- 更新日 : 2023年4月12日
これから起業するならどの業種がおすすめ?独立開業を成功に導くステップも解説
個人の起業熱の高まりから、「起業してみたい」「独立開業したい」という声をよく聞きます。では、おすすめの業種はあるのでしょうか?
この記事では、起業する人が多い業種、インターネット上で人気のある成功しやすい例の一覧、起業するならおすすめの業界といった情報を盛り込んでいます。起業するにはどうすればよいか考えている方の参考になれば幸いです。
目次
起業する人が多い人気の業種とは?
日本政策金融公庫が行ったアンケート「2021年起業と起業意識に関する調査」(18歳から69歳までの2,460人が対象)をもとに、起業の傾向を見ていきましょう。日本政策金融公庫とは、国が100%出資する金融機関で、一般の金融機関が行う金融を補完しつつ、起業者などへの融資などを支援する会社です。
ここでの起業家は、勤務や家事の隙間時間などにインターネットを使って小規模に起業する人を含んでいます。ここでは「パートタイム起業家」と位置づけられています。
一番多かったのは、個人向けサービス業で、起業家の16.4%、パートタイム起業家の18.7%を占めていました。下の表に上位5位まで示しました。
【起業家・パートタイム起業家の業種構成 一部】
起業家 | ||
---|---|---|
出典:新規開業に関する調査|日本政策金融公庫総合研究所
「2021年度起業と起業意識に関する調査」より筆者作成
これらのうち、商品をメインとしている小売業以外はサービスを主体とした業種であることが分かります。
起業家の約半数、パートタイム起業家の約8割が月商50万円未満という規模ではあるものの、全体の約7割が「黒字基調」であると採算の良さを挙げています。では、個人向けまたは事業所向けのサービスとはどのようなものでしょうか?
一般にサービス業というと範囲が広く、第三次産業である商業、運輸・通信業、金融業なども含まれますので、個人の起業にフォーカスするため「2022年版の小規模企業白書」から開業率の高いサービス業を見ていきましょう。
出典:2022年版 小規模企業白書|中小企業庁
「2022年版小規模企業白書全体版」より筆者作成
サービス業の開業率については、宿泊業、 飲食サービス業が最も高く、次に生活関連サービス業や娯楽業、情報通信業などと続きます。
そして、開業率と廃業率の両方が高く、店の入れ替わりが激しい業種も、宿泊業、飲食サービス業や生活関連サービス業、娯楽業とされますので、起業の厳しさが垣間見られます。
一般に個人向けサービスとされるのは、一部ですが次のようなサービスが挙げられます。新たな起業とも言えるYouTuberなどのカテゴリーや、いくつもの「複業」による起業なども見受けられます。
【個人向けサービス一例】
これからの起業におすすめの業種一覧
では、個人が起業に成功しやすいおすすめの業種はあるのでしょうか?
個人事業主が融資を受けやすい業種
まずは、個人事業主として融資が受けやすい業種は、起業しやすい業種と言えるでしょう。起業の際によく利用される先述の日本政策金融公庫においては、事業資金であれば運転資金や設備資金に幅広く利用できるとしつつも、業種や営業内容によっては利用できないことがあります。
たとえば、東京信用保証協会では、信用保証対象外の業種として一定の農林業、狩猟業、金融・保険業などを挙げています。
参考:
ご利用いただける中小企業とは|東京信用保証協会
信用保証対象外業種|東京信用保証協会
初期投資の少ないインターネットを利用する業種
次に、初期投資があまりかからない業種が起業しやすいと言えます。インターネットを利用した個人や事業者向けサービス、情報通信業などにおいて得意な知識や技術があれば、スマホやパソコンと組み合わせて起業することも可能です。インターネット上の仮想空間(メタバース)における取引など大きな期待が寄せられている分野もあります。
なお、個人のスキルや技術などによりますが、インターネット利用サービス事業の立ち上げに費やす時間はかなりかかると言えるでしょう。
【インターネットを利用した人気サービス一例】
体力的に続く業種
そして、事業を継続させることを考えると、体力的に継続可能な起業でなければなりません。
ある一定の売上高に達したら人を雇うなどの目標を持っていても、目標売上に達しない場合には、作業に時間がとられることによる、体力的なことも考慮しないと継続できません。
これから起業に成功するためのステップは?
これから起業する際は、具体的な目的を定めるなど成功に向けたステップがあります。ここでは、起業に際して必要な6つのステップを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
起業目的を明確にする
起業を成功させるには、自分が成し遂げたい目的・目標をできるだけ明確にすることが大切です。「自由に働きたい」「大きく稼ぎたい」といった曖昧な動機では、起業に成功することは難しいでしょう。
起業自体が目的となって明確な目標を持たなければ、方向性を見失うことにもなります。具体的な目的があることで、困難にぶつかったときも乗り越えることができるでしょう。目標の明確化により事業の方向性が定まり、するべき行動も明確になります。
目的・目標は、「売上高〇〇円」など具体的な数字で表すものと、「同業種では地域で最も集客できる店にする」など、言葉で表現するものの2種類を作りましょう。数字の目標だけでなく言葉で表現することで、モチベーションの向上につながります。
起業アイディアを見つける
目的を明確にしたら、立ち上げる事業の具体的な内容を検討します。起業アイディアを見つける際には、以下の点を考えましょう。
- 持っているスキルや得意分野を活かせるか
- 市場のニーズがあるか
- 収益が見込めるビジネスか
現在持っているスキルや人脈、得意分野を活かせる事業であれば、スムーズな展開ができます。いきなり経験のない分野から始めるのはリスクが高いでしょう。得意分野から開始し、事業が軌道に乗ったら新しい事業に拡大してく方向がおすすめです。
良いアイディアでも、市場のニーズがなければ事業として成り立ちません。市場のターゲットを絞り、需要があるかを検討しましょう。
また、ニーズはあっても十分な収益が見込めなければ、経営を続けることはできません。どのくらいの売上があれば利益を得られるかもよく検討してください。
ビジネスモデルを考える
起業のアイディアが見つかったら、具体的なビジネスモデルを決定します。ビジネスモデルとは利益を生み出すための仕組みであり、優れたビジネスモデルの構築が企業の成長のために不可欠です。
ビジネスモデルは以下の6つで構成され、それぞれの要素を明確にすることでビジネスの枠組みができあがります。
- WHERE:どの市場で販売するか
- WHO:顧客は誰か
- WHAT:何を提供するか
- WHEN:販売のタイミングはいつか
- WHY:なぜこのビジネスに取り組むのか
- HOW:どのような方法で提供するか
事業計画書を作成する
起業アイディアやビジネスモデルをもとに、事業計画を策定します。事業計画は資金調達で金融機関から融資を受ける際に必要です。また、事業計画の策定により、事業の方向性をより明らかにできます。
事業計画に記載する項目に決まりはありませんが、主に以下の内容を記載します。
- 事業主の経歴や資格
- 事業内容
- 経営理念
- 商品・サービスの説明
- 市場内での立ち位置・競合分析
- 顧客獲得の見込み
- 生産体制や仕入先
- マーケティング戦略
- 利益の予想と数値
- 資金計画
事業計画の策定では、まず現状分析が必要です。分析に基づき具体的な計画を策定し、戦略を検討しましょう。
資金調達方法を検討する
事業計画を作成したら、事業に必要な資金を調達します。起業するビジネスの内容や規模に合わせ、最適な資金調達方法を選びましょう。
主な資金調達方法は、以下のとおりです。
- 自己資金
- 金融機関からの融資
- クラウドファンティング
自己資金で賄えない場合は金融機関からの融資を受けるのが一般的ですが、起業したばかりの会社や個人事業主の場合、民間の金融機関から融資を受けるには審査のハードルが高い可能性があります。創業者向けの融資を行っている日本政策金融公庫からの融資も検討してみるとよいでしょう。
クラウドファンディングはインターネットを通じて不特定多数から資金を集める方法です。クラウドファンディングサービスの利用で資金を集められるだけでなく、事業内容を知ってもらうPR効果も期待できるでしょう。
必要な知識を身につける
事業を進めるために必要な知識の習得も必要です。主に、以下の知識・スキルを身につけるようにしましょう。
- 決算書類などの数字を管理するスキル
- マーケティングスキル
- 組織の管理能力
事業ではキャッシュフロー、貸借対照表や損益計算書などの決算書類を作成し、数値の動きを見ながら経営判断をしなければなりません。税理士などのアドバイスを受ける場合にも、理解するための知識が必要です。決算書類の数字を見て管理するスキルを習得し、経営の状況を把握できるようにしましょう。
また、商品・サービスの販売方法を決めて販売促進を行うためのマーケティングスキルも欠かせません。さらに従業員を雇用する場合には、経営者として組織を管理する能力も必要です。
起業・独立・開業したいなら業種選びがカギ!
起業や独立開業で多いのは、個人または事業者向けサービス業や情報通信業と言えます。
その業種選びについては、業界をよく知ること、許認可を得ること、相互扶助の考えに則っているなどのうち、できるだけ多くの要素を満たしていることが事業継続につながると言えます。業種選びのためのリサーチには十分に時間をかけましょう。
環境の変化が大きい昨今、せっかく起業しても続かないことは十分にあり得ます。起業するまでの道のりが険しければ険しいほど、事業を辞めたくない気持ちも大きくなりますが、経営者として「見極め」も大切です。起業の際には、どのようになったら撤退するかというシミュレーションも含めて考えることも肝要です。
よくある質問
起業する人が多い業種はなんですか?
開業率が高いのは、個人向けサービス業、事業所向けサービス業、情報通信業などです。詳しくはこちらをご覧ください。
これからの起業におすすめ業種とは?
融資が受けやすい業種、初期投資があまりかからない業種、そして体力的に継続が可能な業種です。詳しくはこちらをご覧ください。
起業に成功するには何が大切?
業種選びの際、その業界をよく知ること、許認可のある業種であること、相互扶助の考えに則っているなどのうち、できるだけ多くの要素を満たしていることがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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