(イタリアン・韓国料理・和食・ラーメンなど)、雑貨店であれば陳列する商品の種類(エスニック・北欧など)などを決めます。また、ターゲット(若年層・シニアなど)もコンセプトのひとつです。

コンセプトを決めたら、事業計画を作成します。事業計画とは、新たなビジネスのアイデアや方法、手順などをまとめて文書化したものです。

事業計画書を作成する際は、わかりやすく書くこと、各項目に一貫性を持たせることなどに注意しましょう。

資金調達

店舗経営にあたって、自己資金だけでなく金融機関などからの借入で資金を調達することが一般的です。日本政策金融公庫の調査では、開業時の平均資金調達額1,274万円のうち、「自己資金」が占める割合が21.3%(271万円)に対し、「金融機関等からの借入」が占める割合は69.2%でした(882万円)。

金融機関から借入する場合、日本政策金融公庫や民間の銀行を利用します。創業(開業)資金を借りる際は、申し込みにあたって創業計画書(事業計画書)の提出を求められることが一般的です。

参考:日本政策金融公庫2022年度新規開業実態調査(p.10)

物件探し・契約

店舗を経営するためには、物件を探さなければなりません。コンセプト・事業計画で考えたターゲットや予算、質などを考慮して物件を探します。

物件を決める際は、インターネットの情報だけで安易に決めず、内見して物件の使い勝手を吟味したり、周辺エリアを散策して集客できそうか確認したりすることが大切です。

物件を決めたら、契約に進みます。賃貸借契約にあたってかかる主な費用は、以下のとおりです。

  • 保証金・敷金
  • 仲介手数料
  • 礼金
  • 前払いで支払う分の家賃(前家賃)

また、契約時には登記簿謄本(法人の場合)や印鑑証明書、場合によっては代表者の連帯保証などが必要です。

店舗の内装・外装・備品の準備

賃貸借契約を終えたら、コンセプトにあわせて店舗の内装工事・外装工事を進めます。ただし、契約後に業者を探してからでは開店日に影響が生じるため、物件探しと並行して業者探しも進めておくようにしましょう。

工事の業者を探す際は、実績があるか、希望のデザインを実現できそうか、請負業者賠償責任保険に加入しているかなどを確認します。また、依頼時に自分の希望をスムーズに伝えられるように、あらかじめ店内のイメージ(例:飲食店の場合は席数や配置など)を描くようにしましょう。

そのほか、店舗の備品(什器)の準備も必要です。購入せずに、リース契約・レンタル契約で什器を調達できることもあります。

なお、フランチャイズ経営であれば、本部から備品を提供されることもあるでしょう。フランチャイズ経営の概要については、以下の記事を参考にしてください。

マニュアルの整備

開業当初から商品・サービスの品質を安定させられるように、従業員の採用前にマニュアルを整備しておきます。雇用した従業員が短期で戦力になるように、写真や図解を活用して見やすく、全体の流れを把握しやすいマニュアルにすることがポイントです。

また、開業後も従業員や顧客の反応などをみて、柔軟にマニュアルの内容を変更するようにしましょう。

各種届け出

法人で開業する場合には会社設立登記の手続き、個人で開業する場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出などが必要です。また、店舗の規模や形態によって届出を提出したり、許認可を取得したりしなければなりません。

たとえば、飲食店であれば該当する営業許可申請書を所管する保健所に提出しなければなりません。飲食店で必要な資格については、以下の記事を参考にしてください。

スタッフの採用

開業前に、スタッフ採用も進めなければなりません。スタッフ求人の方法には、店頭掲示・求人情報誌や求人アプリへの掲載・SNSの活用などがあります。

アルバイトやパートを募集する場合は開業の30日前、社員を募集する場合には3か月前をひとつの目安として動き出しましょう。近年、どの業界も人手不足に悩まされているため、ギリギリに募集すると開業に間に合わない可能性があるため注意は必要です。

宣伝

開業後すぐ集客につなげられるように、早めに宣伝しておきます。主な宣伝方法は、以下のとおりです。

  • オールドメディア(テレビ・雑誌・新聞・ラジオ)の広告を活用する
  • 自店のホームページやブログを立ち上げる
  • Googleビジネスプロフィールに登録する
  • ウェブ広告に出稿する
  • SNSを活用する

どの層をターゲットにするかによって、効果的な宣伝方法も異なります。コンセプトを踏まえて、宣伝方法を検討するようにしましょう。

店舗経営は収益化の仕組みづくり

店舗経営とは、店舗を経営して収益をあげるための仕組みづくりを指します。店舗経営にあたって、スタッフ教育やリピーター獲得、業務効率化などのノウハウを取得しておくことが大切です。

独立・開業して店舗経営を始めるためには、コンセプト・事業計画の作成や物件探し、マニュアル整備といったさまざまな準備を進めなければなりません。店舗経営に関心のある方は、早速今できることから始めましょう。


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