• 更新日 : 2024年6月19日

クリニック(医院・診療所)の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

クリニック(医院・診療所)の開業では、安定した経営や開業資金の融資を受けるために事業計画書の作成が必要になります。事業計画書の作成に際しては、経営の基本計画・資金計画・収支計画を整理をすることが大切です。

本記事では、クリニックの事業計画書について、テンプレート・ひな形をもとにした書き方や、作成の際の留意点などを解説します。

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クリニック向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例のダウンロード方法

事業計画書_テンプレート

クリニック開業に必要な事業計画書とは?

クリニックの開業にあたっては、事業計画書の作成が必要です。事業計画書は事業の見通しを立てて安定した経営を図る目的があり、金融機関から融資を受ける際にも必要になります。

クリニック開業に必要な事業計画書の目的や、作成のポイントを解説します。

事業計画書の目的・必要性

クリニックが事業計画書を作成する目的は、事業の見通しを立てて安定した経営をするためです。事業計画が曖昧な状態では、不要な支出をしてしまうなど経営がうまくいかなくなる恐れがあります。明確な事業計画書を作成することで、資金不足になることなく健全な経営ができるでしょう。

また、事業計画書は、開業に際して必要な資金の融資を受ける際に必要になります。金融機関は事業計画書の内容をみて、開業後も返済できるかを判断します。融資額を返済できるだけの売上をあげられるという、説得力のある計画書を作成しなければなりません。

クリニックの事業計画書を作成するポイント

クリニックの事業計画書を作成する際は、まず経営の基本計画・資金計画・収支計画を文章にまとめて整理をすることがポイントです。

経営の基本計画とは、経営理念や開業の戦略など、クリニック経営の土台となる部分です。資金計画と収支計画では、お金に関することや数字で表すことを明確にします。

実際の現金収入と支出を視野に入れて計画を立てましょう。

クリニックの事業計画書のひな形、テンプレート

クリニック開業の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

クリニックの事業計画書を作成する際は、テンプレートを利用すると便利です。以下のURLから、クリニックの事業計画書・創業計画書 のテンプレート・ひな形が無料でダウンロードできます。

無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、70種類以上の事業計画書をダウンロードしていただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。

クリニック開業のための事業計画書の書き方・記入例

クリニック開業のための事業計画書の書き方について、主な項目別に内容と記入例を解説します。事業計画書を作成する際の参考にしてください。

創業の動機・目的

創業の動機・目的の項目には、コンセプトや経営理念等を記載します。抽象的な事柄ですが、融資審査ではかなり重視される部分です。

動機や目的が、どのように具体的な経営方針・行動計画に反映されているかという観点から総合的に判断されるため、全体的に一貫性を持つ内容にしてください。

(記入例)

内科医師として12年の勤務歴があり、これまでの経験を生かし、独立してクリニック経営を行いたいと考えました。知人から〇〇駅の近くに良い物件を紹介され、周囲に競合のクリニックがなく、調査により売上を見込める見通しが立ったため、開業を決めた次第です。

職歴・事業実績

経営者の経歴や取得資格、事業実績などを記載する項目です。勤務先名だけではなく、担当業務や役職、身につけた技能なども記載してください。過去の事業経験があれば、それも記載します。

(記入例)

<職歴>

2012年3月 〇〇大学医学部卒業
2012年4月〜 〇〇 病院内科 5年勤務
2017年4月 〇〇 クリニック内科 7年勤務

<資格>

2012年3月 医師免許取得

取扱商品・サービス

取扱商品・サービスは、提供する医療の内容などを記載します。誰にどのような診療を提供するのか、セールスポイントはなにかなどを伝えてください。市場調査を行い、周辺の競合するクリニックがあれば、それも記載します。

(記入例)

<取扱商品・サービス>

保険診療:売上シェア90%
自由診療:売上シェア10%

<セールスポイント>

経験に基づいた丁寧な治療を提供する

<ターゲット>

〇〇駅周辺の住民向けに土日診療をするなど差別化を図る

<競合>

隣駅に2件のクリニックあり

取引先・取引関係

販売先(診療する相手)や設備・備品の仕入先、外注先などを記載する項目です。

(記入例)

<販売先>

一般個人(社保・国保)
一般個人(自己負担・自由診療)

<仕入先・外注先>

仕入先所在地割合支払い条件
〇〇会社東京都〇〇区70%月末締め翌25日払い
〇〇商事神奈川県〇〇市30%月末締め翌25日払い

 

外注先所在地割合支払い条件
〇〇検査会社東京都〇〇区100%月末締め翌10日払い

従業員

従業員は、採用予定の従業員の人数や役割分担などを記載します。開業時は、資金繰りのためにできるだけ少ない人数にすることがポイントです。

(記入例)

常勤役員:1名
従業員:3名(うちパート従業員1名)

従業員の給与20万円
パートは月10 日×7,500 円(1日5時間勤務、時給 1,500 円) ×1人=7万5,000円

借入の状況

経営者自身の借入状況を記載します。他社の借入金は審査の際にわかることであり、正確な金額を記載してください。

借入金が多ければ、それだけ返済に回す金額が多くなります。「融資した金額の返済が厳しくなるのではないか」と判断される可能性があることは、認識しておきましょう。

(記入例)

借入先名借入残高年間返済額
〇〇銀行△△支店100万円30万円

必要な資金と調達方法

設備投資資金や運転資金など調達が必要な資金と、どのように調達するのかを記載します。

(記入例)

内容金額調達方法・金額
設備資金賃貸の初期費用

内装工事

診療設備

什器・備品類

1,500万円自己資金:800万円

〇〇銀行からの借入:1,000万円

運転資金診療材料の仕入れ

外注費支払い

経費の支払い

従業員の給与

300万円
合計1,800万円1,800万円

事業の見通し(月平均)

どの程度の収益が見込めるかを示します。現在と1年後の医業収入(売上高)と、かかる経費を記載してください。

開業前の保険診療と自由診療を合わせた医業収入(売上)の予測は難しいですが、平均診療単価×1日あたりの平均患者数×診療日数で計算するとよいでしょう。

(記入例)

創業当初1年後
医業収入(売上高)250万円300万円
売上原価40万円50万円
経費

(人件費、家賃、支払利息、その他)

100万円120万円

クリニックの事業計画書を作成する際の留意点

クリニックの事業計画書を作成する際は、記載内容の一貫性に注意し、わかりやすく記載することが大切です。

作成するときの留意点を解説します。

記載内容の一貫性に注意すること

融資審査のための事業計画書は、資金の必要性と返済の確実性の主張に説得力を持たせなければなりません。そのためには、記載内容に一貫性、整合性を持たせることが大切です。

一貫性のない記載は説得力がなく、実現性がないと判断される可能性があります。

例えば、ビジョンでは地域住民への医療の充実を掲げながら、診療内容が自由診療をメインとするのでは整合性がありません。

金融機関の担当者に「融資できる」と思ってもらうためには、一貫したストーリーの中に現実性のある数字を盛り込むことが大切です。

具体的にわかりやすく書くこと

事業計画書は、具体的でわかりやすく書くことも重要です。抽象的で専門用語が多い内容では、事業計画のイメージが伝わりません。

計画書を読むのは、金融機関の融資担当者です。専門用語を列挙するのではなく、誰でもわかる言葉で記載するようにしてください。表やグラフなどを活用するのも効果的です。

読む人に理解され、納得される事業計画書を作成するようにしましょう。

融資に通るための事業計画書の作成ポイント

金融機関の融資を受けられる事業計画書を作成するためには、信憑性のある手堅い数字で売上の根拠を示しているかが問われます。

金融機関の面談時に事業の説明を求められた際、話す内容と事業計画書の内容に相違がないようにしておきましょう。

クリニック開業の際の必要資金や注意点については、次の記事が参考になります。

クリニックの事業計画書は一貫性・整合性を意識しよう

クリニックの事業計画書は事業内容を明確にして、安定経営を目指すために必要です。また、開業のための資金調達をする際には、金融機関から事業計画書の提出を求められます。

融資のために事業計画書を作成する際は、売上の根拠を具体的な数字で示しながら説得力のある内容にすることが大切です。一貫性・整合性に注意し、誰がみてもわかりやすい事業計画書を作成しましょう。


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