- 作成日 : 2022年12月22日
日本人がアメリカで起業・会社設立する方法は?必要なビザや費用も解説!
起業のあり方は千差万別で、日本でビジネスを始めることにこだわる必要はありません。アメリカで会社を設立をして事業をスタートさせることも可能です。ただ、国内で立ち上げる場合に比べて注意すべき点も多く、現地の法律やビザに関する知識なども必要となります。この記事では、日本人がアメリカで起業する方法について解説していきます。これからアメリカで勝負しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
アメリカが日本人の起業・会社設立におすすめの理由は?
日本で暮らしてきた方にとって、アメリカでの起業・会社設立は、国内で行う場合に比べて心理的なハードルを高く感じるかもしれません。しかし、アメリカであることがプラスに働くこともあります。まずは、アメリカでの起業がおすすめできる理由を見ていきましょう。
スタートアップしやすい環境
アメリカは、日本に比べて起業が盛んです。2021年度の日本の新設法人数は14万4,622社であったのに対し、同年のアメリカの新設法人件数は540万社と、その差は37.3倍にものぼります。
もちろん、事業の成功率とは別の問題ですが、こういった雰囲気があることでスタートアップや攻めたビジネスもしやすい環境にあるといえます。例えば、会社設立に対するコストが低いこと、実績が少なくても実力があれば取引を成立させやすいことなど、実力主義の観点からはフェアにビジネスがしやすいと考えられます。
また、日本では今後の経済の動向が不安視されている一方で、アメリカでは人口の増加傾向も見られ経済成長も見込まれています。これから規模の大きな事業を展開していきたいとの野望を抱いている方にとっては夢があります。
さらにはM&Aが盛んであるなど、会社経営のゴールあるいはスタートの選択肢も豊富です。「ある程度成長してきたところで会社を売却する」、反対に「軌道に乗りそうな会社を買収して経営を始める」という選択も取りやすいのです。
アメリカで起業・会社設立する方法は?
アメリカでの起業・会社設立にあたっては、日本同様に、始めようとしているビジネスに合った会社形態の選択から始めることになります。登記により法人を成立させることなど、全体の流れとしては共通しています。
ただ、詳細に見ていくとアメリカならではのポイントもあるため、注意して各手続きを進めていきましょう。
会社形態や設立エリアを選択する
まずは会社形態の種類を整理しておきましょう。
- Sole Proprietorship
- Limited Liability Company
- S-Corporation
- C-Corporation
日本でいう個人事業主です。手軽に始めやすく、ごく小規模でビジネスを始めるのに向いています。
「LLC」と略されます。有限責任社員で構成され、日本の合同会社に相当し、日本でも近年よく目にする機会が増えています。
小規模の株式会社です。法人税と所得税の両方が課税されるのは回避できますが、発行できる株式の種類が限定され、株主もアメリカ在住者に限定されるなどの制約があります。
一般的な株式会社です。法人税と所得税の二重課税はされてしまうものの、アメリカ居住者でなくても株主になることができます。中規模以上の多くの企業は、C-Corporationとして活動しています。
また、アメリカで起業をする場合には、エリア選択がとても重要です。日本でも地域の雰囲気を理解して事業を行うことは大切ですが、最低限企業が守るべきルールは基本的に国内で共通しています。
しかし、アメリカでは法律が州により異なります。税制や手続きの方法にも違いがあり、立ち上げようとしている会社の実情に合う州をよく調べて選択することが、今後の企業活動にも大きく影響を与えることになるでしょう。
事業計画書を作成する
事業計画書の作成にあたっては、資金繰りやキャッシュフローの予測などに注意しましょう。ビザ取得に際しての重要な要素にもなります。また、設立しようとしている州、ひいてはアメリカにとって利益があることが示せるような内容にすることも大切です。
例えば、現地で新たな事業や雇用が生まれること、アメリカ国内に資金が流れること、技術の移管があることなどが示せるとよいでしょう。E2ビザ取得を目指す場合、現地において最低10万ドル程度の「投資」が求められます。
その上で対外的なアピールに使えるだけでなく、社内でも活用できる形で綿密に計画を立て、見せるための資料としてのみならず実際に役立つ資料となるように心がけましょう。
事業計画書には、企業理念や会社の概要、産業の内容、会社の組織図、事業戦略などもまとめていきますが、自己紹介になってはいけません。会社の基本的な情報に加え、アメリカで取り扱うことになるサービスや製品、自社製品の優位性の分析、市場状況の分析、収益計画と予算案などを立て、説得力がある計画を策定していきます。
事業計画書の作成にあたっては専門家の知見も取り入れることが重要です。必要に応じて各領域の専門家に頼り、記載方法などのアドバイスを受けましょう。
会社設立登記を行う
法人として成立させるため、形式的な手続きも取る必要があります。具体的な手続きは、事業内容や会社形態、設立エリアによっても異なりますので、各々の状況に応じて事前に確認しておく必要があります。
日本でも事業内容に応じて許認可を取得する必要があるように、アメリカでも所定の要件を満たした上で手続きを取る必要があるのです。
また、何より会社設立登記を行わなければなりません。各州のWebサイトを確認し、手続き方法、必要書類などを整理しておきましょう。事務的な作業が面倒な場合には、弁護士など専門家に依頼することをおすすめします。
アメリカで起業・会社設立するために必要なビザは?
アメリカで起業をするには、法人を成立させるための手続きを進めるだけでなく、経営者がアメリカで活動するための資格を取得しなければなりません。永住権を取得するか、多くの場合労働ビザや投資ビザを取得して対応することになるでしょう。
中でも比較的取得しやすいとされているのが投資ビザです。一定額以上の投資を行うなどの要件を満たせば取得できます。また、既存ビジネスを買って申請することも可能です。
なお、永住権を取得できれば出入国も自由ですし、滞在期限の制約、職業選択に対する制約などもありません。所定の要件を満たすことができ、アメリカでの長期的な活動を考えているのなら永住権取得も視野に入れるとよいでしょう。
アメリカで起業・会社設立するためにかかる費用は?
アメリカで会社設立をするときの費用は、州によって異なります。例えばカリフォルニア州の場合、C-Corporationの登記(Filing)そのものにかかる費用は115ドルです。しかし、登記を代行業者や弁護士などに依頼した場合、別途費用がかかります。例えば代行業者を利用する場合、費用は200ドルから500ドル程度見ておけばよいでしょう。
専門家の利用コストは起業者にとって負担になりますが、その分スムーズなスタートアップが実現できるでしょう。節税ができたり事務作業の負担が軽減されたり、プロに任せられるところは任せて、自身は事業に注力することができるようになります。
アメリカで起業・会社設立するときの注意点は?
アメリカで起業をする場合、州ごとに定められている法令に注意しなければなりません。また、ビザの取得なども課題となります。
その他注意すべき点として、言語の壁が挙げられます。英語が得意な人なら大きな問題にはなりにくいですが、微妙なニュアンスが読み取れないと認識のずれが生じるおそれがあります。現地の空気感、暗黙の了解など、外国からやってきた人が意識できていない前提に基づいて話が進んでいる可能性なども考慮する必要があります。
例えば、一方が当たり前と思っていることが他方にとっては当たり前ではないかもしれません。日本だとわざわざ言葉を交わすまでもなく常識として捉えられていることでも、その常識にずれがあると通用しません。こういったずれが解消されないまま取引が進むと、大きなトラブルに発展する可能性もあります。
また、日本では単なるクレームで済む問題でも、アメリカでは訴訟問題にまで発展するケースも少なくありません。アメリカは「訴訟大国」と呼ばれるほどで、特に差別やセクハラ問題に関してはシビアです。
これらの問題を解決するためには、日本と現地の両方に理解を持つ専門家、ビジネスパートナーを見つけることが重要です。
アメリカでビジネスチャンスをつかむのもひとつの手
日本には日本の、アメリカにはアメリカの良さがあります。アメリカには成長性が期待できますし、大きなビジネスチャンスを狙ってアメリカでの起業も検討してみるとよいでしょう。
ただし、アメリカで起業したほうが必ずいいということではありません。日本とアメリカの双方の良し悪しを理解した上で、自分が立ち上げようとしている企業、事業内容が適している方を選択することが大切です。
よくある質問
アメリカで起業・会社設立する方法は?
会社形態や設立する州の選択、事業計画書の作成、会社設立登記を行い起業をします。またこれに併せてビザの取得も必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
アメリカで起業・会社設立するために必要なビザは?
投資ビザ、または永住権などが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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