- 更新日 : 2026年7月15日
ゴーストレストランの開業に必要なことは?店舗不要の飲食店の作り方
ゴーストレストランは店舗不要のデリバリー専門飲食店で、自宅キッチンでも開業可能です。
- 初期費用6万円~76万円程度
- 飲食店営業許可と食品衛生責任者が必要
- 自宅・シェア・クラウドキッチンで営業
Q. 自宅で開業する場合の費用はいくら?
A. 約6万円(許可申請費・受講費・調理器具代)で開業できます。
実店舗を持たずにデリバリーサービスでお客様に料理を届ける、ゴーストレストランが注目を集めています。ゴーストレストランの開業は、店舗の取得・改装費用がかからないため、初期投資を少なく抑えられるのがメリットです。この記事では、ゴーストレストランのメリット・デメリットや開業の方法・費用、必要な資格について解説します。
目次
ゴーストレストランってどのようなお店?
それでは最初に、ゴーストレストランがどのようなお店なのかを見ていきましょう。
デリバリー専門のレストランのこと
ゴーストレストランとは実店舗を持たずに営業する、デリバリー専門のレストランのことです。ニューヨークで誕生し、新しい飲食店のスタイルとして日本でも広がりを見せています。
一般にレストランの開業には大きな初期投資が必要です。店舗の敷金や礼金、設備や改装の費用がかかるため、小規模でも数百万円、それ以上の規模になると1,000万円程度が必要になるといわれています。しかし、店舗を持たずに開業すれば初期投資を大幅に削減できるため、資金面でのハードルがぐっと下がることになるのです。
ゴーストレストランでは、電話やインターネットで注文を受け付け、デリバリーサービスを利用してお客様に料理を配達します。近年では新型コロナ感染拡大の影響で、日本でもフードデリバリーサービスが一気に普及したため、ゴーストレストランの開業は十分現実的な選択肢になっているといえるでしょう。
ゴーストレストランの営業形態は?
ゴーストレストランは自宅のキッチンや店舗の間借りでも開業できます。ゴーストレストランの営業形態は、大きく分けて、以下の3つがあります。
【1】自宅キッチンの利用
ゴーストレストランはキッチンだけあれば開業できるため、自宅のキッチンを利用しての開業も可能です。自宅のキッチンを利用できれば、開業費用は大幅に節約できることになります。
ただし、どのようなキッチンでも開業できるわけではありません。ゴーストレストランも飲食店となるため、保健所の検査をクリアして飲食店営業許可を取得しなければならないからです。
保健所の検査をクリアするためには、以下のような条件を満たす必要があります。※営業許可の基準や運用は自治体によって異なるため、詳細は管轄保健所へ事前に確認してください。
- 建物の構造・面積建物は清潔で丈夫であり、調理や保管、洗浄などの作業を衛生的に行える広さを有すること。また、調理スペースと住居スペースが区切られていなければならない。
- 床
清掃しやすく、不浸透性で耐水性のある素材であること。クッションフロアや長尺シートなど、日常的な清掃・衛生管理が可能な床材などが採用されている。 - 壁清掃しやすく、耐水性を有する素材であること。加熱調理設備やシンク周辺は、キッチンパネルやステンレス板などの耐水性・耐汚染性の高い仕上げが推奨される。
- 窓虫やねずみなどの侵入を防止できる構造であること。
- 換気システムシャッター付きの換気システムがあること。
- 照明手元がしっかりと見える明るい照明であること。
- 洗浄・給湯設備2層式のシンクと給湯設備が設置されていること。(家庭用食器洗い乾燥機があれば、1層シンクでも免除される場合がある。自治体の基準に応じたシンクおよび給湯設備が設置されていること。)
- 手洗い設備住居用とは別に、従業者が衛生的に手洗いできる専用設備があること。また自治体によっては調理場だけでなく、トイレを出た直後にも専用の手洗い+消毒液の固定設置が必要となることがある。
- 冷蔵・冷凍設備温度計付きの冷蔵・冷凍設備。
- 保管庫調理器具や食材を保管するための、扉が付いた棚があること。
- ゴミ箱調理場専用のゴミ箱(ふた付)があること。
一般の家庭用キッチンで以上の条件をすべて満たすのは、難しいこともあるでしょう。保健所の検査を受け、飲食店営業許可が下りなかった場合には、以下のシェアキッチン、クラウドキッチンの利用を考えます。
【2】シェアキッチンの利用
シェアキッチンとは、一つのキッチンを複数のお店で利用するものです。例えば、夜だけ営業する飲食店のキッチンを、昼間の時間帯だけ借り受けるなどのケースが該当します。家賃や光熱費の応分の負担は必要となりますが、物件取得費や内装工事費、備品代などの初期投資は不要です。
【3】クラウドキッチンの利用
クラウドキッチンとは、あらかじめデリバリー専門店の入居を想定して作られた施設です。ブースで区切られた複数のキッチンが設置され、そのうちの一つをレンタルで利用します。かかる費用は家賃や水道光熱費、売上金額に応じた手数料などです。
ゴーストレストランを開業するメリットは?
ゴーストレストランは、通常の飲食店よりも店舗面積や内装への投資を抑えやすく、比較的小さく始められる点が特徴です。
初期費用を抑えて開業しやすい
ゴーストレストランは、客席やホール設備を用意する必要がないため、通常の飲食店よりも初期費用を抑えやすい点がメリットです。内装費、客席用の家具、接客スタッフの採用費などを削減でき、厨房設備と調理スペースを中心に準備できます。小規模な物件やシェアキッチンを活用すれば、開業時の資金負担をさらに軽くできます。
人件費や固定費を抑えやすい
客席を持たないため、ホールスタッフを多く配置する必要がありません。調理、梱包、受け渡しを中心に運営できるため、人件費を抑えやすくなります。また、駅前の一等地に出店しなくても、配達エリア内であれば営業できるため、家賃を抑えた物件選びもしやすいです。固定費が低いほど、売上が安定する前の資金繰りにも余裕を持ちやすくなります。
メニューや業態を変更しやすい
ゴーストレストランは、店内の雰囲気や内装に縛られにくいため、メニューやブランドを柔軟に変更しやすい点もメリットです。売れ行きが悪いメニューを早めに見直したり、複数の専門業態を同じ厨房で展開したりできます。デリバリーアプリの注文データを見ながら、人気商品、価格帯、注文時間帯を分析すれば、需要に合わせて改善しやすくなります。
ゴーストレストランを開業するデメリット・注意点は?
ゴーストレストランは初期費用を抑えやすい一方で、デリバリーサービスへの依存、価格競争、口コミ評価の影響などに注意が必要です。客席を持たないため、立地の通行量で集客することは難しく、Web上で選ばれる工夫が欠かせません。
デリバリーサービスの手数料が利益を圧迫しやすい
ゴーストレストランは、Uber Eatsや出前館などのデリバリーサービスを利用して集客するケースが多くなります。しかし、注文ごとに手数料が発生するため、売上が伸びても手元に残る利益が少なくなる可能性があります。食材費、容器代、配達手数料、広告費を含めて価格設定しないと、忙しいのに利益が出ない状態になりやすい点に注意が必要です。
競合が多く価格競争に巻き込まれやすい
デリバリーアプリ上では、同じジャンルの店舗が一覧で比較されます。価格、写真、口コミ、配達時間で他店と比べられやすく、差別化できないと値下げ競争に陥るおそれがあります。単に安く売るのではなく、専門性のあるメニュー、見栄えのよい写真、注文しやすいセット構成などで選ばれる理由を作ることが重要です。
品質管理と口コミ対応が難しくなりやすい
ゴーストレストランでは、料理が顧客に届くまでに時間がかかるため、温度、食感、盛り付けが店内飲食よりも劣化しやすくなります。配達中の崩れや遅延が低評価につながる場合もあります。容器選び、梱包方法、配達後でもおいしく食べられるメニュー設計が必要です。また、悪い口コミを放置すると注文数に影響するため、改善と返信対応を継続することが大切です。
ゴーストレストラン開業の資金の目安は?
ゴーストレストランの開業に必要な、資金の目安について解説します。
自宅で開業する場合
自宅キッチンが営業許可基準を満たしており、追加工事や設備投資が不要な場合、初期費用は比較的少額で済みます。
- 食品衛生責任者講習受講費用 …… 約1万円
- 飲食店営業許可申請費用 …… 約1万5千~2万円
- 調理器具や消耗品の購入費 …… 約3万円~
【合計 約6万~10万円程度】
※自宅キッチンの改修や設備追加が必要な場合は、別途数万円~数十万円程度の費用がかかることがあります。
シェアキッチンで開業する場合
シェアキッチンや既存飲食店の厨房を借りて営業する場合、施設側が営業許可を取得済みであっても、営業形態や契約内容によっては利用者自身による営業許可や届出が必要となる場合があります。事前に施設運営者および管轄保健所へ確認しましょう。
主な初期費用としては、
- シェアキッチン利用料または保証金
- 食品衛生責任者講習受講費用(約1万円)
- 調理器具や消耗品購入費
などがあり、総額は施設や営業形態によって大きく異なります。
クラウドキッチンで開業する場合
クラウドキッチンを利用する場合、物件取得費や厨房設備費を抑えられる一方、契約金や利用料が発生します。
- クラウドキッチン契約金・保証金・前払利用料 …… 数十万円~100万円以上
- 食品衛生責任者講習受講費用 …… 約1万円
- 営業許可申請費用(必要な場合) …… 約1万5千~2万円
- 調理器具・消耗品購入費 …… 数万円~
【初期費用の目安:50万~100万円以上】
ゴーストレストランの開業に必要なデリバリー業者との契約は?
ゴーストレストランは、客席ではなくデリバリーアプリ上で注文を獲得する業態です。Uber Eats、出前館、menuなどのサービスと契約し、掲載条件、手数料、入金サイクル、配達エリアを確認する必要があります。
【Uber Eats】認知度と注文機会を重視する場合に向いている
Uber Eatsは、国内でも認知度の高いデリバリーサービスです。アプリ利用者が多く、ゴーストレストランでも新規顧客に見つけてもらいやすい点がメリットです。公式サイトでは、店舗向けにマーケットプレイス掲載や、店舗独自の注文をUberの配達網で届けるUber Directなどの料金体系が案内されています。お持ち帰りの手数料は12%とされていますが、バーチャルレストランではお持ち帰りは利用できない点に注意が必要です。契約時は、配達手数料、広告費、入金頻度、同一価格施策の対象可否などを確認しましょう。
【出前館】国内利用者への接点を広げたい場合に検討する
出前館は、日本で長く展開されているデリバリーサービスで、幅広い利用者にアプローチしやすい点が特徴です。2026年3月からは、ユーザー向け料金体系を「商品代金+サービス料+送料」に変更し、「お店価格」対象店舗の拡充にも取り組んでいます。店舗側は、掲載時の手数料だけでなく、キャンペーン参加時の負担、入金サイクル、配達可能エリアを確認することが重要です。知名度は高い一方、費用負担が利益を圧迫する可能性もあるため、原価率や容器代を含めて採算を試算しましょう。
参考:出前館 飲食店さま向け
menuなどのデリバリーサービスを併用すると、Uber Eatsや出前館だけでは届かない顧客層にも接点を作れます。サービスごとに利用者層、対応エリア、手数料、入金サイクル、管理画面が異なるため、複数契約する場合は運用負担も増えます。注文端末が増えると、ピーク時間帯の受注漏れ、売り切れ反映の遅れ、調理遅延が起きやすくなります。複数サービスに掲載する場合は、同じメニュー名・価格・写真を整え、在庫数や受付停止のルールを事前に決めておくことが大切です。
参考:menu 飲食店様向け
契約前に厨房設備と営業許可の条件も確認する
デリバリー業者と契約する前に、営業許可や厨房設備の条件も確認しておきましょう。ゴーストレストランでも、食品を調理・販売する以上、原則として飲食店営業許可などが必要です。また、調理器具、冷蔵・冷凍設備、給湯設備、防火設備、換気・空調設備に不具合があると、開業前に修理費や追加工事費が発生する可能性があります。デリバリーアプリへの掲載準備だけでなく、保健所や消防署への確認も並行して進めることが重要です。
ゴーストレストランの開業に必要な資格・許認可は?
ゴーストレストランは客席を持たない業態ですが、料理を調理して販売する以上、通常の飲食店と同じように食品衛生上のルールを守る必要があります。開業前には、営業場所を管轄する保健所に相談し、必要な営業許可や食品衛生責任者の設置、設備基準を確認しましょう。
飲食店営業許可を取得する
ゴーストレストランで弁当、惣菜、料理などを調理して販売する場合、原則として保健所の「飲食店営業許可」が必要です。営業許可申請は保健所窓口のほか、厚生労働省の食品衛生申請等システムからオンラインで行うこともできます。ただし、必要な許可の種類や施設基準は営業内容によって変わるため、メニューや調理方法が決まった段階で管轄の保健所に確認することが重要です。
参考:営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報|厚生労働省
食品衛生責任者を施設ごとに置く
飲食店営業を行う施設では、衛生管理のために食品衛生責任者を置く必要があります。調理師、栄養士などの資格を持つ人は食品衛生責任者になれる場合がありますが、資格がない場合は食品衛生責任者養成講習会を受講して資格を取得します。自治体によって手続きや必要書類が異なるため、開業準備の早い段階で確認しておきましょう。
厨房設備・衛生管理・消防面の条件も確認する
営業許可を受けるには、厨房の区画、手洗い設備、給湯設備、冷蔵・冷凍設備、換気、清掃しやすい床や壁など、施設基準を満たす必要があります。自宅やシェアキッチンで開業する場合も、生活空間との区分や既存の営業許可の範囲を確認しなければなりません。また、火気を使う場合は、防火設備や換気設備について消防署への確認が必要になることもあります。設備工事後に基準を満たさないと追加費用が発生するため、工事前に保健所へ図面を持参して相談することが大切です。
ゴーストレストランを順調に経営していくためには?
ゴーストレストランを順調に経営していくために、どうすればよいかを解説します。
デリバリーの強みを意識したサービスを展開する
まず、デリバリーの強みを意識したサービスを展開しましょう。デリバリーの大きな強みは、前述のとおり席数や回転率に売上が左右されないことです。たくさん注文が入っても、調理可能であれば対応できます。そのため、調理時間をどう短くできるかが、サービスのポイントになってきます。
逆に、デリバリーの弱みは、配達している間に冷めてしまうことです。そのため、冷めてもおいしく食べられるメニューを開発する必要があります。
お店の宣伝を工夫する
ゴーストレストランは実店舗を持たないため、何もしなければお客様の目に留まることがありません。お客様に存在をアピールするには、お店の宣伝に工夫が必要です。
デリバリーサービスはインターネットから注文するため、インターネット上で多くの人の目に留まる方法を考えることが有効です。SNSを活用したり、ホームページを立ち上げたりするのがよいでしょう。
また、デリバリー可能エリアにチラシを配ったり、フリーペーパーに広告を出したりするのもおすすめです。イベントやケータリングなどを受注すれば、それをきっかけに知名度が一気に高まる可能性もあるでしょう。
開業が手軽だからこそ運営計画をしっかりと練る
ゴーストレストランは比較的手軽に開業できますが、だからこそ運営計画をしっかりと練る必要があります。安易な気持ちで開業すれば、経営に失敗する可能性があるからです。
運営計画を練るためには、事業計画書を作成してみるのがよいでしょう。創業の動機や資金の状況、事業の見通しなどを1枚の紙にまとめると、事業を客観視できるようになります。
事業計画書の作成にあたって重要なのは、地域のニーズをしっかりと把握したうえで、競合にはない自分の強みを考えることです。市場調査も重要ポイントになってくるといえるでしょう。
開業のしやすさが魅力!ゴーストレストランを始めてみませんか
実店舗を持たずにデリバリー専門で営業するゴーストレストランは、自宅のキッチンや店舗の間借りで開業する人もいます。初期投資や人件費を抑えられる、あるいは席数・回転率による制限がないなどのメリットがある一方、リピーターをつくりにくいというデメリットもあります。
ゴーストレストランの開業にあたっては、開業資金を準備し、デリバリー業者との契約や防火設備費用などを見積もります。その後、調理場の設備や図面を確定させたうえで、飲食店営業許可などの届け出・手続きを行います。デリバリーの強みを意識したサービスを心がけ、お店の宣伝を工夫すれば、順調に経営できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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