• 作成日 : 2024年10月25日

英会話教室の事業計画書の書き方は?テンプレートをもとに記入例を解説

英会話教室の事業計画書は、創業融資や助成金活用時に必要となります。ただ、事業計画書の場合、融資を得たいからといって実現ができなさそうな夢物語に近い計画を作成してはいけません。

この記事では英会話教室を創業する際、どのように事業計画書を作成すべきかを詳しくご紹介します。

英会話教室の開業に必要な事業計画書とは

英会話教室の事業計画書は経営戦略を明確にし、資金調達や運営の指針を示す重要な書類です。計画書にはターゲットとなる生徒層(子ども、ビジネスパーソン、留学希望者など)や、提供するクラスの種類(マンツーマン、グループレッスン、オンラインクラスなど)を明記します。

また、教室の立地や設備、スタッフや講師の採用計画、広告戦略なども詳細に記載する必要があります。資金面では初期投資額や運営コスト、月間の収益予測を正確に立てることで、事業の成長予測やミッション策定に役立てます。事業計画書は融資審査でも用いられるので、細部までしっかりと作成する必要があります。

英会話教室の事業計画書の書き方・記入例

英会話教室の事業計画書には、創業動機や具体的な運営方針を示さなければなりません。ターゲットやサービス内容、資金計画を明確にすることで、経営の基盤を固めるための指針づくりにも役に立ち、融資審査においても有利に働きます。

ここからは事業計画書の各項目と具体的な書き方を解説しましょう。

創業動機・目的

創業動機および目的では、英会話教室を開業する理由を明確に説明します。例えば、「受験指導を行っていたが、実用的な英会話教育に対するニーズの高まりを感じ、独立を決意した」など、教育に対する自身のビジョンや社会的ニーズに基づいた動機を記述するとよいでしょう。

さらに、適した物件を見つけたことや地域の需要を見込んでいることを理由に加えると、事業の現実性が増します。

職歴・事業実績

英会話教室を開業するにあたってこれまでの職歴や実績を明確に記載する欄です。履歴書と同じようなイメージで以下のように記載します。

○年○月:○○外国語大学卒業
○年○月:○○塾に就職
英語講師として主に大学受験生に講義を行い、14年間で第一志望合格者数は500人以上

取扱商品・サービス

取扱商品やサービスには、具体的なレッスン内容や料金を記載します。対象となる年齢層やクラスの内容を明確にしましょう。また、ネイティブ講師による対面レッスンやオンライン授業など、教室ならではの事業の強みや戦略も明確に記載しましょう。

小中学生向けの英会話教室(8,000円~/月)
高校生や大人向けの英会話教室(1万円~/月)

取引先・取引関係

英会話教室の主要な取引先は、企業や事業主ではなく一般個人(生徒)となります。そのため、販売先には「一般個人 シェア100%、前払いの割合100%」というふうに記載します。さらに「授業料は末日締め、翌月末回収」などの具体的な条件を入れておきましょう。外部講師の派遣先やスタッフを雇用する場合は、人件費の支払い条件も記載します。

従業員

従業員の欄には講師の人数や雇用形態を記載します。例えば、「正社員2人、パート従業員2人」を雇用する場合、「従業員4人(うちパート従業員2人)」という内訳を記載します。法人化する場合は常勤役員の人数も明記しましょう。

借入の状況

借入の状況には、現在の代表者の借入額や年間返済額を記載します。間違われることも多い項目ですが、借入総額ではなく、記載時の残高を記入しましょう。例えば、1,200万円の住宅ローンが残っている場合、「○○銀行から1,200万円を借入れ、年間160万円の返済を予定」と記載し、融資元や返済計画を明確にします。

必要な資金と調達方法

事業を運営するために必要な資金とその調達方法を記載します。以下のように費用の名目と金額をわかりやすく記入しましょう。

  • 設備資金

内装工事費:400万円

PC、備品費:200万円

  • 運転資金

システム運用費:100万円

広告宣伝費:100万円

  • 調達の方法

自己資金:300万円

日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入:500万円

事業の見通し

事業の見通しでは、創業当初と1年後の売上予測を示します。例えば、「創業当初の生徒数は70名、売上高は月101.5万円、1年後には84名の生徒を想定し、売上は月121.8万円」と具体的な数字で示し、収益性と成長性を強調しましょう。また、これらの数値に基づく収支計画を詳細に説明することが重要です。

英会話教室の事業計画書に使える無料テンプレート

マネーフォワード クラウドは、英会話教室向けの事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しています。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードして、ご活用ください。

英会話教室を開業するときの資金調達方法

英会話教室を開業する際、教室として使用する物件や設備にかかる初期費用に加え、人件費や賃料など開業後しばらくの運転資金の確保が必要です。新創業融資制度や補助金・助成金なども活用し、無理のない資金計画を立てましょう。

日本政策金融公庫の新規開業資金の融資制度を活用する

日本政策金融公庫では、これまで事業の立ち上げる方、あるいは開業して間もない事業者を対象に新創業融資制度を設けていましたが、2024年3月31日をもって廃止されました。2024年4月1日以降、新事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できるようになりました。

特に英会話教室のような教育関連のビジネスでは、設備費や人件費などの運転資金がかかるため、日本政策金融公庫の新規開業資金の融資制度もうまく活用するよう検討してみましょう。

原則として、担保や保証人が不要なため、初めて事業をされる個人事業主でも利用しやすい点が特徴です。英会話教室の開業時に必要な教室の内装費や教材費、講師の人件費など、さまざまな用途に対応できます。

補助金・助成金を活用する

英会話教室を開業する際には、政府や自治体が運営している補助金や助成金の利用も有効です。補助金や助成金は融資と異なり返済義務がないため、初期投資を抑える手段として有効活用する事業主が多く見られます。

例えば、「地域創造的起業補助金」や「小規模事業者持続化補助金」など、創業時の事業計画に基づき費用の一部を支援してもらえる制度があります。英会話教室の場合、設備費や広告宣伝費に対して補助金を活用することで、開業時の自己負担軽減につながります。

その他にもさまざまな補助金制度があり、都道府県・市区町村単位で提供しているものもありますので、自治体の公式サイトなどをぜひ確認してみましょう。

英会話教室の資金調達を成功に導く事業計画書のポイント

英会話教室の開業に際して資金調達を成功させるためには、事業計画書の内容が重要です。特に金融機関や投資家に対してはお金を出してもらう以上、信頼性の高い事業計画を提示することが求められます。

以下のポイントに注意して作成することが資金調達成功の鍵です。

1. 具体的なターゲット層の設定

英会話教室の事業計画書では、明確なターゲット層を設定し、そのニーズに応じたサービスを提供することが重要です。子ども向け、大人向け、ビジネス英会話、受験対策、留学準備など、どの層をターゲットにするかを具体的に記載しましょう。

例えば、「小中学生向けの基礎英会話コース」と「ビジネスマン向けの実践的な英会話レッスン」など、提供するクラスやその対象者を明確にします。

2. 収益計画の現実性

金融機関が重視する点は、事業の収益性と計画の実現性です。事業計画書には具体的な収益計画を記載し、現実的な数字をもとにした予測を示しましょう。例えば、月間の生徒数や平均授業料を明記し、それに基づいた月間・年間の売上予測を立てます。さらに、広告やプロモーション活動の計画も記載し、新規生徒の獲得戦略を具体的に示すことで、安定した収入源の見込みが強調されます。加えて、生徒数の増減に対応した柔軟な費用管理も重要です。

3. 経費と資金用途の詳細

英会話教室の開業資金の使途を明確にすることも、資金調達を成功させるための重要なポイントです。内装費、教材費、講師の採用費、広告宣伝費など、具体的な項目ごとに必要な資金を正確に示すことで、金融機関に対して資金計画がしっかり立てられていることをアピールできます。また、初期投資に加え、毎月の運営コスト(家賃、人件費、広告費など)も含めた計画を立てることで、事業が安定して運営できる体制を示すことが重要です。

4. リスク管理と対策

事業計画書にはリスク管理の計画も含めましょう。英会話教室は社会の経済状況や国際的な情勢、感染症の流行などの社会的な影響により生徒数が減少する可能性があります。これに対応するためにオンラインレッスンの導入やマーケティング戦略の変更など、リスク発生時の具体的な対策を記載しておくことが重要です。例えば、感染症といった世界的な大流行(パンデミック)などの状況に対応できるよう、対面とオンラインのハイブリッド授業を提案するなど、柔軟な運営方法を取り入れることで、リスクに備えることができます。

5. 教室の差別化ポイント

英会話教室は競合が多いため、他校との差別化ポイントを強調することも大切です。例えば、ネイティブ講師を採用している、独自のカリキュラムや学習方法を導入している、大手とは異なる柔軟な授業時間帯やオンラインコースを提供しているなど、競合との違いを明確にすることで、事業の独自性と競争力をアピールできます。

事業計画書の充実が英会話教室開業の成功を左右する

英会話教室の事業計画書では、ターゲット層、指導形式、事業主の実績が重要です。小学校における外国語(英語)教育の充実(小学3・4年生から必修化、小学5・6年生では教科化)や海外就労需要の増加などにより、今後も英会話教室の需要は拡大すると予想されます。

エリア選定、カリキュラム、指導方法など、細かい部分までこだわり実現可能な計画を立てることで、事業運営と融資審査の両方で好印象を与えるでしょう。今回の記事を参考に一度事業計画を作成してみましょう。


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