• 作成日 : 2024年6月27日

中華料理店の事業計画書の書き方とは?ひな形を基に成功のコツを解説

中華料理は数多くある飲食のジャンルでも非常に人気です。それだけに競合も多く、しっかりと計画を立てて経営をしていかないとライバルに負けてしまいます。

この記事では中華料理店の開業を考えられている方のために、事業計画書の書き方や成功するためのポイントについてご紹介します。

中華料理店の事業計画書とは?

ラーメンや餃子、チャーハン、麻婆豆腐、青椒肉絲、北京ダッグなど、幅広いメニューを提供する中華料理店。非常に人気が高く、国内には4万軒以上の中華料理店が存在し、その数は日本料理店や寿司屋、西洋料理店を超えるとされています。特に最近では町中華といわれる、安価で気軽に中華料理が楽しめる飲食店が流行しており、競争が激化している傾向があります。

事業の見通しを立てる

飲食店は特に開業に多額の資金がかかり、開業後も賃料や材料費、人件費、光熱費などのランニングコストがかかります。また、味や価格、お店の雰囲気、通いやすさなど、さまざまな顧客ニーズを満たさないと開業をしてもお客さまが入らず、すぐに廃業に追い込まれてしまうことにもなりかねません。

そのような事態にならないよう、あらかじめ開業資金やランニングコスト、売り上げなどの見通しを立て、しっかりと経営戦略を練っておきましょう。事業計画書を作成する過程で、それらも明確になります。

金融機関からの融資を受ける

中華料理店は厨房設備や調理器具、客席が必要となり、ある程度広さがある物件を調達しなければならないため、多額の開業資金がかかります。金融機関から融資を受けて資金調達を行うのが一般的ですが、その際には審査があり、事業計画書を提出して事業の見通しについて説明しなければなりません。

特に融資を受ける場合は事業計画書の作成は必須で、内容もかなり精査する必要があります。

中華料理店の事業計画書のひな形、テンプレート

中華料理店の事業計画書の書き方とは?ひな形を基に成功のコツを解説

事業計画書を一から作成するのは大変なのでテンプレートを活用しましょう。当サイトでは中華料理店に特化した事業計画書のテンプレートをご用意しています。

中華料理店の事業計画書の書き方・記入例

ここからは項目別に事業計画書の書き方や押さえておくべきポイントについてご紹介します。テンプレートを見ながら読み進めていただくと、より理解が深まるはずです。

創業の動機・目的

「なぜ中華料理店を開業しようと思ったのか」という動機と「どんな課題を解決したいのか」という目的を明らかにしましょう。中華料理店開業に対する思いを伝える項目ですので、ご自身の経験やそこから得た気づきをしっかりと盛り込むことが大切です。

職歴・事業実績

代表者のこれまでの経歴をまとめます。学歴や職歴、在籍年数や実績、取得した資格などがわかるように記載しましょう。特に中華料理店の経営や運営に役立つ実績や経験などがあれば、補足説明を書いておくとアピールになります。

取扱商品・サービス

取扱商品や店舗戦略、競合・市場分析結果を記載します。商品に関しては「単品メニュー」「ランチセット」というようにざっくりで構いません。それぞれの単価を記載しましょう。店舗戦略については、顧客のターゲットやお店のセールスポイントなどを記載します。競合・市場分析については近隣の競合中華料理店、飲食店の状況や顧客のニーズについて書きましょう。

取引先・取引関係

販売先や仕入先、外注先の名称や取り引きの詳細について記載します。販売先は一般消費者が主になるので、「一般個人」で問題ありません。現金支払いの他にクレジット支払いなどにも対応するのであれば、支払い方法別に想定される割合を記載します。仕入先と外注先があれば、具体的な会社名や商号を明らかにしておきましょう。その他、取引シェア、掛取引の割合、回収・支払いの条件についても記載します。

従業員

常勤役員、3カ月以上継続雇用予定の従業員の人数を記載します。なお、従業員は家族従業員、パート従業員の人数についても記載しましょう。

借り入れの状況

代表者の借入状況について、借入先の名称と区分、借入残高、年間返済額を記載しましょう。事業に関わるものはもちろん、住宅ローンや自動車ローンなど個人の借り入れも記載する必要があります。特に融資を受ける際は借入状況も審査で考慮されますので、包み隠さず明らかにしましょう。

必要な資金と調達方法

設備資金や運転資金の内訳と見積もり先、金額、資金調達の方法と内訳別の金額を記載しましょう。必要な資金の合計と調達する資金の合計は一致するようにします。特に設備資金や運転資金は試算が甘いと後々経営に行き詰まるリスクが高くなりますので、シビアに考えましょう。

事業の見通し(月平均)

開業当初と1年後もしくは軌道に乗った後に見込まれる売上高と売上原価、経費(人件費、家賃など)、利益(売上高から売上原価、経費、利益を差し引いたもの)を記載します。また、それぞれ算出した根拠を明記しておきましょう。この見通しの項目も融資の審査では非常に注目される部分です。

中華料理店の事業計画書成功のポイント

中華料理店を含め飲食は非常に競争が厳しい業界です。最後に中華料理店の経営に成功するために、事業計画を立てる際のポイントについてご紹介します。

コンセプト・ターゲットを明確にする

まずは「どんなお店にしたいか」というコンセプトを確立しましょう。高級路線でいくのか、リーズナブルな価格設定にするのか、ラーメンや餃子など特定のメニューに特化するのか、幅広いバリエーションで勝負するのかなど、お店の基本的な方針が決まっていないと行き当たりばったりの経営になってしまいます。

また「誰に来てほしいか」といったターゲットも明確にしておきましょう。例えばオフィス街であれば会社員をターゲットにしてランチを安価に提供する、高級住宅街であればセレブに来てもらうために素材や味にこだわるといったように、立地やターゲットによって取るべき戦略も変わってきます。

立地調査を行い商圏や競合を把握する

中華料理店の成否を大きく分ける要素として立地が挙げられます。駅の近くや幹線道路沿いなど人通りが多い場所であれば多くの集客が見込めます。とはいえ、こうした好立地な物件は賃料が高く、競合も多いでしょう。あえて郊外の物件で競合を避けて固定費を抑えるといった戦略もあります。

労働力の確保や収益性を高める戦略を立てる

今は少子高齢化で労働人口が減少しています。特に飲食業ではそれが顕著で、人手不足のために営業ができないといった事態に陥っている店舗もあるほどです。従業員を雇う場合は早めに採用活動を行いましょう。

また人を雇うとなると人件費がかかります。給料を支払っても利益が確保できて経営が続けられるよう、例えば他の固定費を抑える、価格設定を見直す、安い仕入先を探すなど、収益性が確保できる戦略を立てましょう。

客観的な売上予測・価格設定をする

事業計画を立てる際には売上予測をしっかりと立て、それに基づき価格設定を行うことが大切です。売上予測を立てる上では「だいたいこれくらいになるだろう」という想像や「これくらい来てほしい」という願望は排除しましょう。売上予測は「客席数×客単価×客席稼働率×回転率 」という計算式で求めることができます。

価格設定については一定の利益率や利益額を原価に加えるコストプラス法、競合の相場に合わせる市場価格追随法といった方法があります。

デジタル化などで業務効率化を図る

飲食店を開業するのであればデジタル化にも取り組んでみましょう。例えばスマートフォンやタブレットから注文できるモバイルオーダーシステムを導入すれば従業員が注文を請けに行く必要がなくなり業務効率化につながる上、オーダーミスの軽減にもつながります。電子決済システムを導入すれば、決済がスムーズになり同様にスタッフの省力化につながる上、レジ待ちの時間短縮や支払方法の選択肢の増加などのメリットもあり、お客さまの満足度も向上します。

事業計画書を作り込んで中華料理店を成功させよう

中華料理は日本人にとっても非常に馴染みが深く人気のジャンルです。チャンスが多くある一方で競合もひしめいているため、勝ち負けがはっきりします。また、飲食店は開業資金がかかり、景気や社会情勢にも左右されやすい業界です。

中華料理店で成功する第一歩は事業計画から。今回の記事を参考に、事業計画書を作り込んでみましょう。

なお、飲食店の経営に成功するポイントについてはこちらの記事でもご紹介しています。

税理士コメント

中華料理店は、幅広い客層が狙え、汎用性のあるメニューを持っていることに加え、テイクアウトやデリバリーにも向いた料理が多いと言えます。
昨今は固定費の上昇などが問題になっていますが、「料金」、「立地」、「メニュー」に工夫を凝らし、リピーターを狙いたいところです。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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