• 更新日 : 2023年12月5日

マッサージ店経営に失敗しないためには?平均年収・開業資金も紹介!

マッサージ店経営に失敗しないためには?平均年収・開業資金も紹介!

マッサージ店には、あん摩・マッサージ・指圧のように治療目的で行うものと、もみほぐしやオイルマッサージのようにリラクゼーションとして行うものがあります。開業にあたっては、まずどちらにするかを決めなければなりません。この記事では、マッサージ店の経営に失敗しないための方法、平均年収や開業資金を解説します。

【定義】マッサージとリラクゼーションの違い

マッサージ店の経営をしようと思う場合、最初に押さえておかなければならないのは「マッサージ」と「リラクゼーション」の違いです。一口にマッサージ店といっても、さまざまな種類があります。それらマッサージ店の一番大きな区分けが、マッサージとリラクゼーションなのです。

マッサージとは肩こりや神経痛、関節の変形などの症状を改善するための医療行為で、施術には国家資格が必要です。健康保険が適用されることもあります。国家資格は、国が指定する養成学校で学び、国家試験に合格すると取得可能です。あん摩マッサージ指圧師や、はり師、きゅう師、柔道整復師などの資格があります。

一方リラクゼーションは、心身の緊張をほぐしてリラックスさせることが目的で、医療行為ではありません。施術に特別な資格は必要なく、健康保険の適用もされません。リラクゼーションの技術を修得するための民間のスクールや資格制度はありますが、公的な資格はありません。リラクゼーションにはもみほぐしやカイロプラクティック、オイルマッサージなどの種類があります。

マッサージ店の経営をしようと思うのなら、まず施術の内容をマッサージとするのか、リラクゼーションとするのかを決めることが必要です。

マッサージ店を経営する際に必要な資格

マッサージ店を経営するために必要な資格を、あん摩・マッサージ・指圧施術と、はり・きゅう施術、打撲や骨折などへの施術リンパ浮腫への施術のそれぞれについて解説します。

あん摩・マッサージ・指圧施術の場合

あん摩・マッサージ・指圧の施術を行うためには、あん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要です。国家資格を取得するためには、高校卒業後に文部科学大臣が認定した学校、または厚生労働大臣が認定した養成施設に3年以上通い、必要な知識と技術を修得したうえで、国家試験に合格しなくてはなりません。国家試験に合格すると、厚生労働大臣からあん摩マッサージ指圧師の資格が付与されます。

参考:あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行|厚生労働省

はり・きゅう施術の場合

はりの施術を行うためにははり師の国家資格が、きゅうの施術を行うためにはきゅう師の国家資格が必要です。はり師・きゅう師の国家資格を両方持っている人は「鍼灸師(しんきゅうし)」と呼ばれます。

はり師・きゅう師とも、あん摩マッサージ指圧師と同様に、国家資格を得るためには文部科学大臣が認定した学校、または厚生労働大臣が認定した養成施設に通って知識・技術を修得したあと、国家試験に合格することが必要です。

参考:はり師国家試験の施行|厚生労働省
参考:きゅう師国家試験の施行|厚生労働省

打撲や骨折などへの施術の場合

打撲や骨折などへの施術をするほねつぎや整骨院、接骨院などを開業するためには、柔道整復師の国家資格が必要です。国家資格を得るためには、文部科学大臣が指定した学校、または都道府県知事が指定した養成施設で学び、国家試験に合格しなければなりません。

参考:柔道整復師国家試験の施行|厚生労働省

リンパ浮腫への施術の場合

リンパ浮腫への施術であるリンパドレナージを行うための資格は、民間のさまざまな団体がそれぞれ異なる名称で認定を行っています。そのうちの一つである日本医療リンパドレナージ協会が認定する医療リンパドレナージセラピストの資格は、講習会を受講したうえで修了試験に合格すれば取得できます。ただし、講習会の受講資格として、医師、正看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格が必要です。

参考:医療リンパドレナージセラピスト養成講習会|日本医療リンパドレナージ協会

リラクゼーション店の種類

施術に資格が不要なリラクゼーション店には、以下のような種類があります。

もみほぐし

もみほぐしは、固くなった筋肉をもみほぐすことにより緩める効果、血行を促進する効果、および体をリラックスさせストレスや疲労を解消する効果がある施術です。一般にマッサージと呼ばれることもありますが、もみほぐしのお店でねんざやぎっくり腰のような、痛みを伴う体の不調の診察・治療はできません。

カイロプラクティック

カイロプラクティックはアメリカ生まれの手当て療法で、関節や筋肉、神経系の働きを改善することにより、自然治癒力を高めるとされるものです。カイロプラクティックの施術を行う「カイロプラクター」の認定は、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)が試験を実施し、合格者を「登録カイロプラクター」として登録するなどして行われています。ただし、国家資格などの公的な資格はなく、法的な規定もないため、カイロプラクティックの知識と技術があれば、誰でもカイロプラクターとして開業が可能です。

オイルマッサージ

オイルマッサージとは、オイルを用いた手技で全身をほぐす施術です。素肌に直接オイルを塗って皮膚の摩擦をなくすことで、穏やかな刺激を伴いながら全身のコリをほぐし、精神的なリラクゼーションも期待できます。民間のスクールや資格制度はありますが、公的な資格はありません。

マッサージ店経営者の平均年収は?

マッサージ店経営者として独立すると、平均年収はどれくらいになるのでしょうか?

令和4年賃金基本構造統計調査によれば、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師としてマッサージ店に勤務する人が該当する「その他の保健医療従事者」の平均給与は、月収約31万円、年収約443万円です。この金額は、調査対象となったすべての人の平均給与である月収約34万円、年収約497万円と比べるとやや低いものとなっています。

また、東洋療法学校協会があん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の養成施設を卒業した人を対象として行った2021年のアンケート調査によれば、報酬または給与の平均月額は19.2万円で、20万円以上~25万円未満が26.1%と最多です。

ただし、マッサージ店経営者として独立した人の中には、年収600万円を超える人もいます。実際に、東洋療法学校協会のアンケートでは、独立した人のうち月収55万円以上(年収660万円以上)は独立した人の中4.2%です。また、経営の工夫と頑張り次第では、年収1,000万円を超えることも十分に可能でしょう。

【ケース別】マッサージ店の開業資金

マッサージ店の開業資金がどれくらいかかるのかを、開業形態ごとに見ていきます。マッサージ店を開業する場合には、開業形態は以下の4つとなるでしょう。

  • 自宅開業
  • 賃貸マンションを利用
  • 貸し店舗を利用
  • 出張訪問

どのような形態で開業するかで、開業資金は変わります。

ただし、どのような形態で開業しても、以下の費用は共通してかかります。

  • 国家資格取得費用
    あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師、柔道整復師などの国家資格を取得する場合には、指定された養成施設に最低でも3年間通ったうえで国家試験を受験しなくてはなりません。養成施設の入学金や授業料などで300万~500万円がかかります。
  • 広告・宣伝費
    開業時は知名度が低いため、集客のために広告・宣伝を行わなければなりません。チラシやパンフレットなどを作成すれば、そのための費用として10万~30万円かかるでしょう。

自宅開業の場合

自宅での開業は、家賃が不要になるのがメリットです。また、お子さん連れのお客さんが通いやすいのもメリットとなるでしょう。

ただし、自宅の生活感がある空間のままでは、なかなかお客さんに来てもらえません。非日常の空間を演出するため、改装をするのがおすすめです。

改装費用を含めると、自宅開業の場合の開業資金目安は、以下のようになります。

改装費50万円内装を中心に行い、生活空間と施術空間のメリハリをつけたリラックスできる演出を
家具一式10万円施術ベッド2万円、施術者用チェア1万円、3段ワゴン1万円、待合スペース用ベンチ2万円など
運転資金50万円家賃が不要なため少なめでよい

賃貸マンションの場合

賃貸物件でマッサージ店を開業する場合には、テナントとマンションの2つの選択肢があります。テナントは家賃が高額になりやすいため、マンションでの開業を考えたいところです。

ただし、住居用のマンションでマッサージ店を開業すれば、契約違反になります。そこでおすすめなのは、SOHOタイプの賃貸マンションです。店舗OKのSOHO物件なら、マッサージ店を問題なく開業できます。

SOHOタイプの賃貸マンションは、テナントを借りるのと比べると敷金や礼金などの初期費用が安価で済みます。また、デザイナーズ物件が多いため内装が充実しており、改装なしで開業できるケースが多いでしょう。

家賃月額10万円のSOHO賃貸マンションを借りて開業する場合の開業資金目安は、以下の通りです。

物件取得費100万円敷金30万円、礼金30万円、仲介手数料10万円、保証料10万円、初回家賃10万円、火災保険料など
家具一式10万円施術ベッド2万円、施術者用チェア1万円、3段ワゴン1万円、待合スペース用ベンチ2万円など
運転資金150万円軌道に乗るまで3カ月~6カ月程度の生活費と家賃、広告宣伝費を確保しておく

貸し店舗(レンタルサロン)の場合

使いたいタイミングで借りるレンタルサロンを利用しての、マッサージ店の開業も可能です。レンタルサロンは時間単位、または月極で借りられます。敷金や礼金は不要で、家具や家電、施術用ベッドなどは設置済みなので、開業のための初期費用を大幅に抑えられます。

レンタルサロンで開業する場合の開業資金目安は、前述の広告宣伝費のほかには20万円程度の運転資金のみとなるでしょう。

出張訪問の場合

出張訪問型のマッサージ店も、開業資金はほとんどかかりません。前述の広告宣伝費のほかは、運転資金20万円程度、および持ち運び可能な施術ベッドを利用するなら、そのための費用は2万円程度のみとなるでしょう。

ただし、出張訪問型マッサージ店は、お店の存在をどのように認知してもらい、集客につなげるかが大きな課題となります。また、移動時間で時間のロスが出やすいため、効率的な予約受付もポイントです。

マッサージ店経営に失敗しないためのポイント

マッサージ店の経営に失敗しないためのポイントを紹介します。ポイントは、ランニングコストの計算、集客できる仕組みづくり、および競合との差別化の3つとなるでしょう。

ランニングコストをしっかりと計算する

マッサージ店の開業には、開業資金のほかに、毎月必要となるランニングコスト(運転資金)がかかります。ランニングコストをしっかりと計算しておかなければ、開業後すぐに行き詰まってしまうことになりかねません。ランニングコストには、具体的に以下のようなものがあります。

  • 賃貸料(賃貸マンションやレンタルサロンを借りて開業する場合)
  • 水道光熱費
  • 通信費(電話やインターネットの利用料)
  • 消耗品費(マッサージオイルなど)
  • 広告宣伝費(チラシやパンフレット、フリーペーパーへの登録、インターネット広告など)
  • 税金・保険料などの諸費用
  • 人件費(人を雇う場合)

集客できる仕組みをつくる

マッサージ店を開業したら、集客できる仕組みづくりが欠かせません。自宅や賃貸マンション、レンタルサロン、出張訪問などのマッサージ店は、通りがかりの人がふらりと立ち寄るなどのことは、ほとんど期待できないからです。

まずは、Google広告やFacebook広告などの、比較的少額から始められるインターネットの有料広告を継続的に打ち、新規顧客を獲得しましょう。そのうえで、一度来たお客さんにリピーターとなってもらえるサービス内容を考えます。

競合との差別化を図る

マッサージ店を開業すれば、近隣には必ず競合店があります。競合店と似たようなサービスを提供したのでは、新規の顧客はなかなか獲得できません。コンセプトを明確にし、ターゲットをある程度絞ると、顧客の獲得がスムーズになるでしょう。

コンセプト・ターゲットの絞り方は、例えば以下のようなものがあります。

  • 高齢者をターゲットとして、腰痛や肩こりをほぐす
  • サラリーマンや主婦、OKなどをターゲットとして、リラクゼーションをメインにする
  • スポーツをする人をターゲットとして、スポーツが原因の痛みに対して施術する

獲得したいターゲットの年代や性別、職業、生活スタイルまでを明確にイメージしたうえで、そのターゲットに合わせたコンセプトを決めると、差別化を進めやすいでしょう。

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集客をしっかり行い、マッサージ店を成功させよう

差別化をしっかり図ってマッサージ店経営を成功させよう

マッサージ店の経営は、工夫や頑張り次第では年収1,000万円以上を得ることも可能です。開業にあたっては、開業資金とともに運転資金もきちんと準備しておきましょう。

また、失敗しないためには集客できる仕組みづくりと、競合との差別化がポイントです。差別化をしっかり図って、マッサージ店経営を成功させましょう。


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