
株式会社を設立する場合には、まず、法人会社の基本的な規則である定款を作成し、公証人による定款認証を受けなければなりません。定款がスムーズに認証されるためには、必要書類や申請書の作成、記載事項の確認など、事前準備が大切です。ここでは、滞りなく定款の認証を受ける方法を紹介します。
株式会社を設立するには?
株式会社を設立するには、定款認証のほかにもいろいろな準備が必要になります。まず、設立する法人会社の形態を決め、設立の目的や資本金額、商号、役員の構成などを書類にまとめるところからスタートします。
次に、会社の発起人(出資者)と取締役の印鑑登録証明書を入手します。
そこまで済んだら、定款を作成し、公証人に事前確認を依頼して、問題がなければ認証してもらいます。そして、発起人(出資者)の預金口座に資本金を入金し、その証明のために通帳のコピーをとり、払込証明書を作成して、その他の必要書類とともに設立登記を申請します。
登記申請は、当事者または代理人が直接登記所に行くか、郵送、オンラインを使って行います。登記完了後、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得した上で、会社名義の口座を作り、税務署に会社設立の届け出を提出すればひと通りの手続きは完了です。
定款の基礎知識
会社の憲法ともいわれる定款は、株式会社の活動目的や運営、組織などの基本的な規則を書面あるいは電磁的に記録したものです。
株式会社を設立する場合には、発起人が定款を作成し、発起人全員が署名か記名押印、または電子署名をしなければなりません。
さらに、公証人が会社法や一般法人に関する法律など、法人会社の設立を定めた各法律と照らして定款を審査し、法令に適合していると定款認証すると、法人の設立登記が可能になります。
定款の認証について
設立登記を行うためには、定款が正当な手続きにより作成されたことを、公証人に証明されなければなりません。これを認証といいます。
公証人の認証なくしては、定款は効力を有しません。また、定款認証を行うことにより、記載内容の不備や漏れ、誤りによる紛争や不正行為に対する防止策ともなり、このために認証が義務づけられているのです。
定款認証が必要な会社には、株式会社のほか、一般社団法人および一般財団法人、司法書士や弁護士、監査、社会保険労務士、司法書士などの法人、特定目的会社・相互会社などがあります。
合名会社・合資会社、合同会社などの持分会社や、会社法改正によって有限会社の名称や組織を株式会社に変更する場合の定款、さらに、登記をしてからの定款の変更については、定款認証は不要です。
電子定款・電子認証による手続きもできますが、電子署名の登録などに手間がかかるため、コストは削減できますが個人で行うのはお勧めしません。
スムーズに定款の認証を受ける方法
定款認証をスムーズに済ませるために、申請前に設立する会社の所在地を管轄する公証人役場を調べておくことをおすすめします。
定款の原案ができた時点で、誤字や記載内容の誤り、不適切な箇所がないか、公証人に確認してください。その際、公証人に発起人の印鑑登録証明書や登記事項証明書(登記簿謄本)ならびに代表者の印鑑登録証明書を呈示すると、記載内容の確認がしやすくなります。
公証人役場に行く場合、必要なものがすべてそろっているかを必ずチェックします。通常、申請時に提出すべき書類は、
1. 定款3通
2. 発起人各人の3カ月以内に交付された印鑑登録証明書1通ずつ(発起人は実印も必要です。)
3. 定款認証に必要な費用(52,000円程度。署名申請の場合には、さらに40,000円分の収入印紙。)
となっています。なお、代理申請も可能です。
まとめ
最初に作られた定款は原始定款と呼ばれ、会社設立準備の早い段階で作成される大切な基本ルールです。訂正を避けるため、定款認証を受ける前に、公証人に事前チェックをしてもらい、必要であれば、原始定款に訂正や補完を加えます。これが定款の認証を滞りなく進める秘訣です。
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