• 作成日 : 2020年5月18日
  • 更新日 : 2020年5月28日

会社を成長させるための「お金」との向き合い方

日本では毎年約12万社の会社が設立されています。現在起業の準備をされている方、いつか起業を考えられている方も多いのではないでしょうか。
一方で起業をしても10年後には3割の会社しか生き残らないともいわれています。
会社を存続させ成長を続けるためには、創業前後に正しい知識をもっておくことが重要です。

今回は、起業の準備をされている方、そして設立を終えいよいよ事業をスタートされる方に向けて、はぎぐち公認会計士・税理士事務所 萩口氏より、「会社設立前後に押さえておくべきポイント」について、全3回のシリーズでお伝えしていきます。

第1回では、「設立前に必ず押さえておきたい登記事項のポイント」について、第2回では、「事業開始までに必要な5つの手続きについて」解説しました。

最終回は、「会社の成長のための「お金」との向き合い方」をテーマに事業存続・事業成長につなげるために重要な財務の考え方についてお伝えします。

創業期の事業を伸ばすために必要な「財務」の考え方

節税についてのアドバイスを受けたい」という経営者からの声はよく聞きますが、税金を最小にするためのアドバイスを受けて実践してきたことが、事業成長を妨げているケースがよくあります。
私は、税務は財務の一部であり、財務は経営の一部であると言っています。そして節税によって作り出される「税務最適」は、「財務最適」や「経営最適」とは一致しないことが多いですし、財務・経営的にはマイナスになることも多いのです。

節税ということは、税金をなるべく安くという考え方から来ていますが、節税も財務的に、経営的に適しているのかという視点から、考えられるべきです。
お金の専門家として税理士に相談することも多いかと思います。しかしながら、税理士という資格は、税務の世界に限定された資格です。税理士は、税務最適という観点からのアドバイスをしてくれるのは間違いありませんが、そのアドバイスが、財務的に経営的にどうかということが見えていないかもしれません。その場合、多くの税務最適は財務最適・経営最適とかけ離れるケースがあります。

特に創業期は資金が潤沢ではない中で事業は資金が尽きれば終わってしまいますから、税金を安くしようという税務の観点よりも、会社に資金を残そうという財務の観点が重要だと考えます。

支出を伴う節税は財務的にはマイナス。一番の節税は、事業投資

例えば、節税のために不必要な生命保険を契約するのは、税務最適であっても財務最適ではありません。もし100万の利益があれば節税のための支出をするのではなく、翌期の事業を伸ばすための投資をおこなってください。
一方で、税額控除など支出を伴わない節税は財務的にもプラスなので、積極的に活用しましょう。

税金を払わないと、会社は大きくならない。

利益を出し、税引き後の当期利益を内部留保として毎年積み上げていくことで、会社の貸借対照表(BS)の純資産を増やすことができます。それを繰り返すことで会社が大きくなり、金融機関からの与信を拡大していくことができます。「税金を払わない」ことは会社の成長にはつながらないのです。

事業を早く大きくするために、攻めの借入をする。

企業は、広告費や人件費及び開発費などの「事業投資」をすることで、商品の価値を高め、売上を増加させることができます。
ただし、ここでのポイントは、「お金があるから投資する」のではなくて、「投資するからお金が生み出される」、ということです。「資金がないから、事業を伸ばすための投資ができない」という悩みを経営者からよく聞きます。利益を出して事業投資に使うのが理想的ですが、創業時は資金が潤沢ではないというのが通常です。創業時に描いたビジョンを実現するために、資金がない中で借入し投資をする。結果として利益のでる事業を構築していくのです。

起業後の最初の目標は、継続企業になること

会社を継続していくことは簡単なことではありません。お金がなくなって倒産してしまう会社も少なくありません。継続企業になるために唯一必要なのが「お金」です。
お金は会社の「1.体力」であり、「2.事業投資の源泉」です。会社は大きくするために、事業投資をしてお金を増やしていくのですが、その源泉は体力でもあるお金なのです。ですから、とにかく現預金の残高を多く持っておくべきなのです。お金があれば、様々な不測の事態がおきても体力を残すことができますし、事業機会があれば投資して、更にお金を増やすことができるのです。お金が少ないと、不測の事態に耐えられないかもしれませんし、事業機会があっても積極的な事業投資が行えなくなるからです。

投資すると会社が拡大のスパイラルに入る

「事業投資をするから、事業拡大する」「事業拡大したから、事業投資ができる」という考え方は、以下のようなスパイラルを生んで、結果として事業がどんどん大きくなっていくという流れになっていきます。

投資をしない会社はこうなる

先程とは反対に、「お金が入ってきたらお金を投資したいけど、お金がないから、事業投資はまだできない」という考え方の下では、事業が大きくなりにくく、大きくなるのに時間がかかります。

創業時に融資をしよう

お金の意義をお伝えしましたので、次は資金調達の方法についてお話します。
資金調達には様々な方法がありますが、融資は「資金調達」の中でも一般的で、利用される頻度の高い資金調達方法です。
起業して間もない時は信用や実績が少なく、民間企業から融資を受けることは非常に難しいのが実態です。そのため、日本政策金融公庫や信用保証協会のような公的機関を利用して「創業融資」を受けることになります。

創業融資の成功確率を左右するポイント

    • 自己資金

創業時は、前期の決算書がありませんので「自己資金」が融資獲得の一つの判断基準になります。一般的に、自己資金の2倍が融資可能額の目安とされます。

    • 経営者の勤務経験(事業内容との関連性)

経験のない領域で事業を始めるよりも、今まで経験してきた事業に関連性のあるほうが、融資を行う第三者から、成功確率が高いように見られるでしょう。

    • 税理士

借入をしたい経営者と、貸付をする政策金融公庫の間に入って交渉することができます。政策金融公庫に提出する事業計画のアドバイスもできるので資金調達の成功確率を上げることができるでしょう。

実績がない中で借りられるのは創業時だけ

事業は、計画通りにいかないことが大半です。事業をしっかり運営していても予想もしない天災にあい修繕費がかさむこともあるかもしれません。従業員の労災トラブルで賠償問題になることもあるかもしれません。

事業が軌道に乗っているときも、そのような不測の事態が起きた場合に対応できるくらいのお金を用意しておくべきだと考えます。

「借入することがリスクだと感じる」という経営者の話をよく聞きますが、創業融資は「実績をみせてください」といわれずに借りられる最後のチャンスです。半年後、1年後に融資を受けようとしても実績が必要になります。

500万の借入をして、金利が2%だと年間の利子は10万以下です。仮に借りすぎて使わなかった金額があったとしても、借りた500万の中から元本を返済すればいいわけですから、大きなリスクを負っているわけではないという考え方もできると思います。
融資を受けておいて、結果的にそのお金を使わなくても事業運営ができたということになってもよいと思います。実際には、残高が多めにあるだけで、一定の利息を払ったとしても、不測の事態への備えとなり、投資機会をつかむための可能性を得ているのです。

お金があれば事業は続く

お金があれば、大きな投資ができ、大きな回収も期待できます。残高が100万を切っていたら、心理的にも投資のためにお金を使えないでしょう。
お金こそが体力であり、投資の源泉である。」ということを忘れずに、事業投資のための資金を確保してください。

最後に

私は、「創業・スタートアップ支援に特化した資金調達に強い会計事務所」を経営しておりますが、起業の道を選択するすべての経営者に、リスペクトがあり、共感があります。

世の中に、新たな「需要」を作り、「雇用」を生み出し、「世の中を変える」のは、経営者の皆さまです。

そんな経営者の皆さまの創業期を支援し、継続企業になるところから支援できることに本当に意義と誇りを感じています。どんなに素晴らしい事業も、資金がなくなれば終わってしまうからです。
そして創業期は、税金計算も大切ですが、何より資金を切らさないという「財務支援」が重要だという信念のもと、私たちは資金の調達において、「融資」「出資」「補助金助成金」などあらゆる面からサポートをしています。そしてそのことが、経営者の「世の中を変える」を支援することにつながると考えています。
この記事をご覧いただいた皆様が、起業に挑戦し、継続企業を作り、世の中を変えていくことを心から応援しています。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:萩口 義治

はぎぐち公認会計士・ 税理士事務所/ 株式会社 HG&カンパニー 代表。
2003年会計士試験合格後、大手監査法人、中小コンサル会社を経て、「創業支援に特化した資金調達に強い会計事務所」として 2012年開業。
「創業補助金の採択支援数 都内会計事務所で1位」、
「マネーフォワード クラウドを顧問先50社に導入した関東で最初の会計事務所」などの実績を上げる。
2018年から2019年にかけて、全国4ヶ所で税理士向けにAI・マネーフォワード クラウドセミナーを行うなど、税理士業界でもIT活用推進事務所として、有数の実績を持つ。
“融資に強い税理士に頼んでも、融資を受けられなかった案件”も通してしまうくらい融資に強い税理士を言われている。