• 更新日 : 2026年7月15日

ホテル経営の基礎知識!儲かる?失敗しないためのポイントも紹介

Pointホテル経営は儲かる?

ホテル経営は2025年度に市場規模6.5兆円の過去最高水準で、インバウンド需要により高い収益性が期待できます。

  • 宿泊・飲食・イベント収入で構成
  • 稼働率とコスト管理が利益の鍵
  • 旅館業許可など複数の許認可必要

Q. ホテル経営で失敗しないためのポイントは?

A. エリア選定にこだわり、ランニングコストをコントロールし、インバウンド需要の変動に備えることです。

目次

ホテル業界の動向は?

はじめに、ホテル業界の最近の動向から見ていきましょう。

コロナ禍から回復し、宿泊需要は高水準で推移

コロナ禍で大きく落ち込んだホテル業界は、行動制限の緩和や水際対策の終了後、宿泊需要が大きく回復しました。観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2026年3月の延べ宿泊者数は5,441万人泊、2026年4月は5,063万人泊でした。2026年1月分調査から集計方法の見直しが行われているため、前年同月比を見る際には注意が必要ですが、宿泊者数は引き続き高い水準で推移しています。

また、外国人延べ宿泊者数は2026年3月が1,428万人泊、2026年4月が1,573万人泊となっており、インバウンド需要がホテル業界を支える重要な要素になっています。単に「コロナ前に戻った」というよりも、訪日客の増加や宿泊単価の上昇によって、市場全体が拡大局面に入っているといえます。

参考:宿泊旅行統計調査(2026年(令和8年)3月・第2次速報、2026年(令和8年)4月・第1次速報)|国土交通省 観光庁

旅館・ホテル市場は過去最高水準まで拡大

収益面でも、ホテル業界は拡大傾向にあります。帝国データバンクの「全国『旅館・ホテル市場』動向調査(2025年度見通し)」によると、2025年度の国内旅館・ホテル市場は、事業者売上高ベースで6.5兆円に達し、過去最高を更新すると見込まれています。

ただし、同調査では債務超過企業が全体の約3割を占めるとされており、業界全体の売上が伸びていても、すべての事業者の経営が安定しているわけではありません。今後は、稼働率を高めるだけでなく、人件費やエネルギーコストを吸収できる価格設計、効率的な人員配置、付加価値の高い宿泊プランづくりが重要になります。

参考:全国「旅館・ホテル市場」動向調査(2025年度見通し)|帝国データバンク

インバウンド需要と円安がホテル市場を押し上げている

ホテル業界の成長を支える大きな要因が、訪日外国人旅行者の増加です。日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の年間訪日外客数は4,268万3,600人となり、過去最高だった2024年を580万人以上上回って、年間過去最高を更新しました。さらに、2026年4月の訪日外客数は369万2,200人で、2026年の単月としては最高を記録しています。

インバウンド消費も拡大しています。観光庁のインバウンド消費動向調査では、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円と推計され、過去最高となりました。1人当たり旅行支出も22万9,000円と高水準で、宿泊費はホテル業界の収益を押し上げる重要な費目です。

円安も、海外から見た日本旅行の割安感を高める要因になります。ドル円相場は高い水準で推移しており、円安基調は訪日需要の追い風になっています。

参考:2025年暦年の調査結果(確報)の概要|国土交通省 観光庁

ホテルの経営形態にはどのような種類がある?

ホテル経営には、自ら物件を所有して運営する方法だけでなく、運営を外部に任せる方法や、ブランドの知名度を活用する方法もあります。初期費用、運営負担、収益性、リスクの大きさが形態ごとに異なるため、自身の資金力や経営経験に合った方式を選ぶことが重要です。

【所有直営方式】所有直営方式は自由度が高い一方で負担も大きい

所有直営方式とは、経営者がホテルの建物や設備を所有し、運営も自ら行う形態です。客室料金、サービス内容、採用、広告戦略などを自分で決めやすく、経営の自由度が高い点が特徴です。一方で、物件取得費や改装費などの初期費用が大きく、集客、接客、人材管理、設備管理まで自社で担う必要があります。個人事業主が小規模ホテルや旅館を経営する場合に選ばれやすい方式ですが、経営経験が少ない場合は負担が重くなりやすい点に注意が必要です。

【管理運営受託方式】運営の専門性を外部に任せられる

管理運営受託方式とは、ホテルの所有者が運営会社に実際のホテル運営を委託する形態です。所有者は建物や設備を保有しながら、予約管理、接客、人材採用、清掃管理、販売戦略などを専門会社に任せられます。ホテル運営のノウハウが不足している場合でも、一定の品質を保ちやすい点がメリットです。ただし、運営委託費が発生するほか、運営方針をすべて自由に決められるわけではありません。

【リース方式】運営せず賃料収入を得る形態

リース方式とは、ホテルの所有者が建物や設備を運営会社に貸し出し、賃料やリース料を得る形態です。所有者は日々の接客や人材管理を行わずに収益を得られるため、運営負担を抑えやすい点が特徴です。一方で、契約内容によって収益の上限が決まりやすく、ホテルの稼働率が高くても利益を大きく伸ばしにくい場合があります。また、借り手となる運営会社の信用力や契約条件の確認が重要です。

【フランチャイズ方式】ブランド力とノウハウを活用できる

フランチャイズ方式とは、ホテルチェーンなどの本部と契約し、ブランド名や運営ノウハウ、予約システムなどを活用して経営する形態です。知名度のあるブランドを使えるため、開業直後から集客しやすい点がメリットです。また、運営マニュアルや研修を受けられる場合もあり、未経験者でも始めやすくなります。ただし、加盟金やロイヤリティの支払いが必要であり、内装、サービス、料金設定などに本部のルールが適用されることがあります。

ホテルの収益構造は?

ホテルの収益は、主に宿泊、飲食、イベント・宴会の3つで構成されます。なかでも宿泊収入は売上の中心になりやすく、客室稼働率や客室単価が経営を大きく左右します。飲食やイベントを組み合わせることで、宿泊以外の収益源を増やすことも可能です。

【宿泊収入】ホテル経営の中心

宿泊収入は、ホテルの収益のなかで最も大きな割合を占めやすい項目です。客室を販売して得る宿泊料が主な収入となり、客室稼働率と平均客室単価によって売上が変動します。たとえば、同じ客室数でも稼働率が高く、単価を適切に設定できれば収益は伸びやすくなります。一方で、フロント、清掃、予約管理、リネン、アメニティなどの費用が発生し、特に人件費は大きな負担になりやすいです。

【飲食収入】客単価向上につながる

ホテル内のレストラン、朝食、カフェ、バー、ルームサービスなどによる飲食収入も重要な収益源です。宿泊客に朝食や夕食を提供できれば、宿泊料以外の売上を増やせます。また、外部客を取り込めるレストランであれば、宿泊需要に左右されにくい収益も期待できます。ただし、飲食部門では食材費、人件費、水道光熱費、在庫管理の負担が発生します。利益を出すには、原価率の管理や食品ロスの削減が欠かせません。

【イベント・宴会収入】施設の稼働率を高める

宴会場、会議室、結婚式場、セミナールームなどを持つホテルでは、イベント・宴会収入も収益構造の一部になります。法人の会議、研修、パーティー、地域イベントなどを受け入れることで、客室以外のスペースを収益化できます。さらに、イベント利用者の宿泊や飲食につながれば、複数部門で売上を伸ばせます。ただし、会場設営、音響設備、配膳、人員配置などの準備が必要なため、運営コストを見込んだ価格設定が重要です。

収益性を高めるには稼働率とコスト管理が重要

ホテル経営で利益を残すには、宿泊の稼働率を高めるだけでは不十分です。客室単価を適切に設定し、繁忙期と閑散期で価格を調整することが重要です。あわせて、人件費、清掃費、リネン費、食材費、光熱費などを管理し、無駄なコストを抑える必要があります。宿泊、飲食、イベントを組み合わせ、施設全体の稼働率を高めることが、安定した収益につながります。

ホテル経営で確認すべき指標は?

ホテル経営では、売上だけを見ていても経営状態を正しく判断できません。客室の稼働状況、宿泊単価、販売経路ごとの収益性、口コミ評価などを定期的に確認することで、集客や料金設定、コスト管理の改善につなげやすくなります。

【稼働率】客室がどれだけ使われているか

稼働率とは、販売可能な客室のうち、実際に利用された客室の割合です。稼働率が高いほど客室を有効活用できていると判断できます。ただし、安売りで稼働率を上げても利益が残らない場合があります。そのため、稼働率だけでなく、客室単価や利益率とあわせて確認することが重要です。

【ADRとRevPAR】客室収益

ADRとは平均客室単価のことで、宿泊された客室1室あたりの平均販売額を示します。RevPARとは販売可能な客室1室あたりの収益を示す指標で、稼働率とADRを組み合わせて判断できます。たとえば、稼働率が高くてもADRが低すぎる場合、十分な利益を得られていない可能性があります。繁忙期と閑散期で料金を調整し、RevPARを高めることが大切です。

【口コミ評価とキャンセル率】集客の安定性

ホテル経営では、予約サイトやGoogleマップなどの口コミ評価も重要な指標です。評価が低いと予約率が下がり、価格競争に巻き込まれやすくなります。また、キャンセル率が高い場合は、料金設定、予約条件、顧客層に問題がある可能性があります。口コミ内容やキャンセル理由を確認し、清掃、接客、設備、案内方法を改善することで、安定した集客につながります。

ホテル経営を行うために必要な許可は?

ホテル経営を行うために必要な許可には、次のものがあります。

旅館・ホテル営業の許可

旅館やホテルを営業するためには、旅館業法にもとづいた許可が必要です。旅館業の許可は都道府県知事などから受けるもので、条例で定められている換気や照明などの構造設備基準などが審査されます。

飲食店業の許可

ホテル経営では、飲食サービスを提供するために飲食店業の許可が必要です。飲食店業の許可とは、食品衛生法にもとづく営業許可で、保健所の検査などを受ける必要があります。

公衆浴場営業の許可

ホテル内の浴場については、旅館業法上の浴室として扱われる場合があり、必ずしも公衆浴場営業許可が必要になるわけではありません。ただし、日帰り入浴施設として外来利用者を受け入れる場合などは、公衆浴場法に基づく許可が必要になることがあります。公衆浴場営業の許可は都道府県知事などから受けるもので、規模などにより、浴場の図面や消防法令適合通知書など様々な書類を準備しなければなりません。詳細は自治体ごとの運用を確認する必要があります。

ホテル経営を始める際の流れは?

ホテル経営を始めるには、物件を用意するだけでなく、事業計画、資金調達、許認可、設備整備、人材採用、集客準備まで段階的に進める必要があります。

1. コンセプトとターゲットを決める

まず、どのようなホテルを経営するのかを明確にします。観光客向け、ビジネス客向け、長期滞在向け、地域密着型など、ターゲットによって立地、客室数、料金、サービス内容が変わります。周辺の競合ホテルや観光需要も調査し、差別化できるコンセプトを設計します。

2. 事業計画と資金計画を作成する

次に、開業費用、売上見込み、運営コスト、返済計画を整理します。ホテル経営では、物件取得費、改装費、設備費、人件費、広告費など多額の資金が必要です。自己資金だけで不足する場合は、日本政策金融公庫や金融機関からの融資も検討します。収支計画は楽観的に見積もりすぎないことが大切です。

3. 物件を確保し許認可の準備を進める

事業計画に合う物件を探し、旅館業法や建築基準法、消防法などに適合しているか確認します。ホテルを営業するには、原則として旅館業営業許可が必要です。客室の構造、フロント設備、換気、消防設備などの基準を満たす必要があるため、早い段階で自治体や保健所に相談しておくと安心です。

4. 設備・人材・集客体制を整えて開業する

許認可の準備と並行して、客室設備、予約システム、清掃体制、スタッフ採用、料金設定を進めます。開業前にはWebサイト、OTA、SNS、Googleビジネスプロフィールなどで集客導線を整えます。開業後は稼働率、客室単価、口コミ、コストを定期的に確認し、運営を改善していくことが重要です。

ホテル経営者で有名な人は?

ホテル経営者として成功を収めている人は多いです。例えば、次のような人がいます。ホテル経営で成功された方の考え方や手法を参考にし、自分のホテル経営に生かしていくことも重要です。

元谷芙美子さん

元谷芙美子さんはアパホテルの経営者で、日本各地にアパホテルを展開しています。低価格で高品質のサービスを受けられることで有名で、駅近くにも多くあり、ビジネスマンを中心に利用されています。

参考:【公式】アパグループ|APA GROUP

星野佳路さん

星野佳路さんは、星野リゾートなどを運営している経営者です。利用されなくなったホテルなどを大胆にリニューアルし、再生させてきました。現在では、リゾート施設だけでなく、日本全国でホテル経営を展開し、成功しています。

参考:私たちについて|星野リゾート【公式】

ホテル経営に失敗しないためのポイントは?

最後に、ホテル経営に失敗しないためのポイントを見ていきましょう。

エリア選定にこだわる

ホテル経営では、コンセプトやターゲット層などを明確にする必要があります。コンセプトやターゲット層を明確にしたら、それに合ったエリア選定にこだわりましょう。

大都市に近い観光地のエリアにするのか、避暑地などのエリアにするのか、もしくはビジネスマンが多いエリアにするのかによって、ホテルの構造なども異なります。ホテル経営に失敗しないためにも、エリア選択にはこだわりましょう。

ランニングコストをコントロールする

ホテル経営を安定させるためには、安定した収益を生む必要があります。収益を生むためには、売上はもちろんのこと、費用も抑える必要があります。そこで重要なのが、ランニングコストのコントロールです。費用を必要以上に抑えて、サービスの質が下がり集客が減少しては、元も子もありません。

例えば、閑散期には人件費を落とす、宴会が多い時期のみ食材を多く仕入れるなど、サービスの質を安定させるように工夫し、ランニングコストをコントロールしましょう。

インバウンド需要に左右されることを理解しておく

ホテル業界は新型コロナウイルスの拡大により、宿泊客や売上の減少などの大きな影響を受けましたが、その要因のひとつにインバウンド需要が減少したことがあります。

昔に比べて、今はインバウンド需要により収益が大きく変わります。インバウンド需要はすでにコロナ前の水準を大幅に上回り、2025年には訪日外客数・消費額ともに過去最高を更新しています。今後もこの水準が続くことが期待されますが、感染症の拡大や地政学リスクなど予期せぬ要因によって急減する可能性もあります。

ホテル業界はインバウンド需要に左右されることを理解し、常にインバウンド需要が減少した際の対策を講じておくことが重要です。

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ホテル経営はこれから儲かる可能性が高い

ホテル業界は、コロナ禍を経て回復傾向にあります。宿泊数や売上高も、コロナ前に近づく勢いで年々回復しています。また、円安の影響もあり、インバウンド需要も増加の見込みです。そのため、ホテル経営は今後、儲かる可能性が高い業種になります。

ただし、エリア選定を間違えたり、ランニングコストのコントロールをおろそかにしたりすると、経営が失敗する可能性もあります。また、インバウンド需要の影響を受けやすい業種でもあります。インバウンド需要の状況を確認しながら、常に最善の方法を取れるようにしましょう。


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