- 更新日 : 2023年9月21日
会社設立登記で委任状が必要なケースは?|無料ひな形・テンプレート付き
会社設立をするならば、知っておきたいのが登記についてです。何の書類が必要なのか、そして、どうやって提出しないといけないのかは必ず押さえておきたいポイントといえます。そこで、今回は、書類提出時に疑問に挙がりやすい「委任状」にスポットを当て、どのような書類なのか、そして提出が必要なケースや書式について紹介します。これから会社を作りたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
会社設立時は委任状が必要?
会社は、社名や事業内容、代表者の氏名等の会社情報を法務局に登録することで設立されます。これを「設立登記」といいます。登記の内容はホームページ等で開示が可能です。また、設立登記を行うことで社会的な信用を得ることができ、取引先の拡大や経営資金の借入ができるようになります。
会社設立時の登記方法はオンライン申請もしくは書面申請(書面申請は、通常の書面申請もしくはQRコード付き書面申請から選択)から選択できます。登記申請時には以下の書類の添付が必要です。
株式会社や合同会社など、設立する会社の形態により必要な添付書類は多少異なりますが、基本的には上記の書類が求められます。
なお「委任状」は必ず準備しないといけない書類ではなく、特定の状況下で必要とされます。委任状が必要になるケースについては次章でご紹介します。
そもそも委任状とは?
会社設立時の登記は、本来は会社の代表取締役が行うものとされています。しかし、都合などで代表取締役による手続きが難しい場合には、代理人による申請が可能です。
代理人による申請を行う場合は、代表取締役が第三者に手続きの代行を委任するための委任状を用意しなければなりません。委任状も他の書類同様、法務局への提出が求められます。
委任状には主に以下の内容を記載します。
- 代理人の住所や氏名
- 申請内容
- 日付
- 委任する会社(登記する会社)の住所や社名、代表者名
なお、第三者による登記申請を行う際、委任状が不要とされる場合もあります。委任状が必要な場合と不要な場合の違いについては後述します。
会社設立登記で委任状が必要なケースは?
会社設立時には登記が必要であり、代理人が書類を法務局に提出する際は「委任状」が必要なことをご紹介しました。しかし、必ず委任状を提出しないといけないというわけでもありません。この章では代理人ごとに委任状が必要になるのか、不要なのかをご紹介します。
司法書士などに手続きを依頼する場合
会社設立登記の手続きを仕事として請け負えるのは司法書士、もしくは弁護士に限られています。これらの資格を持たない人に対する代理申請の依頼は、有償無償にかかわらず違法となります。
司法書士などに仕事として代理手続きを依頼する場合には、書類の作成から代行してもらうことになりますので、委任状が必要となります。なお、会社設立後に役員を変更する場合の登記についても司法書士が代理で行うことができます。
従業員が手続きをする場合は委任状が必要?
本来ならば設立する会社の代表取締役が行う登記申請を、従業員代理で行う場合も予想されます。従業員による申請手続き代行は、報酬を支払って依頼した司法書士等とは異なり、委任状を求められないケースが多くなっています。
なぜなら、登記申請書類の代理作成から依頼する司法書士や弁護士への委任とは異なり、従業員はすでに完成している申請書等を出すだけの立場とみなされているためです。ただし、絶対に委任状を出す必要がない、というわけでもありません。提出先の法務局によっては委任状の提出が求められる場合もありますので、従業員が申請書類を提出すると決まっているのであれば、事前に本社所在地の法務局に確認することをおすすめします。
会社設立登記の委任状の書き方・記入例
会社設立登記の委任状は以下のような書式となります。
それぞれの項目について確認していきましょう。
①代理人となる司法書士や弁護士の住所と氏名を記載します。
②委任内容を記載します。
③委任する日を記載します。
④今回委任する会社(登記する会社)の住所と社名、代表者の氏名を記載します。会社の実印も押印してください。
特に書式が決まっているわけではありませんので、上記の内容が記載されていれば問題ありません。司法書士や弁護士によっては前もって書式を作っているところもありますので、用意されていればそちらを利用してもいいでしょう。
会社設立登記の委任状の無料ひな形・テンプレート(ダウンロード可)
会社設立登記を代理人に申請してもらう場合の委任状の書式はこちらにも準備しています。司法書士・弁護士側で委任状の書式が準備されていなかったという時はぜひ利用してください。
▼無料ダウンロードはこちら▼
会社設立登記の委任状の無料ひな形・テンプレート
私は、上記の者を代理人に定め、次の権限を委任する。
1.令和〇年〇月〇日発起設立の手続きが終了した当会社の設立登記を申請する一切の件
1.原本還付の請求及び受領の件
令和〇年〇月〇日
※内容等は委任内容に応じて適宜変更してご利用ください。
会社設立時は必要に応じて委任状を用意しましょう
会社設立時の登記は代表取締役が行うのが原則です。ただし、司法書士や弁護士に書類作りや代理申請を依頼する際は委任状を作成しましょう。委任状を作成する際は、「代理人の氏名や住所」「申請内容」「会社の社名・住所・代表者名」などの内容をもれなく記載しましょう。
また、従業員が申請書類を代理で提出することもありますが、その際は代理ではなく使者としてみなされるため、多くの場合委任状の提出を求められません。ただし、絶対に不要とは限りませんので、従業員が申請する場合は法務局で委任状の要不要を確認するようにしてください。
会社の設立登記では委任状以外にも準備する書類が多くあります。くわしくはこちらの記事もご覧ください。
よくある質問
会社設立の登記をする目的とは?
会社は登記をすることでこの世に誕生し、登記をすれば会社名義で事業活動を行うことができます。そのため、会社設立の登記が必要なのです。 詳しくはこちらをご覧ください。
委任状は必ず提出しないといけない?
設立する会社の代表取締役が登記申請する場合は不要です。また、従業員が完成した申請書類を提出する場合も不要とされることが多くあります。従業員が申請する場合は事前に法務局に確認しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
委任状が必要な場合とは?
司法書士や弁護士に代理申請を依頼する場合は必要です。なお、司法書士・弁護士以外は代理申請を請け負うことは不可です。無報酬でも許可されていません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
節税の関連記事
新着記事
不動産事業の法人化とは?メリット・デメリット、費用の目安、流れを解説
不動産事業は、ある程度収益が上がってきたら法人化した方がよいといわれています。実際に不動産事業を法人化することで、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。この記事では、不動産投資や不動産賃貸業を法人化する手順や法人化を考える目安な…
詳しくみる賃貸経営とは?利回りや収支計算、失敗を防ぐコツを解説
ご自身の不動産を活用して、あるいはこれから物件を購入して賃貸経営を始めようと考えられている方もいらっしゃるかと思います。この記事ではマンションやアパートなどの賃貸経営の始め方やビジネスとして賃貸経営を選ぶメリット・デメリット、注意点について…
詳しくみる駐車場経営の法人化とは?個人との違いや年収の目安、法人設立の手順
駐車場経営をしている方の中には、個人事業主から法人化を検討されている経営者の方もいらっしゃるかと思います。節税対策や安定した経営のための施策として、法人化は効果的な手段といえます。 ただ、年間所得が一定以上でないとそのメリットを十分に享受で…
詳しくみる独立資金を作るには?開業費用の平均額や内訳、資金の調達方法について解説
独立資金を作るためにはどのような方法があるでしょうか?自己資金や親族・友人などからの借入などの調達方法もありますが、もっとも一般的な方法は融資です。とはいえ簡単に資金が得られるとは限りませんので、自己資金の蓄えや綿密な事業計画の策定が重要に…
詳しくみる農業の法人化とは?個人農家との違いや年収の目安、法人設立の手順
農業で法人化すると法人税の適用や制度融資活用など、税制面や経営面において多数のメリットを得られますが、手続きが複雑なので入念な下準備が必要です。 この記事では、農業の法人化のメリット・デメリット、法人成りに必要な手続き、失敗しないためのポイ…
詳しくみる独立時の融資ではいくら借りられる?個人事業主が審査に通るコツなどを解説
独立・開業に必要な資金は、融資で調達可能です。個人事業主であっても、日本政策金融公庫や銀行融資などが活用できますし、実際に多くの事業者は融資により独立資金を準備しています。 ただし審査に通らなければ融資はしてもらえません。本記事にてコツ・ポ…
詳しくみる