- 更新日 : 2025年11月6日
個人事業主から法人へ「法人成り(法人化)する際の手続きは?自分でもできる?」
個人事業で事業が軌道に乗ると、法人化について検討する方もいることでしょう。しかし、どのようにして法人化すればよいのか、わからないという方は少なくありません。法人化するには作成しなければならない書類が多く、手続きも煩雑です。そこで今回は、法人化の際に必要な手続きについて詳しく解説していきます。
目次
法人設立登記
会社を設立するには、設立登記が必要となり、さまざまな書類を用意しなければなりません。設立手続きの大まかな流れは以下のようになります。
1. 会社の基本的事項を決める
事業の目的、商号(会社名)、本店所在地、資本金、役員など会社の基本的事項を決めます。
2. 定款を作成する
定款とは、上述した会社の基本的な事項を文書としてまとめたものです。決まった様式はありませんが、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」、記載しなければ有効とはならない「相対的記載事項」、記載してもしなくてもよい「任意的記載事項」があります。
絶対的記載事項
絶対的記載事項には、以下の事項があります。
- 会社の目的
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額(資本金)
- 発起人の氏名又は名称及び住所
- 発行可能株式総数
相対的記載事項
相対的記載事項には、例えば以下の事項があります。
3. 定款の認証を受ける
作成した定款は、公証役場において公証人の認証を受けなければなりません 。定款の認証を受ける場合には、文書にした定款を認証してもらう方法のほか、パソコンで作成した電子定款を公証役場にオンライン送信して認証を受ける方法があります。
【参考】定款認証|渋谷公証役場
4. 資本金の払い込みをする
定款の認証が完了したら、資本金を発起人の代表者個人の口座に払い込みます。
5. 設立登記をする
会社の設立登記は、法務局で行います。登記申請書を作成し、定款や印鑑証明書などの添付書類と合わせて法務局の窓口に提出して行います。
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会社設立後の手続き
1. 税務署・都道府県税事務所への届出に必要な書類
設立登記の完了後、本店所在地を管轄する税務署に各種届出を行います。届出には登記事項証明書や定款のコピーが必要になり、主な届出書類 は以下のとおりです。
また、都道府県税事務所や市区町村役場にも法人設立届が必要になります。
【参考】新設法人の届出書類|国税庁
2. 年金事務所への届出に必要な書類
社会保険の加入手続きは、年金事務所で行います。社会保険には、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の3つがあり、従業員を雇う場合はもちろん、自分ひとりしかいない会社であっても、役員報酬として給料を受け取る場合は社会保険に加入しなければなりません。
社会保険加入の手続きをするためには、下記の3つの書類を提出します。
- 健康保険 厚生年金保険新規適用届
- 健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届
【参考】新規適用の手続き|日本年金機構
3. 労働基準監督署・ハローワークへの届出に必要な書類
会社設立時にひとりでも従業員を雇う場合には、労働保険への加入手続きが必要となります。加入するにはまず、労働基準監督署に「労働保険 保険関係成立届」「労働保険 概算保険料申告書」を提出し、次にハローワークに「雇用保険 適用事業所設置届」「雇用保険 被保険者資格取得届」を提出します。
個人事業主の廃業届の提出
個人事業を廃業し法人化する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書 」を所轄の税務署に提出し、個人事業を廃業する手続きをしなければなりません。また、上記の税務署への届出に加えて、所轄の都道府県税事務所への「事業開始(廃止)等申告書 」の提出も必要となります。
【参考】労働保険の成立手続き|厚生労働省 / 雇用保険適用事業所設置届|ハローワーク
資産、債権・債務の移動
法人化により会社を設立した場合、個人事業に関わる資産や債務を引き継ぐ必要があります。具体的には、個人と新設会社で資産の売買契約書や債務の引受契約を交わし、また銀行の借入名義変更(借り換え)や事務所の賃貸借契約書の名義変更を行います。
取引先への挨拶・契約の変更など
法人化した場合には、取引先との基本契約も再契約が必要になる場合が多いと思います。取引先への挨拶回りもかねて、取引先と改めて会社名義の契約を行いましょう。
銀行口座を開設する
銀行口座も会社名義で開設しましょう。お金については、個人用と会社用をきちんと分けて管理する必要があります。会社の口座内にあるお金は個人用に使用することはできないことに注意してください。
また、法人名義のクレジットカードも新規に作成しておくと便利です。こちらについても、個人用として自由に使うことはできません。
法人成りの手続きに関する経営者の経験データ
個人事業主から法人への法人化には多くの手続きが必要ですが、実際に法人設立を経験した経営者はどのように感じているのでしょうか。実際のデータから、法人成り手続きの準備について参考となる情報を見ていきましょう。
法人設立手続きの6割以上が困難を感じている
マネーフォワード クラウドで実施した調査によると、会社設立者1,040名のうち64.7%が会社設立の準備や手続きについて「大変だった」または「少し大変だった」と感じていることが明らかになりました。
特に設立間もない企業ほどその傾向が強く、設立2~3年以内の企業では82.9%、設立1年以内の企業では75.9%が何らかの困難を感じています。
出典:マネーフォワード クラウド、先輩起業家が一番困ったことは?【会社設立の意思決定調査】(回答者:会社設立の経験がある方1,040名、集計期間:2024年1月)
法人成り手続きを円滑に進めるポイント
この調査結果は、法人成りを検討している個人事業主にとって参考になるデータです。定款の作成・認証、設立登記、各種届出など、法人成りには複雑な手続きが多く、実際に多くの経営者が手続きの大変さを感じています。
このデータから、法人成り手続きには相応の準備と時間が必要であることがわかります。特に、税務署への届出、社会保険の加入手続き、個人事業の廃業届など、複数の機関への手続きが必要となるため、事前にスケジュールを立てて計画的に進めることが重要です。また、手続きの複雑さを考慮すると、税理士や社会保険労務士など専門家のサポートを受けることで、より確実でスムーズな法人成りが実現できるでしょう。
準備を万全にして法人成り(法人化)手続きを進めましょう
個人事業から法人化する場合、法律にもとづいた厳格なルールが定められているため、すべてをひとりで行うのは困難かと思われます。会社設立に詳しい税理士や、社会保険労務士に相談しながら進めることも検討してみてはいかがでしょう。
よくある質問
法人設立登記の大まかな流れは?
会社の基本的事項を決める、定款を作成する、定款の認証を受ける、資本金の払い込みをする、設立登記をするという流れとなります。詳しくはこちらをご覧ください。
会社設立後の手続きは?
税務署・都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークに対する届け出が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
その他の必要な手続きは?
個人事業主の廃業届の提出や、資産・債権・債務の移動、契約の変更、銀行口座開設などが必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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