- 作成日 : 2024年6月28日
合同会社の設立前後に使える補助金・助成金10選【まとめ】
合同会社を設立する際には補助金や助成金の活用を検討してみましょう。特に会社設立前後は多額の準備資金が必要になりますが、こうした制度を活用することで負担を軽減できるはずです。
この記事では合同会社の設立前後に使える10の補助金・助成金制度をご紹介します。
目次
合同会社と株式会社で、使える補助金・助成金は違う?
基本的に株式会社だから補助金や助成金が受け取れる、合同会社だから受け取れないということはありません。合同会社も会社なので、申請さえ通れば補助金や助成金を受け取ることは可能です。
むしろ要件を満たしているか、正しく申請できているか、期限が十分あるかといった点に注意しましょう。補助金や助成金が受け取れるかどうか不安な場合は担当窓口に相談してみることをおすすめします。
【そもそも】 補助金と助成金の違い
補助金や助成金はいずれも国や都道府県、市区町村が事業に必要な資金を支援してくれる制度です。両者は混同されがちですが、実は大きな違いがあります。それぞれの制度の意味について見ていきましょう。
補助金
補助金とは産業の発展や経済振興、環境保全など、国や地方自治体の政策目的を達成するための施策の一環として実施される制度です。
金額は100万円~1億円以上と、助成金と比較すると非常に大きいですが、その分受給までのハードルが高くなります。あらかじめ予算や枠が決まっているケースが多く、要件を満たしたうえで申請手続きを行い、審査に通過してようやく受給できます。
助成金
助成金とは雇用の促進や労働環境の改善を目的として国や地方自治体が企業を助成する制度です。例えば厚生労働省が所管する雇用関係助成金は一定の要件下で従業員を雇用し続けたり雇い入れたりした場合に受給できます。
受け取れる額は10万円~100万円前後です。補助金よりも支給額は少ない傾向がありますが、厳しい審査などはなく、要件を満たして申請手続きをすれば受け取れるようになっている制度が多いのです。
合同会社設立前後に検討したい補助金・助成金10選
以上で補助金・助成金の概要について説明しました。ここからは具体的に合同会社が使える10の代表的な制度を見ていきましょう。
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)は独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施している制度で、中小企業者などを支援する目的で、中小機構と都道府県、金融機関などが資金を出し合ってファンドを形成し、その運用益から助成を行います。
各地の農林水産物や伝統技術を活用した研究や商品開発、需要の開拓を対象とした「地域中小企業応援ファンド」、中小企業者と農林漁業者が協働で研究・商品開発、需要の開拓をするための費用を補助する「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」などの種類があります。
参照:地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)|中小機構
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は地区の商工会または商工会議所が窓口となり中小企業庁が所管する補助金制度制度です。その名の通り常時使用する従業員が20名以下(サービス業のうち宿泊業・娯楽業、製造業その他)、もしくは5名以下(宿泊・娯楽業除く商業・サービス業)の小規模事業者を対象に、働き方改革や賃上げ、インボイスなど制度変更に対応するための取り組みを補助する制度です。
枠がいくつかあり、通常枠の場合は最大50万円、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠は最大200万円の補助を受けることができます。なお、補助率はいずれも2/3(赤字事業者は3/4)です。
研究開発型スタートアップ支援事業
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施している補助金制度で、新しい技術の研究開発に取り組んでいるスタートアップの創出や育成と、それによる経済活性化、新規産業・雇用の創出を目的としています。ビジネスプランの構築を支援する研修およびビジネスプランコンテストなどを行い、優秀なプランが採択されます。
2022年度は、2,000万円以下の定額補助が受けられるコースと、最大2億円(助成率2/3以下)の助成が受けられる2つのコースがありました。
参照:研究開発型スタートアップ支援事業|新エネルギー・産業技術総合開発機構
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業庁が所管し独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの効率化に必要な設備導入費用などを補助する制度です。
コースが3つあり、省力化枠は100万円~8,000万円、製品・サービス高付加価値化枠の通常類型は100万円~1,250万円、成長分野進出類型(DX、GX)は100万円~2,500万円、グローバル枠は100万円~3,000万円の補助が受けられます。
参照:ものづくり補助金総合サイト|ものづくり補助事業公式ホームページ
IT導入補助金
IT導入補助金とは中小企業や小規模事業者などが業務効率化やDX化を推進するための設備やソフトウエア、サービスなどの導入費用を補助する制度です。パソコンやタブレット端末、POS、券売機、ソフトウエア、クラウドサービスなど、さまざまな製品やサービスが対象となります。また、コンサル費用やサポート費用なども補助を受けることが可能です。
補助額や補助率は対象品目によって異なり、インボイス枠(インボイス対応類型)で、パソコンであれば購入費用の1/2までで最大10万円×グループ構成員数、ソフトウエアであれば50万円以下補助率3/4以内、もしくは50万円超~350万円以下補助率4/5となります。
参照:IT導入補助金2024|令和5年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
事業再構築補助金
事業再構築補助金とはポストコロナ時代における経済社会の変化に対応するために中小企業に対し、新しい分野への事業展開や事業の転換、事業再編などの事業再構築をサポートする補助金制度です。
5つの枠があり、成長分野進出枠(通常類型)は最大7,000万円(補助率は中小企業の場合は1/2、中堅企業の場合は1/3)、成長分野進出枠(GX進出類型)は中小企業の場合は1億円(補助率1/2)、中堅企業の場合は1億5,000万円(補助率1/3)、コロナ回復加速化枠(通常類型)は3,000万円(補助率は中小企業の場合は2/3、中堅企業の場合は1/2)、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)は1,500万円(補助率は中小企業の場合は3/4、中堅企業の場合は2/3)、サプライチェーン強靱化枠は5億円(補助率は中小企業の場合は1/2、中堅企業の場合は1/3)が補助されます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善に取り組んだ事業主を助成する制度で、厚生労働省が所管しています。
正社員化コース、障害者正社員化コース、賃金規定等改定コース、賃金規定等共通化コース、賞与・退職金制度導入コース、社会保険適用時処遇改善コースという6つのコースがあります。例えば正社員化コースであれば中小企業が有期雇用者を正社員に転換した場合は80万円、大企業が同様に有期雇用者を正社員に転換した場合は60万円の助成金が受けられます。
雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、なんらかの理由によって業績が悪化した企業が従業員を一時的に休業や教育、出向などをさせて雇用し続けた場合に支払われる助成金です。
例えば中小企業が従業員を休業させた場合は、1人あたりの賃金の2/3まで、大企業については1/2まで助成を受けることができます。また、教育訓練を実施した場合は1人1日あたり1,200円が加算されます。
売り上げが減少しているなど業績が悪化している企業およびその従業員を救済するための助成金制度ですが、いざというときのために内容を頭に入れておかれることをおすすめします。
トライアル雇用助成金
職業経験の不足が原因で就業が困難な求職者を、正社員に移行することを前提として一定期間(原則3カ月)トライアル雇用をする企業に対する助成金制度です。雇用創出や就職できない求職者の早期就業を目的としています。
受給額は1人につき月額4万円で、対象者が母子家庭の母親、父子家庭の父親の場合は5万円となります。なお、勤務日数や労働時間などによって受給額は変動します。
参照:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは事業主が雇用する労働者に対して専門的な知識やスキルを身につけさせるために職業訓練などを実施した際に、その経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースという4つのコースがあります。
例えば人材育成支援コースであれば、さらに人材育成訓練、認定実習併用職業訓練、有期実習訓練という3つの区分に分かれていて、1人1時間あたり760円、要件を満たせば960円の助成を受けることができます。一例として経費に関しては人材育成訓練、認定実習併用職業訓練の場合は経費の45%、有期実習訓練であれば60%もしくは70%の助成が受けられ、さらに認定実習併用職業訓練では20万円、有期実習訓練なら10万円のOJT実施助成額も受給できます。
参照:人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)|厚生労働省
補助金・助成金を活用して合同会社を有利に設立・経営しよう
以上で合同会社の設立前後に使える補助金、助成金制度をご紹介しました。補助金・助成金は返済が不要な一方で、要件を満たさないと受給できない、申請手続きの手間がかかるなどの注意点もあります。また、今回ご紹介したもの以外にも国、各都道府県、市区町村ではさまざまな制度を用意しています。
一度どのような助成金制度があるか、どのような要件を満たさなければならないのか、ネットや商工会・商工会議所、役所の窓口などで情報収集してみて、使えそうなものがあれば積極的に活用を検討してみましょう。
税理士コメント
この記事の通り、合同会社も株式会社同様、多くの助成金や補助金を受給できます。
補助金は、まず先にその補助金に係る事業を実施したのちに入金されるため、資金繰りに留意する必要があります。また、補助金は「圧縮記帳」などの特例もありますが、基本的には法人税の課税対象となりますので、入金のあった年度の税金対策も考えておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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