- 作成日 : 2024年9月26日
リース業の開業に許認可は不要?貸金業登録の必要性やレンタル業についても解説
リース業を始めたいと考えているのであれば、許認可が必要かどうかについて気になる方もいるでしょう。本記事では、リース業の概要とレンタル業との違いを解説します。併せて許認可および、貸金業登録の必要性を説明します。リース業での開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
リース業を始めるには許認可が必要?
リース業とは顧客に対して機器や設備などのリース物件を貸し出し、リース料や手数料を受け取る収益ビジネスです。
リース業界には大手総合金融サービスグループや総合商社の資本が入った企業が多くある一方で、許認可不要で始められるなどの理由から新たに起業する方もいます。
ここではリース業の概要およびレンタル業との違い、開業に必要な許認可などを見ていきましょう。
そもそもリース業とは
リース業とは、リース物件を貸し出しリース料や手数料等を収益として得る事業です。リース事業では、以下の3者間で契約が行われます。
- リース会社:機器や設備などのリース物件を貸し出す会社
- 顧客:機器や設備などのリース物件を借りる企業
- サプライヤー:機器や設備などを販売するメーカーや販売会社
リース契約の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 顧客は取引を希望するリース会社とリース契約を行う
- リース会社とリース物件を調達するサプライヤーが売買契約を行う
- リース物件となる機器や設備を搬入および設置する
- リース物件の使用が開始され、リース料の支払いがスタートする
- リース期間満了時、再リース契約を行うか、契約満了としてリース物件を変換する
リース業には大きく分けて、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの2種類があります。貸し出しの仕組みや解約の取り扱いが異なるため、それぞれの概要を以下で確認しましょう。
■ファイナンス・リース
ファイナンス・リースとは、以下のいずれにも該当するリース取引をいいます。
- 解約不能:リース期間中に契約を解除できないリース取引またはこれに準ずるリース取引
- フルペイアウト:借主が、リース物件の取得価格及び諸経費の概ね全額をリース料として支払うリース取引
リース物件を借りた顧客は、リース契約期間中、リース料を支払います。リース料には、購入代金のほか手数料・固定資産税・動産総合保険料などが含まれています。対象となる物件の一例は、以下のとおりです。
- 情報通信機器
- 事務用機器
- 産業機械
- 工作機械
- 土木建設機械
- 輸送用機器
- 医療機器
- 商業設備
- 環境・エネルギー設備
■オペレーティング・リース
オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいいます。
オペレーティング・リースは、契約期間満了時点の価値(残存価値)も考慮してリース料を設定しているため、一般的に、ファイナンス・リースよりも、リース料が低くなる傾向にあります。
オペレーティング・リースは、物件自体に資産価値があるものの貸し出しに多く利用されます。対象となる物件の一例は、以下のとおりです。
- 半導体製造装置
- 工作機械
- 印刷機械
- 土木建設機械
リース業とレンタル業の違い
リース業とよく似たビジネスに、レンタル業があります。それぞれの違いを以下で確認しましょう。
項目 | リース業(ファイナンスリース) | レンタル業 |
---|---|---|
契約期間 | 中長期が多い | 一般的に短期 |
対象物件 | サプライヤーが販売している特定の物件 | レンタル業者が保有している資産 |
物件の状態 | 新品 | 中古 |
保守管理修繕義務 | 借主 | レンタル業者 |
中途解約 | 原則として不可 | 可能 |
料金 | 物件価格+手数料 | レンタル業者が設定した一定の料金 |
契約期間終了後の物件の取り扱い |
|
|
リース業とレンタル業の違いの1つは、契約期間です。リースは年単位の中長期で契約をするケースが多い一方で、レンタルは一時的な貸し出しにとどまります。
またリース業は顧客とリース会社、サプライヤーの3者間で取引を行います。レンタル業は顧客とレンタル会社の2者のみで契約が完了する点も、相違点といえるでしょう。
リース業は許認可不要で始められる
リース業は原則として、許認可不要で開業できます。そのため、保有資格がない方でも開業を検討しやすい業界の1つです。
ただし例外として、ファイナンス・リースを取り扱う場合には貸金業の登録をしたほうが良いケースもあります。ファイナンス・リースの提供を考えているのであれば、貸金業登録も計画的に進めてください。
リース業で開業するまでの流れ
リース業の開業には、大まかに下記のような手順が必要です。開業までの大まかな流れを掴み、スムーズな起業を目指しましょう。
- リースで取り扱う物件を決めサプライヤーを選ぶ
- 集客方法を決める
- 販売・在庫管理システムを構築する
- 動産総合保険に加入するかを決定する
それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。開業までの大まかな流れを掴み、スムーズな起業を目指しましょう。
1.リースで取り扱う物件を決めサプライヤーを選ぶ
リース業を始めるにはまず、リースで取り扱う物件の決定とサプライヤー選びが必要です。リース業で取り扱える物件は多岐に渡ります。以下で例を確認しましょう。
- パソコン
- 産業機械
- 工作機械
- OA機器
- 不動産
- 航空機
- 医療機器
- 厨房機器
物件を決定する際には管理や搬入にかかる手間やコスト等を考慮し、事業規模や事業方針に合ったものを選ぶことが肝心です。
2.集客方法を決める
取り扱う物件が決まったら、集客方法を考えます。リース業で多く利用される広告は、以下の2つです。
- インターネット広告
- SNSの活用
インターネット広告には、検索エンジンの検索結果上位に固定表示されるリスティング広告や動画広告など、さまざまなものがあります。自身が取り扱う資産と照らし合わせ、効果的なものを選んでください。インターネット広告の掲載には費用がかかるため、コスト確認も忘れずに行いましょう。
できるだけコストを抑えた集客を目指すのであれば、SNSの活用も選択肢です。SNSのアカウント作成は無料のものがほとんどです。SNSによる有効な情報発信ができれば、集客効果が期待できるでしょう。
なお新規の集客と同様に、既存顧客へのフォローも重要です。契約期間終了後の再契約や新規物件のリースにつながるよう、SNSやメールマガジンの配信などをぜひ活用してください。
3.販売・在庫管理システムを構築する
経営を安定させるには販売・在庫管理システムの構築による、リース契約や物件管理が重要です。リース業で管理するべき主な項目には、以下が挙げられます。
- 契約内容
- 顧客情報および対応履歴
- リース物件の状態管理
- リース物件の在庫管理
- メンテナンス用品の在庫管理
適切な管理が行われないと、ビジネス機会の喪失につながりかねません。顧客に対し最適な対応ができるよう、事業規模に合わせた管理システムを活用することが重要です。自社でのシステム構築が難しいときは、外部発注も検討しましょう。
4.動産総合保険に加入するかを決定する
リース業を開業するにあたっては、動産総合保険への加入も検討するべきポイントです。動産総合保険とは、リース物件における偶発的な損害を補償する保険です。
一般的にリース期間中の保守管理修繕義務は顧客にありますが、火災や自然災害、盗難といった不測の事態による損害が発生するケースもあります。そのような損害を補償してくれるのが、動産総合保険です。
動産総合保険の補償内容は、保険商品によって異なります。加入の際はいくつかの保険商品の補償内容や保険料を比較し、自社に合った保険を選択してください。
リース会社が融資も行う場合は貸金業登録が必要
リース業は、開業にあたっての許認可は不要です。ただし、リース業だけでなく業容拡大による融資を検討しているのであれば、貸金業登録は必須となります。
貸金業登録で求められる主な要件は、以下のとおりです。
- 貸金業務取扱主任者(国家資格)の設置
- 純資産額が5,000万円以上
- 貸金業において3年以上の従事歴を有する方がいる
- 指定紛争解決機関(ADR)との契約を締結する
- 指定信用情報機関へ加入する
これらの要件を満たしたら、以下の流れで貸金業登録を行いましょう。
- 「支援依頼書」を日本貸金業協会業務部会員加入促進登録課宛てに送付
- 「登録申請書」および「社内規則」を作成
- 「登録申請書」を支部経由等で提出
新規で貸金業登録をする場合、行政庁に貸金業者登録の申請をしてから登録が承認されるまでに、おおむね2ヶ月かかります。貸金業登録が必要な方は、前もって計画的に手続きを進めることが重要です。
レンタル業を始めるには許認可は必要?
リース業とよく似た業種であるレンタル業も、開業に際し許認可は必須ではありません。ただし、レンタルする商品の種類によっては、許認可が必要です。例を以下で確認しましょう。
- CD・DVD・本:一般社団法人日本映像ソフト協会の許可
- レンタカー:自家用自動車有償貸渡業の許可
- 中古品:古物商許可
たとえば、一般社団法人日本映像ソフト協会の許可を取らずにCDやDVD、本をレンタルした場合、著作権法違反となります。レンタル業を開業するのであれば、まずは取り扱う商品を決定し、必要に応じて計画的に許認可を受けましょう。
リース業で必要な許認可や開業の流れを押さえ、速やかに事業をスタートしよう
リース業とは顧客に対して機器や設備などを貸し出し、手数料を受け取ることで収益を上げるビジネスです。レンタル業と似ていますが、リース業は契約期間が年単位と長い点や、顧客・リース会社・サプライヤーの3社で契約が結ばれる点が主な相違点として挙げられます。
リース業を開業するのに、許認可は不要です。ただし将来的に業務を拡大し融資も実施したいと考えているのであれば、貸金業登録が必要です。
初めて貸金業登録をする場合、手続き完了までに2ヶ月程かかる可能性もあります。取得を目指しているのであれば、前もって計画的に準備を進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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