• 更新日 : 2024年4月30日

人気の喫茶店経営に憧れる方必見!必要な資格・準備・ノウハウとは?

洗練されたおしゃれなカフェやレストランではなく、あえてレトロな雰囲気を楽しめる喫茶店を経営する方法もあります。喫茶店にはどのようなメリットがあり、どういった開業形態があるのでしょうか。喫茶店経営に必要な資格や開店のための準備、喫茶店経営が難しいと言われる理由など、喫茶店経営について詳しく解説していきます。

あえてカフェではなく喫茶店を開業するメリットは?

2021年に喫茶店の営業許可はなくなり飲食店営業許可に統合されたことから、カフェと喫茶店の法的な違いはなくなりました。明確な定義はありませんが、一般的に、コーヒーなどを主に提供するお店で、洗練された若者向けの店舗をカフェ、昭和レトロな店舗を喫茶店と呼びます。カフェではなく、あえて喫茶店を開業するメリットは何か、喫茶店開業の2つのポイントを紹介します。

純喫茶のようなレトロな雰囲気が若者に人気

昭和レトロな純喫茶の雰囲気は、昭和を知らない若者世代には新鮮に映ることもあり人気が高まってきています。これまでは、昭和を懐かしく思う世代が喫茶店の主な顧客層でしたが、昭和レトロブームで若者も含め幅広い世代に利用してもらえる可能性があります。

コーヒーだけではないメニュー展開は喫茶店経営の醍醐味

カフェの場合、コーヒーや紅茶などの飲み物以外にケーキやドーナツなどを提供することもありますが、多様なメニューを扱っているところは多くありません。

その点、喫茶店は、パンケーキやパフェ、ナポリタンやサンドイッチ、カレーライスなど、ランチ並みの軽食を提供しているところが多いようです。カフェとは違った豊富なメニュー展開も喫茶店経営の醍醐味といえます。

喫茶店経営に携わる方法

喫茶店の開業には、新規出店、フランチャイズ、お店の譲り受けの3パターンがあります。それぞれどのような特徴があるか見ていきましょう。

個人で新規出店する

ひとつは、オーナーが主体となって一から喫茶店を作り上げる新規出店です。自分好みの雰囲気をつくりやすいのが新規出店のメリットです。独立型の店舗や場所を借りたりして出店する方法のほか、設備を整えて自宅の一部を喫茶店にする方法もあります。

フランチャイズの喫茶店に加盟する

フランチャイズの喫茶店に加盟して開業する方法もあります。ブランドイメージを壊さないよう、店内の雰囲気づくりや提供するメニューの自由度は低いのですが、ブランド力で集客につなげやすいというメリットがあります。フランチャイズで開業する場合は、本部から経営ノウハウや宣伝活動などのサポートが受けられる一方、毎月ロイヤリティを支払わなければならない点に注意が必要です。

お店を譲り受ける

ネットを介してM&Aができるプラットフォームも増えてきたことで、知り合いなどから店を譲り受けるだけでなく、ネットを介して喫茶店を譲り受けるケースも見られるようになってきました。気に入った喫茶店の雰囲気そのままで喫茶店を経営できるのがポイントです。

喫茶店経営に必要な資格

喫茶店の経営は、コーヒーや調理に関する資格がなくても始められます。しかし、食品に関する資格や営業許可などは、他の飲食店と同様に必要です。ここでは喫茶店経営に必要な資格について解説します。

食品衛生責任者・飲食店営業許可

食品衛生法の定めにより、食品を扱う営業者は食品衛生責任者の設置が義務づけられています。喫茶店経営者以外の人の選定もできますが、一人で開業する場合は経営者自らが食品衛生責任者になる必要があるでしょう。

食品衛生責任者の資格を取得するには、養成講習会の受講が必要です(調理師や栄養士などの特定の資格がある人は受講が免除されます)。講習会を受講したうえで、食品衛生責任者の選定を保健所に届け出ます。

なお、公衆衛生の影響が大きい食品事業者は原則として保健所に営業許可または届出が必要になります。喫茶店の営業は、飲食店営業に該当し、営業許可が必要です。

喫茶店を開業するまでに、飲食店営業許可の施設基準を満たし、保健所から営業許可を受ける必要があります。

防火管理者資格

食品衛生責任者も飲食店営業許可も食品衛生法に基づくものですが、消防法に基づき、防火管理者の資格を取得しなければならないこともあります。

防火管理者とは、多くの人が利用する建物の防火管理計画や防火管理業務を担う責任者のことです。飲食店のケースでは、収容人数30人以上の施設が消防法により規制されます。

収容人数30人以上の施設で、のべ面積300平方メートル未満の施設では甲種防火管理者か乙種防火管理者、のべ面積300平方メートル以上の施設では甲種防火管理者の設置が必要です。防火管理者の資格は、各都道府県や消防署などで実施される講習を受講して取得します。

調理師やバリスタの資格は必要?

喫茶店に関連する資格として調理師免許やJBA認定バリスタライセンスのようなバリスタの資格、コーヒーマイスター、Qグレーダーなどのコーヒーに関連する資格がありますが、なくても開業はできます。このような資格はなくても問題ありませんが、ブランドイメージを向上させるという意味では、あったほうがプラスになるでしょう。

なお、調理師やバリスタなどの専門の資格は要さないため、喫茶店の新規開業自体は未経験でもできます。提供する商品のクオリティなどに不安がある場合は、サポートのあるフランチャイズ開業や、スクールで学んだうえでの開業も検討してみるとよいかもしれません。

喫茶店開業までの流れ

喫茶店の開業に向けてどのようなステップを踏む必要があるのか、主に新規で開業するケースを例に、開業の流れを順に説明していきます。

立地や店のコンセプトを決める

喫茶店のスタイルは、コーヒーのほかにミルクセーキやパフェ、ナポリタンなどの幅広いメニューを取り扱う一般的な喫茶店のほかに、カウンター席でコーヒーをメインにマスターと会話が楽しめる純喫茶があります。

いずれのスタイルであってもどのようなお店にするのかしっかりコンセプトを決めておくことが重要です。

まずはどのようなニーズがあって、周辺にどのような喫茶店があるかリサーチしたうえで、誰に向けてどのような喫茶店で売り出していくかを考えます。コンセプトはお店の雰囲気やメニューなどさまざまなところに関係してきますので、十分に検討したうえで決めていきましょう。

コンセプトがある程度決まったら、開業までに準備期間を要するお店の選定をしていきます。貸店舗を利用する際は、ターゲットが利用しやすい立地か、物件の設備はどうなっているか、コンセプトに沿ったお店づくりができそうな広さや形状であるかなどを確認して物件の選定を進めていきます。

開業資金や運転資金を調達する

喫茶店を新規で開業するにはまとまった資金が必要です。物件を契約するための資金、営業できるように物件の内装や外装を工事するための資金、調理器具や椅子・テーブルなどを購入する資金など、開業に向けてさまざまな支出に備えておかなければなりません。

営業するには、コーヒー豆や食材なども必要になりますので、ある程度の運転資金も見越して資金を調達しておく必要があります。

開業の形態や店舗の工事にかける費用の大きさによって必要な資金は変動しますが、500万円~1,000万円程度が喫茶店開業の資金の目安とされています。目標の時期に開業できるように、資金調達も進めておきましょう。

設備や内装を導入する

資金調達や物件の契約が済んだら、喫茶店として営業できるように内装工事や設備の導入を進めていきます。内装工事には時間がかかりますので、コンセプトに沿った工事をしてくれそうな業者を見つけ、早め早めに準備を進めておくことをおすすめします。

必要な設備としては、調理台やシンクのほか、コーヒーマシン、業務用の冷蔵庫や冷凍庫、製氷機、電子レンジ、空調設備、レジなどがあります。この段階で提供するメニューなども確定させ、必要な設備をピックアップしてそろえられるようにしておきましょう。

必要な家具や食器などの備品類を仕入れる

家具や食器は、喫茶店ならではの雰囲気づくりで重要なポイントになります。内装工事などの準備などと並行して、コンセプトに沿った家具や食器類を購入できる店舗や商品自体にある程度目星をつけておくとスムーズです。

椅子やテーブル、照明などの必要な家具のほか、掛け時計や昭和レトロなオブジェなどがあったほうが雰囲気は出しやすくなります。昭和レトロ風のものを取り入れるのもよいのですが、実際に昭和に使われていた小物を中古で仕入れるなどして取り入れてみるのも面白いかもしれません。

店員の募集や必要な許可を済ませる

飲食店営業許可は、必要な施設設備が整った状態でないと許可が下りません。営業許可の申請をすると、保健所の立ち入り調査が行われますので、設備が整ったら営業許可などの取得を進めていきましょう。なお、申請にあたって食品衛生責任者手帳の提出が必要になりますので、先に食品衛生責任者の資格を取得しておいてください。

スタッフを雇用して開業する場合は、スタッフへの教育期間も見越して、募集や採用などを進めていきます。スタッフを雇用する場合は、労災保険や雇用保険社会保険の手続きなども必要になりますので注意しましょう。

喫茶店の開業資金はどうやって集める?

喫茶店の開業に向けてまとまった資金を調達するにはどうすればよいのでしょうか。代表的な方法を紹介します。

自己資金で

まず検討したいのが、経営者個人が貯蓄してきた自己資金から集める方法です。オーナー個人の資金になるため、融資などと違い返済の必要がありません。事業資金として借りる額が多くなると資金繰りが苦しくなることもありますので、自己資金から調達できる額が多いほうが安心です。

また、日本政策金融公庫の新創業融資制度などでは、創業資金の10分の1以上の自己資金を確認できることが要件となることもあります(※特定の要件を満たせば自己資金要件を満たしたものとされるため必ずしも10分の1以上を自己資金で補う必要はありません)ので、自己資金はある程度用意があったほうがよいでしょう。

※日本政策金融公庫の新創業融資制度は、令和6年3月31日をもってお取​扱いを終了しています。

令和6年4月1日からは、新創業融資制度の適用なく、無担保・無保証人で各種融資制度をご利用いただけます。詳しくは「日本政策金融公庫」のホームページを参考にしてください。

補助金や融資を使って

自己資金で不足する場合は、日本政策金融公庫や民間の金融機関などから融資を受ける方法もあります。まとまった額を借りられる可能性があり、資金調達には有効な手段です。

ほかにも、初期投資を抑えるために補助金を利用する方法もあります。補助金は基本的に返済の必要がなく、特定の支出に対して受給できるものです。ただし、申請をしても採択されないと補助金を受給できない点、入金は対象の経費支出後一定期間が経過してからになる点に注意が必要です。

喫茶店経営が難しいと言われるのはなぜ?

レトロな雰囲気が魅力的な喫茶店ですが、喫茶店経営は難しいとも言われています。喫茶店経営でよくある問題点を知って対策を講じておくことが大切です。ここでは、代表的な理由を3つ取り上げます。

カフェや喫茶店は廃業率が高い

喫茶店の市場規模は年々縮小しており、喫茶店やカフェの廃業率は高い状態が続いています。2021年には新型コロナウイルス感染症の影響もあり、喫茶店の廃業件数は過去最高となりました。

喫茶店の廃業が進む理由には、大手のコーヒーチェーン店やコンビニカフェなどの存在があります。このような店舗とは、価格やブランドなどの面でなかなか競争できません。若者世代を中心に喫茶店のブームが来ているといっても、コンセプトがぶれてしまっては、ほかの店舗との競争で生き残ることは難しくなります。

他の飲食店に比べて回転率が低い

喫茶店は、他の飲食店と比べると回転率が低くなっています。食事をするというよりは、コーヒーを飲みながら喫茶店の雰囲気を楽しんだり、友人同士で会話を楽しんだりする客が多いためです。

お店の売上は席数×回転数×客単価に左右されますので、回転数が低いとどうしても売上が落ちてしまいます。これが、喫茶店の経営が難しいと言われる理由のひとつです。

回転数を上げるためには、以下のような工夫が必要になります。

  • ランチメニューを充実させて食事のみの利用者を増す
  • テイクアウトできるようにする
  • 単価の高い商品を取り入れる
  • 顧客サービスを改善する
  • SNSなど広告を利用して知名度を高める
  • リピーターを増やすために割引券などを取り入れる
  • 段差解消など店内を利用しやすいように改善する
  • 地域イベントに積極的に参加する など

喫茶店はこだわる部分が多く費用や採算を見極めづらい

喫茶店の雰囲気づくりのために、家具や備品、食器などにこだわり過ぎてしまうと多くの費用がかかってしまいます。また、喫茶店は客単価が低いことから、毎月の支出の見積もりが甘いと、資金繰りが悪化してしまいやすいでしょう。

喫茶店経営を成功させるためには、毎月の収支予想を現実的な数字で計算し、こだわりたい部分とそうでもない部分を見極めて必要なところに費用をかけるようにするとよいでしょう。DIYを取り入れてみてもよいかもしれません。

こだわる部分とそうでない部分のメリハリをつけることによって、初期費用を抑えることができ、毎月の資金繰りへの影響も少なくできます。

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こだわりの詰まった喫茶店の経営者になろう

喫茶店の経営は難しいと言われる部分もありますが、レトロな雰囲気やレトロなメニューなど魅力的な部分も多くあります。昭和レトロな雰囲気は若者世代にも人気を集めています。昭和から長い時間が経った現代だからこそ、喫茶店をオープンしてみるのも面白いかもしれません。こだわりの詰まった喫茶店の経営者を目指してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

飲食が未経験だと新規開店は難しいですか?

喫茶店の開業自体は飲食が未経験であってもできます。経験はプラスにはなりますが、コンセプトや立地などのほうが重要です。詳しくはこちらをご覧ください。

資金が足りないときは?

自己資金だけでは開業資金が不足するような場合は、創業者向けの融資などを利用して調達する方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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