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  • 作成日 : 2021年9月17日

オフショア法人の設立方法とメリット・デメリット

オフショア法人とは?メリット・デメリットや設立できる国、設立方法について解説

「オフショア法人」の設立が節税対策になることをご存じでしょうか。オフショア法人とは海外で設立する会社の一種で、設立した国以外で収益を上げる法人のことです。オフショア法人を設立すると、本当に節税対策になるのでしょうか?

この記事では、オフショア法人の概要から設立のメリット・デメリット、設立できる国、設立方法まで、詳しく解説します。

オフショア法人とは?

オフショア法人とは、登記した国の外で事業を行い、収益を上げる法人のことです。海外に会社を設立する点では現地法人に似ていますが、現地法人は登記した国の中で事業を行って収益を上げます。このような現地法人はオンショア(国内市場)と呼ばれ、オフショア法人とは区別されます。

オフショア法人の特徴は、税金面で大きなメリットがあることです。設立する場所によっては、オフショアでの収益はすべて非課税になります。

一部の地域や国で、非課税などのオフショア法人に対する優遇があるのは、その地域や国内での雇用機会の創出と外貨の流入を促すためです。近年は「タックスヘイブン」として、広く知られるようになりました。

オフショア法人を設立するメリットは?

オフショア法人を設立することで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。主なメリットは以下のとおりです。

  • 節税ができる
  • 機密保持性がある
  • 海外で法人口座を開設できる

それぞれについて、詳しく説明します。

節税ができる

オフショア法人の大きなメリットは、節税につながることです。日本国内では、普通法人の法人税率は23.2%(※中小法人は年800万円以下の部分については優遇あり)で、これに法人住民税や法人事業税を加えると、実効税率は30%前後になります。法人所得の約3分の1は、税金として持っていかれるのです。

一方でオフショア法人は、国外の収益が非課税になる地域や、税率の低い地域などに設立するため、国内の法人と比べると税額は少なくなります。オフショア法人を活用することで節税ができるのは、大きなメリットといえるでしょう。

しかし、オフショア法人の仕組みを利用して不当に資産を隠す事例などが多発したことにより、現在では「タックスヘイブン対策税制」で厳しく取締りが行われるようになりました。事業内容が株式保有のみや著作権の提供のみなど、経済実態が確認できない場合は、オフショア法人を設立しただけでは節税ができない可能性もあるため注意が必要です。

機密保持性が高い

機密保持性が高いこともオフショア法人のメリットです。日本国内で法人登記をした場合は取締役の氏名や住所などを記載しなければならず、その情報は公文書として記録されます。

一方でオフショア法人を設立する地域では、法人登記の際に取締役の氏名などを記入する必要がないところもあります。取締役や株主の名義貸しを「ノミニー制度」として取り入れているところもあり、それを利用すれば取締役や株主の氏名を公開せずに済みます。

ただし、ノミニー制度は脱税やマネーロンダリングに利用されていることが指摘されています。日本のタックスヘイブン対策税制においては「名義」ではなく「実態」で判断されるため、正しい税務申告を怠った場合は脱税として重加算税が課せられる可能性があります。
毎年維持費がかかり、また法人がさまざまな契約を締結する際にかえって手続きが煩雑になるといったデメリットもあるため、利用する際は慎重に検討してください。

海外の金融機関で法人口座を開設できる

オフショア法人を設立すると、海外の金融機関で法人口座を開設できるようになります。海外で口座を開設すれば、デビットカードやクレジットカードを利用した遠隔地での取引や、海外口座からの小切手の発行、預金などが可能です。また、取引のたびに為替レートを気にする必要がなくなりますし、日本国内に比べて利息の面でもメリットがあります。

エリアによっては、プライバシーや資産保護性に優れているところもあります。私的管轄区域であれば、外国政府に口座情報が開示されないため、プライバシーが保たれます。

オフショア法人を設立するデメリットは?

次に、オフショア法人を設立することのデメリットについて解説します。主なデメリットは以下の3点です。

  • 海外移住が必要
  • 設立費用や維持費用がかかる
  • 相続の問題がある

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

海外移住が必要

タックスヘイブンを悪用して国外に財産を不当に隠匿する事例が多発したことから、日本国内では海外にある財産についても厳しく追究されるようになりました。現在日本国内に居住している人は、海外で得た所得についても申告しなければなりませんし、その所得は国内において課税対象になります。これでは、節税のためにオフショア法人を設立する意味がありません。

国内での課税を合法的に回避する手段として用いられるのが、海外移住です。生活の拠点を日本から海外に移し、非居住者と認められれば、海外での所得が課税対象になることはなくなり、日本国内での相続税も回避できます。ただし、国外財産を相続税の対象から外すためには、日本国籍を有する人の場合は、被相続人と相続人の双方が10年以上海外を拠点として暮らさなければなりません。長期の海外移住に抵抗がある人や、日本国内に居を構えたい人にとって、海外移住はデメリットになるでしょう。

設立費用や法人維持のための費用がかかる

オフショア法人は、収益や所得が非課税になる、もしくは税率が低くほとんど税金がかからないことが魅力です。しかし、法人を設立する費用や会社を維持するための費用はかかります。オフショア法人を設立する場所にもよりますが、毎年20万~30万円の維持費がかかることもあります。

毎年多額の利益を出している会社であれば節税面のメリットがありますが、維持費を考えると、利益があまり出ていない会社がオフショア法人を設立するメリットはありません。税金がかからない(あるいは少ない)という理由だけで、安易にオフショア法人を設立するのはおすすめできません。

相続の問題がある

オフショア法人の設立は法人税対策だけでなく、相続税対策にもなりますが、注意しなければならないことも少なくありません。まず、オフショア法人だからといって、財産を秘匿すれば脱税となり、違法行為に該当します。タックスヘイブンが問題になったように、近年日本では国外財産に対する扱いや相続が厳しくなっています。

例えば、海外に5年以上移住すれば国外財産は課税対象外でしたが、日本国籍者の場合はそれが10年に延びました。財産を所有する被相続人だけでなく、相続人もこの条件を満たさなければなりません。

また海外に財産があると、相続時にさまざまな問題が発生することがあります。国内と異なり、海外では相続に裁判所の承認が必要であったり、相続の手続きが複雑であったりと、すぐに財産を相続することが困難なケースがあるためです。相続について考えるなら、税金面だけでなく、相続財産をスムーズに受け取る方法も検討する必要があるでしょう。

オフショア法人を設立できる国は?

オフショア法人には「セーシェル法人」など、いくつかの種類があります。以下の図は、オフショア法人を設立できる国をまとめたものです。ヨーロッパやカリブ海の島々がよく知られていますが、アジアでもオフショア法人を設立できる国・地域があります。

【世界のオフショア法人が設立できる主な場所】
世界のオフショア法人が設立できる主な場所

ここではセーシェル、ベリーズ、マレーシアのラブアン、BVIを取り上げて説明します。

セーシェル

セーシェル(セーシェル共和国)は、インド洋に浮かぶ島々からなるイギリス連邦加盟の国家です。1994年に、オフショア法人を設立できる国際ビジネス法人(IBC)制度が開始されました。セーシェル法人を設立するメリットは、所得が非課税(セーシェル源泉の所得を除く)になること、スタッフを雇用する必要がないこと、税務申告や取締役会開催の義務がないことなどです。なお、セーシェル法人はセーシェルでの営業や、セーシェル内での不動産の所有、銀行業や信託業の営業などが禁止されています。

ベリーズ

ベリーズは、カリブ海にあるイギリス連邦加盟の国家です。1990年に、オフショア法人を設立できる国際商業会社法(IBCA)が制定されました。イギリス領のヴァージン諸島をモデルにしており、政府に納める納付金を除き非課税です。決算や会計監査も必要なく、株主1人と取締役1人がいれば設立できます。ベリーズにはノミニー制度もあり、実名を伏せて会社を設立することも可能です。

マレーシア(ラブアン)

ラブアン島はマレーシアにある島で、アジアのタックスヘイブンとして知られています。1990年、国際的オフショア金融センター(現在は国際ビジネス金融センター:IBFC)の設立により、オフショア法人が設立されるようになりました。日本に近いため、日本人オーナーにも人気のある場所です。法人税率は、持株会社は非課税、事業会社は3%です。ラブアンの就労ビザを取得して移住した場合は、所得税の優遇措置も受けられます。

BVI

BVIはブリティッシュ・ヴァージン・アイランドの略で、カリブ海にあるイギリス領ヴァージン諸島を指します。ヴァージン諸島にはアメリカ領もあるため、ここではBVIと表記しています。BVIでオフショア法人を設立するメリットは、収益に対して税金がかからないこと、設立が短期間でできること、法人の活動に制限がないことなどです。オフショア法人を柔軟に設立できることで人気でしたが、2019年に経済実態法が施行されたことを受けて、ファンドや持株会社などは経済的実態を満たさなければならなくなりました。

オフショア法人設立までの手順は?

オフショア法人設立のおおまかな手順は、以下のとおりです。

  1. 会社名を決める(合法性を確認する)
  2. 設立に必要な書類を作成する
  3. オフショア法人を登記する
  4. 必要に応じて海外の法人口座を開設する

オフショア法人は、国外に設立するため国内とは手続きが異なり、準備する書類も場所によって変わります。オフショア法人を設立する場所の事情や、設立に必要な条件を自ら調べて手続きを行うのは、手間も時間もかかります。

オフショア法人を設立するなら、設立代行会社に任せることをおすすめします。設立について知見や実績があるため、スムーズかつスピーディーにオフショア法人を設立できるからです。

オフショア法人を上手く活用しよう

オフショア法人には、税金面でメリットがあります。非課税になる場所も多いため、税金対策として活用されるケースも少なくありません。しかし、近年はタックスヘイブンの問題もあり、租税回避を厳しく取り締まるようになりました。オフショア法人の設立には法的な問題はありませんが、適切に運営を行わないと節税にならないどころか、脱税とみなされるケースもあります。このようなデメリットもあるため、国内での設立とも比較した上で検討しましょう。

よくある質問

オフショア法人とは?

登記した国以外で収益を上げる法人のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

オフショア法人設立のメリットは?

節税、機密保持性、海外での法人口座開設が可能といったメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

オフショア法人設立のデメリットは?

海外移住が必要なことや、設立費用や維持費がかかること、相続の問題があることなどがデメリットです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:服部 大(中小企業診断士/税理士)

服部大税理士事務所/合同会社ゆとりびと 代表社員
2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるよう奮闘している。執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。