• 更新日 : 2021年12月30日

所得がいくらあればお得? 法人成りによる節税メリット4選

所得がいくらあればお得? 法人成りによる節税メリット4選

個人事業主として事業を開始し、徐々に軌道に乗ってくると「法人化した方がいいのでは?」と考え始めるものです。そう思うのは、「法人化した方が節税のメリットが大きい」という話をどこかで聞いたことがあるからかもしれません。

結論からお伝えすると「そのとおり」です。

節税効果は、法人化の最大のメリット。しかし、どのような理由で節税が実現されるかについてはあまり詳しくない方も多いと思います。

この記事では主に、節税という観点で法人化のメリットを解説し、同時にどれくらいの所得になれば法人化した方が有利なのかをご紹介していきます。法人化を考えている個人事業主の方はぜひ参考にしてみてください。

税金を抑えることができる

例えば、個人事業主が事業を法人化した場合、個人事業を廃業すると同時に、新たに設立した会社の社長(代表取締役)に就任することになります。

個人事業の場合は、売上から経費を差し引いた金額が事業主の所得になりますが、これが社長に就任すると会社からの役員報酬(給料)に代わります。つまり、法人化することによって、事業主は事業所得者から給与所得者になるのです。

事業所得では事業収入から経費を差し引いた金額に対して、所得税が課されます。一方、給与所得の場合、給与収入から「給与所得控除」として一定額を控除して所得税が計算されます。この「給与所得控除」は事業所得における経費と考えていいでしょう。

つまり、法人化することで、会社としては売上から経費として社長の給料を差し引くことができるとともに、さらにその給料からも給与所得控除を差し引くことができ、いわば、経費を二重に差し引くことできることになります。

金額などの詳細についても後ほど紹介しますが、個人事業をしていた際の所得が一定額を超えれば、法人化することで税金を大幅に減らすことができるのです。

家族への給与・配偶者控除・扶養者控除

個人事業主では本来、家族には給料を払うことはできません。しかし、青色事業者となることで、「青色事業専従者」という制度を使うことができ、家族にも給料を支払えます。家族に給料を支払うと、配偶者(特別)控除や扶養控除の適用は受けられませんが、家族への給料が事業経費になり節税ができるというメリットがあります。

一方、法人の場合は、家族に従業員として問題なく給料を支払い、会社の利益を減らすことができます。それとともに、社長の所得税の計算のうえでも配偶者控除や扶養控除を適用できます。したがって、法人税だけでなく社長個人の所得税も抑えることができます

ただし、家族への給料が一定額を超えると配偶者(特別)控除や扶養控除を適用できませんし、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には配偶者(特別)控除を適用できません。

消費税の2年の免税期間を活用できる

消費税は2年前の売上高が1,000万円を超えているか、または前年の上半期売上高と給料支払額がともに1,000万円を超えている場合に課税義務者となります。

例えば、個人事業主の売上高が1,000万円を超えた場合、その2年後に課税事業者となりますが、このタイミングに資本金1,000万円未満で法人化すると、この免税期間がさらに2年間延び、結果として消費税の課税事業者となる時期を遅らせることができます

赤字(損失)を10年繰越できる

年間収支が赤字の場合、その赤字額を翌年度以降に繰越すことができます。個人事業主の場合は3年ですが、法人の場合は10年間繰り越すことができます。例えば、大赤字になった年があったとしても、その赤字を翌年以降10年の間の利益と相殺できるため、法人の方が大きな節税効果があると言えます。

法人成りした方が有利な所得金額の目安

では、どれくらいの所得水準になれば法人化した方がいいのでしょうか。個人事業主には所得税が課せられます。所得税の税率は5%~45%で、所得が増えれば増えるほど税率が高くなっていく仕組みとなっています。

一方、普通法人の法人税の税率は、利益が800万円以下は15%、それ以上は23.2%です。これに事業税や法人住民税まで考慮すると法人の税率は36%程度と考えていいでしょう。

この税率の違いを見る限り、個人事業主として順調に利益が上がり続け、ある一定の利益を超えると法人化した方が税金を抑えることができると言えます。

所得税の税率は900万円を超えると33%となりますから、個人事業主としての利益が800万円~900万円くらいになった時が、法人化を検討するベストなタイミングでしょう。

まとめ

事業規模が大きくなる所得が増えるほど、法人化することによる節税メリットは大きくなり、さらに法人化することで社会的信用性も増すというメリットがあります。個人で事業をされている方は、ぜひ法人化するタイミングを考えながら事業を進めてみてください。

よくある質問

法人化によって節税はできる?

個人事業をしていた際の所得が一定額を超えれば、法人化することで税金を大幅に減らすことができます。詳しくはこちらをご覧ください。

法人成りのメリットは?

家族への給与・配偶者控除・扶養者控除、2年の消費税免税期間の活用、赤字(損失)を10年繰越できることなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

法人成りした方が有利な所得金額の目安は?

個人事業主としての利益が800万円~900万円くらいになった時が、法人化を検討するベストなタイミングでしょう。。詳しくはこちらをご覧ください。


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