• 更新日 : 2023年8月25日

経営基盤とは?事業基盤との違い・強化方法も紹介!

経営者にとって「経営基盤」というのは事業を運用するにあたってのキーワードになります。しかし、そもそも経営基盤とはどのように定義されるのでしょうか?また、経営基盤は事業基盤とは異なるのでしょうか?

この記事では、「経営基盤」という用語がどのような要素からなり、どのような使い方をされるかについて解説します。

経営基盤とは?

経営基盤とは、「企業の経営を成り立たせる上で必要な土台」のことです。ここでは事業基盤との違いについても触れ、経営基盤について解説します。

経営基盤と事業基盤の違い

経営基盤とは、企業がその事業活動を持続的かつ安定的に行うために必要な土台となるものです。経営基盤は、企業の掲げる戦略を実現させたり、企業の長期的な成長を総合的に支えたりする役割を果たします。

経営を続けていると、企業の成長過程に応じて新たな拠り所が必要になります。例えば昨今であれば、デジタル化、グローバル化などの高度化が必要です。経営そのものを底上げし、強化し、高度化するには、適材適所の人材配置を行ったり、ITソリューションを活用したりして、経営の現状を見える化し、それを効率化、最適化する過程が欠かせません。

このような種々の経営高度化の「基礎」となるものが経営基盤であると言えます。

用語の捉え方としては、経営基盤とはやや抽象的な用語となりますが、企業の事業継続のために投下される「ヒト」や「モノ」や「カネ」の総称となります。

一方、事業基盤とは、直接事業を展開するための土台となるものであり、商品やサービスそのもの、顧客、市場競争力などが含まれます。事業基盤も、顧客ニーズや市場環境の要請に応じて柔軟に対応できることが求められます。

一つの企業がいくつかの事業を展開することも多いので、その場合は企業の持つ経営基盤の中に、個々の事業基盤が含まれることになります。よって経営基盤が盤石でなければ、事業基盤を維持・拡大することは困難ですし、また、事業基盤が弱ければ、経営基盤を継続的に支えることは難しくなります。

したがって、企業においては経営基盤と事業基盤の両方をバランスよく強化していくことが必要です。

「経営共創基盤」は企業の名称

株式会社経営共創基盤という法人があります。この会社は様々な形で企業支援を事業として実施している企業であり、「経営共創基盤」は企業名称ですので「経営基盤」という一般的な用語とは異なります。

経営基盤の強化はなぜ重要か

ここからは中小企業に焦点を当て、企業における経営基盤の重要性について触れていきます。

多くの中小企業では、大企業に比べ、資金力や人材力が制限されるため、目まぐるしく変化する経営環境への敏感な対応が難しいと言えます。例えば、コロナの影響で一旦減少した需要からの立ち直りが難しい場合には、事業存続に大きな打撃を受けます。また、税制改正などによるデジタル化推進の動きなどにも、中小企業はすぐに追随するのが困難な場合があります。

その時々で、資金繰りだけをやりくりする経営を続けていると、先細りに陥るばかりか、新たな得意先を積極的に開拓する体力が維持できません。そこで、そのような中小企業は経営基盤を強化することが重要になってきます。

経営基盤の強化とは、実際には経営戦略や組織体制、財務管理や人事管理などについてしっかりとした体制を敷くということです。必要があれば、専門家に相談して優先順位や解決手法などについてアドバイスを受けるのでもよいでしょう。

中小企業が経営基盤を強化することで、以下のようなメリットが得られます。下記の着眼点は、それぞれ独立したものではなく、互いに関連しあっているので他の切り口による経営基盤の強化も考えられます。

経営基盤強化の着眼点どんなことをするか?影響
経営戦略自社の強みや弱みを把握し、市場における自社の立ち位置を見極める市場や競合との差別化を図れる
組織体制各従業員に明確な役割と責任を与える組織全体の効率性と協力関係の向上が図れる
財務管理収支や資金繰りを把握し、無理やムダのない資金運用を考える新たな人材の投入をはじめ、適切な投資や新たな資金調達が可能になる
人事管理従業員の能力に応じた配属や待遇を考える離職率の低下や社内コミュニケーションの活発化に結びつく

これらの中で、「組織体制」を見直すことは特に重要と考えられます。どんなよい顧客に恵まれても組織体制が原因で、従業員間の業務の重複が起こったり、業務における責任逃れが発生したりする可能性があります。

組織体制を見直し、従業員全員に「明確な役割」と「明確な責任」を与えることにより、従業員は業務に対する評価とその責任を意識しながら業務にあたることができます。従業員が「自分の評価」と「自分の責任」を強く意識するところから、組織内のコミュニケーション、協力体制なども醸成されます。そして、そのような組織体制が盤石な経営基盤に結びつくわけです。

中小企業において、新たに優秀な人材を投入することは大変なことです。その前に、現従業員の意識の改革を行うべく役割と責任について見直すことは非常に重要だと言えます。

中小企業の課題解決のための支援策については、下記をご参照ください。

経営基盤の強化方法

では、具体的に中小企業の経営基盤を強化する方法を考えてみましょう。この項での構成としては、まず経営力強化のために一般的に必要なことを挙げ、次にそのポイントとして「経営体質の強化」「セーフティネットの整備」「新たな製品・サービス・技術の創出」の3つについて解説します。

経営力の強化

経営力とは、「企業が市場で競争力を持ち、利益を生み出す能力」のことです。自社の経営力強化のためには、まず自社の強みや弱みを客観的に把握し、戦略的な経営計画を立てること(経営戦略)が必要です。

そして、中小企業ではその成果として地域などにアピールし、その地域、その業界における会社の立ち位置を確立していきます。

そこで、ここでは経営力強化の流れの中で次の3つについて深掘りしていきましょう。

  1. 経営体質の強化

    経営資源である主力商品を管理し、企業を支える従業員重視の経営体制を強化すること

  2. セーフティネットの整備

    経営環境が変わっても、①が継続できるようなしくみを確立すること

  3. 新しい製品・サービス・技術の創出

    新しい主力商品の開発や創出への努力をし続けること

これらをすべて同時並行で行うことが人的、資金的に厳しい場合には、状況に応じて優先順位を付け、着手可能なところから始めるのがよいでしょう。

経営体質の強化

経営体質の強化とは、結果として企業の「収益力」や市場における「競争力」を高めることです。そのための対策としては、コスト削減、効率化(生産性向上)、付加価値の向上、差別化戦略などが含まれますが、まず、これらの値や指標が「すぐに」確認できるかどうかが重要です。

そして、そのためには財務や原価計算などの計数を積極的に利用することです。財務などが混沌としているなら、まずは財務システムや原価計算システムから立て直しましょう。

施策の結果を指標などで早く確認できると、企業は市場変化に対応しやすくなり、その結果、利益率や収益性の向上が期待できるようになります。経営環境の変化に対応できるスピードを持つことは経営体質の強化に必要です。

また、経営資源を効率的に活用し、コスト競争力を高めることも経営体質の強化の重要な要素です。品質を維持しながら、どうすれば同じ商品や製品、サービスが安く提供できるかを意識することを当初は考えますが、その考え方をずっと維持し続けることです。

自社事業を継続しながら経験したことを次の商品やサービスに活かし、他社ではできない自社独自の経営手法を継続的に創り出せる企業こそ、経営体質が強化された企業であると言えます。

セーフティネットの整備

企業が危機に陥ったときに備えるセーフティネットの整備には、リスク管理や資金繰り、事業継続計画などがあります。セーフティネットの整備を行うことで、企業は不測の事態に対処しやすくなり、事業の存続や回復を図りやすい体質に変わります。

緊急事態に対応できるように事前にリスク管理や事業継続計画(BCP)を策定し、実行可能な状態にしておくことは、一見、費用対効果を疑いたくもなりますが、いざというときに大きな力を発揮します。

新しい製品・サービス・技術の創出

企業が将来的な成長を目指すためには、常に新しい製品・サービス・技術について意欲的であるべきです。新しい製品やサービスの開発をするためには今までと異なった視点が必要です。

新しい技術の発明だけでなく、新しい考え方やアイデアによって今までになかった新たな価値を生み出し、新たなニーズをもたらすことをイノベーションと言います。イノベーションを起こすためには、社内に次のような雰囲気があることが大切です。

  • リスクを恐れず新しいことに挑戦する社風
  • 従業員の意見を積極的に取り入れる雰囲気
  • 顧客ニーズを常に意識し、取り入れる風潮

その他、新たな製品やサービスの開発のためには、マーケティング手法や顧客ニーズの捉え方など多くのことが考えられますが、ある程度の資金も必要です。

経営基盤は企業の成長とともに変わるもの

経営基盤は、企業が安定的に成長するためになくてはならないものです。経営基盤には、事業基盤の下支えをする重要な経営戦略、組織体制、財務管理、人事管理などが含まれますが、この中ではまず組織体制に焦点を当てることをおすすめします。

経営基盤と事業基盤は密接に関係し、経営基盤が強固であれば、事業基盤も安定しやすくなります。逆に、事業基盤が弱ければ、経営基盤も揺らぎやすくなります。経営基盤と事業基盤のバランスを保つことは、企業の持続的な成長には欠かせないものです。


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